『四畳半神話大系』リレーインタビュー企画第3弾――「私」役・浅沼晋太郎さん&小津役・吉野裕行さん対談で「“私”のように実らない恋愛の方が面白い!」
1時間枠となってパワーアップしたフジテレビ“ノイタミナ”ほかで好評放送中のアニメ『四畳半神話大系』。今やその注目度はアニメシーンのみならずポップ&サブカルチャーシーンの台風の目になりつつあるが、アニメイトTVでは『四畳半神話大系』をより深く掘り下げるべくリレー企画を実施。スタッフ&キャストのインタビュー&コメントを連続掲載している。
第3弾は「私」役・浅沼晋太郎さん&小津役・吉野裕行さんの対談を掲載。物語のなかでは小津の策略にはまって振り回される大学生活を送る「私」だが、演じている2人はどんな青春時代を送ったのだろうか?映画青年として自主制作に没頭していた浅沼さんの思い出話に、吉野さんの“人生哲学”までトークは大いに盛り上がったぞ!
――浅沼さんはナレーションもされているので、番組を観ていると常時しゃべり続けている印象なんですが、アフレコはどのように行われているのでしょうか?
浅沼さん(以下・浅沼):「私」のセリフの部分、明石さんや小津や師匠達としゃべっている部分を先に録って、その後ナレーションだけ僕が一人で録っています。他のキャストの方と録っているときは、ナレーションが続く場面で「ここ飛ばします」という指示が入るので、場面ごとに収録するという他にはない録り方ですね。
――お二人の会話が作品の肝でもあると思うんですが、吉野さんは小津として「私」にどのようなアプローチを仕掛けていこうと思われてますか?
吉野さん(以下・吉野):基本的には「私」のことが好きらしいので、それを踏まえた上で会話していくという感じですね。メンタル的な面で言えばそのぐらいですね。
――作品は「私」の大学生活がモチーフなんですが、お二人は青春時代を何かに捧げた思い出みたいなものはありますか?
吉野:(浅沼さんは)映画を撮っていましたからね。
浅沼:はい。撮っていました(笑)
――では第2話の映画サークルの話なんかは……
浅沼:懐かしかったですね。スプライサーの感じとか、部屋中にフィルムをぶら下げた中にいるとか……。ただ城ヶ崎みたいに、あんな大掛かりな事をやる奴はいなかったですけどね(笑)。しかもいくらモテてるからとはいえ、あんなにスタッフ多いなんて無いですよ!
当時、まわりはアバンギャルドというか、実験映像的なものを撮っている人が多かったなかで、僕は一人だけドラマを撮っていたもので、スタッフなんかなかなか見つからなくて、出演してもらってる役者さん達に、出番の無いときにマイク持ってもらったり、照明持ってもらったりっていう、本当に手作りな感じでやってましたからね。
で、ちょうどその頃、僕はフィルムに関して思い入れが無かったっていうか、「なんでこんなに現像代がかかるんだ!」とか「これさえ安ければもっと制作費に回せるのに!」と思っていたので、バラエティ番組のロケで使うようなデジタルのハンディカメラが出たときは大喜びでしたね。学生時代なんて誰もが不毛なことしかしてないんですけど……。いや、そんな事ないか(笑)。
吉野:いや、そうかも知れない(笑)
浅沼:撮ったフィルムが現像されるまでどうなっているかわからないっていう、あの不毛な時間とお金が許せなかったんですよ。他のみんなは“実験映像”とか撮っているので、「へぇ~!露出や焼き方を変えただけでこんな風に違うんだ!!」みたいな感じなんですけど、こちとらドラマを撮っているので、「(シーンが)繋がんねぇ!」みたいな(笑)。それが本当に辛かったですね。でも、だからこそ、時間やお金のありがたみようになりました。機会があればまた撮りたいですね。
吉野:(フィルムとデジタルと)どっちで?
浅沼:デジタルで。それか人のお金でフィルム(笑)。
――では話題を変えて、青春時代のやり直したい思い出などはありますか?
吉野:学生…… 小学生、中学生ぐらいの頃ならそういう思考も無くはなかったですけど、今は全然興味ないです。これで充分。やったところでこの作品と一緒ですね、答えは一緒ですよ。どの道から行ったって同じ“答え”にしか行き着かないし。答えの質は多少は変わるでしょうけれども。
浅沼:吉野さんは“師匠”みたいな方はいなかったんですか?
吉野:師匠…… それは学生のときにってこと?
浅沼:じゃなくても、例えばサッカーの師匠とかでも良いんですけど(吉野さんはかなりのサッカー好き)。
吉野:そうだね、基本的にはいないんだけど、友達からの影響はすごく受けたから、そういった意味では師匠じゃなくて、対等だけどそういう人はいなくはないかな?
浅沼:小津みたいな?(笑)。
吉野:いや、あんなのはいないけど(笑)。でも年齢が離れている人で、そういう師匠みたいな人っていない。全然出来ない。
浅沼:習い事とかも?
吉野:やった事はあるけど、続かないねぇ。
浅沼:僕もです……。
吉野:でも今(脚本等を)書いたりしてるじゃん?あれは師匠はいないの?
浅沼:完全に独学ですね。
吉野:あ、そうなんだ。すごいねぇ……。
浅沼:先輩はいましたけど、師匠という人はいませんでしたね。
吉野:でも当たり前だよね。この仕事は特にそうだけど、教わるっていうか“盗む”って感じだし。基本的なことは誰から教わったって一緒だから師匠にはならないしねぇ。学校で先生に教わるのとは違うもんね。
――では、作品のもう一つの軸になっている“恋愛”の部分についてもうかがいたいのですが
浅沼:お、聞きますか?(笑)。正直、奥手だったので……やっぱり下手だったと思いますよ恋愛に関しては。それこそ金も無いのに映画とか作ってたし。
でも、中学や高校のときのほうが、「私」っぽかったような気がしますね。彼女がいない時のほうが恋愛の話って面白いと僕は思うんです。
――たしかに(彼氏彼女が)いないからこそ恋愛の話に花が咲くというか
浅沼:だからこそ花が咲くし、失敗談も面白いし。「なんでバレンタインの日だけあんなに学校に残ってたりするんだ?」とか(笑)。僕はそういうマヌケさのほうが好きなので。男性にしろ女性にしろ、実らないときのほうが変に美しいというか。このアニメにしても、明石さんとラムネ飲んだり自転車で二人乗りしたりとか、“すごい良いなぁ”と思うので。あ、二人乗りはしちゃダメですけどね(笑)。
――では最後に、これからの見所や意気込み等をお願いいたします
浅沼:これまでに張られていた伏線が回収される事もありますし、今まで見ていなかった人もこれから見て楽しめます。情報量が本当に多いんですけど、一生懸命見ても良し、ながら見して情報を通り過ぎさせても良し。3Dじゃないけど多面的な作品だと思います。ぜひ何度も楽しんでください。
吉野:どこから見ても楽しいと思いますし、作っているスタッフが、アニメーションにしてもシナリオにしても、変わっているというか、良い意味で“曲者”しかいないので、特に難しい知識を持っていなくても、このちょっとアートっぽいアニメーションを楽しめると思います。願わくば最後まで見ていただければ、皆さんの中に「あぁ、こういうものなんだな」という答えが出るんじゃないかと思うので、それを楽しみにしていただければと思います。
TVアニメ『四畳半神話大系』
フジテレビ 4月22日より毎週木曜24:45~
関西テレビ 4月27日より毎週火曜25:29~
東海テレビ 4月29日より毎毎週木曜26:15~
サガテレビ 4月29日より毎週木曜24:45~
BSフジにて 5月8日より毎週土曜25:00~
さくらんぼテレビ 5月15日より毎週土曜25:05~
スタッフ・キャスト、最新情報などは公式サイトでチェック!
>>TVアニメ『四畳半神話大系』公式HP
DVD&Blu-ray第1巻8月20日リリース決定!
【DVD】3,990円(税込)、【Blu-ray】5,040円(税込)
発売元:アスミック/フジテレビ 販売元:東宝