TVアニメ『閃光のナイトレイド』連続企画――吉野裕行さん、浪川大輔さん、生田善子さん、星野貴紀さんによる“桜井機関”スペシャル座談会!
1930年代、激動の中国大陸を舞台にしたスパイアクションアニメ『閃光のナイトレイド』。史実をベースに、野望と謀略が絡み合うハードなストーリーと、様々な人間ドラマで話題の作品もいよいよ佳境に突入。
そこで特殊スパイとして暗躍する桜井機関の4人を演じる、葵役の吉野裕行さん、葛(かずら)役の浪川大輔さん、雪菜役の生田善子さん、棗(なつめ)役の星野貴紀さんに、作品の魅力と今後の見どころなどを語ってもらった。
●「最初絶対ロボットものだった思ってました!」(浪川さん)
――演じる前と演じた後を比べて、作品やキャラの印象で変わったところは?
吉野さん(以下吉野):1話の台本を読んだ時、スパイや超能力、サスペンス、アクションなどがすごい密度で詰め込まれていると思いました。覇権国家に囲まれながら変貌を遂げていく1930年代の中国大陸を舞台にしてますが、日の当たらない影を描いていて、決して明るい作品にならないだろうと。その印象は今も変わりません。葵については徐々に内面が見えてきて、こいつも人間なんだなと(笑)。
浪川さん(以下浪川):壮大で深みのある世界観だと思ってましたが、物語が進んでいろいろなことが見えるほど、より複雑になってきて。今はついていくのに必死です。
吉野:浪川さんは最初、ロボットものだと思っていたらしいという話を聞きました(笑)。
浪川:“ナイトレイド”というロボットが上海に降り立つ物語と思ってた。葵君がロボットを呼ぶのかなと。必殺技はミサイルで、すばやく動くから「閃光」なんだろうと予想してました(笑)。葛というキャラは軍人らしい硬さがあるゆえにむしろわかりやすかったです。回を追うごとに硬さが増していった感じです。
●「雪菜は芯が強い子でした」(生田さん)
生田さん(以下生田):1話でアクションが多くて、純粋なスパイものだと思ったら、複雑な人間模様やキャラの心情も、ていねいに描かれている作品だなと思いました。雪菜はお嬢様でふわふわしてるようだけど、お兄ちゃんを探すために特務機関に入るほど行動力があって。お兄ちゃんに誘われてもついて行かなかったところなど、意外に芯が強くブレない子だと。
星野さん(以下星野):棗は雪菜の従者として限られた空間で生活してきましたが、スパイとして海外に出ることになってどう変わっていくのか。台本を初めて見た時、そこが役作りの肝になってくると思っていましたが、その通りになりました。
桜井機関の4人はそれぞれ個性があって、例えばリベラルな葵、硬い葛のギャップがあり、いいバランスだったけど最後はどうなるのか、人間模様に注目してます。
●「葵は吉野君しか演じられないなって」(浪川さん)
――桜井機関の4人がそろったので、それぞれのキャラの魅力や好きなところを、他の3人で語っていきましょうか? まずは葵についてお願いします
浪川:葵君は意外と感情的だったな。ライトでクールなのかなと思ったら感情に流されて突っ走るキャラで。
星野:資料に「有力政治家の落とし種」とあるんですけど、幼少の頃の生い立ちも絡んでくるんじゃないですか?
吉野:スタッフさんが「あれはいらなかったかも」って言ってたよ(笑)。いろいろな設定が詰め込まれているのに、本編ではあえてそれに触れずに進んでいく。それぞれのエピソードもあったけど、決して掘り下げない。
浪川:主人公にしかできない行動するし、主人公の王道だと思いますよ。
生田:そういえば9話で浪川さんが……。
吉野:葵が単独行動した瞬間に「出たよ!主人公の単独行動が」って(笑)。
浪川:みんなが気になるのは魅力的な証拠。
生田:あと意外と一途ですよね。ナンパしまくるイメージがあったけど……。
吉野:ヒドいなあ。それじゃ、浪川君みたいじゃん!(笑)
浪川:俺も言おうと思った(笑)。演じられるのは吉野君だけだからキャラ名も変えてもいいんじゃない? 三好葵じゃなくて吉野裕行に。
吉野:それはおかしいだろ!(笑)
●葛の見せ場は10話以降に!ファンは期待!
――次はクールな葛についてお願いします。
浪川:遠慮しなくていいよ!さあ、どんどん行こう!!
吉野:まず分け目がしっかりしてる……。
星野:あとおばあちゃん子でしたね……。
浪川:それだけ?設定見たままじゃん!
吉野:僕は好きなタイプですけどね。融通が効かないが、自分の信念を持って行動できるのは魅力的だなと。でも士官学校出身で上官には絶対服従するかもと思うと、自分の意志はどこにあるのかなと心配になるけど。そんな感じかな。
浪川:他は?もっとないの!実は好きな男性のタイプだとか(笑)。
生田:それは……あっ、能力に頼ろうとしないですよね。
星野:フェアじゃないという考えで。武士道ですね。あとまじめっ子……。
浪川:みんな「……」が多いね。(寂しそうに)もういいよ。
吉野:5話の「夏の陰画」はよかったよ。男気があふれてて。
生田:あっ!あれはよかったですね。
浪川:(寂しげに)10話以降に見せ場があるみたいだから期待してます。
●「雪菜の髪型は当時本当にあったファッション」(生田さん)
――では気を取り直して、紅一点の雪菜はどんな印象ですか?
浪川:“ユッキーナ”はね、二つある泣きボクロだよね。意外とストライク!
生田:(笑)。
星野:「あれやって!」、「これやって!」とわがままを言うお嬢様かと思ったら違いました。箱入り娘という感じですね。
吉野:品があるのがいいね。上から目線じゃないのもいい。
浪川:あと、おしゃれだよね。毎回、衣装も違うし。髪型も好きなんですけどね。巻き貝みたいなの、どうしてるんだろう?
生田:当時、本当にあった髪型みたいですよ。
吉野:言葉づかいも好きです。桜井さんについて話す時に「ちょっとさみしかった」という言い方とか。言葉の選び方に育ちの良さや優しい人柄が出てる。
星野:“長女で妹”っていう感じがしますもん。
生田:それはわかりやすいですね!そういえば雪菜は笑わないんですよね。サイコメトリングができるせいかもしれないけど。
浪川:心の底から笑わせる男ができた時が楽しみだよね!(ニヤリ)
●「棗は後半になって存在感が増したキャラクター」(吉野さん)
――では4人目の棗について、印象と良いところを挙げてください。
星野:しっかり自分を持っていて、揺れない人ですね。あとまず雪菜ありきで。雪菜が入らなければ桜井機関にはいなかったでしょうから。
浪川:出しゃばらないところもいい。“振り向いたらいる”みたいな。必要な時は絶対そばにいて、いつも後ろから支えている。そんな大人になりたい!
星野:本人はもっとアグレッシブに動きたいと思っている気がする。ないものねだりで。
浪川:キャラクターデザインの佐々木啓悟さんのコメントがすごいよ。「監督からはかっこよくしないでくれと言われた」とか「原案では髪を結んでいなかったけど、作画が大変なので後ろでしばらせてもらった」とか。
星野:なるほど。相当圧迫されてますね(笑)。
浪川:でも損するタイプかもしれない。いい人で終わって。
生田・星野:あ~。
吉野:後半になって棗の存在感が大きくなっている気がする。
浪川:本当に大人でカッコイイですよ。葛が子供に見えるくらい。
●キャストが語る印象的なシーン
――印象的なシーンを挙げていただけますか?
吉野:5話ですね。全13話で大きな物語を描かなくてはいけないのに、葛と西尾の男同士のエピソードが入ってて。だから、ただのアクションものじゃなく人間ドラマを描いた作品なんですよね。
生田:私は死んだと思っていた静音さんが8話で電車に乗っていた場面。みんなはあきらめていたのに雪菜は全然ひかなくて「呼びかけて!」って。それで静音が振り向いた瞬間は忘れられないですね。
星野:10話で葵と釣りをするシーンは棗を演じる上で転換点になりました。内陸の人は川魚しか知らないというのは同じ場所に留まり続けてきたからで。今後の行方にも大きく左右します。あとは4話で猫好きな一面が見えたところ。
浪川:僕は9話以降ですね。それまでも印象的なシーンはいくつかあったけど、うねりが大きくなったのは葵が暴走し始めてからかなと感じてて。あと桜井さんが気になりますね。
吉野:桜井さんとの会話はすべて印象に残ってます。会話のたびに、段々わからなくなってきて、葵も冷静さを失って。
浪川:あと0話で僕らの出会いも描かれているので、DVDとブルーレイの1巻も見てください。うまい俺(笑)。
●今後、大きく動く時代に翻弄される桜井機関の4人の行方に注目
――今後の見どころやラストに向けての予想や希望があったら教えてください。
浪川:壮大なお話ですが、人物も細かく描かれているのが作品の魅力だと思います。僕らキャストもキャラの心情をくみ取るようにていねいに演じていますので、一人ひとりのキャラクターにも注目して見ていただきたいです。
今後は桜井機関の4人の運命と、世界を揺さぶる歯車が一層大きく、速く動きます。濃密で深い物語の結末を見届けてください。でも、ロボットの登場もあきらめてないから!(笑)。
生田:追いかけていたお兄ちゃんが敵対する存在であることを知って、その時は桜井機関に残る決断をした雪菜が最後までその意志を貫き通すことができるのか、気になります。
10話から4人がバラバラに動き始めるので、最後は4人が一緒に戻れたらいいなと願っています。
星野:棗は外の世界を見ることによって考え方が変わってきたので、あくまで予想ですが勲側に行くのではないかと。
吉野・浪川・生田:え~っ!?
生田:雪菜を裏切っちゃうんですか?
星野:(笑)。そういう個人の思惑もありつつ…、1話ごとで時間もすごく飛んでいるのでその間に何があったのか、何を考えていたのかを想像していただくとより深く楽しめると思います。DVDも出ますのでぜひ何度も見てください。
吉野:『ナイトレイド』は人間ドラマであり、時代に翻弄されていく若者達の姿が描かれています。桜井機関の4人は歴史の表舞台には出てこないけど、「もしかしたらこんな若者達がいたんじゃないか」と思わせるほどキャラも立っているし、絵も当時の様子を精密に再現してます。
スパイアクションや超能力に興味を持って見てくれるのもいいけど、今までスポットが当たっていなかった時代の物語を見て、自分の価値観と違うものを感じ取ってくれたら嬉しいです。
<TEXT&PHOTO:永井和幸>
『閃光のナイトレイド』1巻
6月23日発売
ブルーレイ 6,825円(税込)
DVD 5,775円(税込)
発売:アニプレックス
TVアニメ『閃光のナイトレイド』
<放送情報>
テレビ東京 4月5日より毎週月曜 深夜1時30分~
テレビ愛知 4月7日より毎週水曜 深夜1時58分~
テレビ大阪 4月9日より毎週金曜 深夜2時35分~
BSジャパン 4月11日より毎週日曜 深夜0時05分~
>>TVアニメ『閃光のナイトレイド』オフィシャルサイト