『黒執事』のミュージカルが帰ってきた! 『ミュージカル黒執事-The Most Beautiful DEATH in The World-千の魂と堕ちた死神』レポート
人気作品『黒執事』のミュージカル第二弾公演『ミュージカル黒執事-The Most Beautiful DEATH in The World-千の魂と堕ちた死神』が現在、東名阪ツアー中。赤坂ACTシアターで開催された東京公演の模様をレポートしよう!
●1万人以上動員のステージに続き、2度目の舞台化は東名阪ツアー
『黒執事』は、『Gファンタジー』(スクウェア・エニックス刊)で連載中の枢やなさん原作の人気コミックで、2008年10月にアニメ化。2009年3月まで放送して大ヒット。7月には『黒執事II』の放送も決定している。
また昨年5月には「音楽舞踏会『黒執事』-その執事、友好-」のタイトルで舞台化され、1万人以上の動員を記録。ショービズ界でも注目を集めた。
2度目の舞台化となった『ミュージカル黒執事-The Most Beautiful DEATH in The World-千の魂と堕ちた死神』は、アニメでシリーズ構成を担当した岡田麿里さんが脚本・構成、劇中歌の作詞を手掛け、音楽もアニメと同じく岩崎琢さんが担当している。
またセバスチャン役は昨年の舞台に引き続き、松下優也さん。松下さんの他にも前作からの俳優陣が出演しており、前作を観た人にはより入りやすくなっている。
●謎の連続殺人事件に挑むセバスチャン。それは悲劇の始まりだった
物語は19世紀の英国。名門貴族・ファントムハイヴ家の当主・シエルと、その有能な執事であるセバスチャンはヴィクトリア女王の命を受け、警察が解決できない裏社会の闇に潜む難事件を解決していた。
そんなある日、ロンドンで起こった謎の連続殺人事件の究明を依頼される。一方、セバスチャンと敵対する死神派遣協会も多くの魂が回収されていないことに疑問を抱き、死神・アランとエリックの二人を派遣する。
葬儀屋などの協力を経て、セバスチャンがたどり着いた犯人は意外な人物だった。暗躍する犯人によって、新たな惨劇が生まれ、それはやがて悲劇へとつながっていく……。
●ミュージカルとしての完成度も再現性も高いステージ。導入部の演出から要注目!
大きなシャンデリア、灯るろうそくなど、洋館を模したセットと流れるクラシックオペラ調の音楽で厳しゅくな空気が会場に流れる。開演数分前、薄暗い照明の中、白黒の格子模様のステージには正装姿の紳士・淑女が姿を現す。白で身を固める人と黒の衣装の人で両側に分かれると一人ずつ歩を進め、ダンスを踊るように交わり、そして去っていく。不思議なプロローグ。その後のOPではセバスチャンとシエルの出会いが描かれる。シエルから悲壮感や決意を突き付けられた。そしてセバスチャンの感情も。導入部から引きつけられる演出。
各キャラクター達の魅力もキャストの演技と岡田さんの脚本から十分に発揮されていた。シリアスなシーンだけでなく、コミカルなシーンでは爆笑も起こった。またオペラ、テクノポップ、昭和ムード歌謡など多様なジャンルの曲とダンスで魅了する。岩崎さんの音楽は美しくも荘厳でありながらはかないゴシック調の世界観とマッチしている。
●原作、アニメに並ぶ、極上エンターテイメントをお見逃しなく!
キャストの熱演も素晴らしかった。一途な想いが生んだ、はかなくもせつない悲劇には胸を打たれた。そして印象的だったのはセバスチャン。時に冷酷に見えてしまう言動にはゾクっとさせられるが、ギャグシーン、シエルへの愛の深さなどいろいろな表情を見せた。
原作、アニメの世界観につながっていながら、違う形で『黒執事』を極上のエンターテイメントへと昇華させた本公演。ファンならずともおすすめしたい。そして今後のシリーズ化にも期待したい。
なお、セバスチャン役の松下さんが歌う、ミュージカルのED曲「Hallucination」を収録したシングル「YOU」は5月5日発売。6月23日には松下さんのファーストアルバム『I AM ME』もリリースされる。
<取材・文:永井和幸>
5月3日~9日 東京・赤坂ACTシアター
5月15日~16日 愛知・春日井市民会館
5月21日~23日 大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!
S席6,300円・A席5,800円(共に税込)
イープラスにて発売中
問い合わせ:イープラス(0570-06-9939)10~18時
出演
セバスチャン:松下優也
シエル:西井幸人
エリック:佐伯太輔
アラン:松本慎也(Studio Life)
グレル:植原卓也
ウィリアム:永岡卓也
ロナルド:ヨウスケ・クロフォード
葬儀屋:和泉宗兵
ドルイット:藤田玲 ほか
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