劇場映画『マリア様がみてる』撮影現場レポートをお届け!――紅薔薇・白薔薇姉妹のコメント&フォトレポートも!
2010年秋劇場公開予定の実写映画『マリア様がみてる』の撮影が5月に行なわれ、無事クランクアップを迎えた。『マリア様がみてる』は、今野緒雪さん原作の同名ライトノベルシリーズが累計540万部を発行、たびたびアニメ化もされている人気作品だ。
舞台となるのは、お嬢様学校リリアン女学園。リリアンには、ロザリオを渡した上級生が下級生をスール(姉妹)として指導する“スール制度”、“紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)”“黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)”“白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)”の3人の幹部と、その“妹”たちによって組織された生徒会“山百合会”など、独特の慣習があるのが特徴だ。
今回、長野県あがたの森公園にある旧制松本高等学校跡地で行なわれた撮影の模様を取材したのでご紹介しよう。この日収録が行なわれたのは、大正時代に創立された旧制高等学校の校舎跡。同所は長野県宝、重要文化財に指定されており、本館の一部や講堂が当時の雰囲気を残して保存されている。撮影現場には山百合会の面々はもちろん、エキストラの生徒たちも制服姿で行き来しており、まるでリリアン女学院に迷い込んだよう。出演者が「おつかれさまです」と挨拶すると、プロデューサーが「ごきげんようでしょう?」と冗談交じりに注意するほほえましい一幕もあった。5月とはいえ撮影地はまだ肌寒く、出演者は待ち時間はコート着用、控室にはストーブも用意されての撮影だ。控室はまさに女子校のノリで、絵しりとりなども流行っていたそう。
この日の撮影でクライマックスとなったのは、リリアンと同じ丘に立つ男子校・花寺学院の生徒会長・柏木優を巡るとあるシーン。原作序盤でも最大の修羅場(?)とあって、撮影現場も緊張したムード。当の柏木優役の碓井将大さんは冗談を言いながら現場を和ませていたが、現場最年少の未来穂香さんは緊張した様子で、廊下で何度も、一生懸命台詞の確認と練習をしている姿が見られた。そうした苦労の甲斐があってか、本番は迫真の演技! 原作ファンにも、ぜひ上映を楽しみにしてほしい。さらに今回、撮影の合間に出演者にコメントをお願いしてきたので紹介しよう。特に白薔薇姉妹の藤堂志摩子役・高田里穂さんは先日の製作発表会時点では決まっていなかったため、「え? 志摩子さんはいないの?」と思った人も多いはず。写真もたっぷりでお届けするので、ぜひ最後までチェックしてほしい。
●小笠原祥子役・波瑠さん
──小笠原祥子を演じてみていかがでしたか?
波瑠さん:感情の振り幅が大きくて、情熱的で意志が強くて、でもそれを皮一枚下に隠してクールで。内面の激しさと表面に現れる感情が違うのが難しかったです。単純に演じると、祥子ではなくなってしまうので。
──妹である福沢祐巳役、未来穂香さんとの関係はどんな感じですか。
波瑠さん:穂香ちゃんがいると、現場が明るくなるんです。和ませてくれて、元気を思い出させてくれるスパイスみたいな存在ですね。
──作品、祥子の観どころは?
波瑠さん:原作は人気作品で、別の形で生きているキャラクターにどう息を吹き込むか迷いました。それだけ愛してくれる人がいる作品だと思うので、逆にどう演じるか燃えました。祥子を人間が演じる生々しさというか、リアルさを感じてほしいですね。
──収録の合間のオフタイムはどう過ごしていますか?
波瑠さん:私は(紅薔薇さま・水野蓉子役の)平田薫さんと話していることが多いです。若い子組がいろいろやってるなぁ、若いなぁって見ながら。
──映画を待っているファンにメッセージをお願いします。
波瑠さん:原作ファンの方は実写? と不安に思う方もいると思うんですが、私たちは私たちの『マリア様がみてる』を一生懸命に作っているので、楽しみにしてください。
●福沢祐巳役・未来穂香さん
──収録の感想をお願いします。
未来穂香さん:最初は祐巳という役の気持ち、どう演じていいかがまだよくわかってなかったんですが、撮影が進んでどんどん祐巳の気持ちがわかって、役に入り込めるようになりました。
──祐巳は演じていてどんな役?
未来さん:積極的で気持ちがすごく表情に出て、とても優しい子ですね。
●佐藤聖役・滝沢カレンさん
──収録現場の雰囲気はいかがですか?
滝沢カレンさん:現場は和気あいあいとしていて女子校のムードなんですが、収録に入るとスイッチが入って、若い子たちもいい意味での緊張感に切り替わりますね。私はセリフがたくさんある役を演じるのは初めてなんですが、周りに支えられて良い感じで演じられてます。
──リリアン女学院というお嬢様学校の生徒を演じてみての感想をお願いします。
滝沢さん:独特の普段使わない言葉づかいや語尾が多いですね。でも佐藤聖という役は男っぽいというか、強気ではっきりものを言うタイプなので結構普段の自分に近いというか、さっぱりしているので演じやすいですね。
──印象に残ったシーンはありますか?
滝沢さん:祐巳に、自分がどうして志摩子を妹に選んだか説明するシーンがあるんですが、そこでの聖の普段との心や空気の違いに監督もこだわってました。表現の仕方がなかなか一致しなくて苦労しました。
私的に頑張ろうと思ってるのは、今日これから撮影する、男の子の優に対して感情的に接する場面なので、注目してほしいです。
──映画を待っているファンにメッセージを、お願いします。
滝沢さん:今回『マリア様がみてる』という作品に出られて、本当にいい経験だと思ってます。原作の佐藤聖のファンで来てくださる方も多いと思います。
自分でどれだけ佐藤聖に近づけるかはわかりませんが、自分なりに聖を演じる努力をしているので、多少違うところもあるかもしれませんが、気持ちは佐藤聖になって演じているので、ぜひ見に来てほしいと思います。
●藤堂志摩子役・高田里穂さん
──撮影の感想を教えてください。
高田里穂さん:準備期間がすごく短かったので不安だったんですが、和気あいあいとした現場でメンバーみんなもすごく優しくて、楽しく撮影してます。
──藤堂志摩子という役を演じてみていかがですか?
高田さん:自分とは対照的なので……。動きがすごくゆっくりで、おとなしくて、無口で、全部正反対です(笑)。だからやりがいがありますね。
志摩子はすごく大人しくて女の子らしいんですけど、実は芯が強くて渋いものが好きで、いろんな魅力がある子だと思います。おっとりしたところや、それぞれのキャラクターとの関係性を見てほしいです。
──印象に残っているシーンやエピソードはありますか?
高田さん:志摩子は食べるシーンが他のメンバーより多いんです。お弁当とか、打ち上げでお菓子を食べたりするんですが、おいしすぎてカメラが回ってなくても食べちゃったりしてます。
打ち上げではたこ焼きとか焼きそばとかあって私はそっちが食べたかったんですけど、役的にクッキーとか食べてます(笑)。
──他のキャストの方との関係を教えてください。
高田さん:聖役の滝沢カレンさんは自分のペースを持っていて、2つしか違わないのに落ち着いてますね。波瑠ちゃんとは仲が良くて、私志摩子なのでシーマって呼ばれてるんですけど、シーマシーマってよくいたずらされてます。
最初の印象ではすごくクールなお姉さんだったのが、仲良くなるほど面白いところが見えてきますね。
──役柄に合わせて前髪を作ったそうですね。
高田さん:撮影の2日前に作ったんです。小学一年ぐらい以来で、前からほしいな、一度切ってみたいなと思ってたので、ちょうどよかったです。
──映画を待っているファンにメッセージをお願いします。
高田さん:原作が大人気で不安もあったんですが、撮影が始まったらどこかに行ってしまいました。役のことをしっかり話しあって作ったので、映画の志摩子を楽しみにしてほしいし、他のメンバーとの交流や繰り広げられる学園風景を楽しんでほしいと思います。
●柏木優役・碓井将大さん
──柏木という役柄はいかがですか。
碓井将大さん:みんなが王子と呼んでくれるので、王子です(笑)!生徒会長なので頭のいい方ではないかと思ってます。色々と裏設定があるので、そのニュアンスがどう伝わるかな、という感じです。祥子たちの流れをかき乱すスパイスというか、柏木の登場が場を動かしていくのは楽しいです。
──女の子ばかりの現場ですね
碓井さん:緊張しますね(笑)。こういう現場はあまり経験したこと無くて、若い方も多いので新鮮ですね。わいわい楽しく。D-Boysとして活動するときは男しかいないので正反対で、すごくいい経験です。
──祥子とのダンスシーンがあります。
碓井さん:ダンスでは、ト書きに華麗に踊るってあるんですよ。そんなハードル上げなくてもって(笑)。みんなと同じ時間、むしろ後からのスタートだったので、その中で差を出せるように居残りして練習につきあっていただいたりしてます。
──スピンオフ作品に花寺が舞台の『お釈迦様もみてる』がありますが、映像化に興味はありますか?
碓井さん:興味はありますね!僕は僕(柏木)のストーリーに興味がありますし、『マリア様がみてる』の中では描かれてない部分が多いんです。映画の中での柏木がどう受け取られるかは監督も不安に思っていて、僕から僕の中の柏木を提示するというか、演じて作っていってる部分もあります。役をもっと知る意味でもぜひやってみたいですね。
(碓井さんが所属する)D-BOYSで、ですか? うーん、D-BOYSは毎年必ず一緒になるので、違うメンバーにも興味があります(笑)。
──映画を待っているファンにメッセージをお願いします。
碓井さん:王子目線で王子として見ていただきたいなと思います。かっこよくなくても王子なので! 一生懸命やっているので、ぜひ見てください。原作のファンの方にも楽しんでもらえる作品にしていきたいと思います。
<取材・文:中里キリ>
>>劇場版『マリア様がみてる』公式サイト