“『みつどもえ』×アニメイトTV”特別企画 『鴨橋小学校6年3組学級日誌』その6―太田雅彦監督インタビュー「アニメではクラスメイト1人1人もフィーチャーしてますので、全員見逃さずに!」
いよいよ放送がスタートしたTVアニメ『みつどもえ』。みんなはもう第1話を観たかな!?画面狭しと動きまわる三姉妹たちの活躍に感動した人も多いはず!アニメイトTVの特別企画“鴨橋小学校6年3組学級日誌”では、引き続き『みつどもえ』の魅力を伝えていくよ!
前回まではみつば、ふたば、ひとはの三姉妹、そして声優さんたちにインタビューをお届けしたけど、今回はアニメ『みつどもえ』に命を吹き込むスタッフから、代表して太田雅彦監督にインタビュー! アニメには全体のストーリーを組み立てるシリーズ構成、各話の絵を監督する作画監督、声優さんの演技など音関係を監督する音響監督などさまざまなスタッフがいるけど、その全体をまとめるのが“監督”の仕事。
太田雅彦監督は、アニメ『みなみけ』でもその個性的なスタイルが評判になったけど、今回はどんな作品を作ろうとしてるのか、『みつどもえ』アニメ化での苦労やエピソードを聞いてきました!
●基本は原作に忠実に、アニメならではの動きやわかりやすさを追求!
──第1話を見て、ファンの皆さんはどんな反応だと思いますか?
太田雅彦監督:原作を読んでいる方とそうでない方によっても違うと思いますが、(いい意味で)“ひどい”アニメだなと思うんじゃないかと(笑)。
──各回を3~4本のショートエピソードにしたのはなぜですか?
太田監督:「みなみけ」の時と同様で、無理に1本のシナリオに合成するより、短編は短編でまとめた方がリズムが出るという考えで、シンプルに作るように話しています。1話の中に4本入るかどうかは実際に脚本を作って、絵コンテを切ってみないとわからない部分だったんですが、自分でやってみたらなんとか入る感じだったので、4本にしました。第1話だけキャラクターを紹介するためのパートが必要だったので、3本構成になってます。
──放送された1話を見ると、原作とオリジナルなエピソードがうまく合わさっている印象です
太田監督:(ふたばが大暴れする)アクションシーンはかなりふくらませました。それから矢部が新任教師として入ってきたあたりなども、物語をわかりやすくするために増やしています。
──全体的に、アニメとしてアレンジを加えた部分はありますか?
太田監督:基本は原作に忠実に作っています。原作は短編なので、かなり詰め込んでいる部分もあるので、ちょっと補足を入れてわかりやすくしたり、アニメとして動かして面白い部分はふくらませていったりしてます。原作の“モラルのない”といったらいいのかな、そういうおもしろい部分をちょっと強調する感じにもしてます。アニメならではのテンポに関しては、コンテの時点で調整しています。やはりシナリオを、実際に絵にしてみないとわからないんですよ。
──たくさん登場するキャラクターにスポットを当てつつ、1クールでまとめるのは大変そうです
太田監督:基本的には順次登場させていく感じです。原作のエピソードのチョイスは、まずシリーズ構成のあおしまたかしさんに出してもらってるんですが、キャラが認知されやすいように、1人のキャラにフォーカスしたエピソードを続けたりすることで、わかりやすく印象が残りやすいようにしてくれました。各回1人か2人づつサブキャラがクローズアップされるようになっているので、毎回キャラクターを覚えてもらいつつ、徐々にミックスした話が入ってくるのを楽しんでもらえればと。
──アニメ化する作品として見た原作の印象は?
太田監督:この作品はアニメにはしやすいと感じました。唯一の不安は「これアニメにしていいの?」ってことで、原作を読んでいるとき気になるのはいつも、“放送は大丈夫なのか”ということですね(笑)。怒られずに無事放送できればと祈ってます。
──そういった部分も含めて、アニメで変更している要素はどこになりますか?
太田監督:差別用語などは仕方なく変えていたりはします。ですが最初から萎縮(いしゅく)してもしょうがないので、なるべく原作を変えずに作っていこうと進めています。とにかく作って文句言われたら直すと…
──絵柄の部分など映像面での、今回の監督の方針などを教えてください
太田監督:基本的に、萌えアニメというよりはギャグアニメと考えて作っています。その上でカワイイと感じる人がいたらラッキーという感じですね(笑)。絵に関しては総作画監督さんにゆだねています。自分は最初に演出さんに意図をしっかり伝えて、レイアウトが上がってきた時点できちっとチェックして、意図と違うものは直したりリテイクしたりする感じですね。
──キャラクターデザインの時点でお願いしたことなどはありますか?
太田監督:基本的には、4巻から7巻ぐらいの間の原作の絵が固まり始めたあたりをベースにデザインしてもらっています。原作で一番“ぷにぷに”している時期というか、ある意味作品の魅力が一番伝わる絵柄だと思いました。お腹とかもぽっこりしてますよね。
――オープニングはかなり動いていますが、本編も期待していい感じでしょうか。
太田監督:オープニングの映像は、アニメーターにかなりムチャを言ってしまいました(笑)。もう放送された第1話もアクションシーンではかなり動いているんですが、動きが大事な部分はなるべく動かしていけるようにしています。
――小学生の物語なので、動物や自然も多く登場します。背景や色使いにこだわりはありますか?
太田監督:美術の方が、“手描き”の味を持った方なんです。僕個人の好みですが、キャラの背景や色使い含めて優しい感じにはしてもらっています。
――監督が気に入っているキャラクターはいますか?
太田監督:みんなキャラクターが“立って”いて、どのキャラも好きなんですが……やっぱり年齢の近い草次郎でしょうか。なかなか楽しいお父さんになっているので、“あわれ”なお父さんぶりを楽しんでください(笑)。矢部とか大人のキャラは大体三姉妹にさんざんな目に合わされるので、大人の人はそちらの目線でも楽しんでもらえると(笑)。
――演じるキャストもかなり豪華ですね。
太田監督:まず重視したのはキャラクターに合っているかどうかなんです。だから豪華になっているのは結果論で、ゴリ押しで入れられた声優さんは一人もいません。スタジオでは結構アドリブもあるんですが、(矢部役の)下野紘さんのアドリブがちょっとやりすぎなぐらいで、使えないものもあるんですが、キャストのみんなを笑わせようとしてくれて、いい空気を作ってくれています。
――最後に作品のみどころなどをお聞かせください。
太田監督:毎話“不審者”や“変質者”がめまぐるしく出てきます(笑)。アニメでは主要キャラだけでなく、6年3組のクラスメイトもみんなきちんと作りました。原作にちょっとだけ登場する“おでこが光る子”とかも設定されてますし、1話でみつばに椅子にされている子とかも。アニメーターが描きたがるんですよあの犬みたいな子(笑)。彼らが後ろにいて動いてたりもするので、そのあたりも観て、クラスメイトの顔も覚えてもらえると楽しいと思います。
以上、太田雅彦監督のインタビューをお届け。監督の苦労とこだわりがたっぷり詰まったアニメ『みつどもえ』は絶賛放送中なので、キャラクターの魅力と監督自身「放送できるの?」と心配になったくらいのギリギリのネタの数々を、ぜひ自分の目で確かめてね!
>>アニメ『みつどもえ』公式サイト
>>みつどもえ公式twitter『みついったー』