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TVアニメ『さらい屋五葉』連続企画 第5弾山本幸治プロデューサー

TVアニメ『さらい屋五葉』連続企画 フジテレビ・山本幸治プロデューサーが語った――「アニメ視聴の“流れ”を考えたとき、1時間枠で『さらい屋五葉』が“必然”だった」

 TVアニメ『さらい屋五葉』に関わった様々な人々にインタビューする連続企画。今回話をうかがったのはフジテレビの山本幸治プロデューサーだ。これまで、『Paradise Kiss』をはじめ『働きマン』『のだめカンタービレ』『東のエデン』など、数々の“ノイタミナ”作品にプロデューサーとして参加。

 その他にもフジテレビで放送された数々のアニメ作品を手がけてきた山本氏。昨年アニメ化されたオノ・ナツメ氏原作の『リストランテ・パラディーゾ』でもプロデューサーとして名を連ねており、『さらい屋五葉』のアニメ化におけるキーパーソンの1人ともいえる存在だ。

 今回は『さらい屋五葉』の話はもちろんだが、“ノイタミナ”枠のこれまでの“歴史”や、1時間枠になった“ノイタミナ”が目指すものなど、TV局のプロデューサーならではのトークをお届けしよう――

──TVアニメでは、局のプロデューサーはどのような形で作品と関わっているのでしょうか?

山本氏(以下・山本):作品によってまちまちなんですけど、僕のいちばんの仕事はラインナップを決めるという事ですね。企画の立ち上げから枠組みを作り、製作委員会を作って、という形でやっているので、どの製作会社で、どの原作で、どの監督で、というのを決めるのが僕の仕事ですね。


──原作選びから関わっているんですね

山本:企画によってはほぼ出来上がっているものと、いわゆる“お見合い”することもありますし、ゼロから立ち上げる事もあります。TV局の立場から見た枠の戦略というのもときにはありますし。

──“枠の戦略”というのを、もう少し詳しく知りたいのですが……

山本:まずは、膨大なレポートを書いて放送枠を確保してくるんですけど、そこから先はそのつど、今回でいえばメディアファクトリーさんのようなパートナーと相談して、企画を決めていくという感じです。
 以前に今回の『さらい屋五葉』と同じオノ・ナツメ先生の『リストランテ・パラディーゾ』という作品を手がけたんですが、できればああいった雰囲気のものを連続して作りたい、ノイタミナ枠独自の色というか個性を出していきたい、と願うなかで、オノ先生のマンガ業界における立ち位置、個性的なポジションが、アニメファンからみた“ノイタミナ”のそれと近いといいな、という思いがありました。

──今年の春から“ノイタミナ”が1時間枠になりましたが、“noise”枠は統合された形になるんですか?

山本:元々4年ぐらい前から「ノイタミナを一時間枠にしたい」という提案をしてました。それが希望通り一時間枠にはならず、別の形で着地したのが“NOISE”なんですよ。当時他局にも深夜に一時間のアニメ枠がありまして、僕はとても面白いと思っていたんです。うちでいえば『サザエさん』と『ちびまる子ちゃん』とか、『ドラゴンボール改』と『ONE PIECE』とか。
 日曜日なんかは他局の番組も含めての“流れ”があるじゃないですか。(局をまたいでアニメをずっと見続ける)“流れ”って絶対あると思うんです。今もちょっと他局と時間帯が被ったりはしていますが、少なくとも「1時間枠でやりたい」という思いは昔からありましたので、(本来1時間枠にしたかったが)“NOISE”となって分かれてしまったものを、2、3年かけてなんとか1時間枠に持ってきたという感じですね。

──『さらい屋五葉』という作品は、一見すると“渋め”なテイストですが、“ノイタミナ”が30分枠のままでも放送されていたでしょうか?

山本:もちろん放送されていると思います。1時間枠になった“ノイタミナ”の“上の段”(前半部分、今回でいえば『四畳半神話大系』)は、アニメファン以外の層にも広がるようなものを、下の段(『さらい屋五葉』)はよりアニメファンにマッチした企画をやるっていうのは当初からのコンセプトだったんです。『リストランテ・パラディーゾ』も“ノイタミナ”でよかったんですけど、その辺は先刻の“流れ”の問題でもっと遅い時間帯になったと。
 オノ先生の作品って“ジャケ買い”されるマンガだと思うんですよね。そんなにマンガをたくさん読んでない人も表紙を見て買うような。なかでもなんとなく気軽にオシャレな雰囲気で入れるのが『さらい屋』だと思うんで、上の段でも全然アリでしたし。
 上の段は今回の『四畳半』でいえば、演劇畑のヨーロッパ企画さんとか文芸の森見登志彦さんとか、今のところアニメファンと大きくシンクロしていない層を取ってこようというように、アニメファン以外にも広がるようもアプローチしていくという明確な戦略的意図がありました。“一般的”と言い出してしまうと「ラブストーリーがいいのか?」とか「売れてる演出家ならいいのか?」という話になってしまいますが、正直、コアファン向けの度合いは一時間枠化に伴って上げています。けれどもそのなかで、上の枠は非アニメ層にもアピールしていて、下の枠は今までのアニメファンをより大事にできるといいな、というのがあります。
 ただ、ファンもそんなにアニメとか演劇とかにはっきりと分かれているわけではないんですよね。だからそこは一年分のラインナップを発表する事によって、「あ、この枠は自分の好きそうなものをやってくれるんだな」って思ってもらえればいいなと。視聴率とは別の部分で“要チェック枠”になりたいという思いは、今回の二作品を並べる事で伝わったという実感はあります。



第6話より

第6話より

第6話より

第6話より

第7話より

第7話より

第7話より

第7話より

──5年かけて満を持しての1時間枠化なんですね

山本:ここ最近ですけど、やっと“ノイタミナ”という枠のプロモーション展開もかけられるようになってきましたし、アニメの放送枠が減りつつあるなかで目立てるというのはいいことだなとは思います。

──そして『さらい屋五葉』ですが、実際に出来上がったフィルムをご覧になって、プロデューサーという立場からの感想をお聞かせください。

山本:原作のポテンシャルを考えると、他の可能性もあったとは思います。マングローブさんで時代劇といえば『サムライチャンプルー』がありますし、“かどわかし(誘拐)”というアクションにつながる要素もあるし。具体的にいえば1話で、政の強さをアクションシーンで見せてしまうというやり方もアリでしたが、今回は望月監督が原作の空気を再現するというか、前面に押し出していく方法を選択されて、それが非常に高いレベルで行われているので、これは本当に正解だったなと。
 ただこの『さらい屋五葉』に限らず、あらゆる企画にはあらゆるやり方があると思うし、そのやりようによっては作品の雰囲気がガラリと変わってしまうので、その辺はあまり無責任なことは言わずにやっていこうと思います。

<取材・文:渡辺 佑>

<STORY>
気弱ではずかしがり屋な性格のせいで浪人となり、田舎から江戸に出てきた秋津政之助は、偶然出会った遊び人風の男・弥一の用心棒になるよう頼まれるが、政が守ることになった弥一こそ、拐かし(かどわかし)を生業とする賊「五葉」の一味。政之助は剣の腕を見込まれて、「五葉」一味に加えられてしまう。
仕方なく五葉を手伝う政之助だったが、ひとクセもふたクセもある個性的な面々が揃っている「五葉」の仕事を通じて、彼らが抱える個々の事情に関わってゆく事となり、人として成長を遂げていく。

<放送情報>
フジテレビ“ノイタミナ”にて毎週木曜 25:15から放送中
関西テレビにて 毎週火曜 25:59から放送中
東海テレビにて 毎週木曜 26:45から放送中
テレビ熊本にて 毎週月曜 26:10から放送中
サガテレビにて 7月15日より 毎週木曜 24:45から放送開始
BSフジにて 毎週土曜 25:30から放送中

<DVD情報>
DVD第一巻 7月23日発売
第一話・第二話収録/5,775円(税込)
第一巻初回特典は、36P特製小冊子(オノ・ナツメ描き下ろし漫画や秘蔵制作資料を収録)
中澤一登描き下ろし豪華特製BOX、五葉オリジナルビジュアルカード2枚

※スタッフ、キャスト、最新情報などは公式サイトをチェック!

>>TVアニメ『さらい屋五葉』公式サイト

第8話より

第8話より

第8話より

第8話より

第9話より

第9話より

第9話より

第9話より

<b>DVD第1巻 7月23日発売</b><br>5775円(税込)<br>発売:メディアファクトリー<br>※イラストはデザイン前のものです<br>(C)2010 オノ・ナツメ/小学館・さらい屋五葉製作委員会

DVD第1巻 7月23日発売
5775円(税込)
発売:メディアファクトリー
※イラストはデザイン前のものです
(C)2010 オノ・ナツメ/小学館・さらい屋五葉製作委員会

(C)2010 オノ・ナツメ/小学館・さらい屋五葉製作委員会
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