「世界遺産劇場 第十七回 ‐富岡製糸場‐ 坂本真綾ライブ "Open Air Museum"」の様子をご紹介!
9月19日、群馬県富岡市の富岡製糸場で、坂本真綾のライブが行われた。富岡製糸場は明治5年に建てられ、世界遺産暫定リストにも記載されている貴重な史跡。敷地の中庭に設営されたライブ会場は2800人の観客でいっぱいになった。
そして、日没後の夕闇に包まれた午後6時、赤レンガ造りの工場をバックにしたステージに坂本真綾が登場。代表曲の一つでもある軽快な「プラチナ」、荒井由実(松任谷由実)のカヴァー曲「やさしさに包まれたなら」を続けて披露した。
「"夕焼け小焼け"に続いて(18時になった合図で会場外から流れ始めた"夕焼け小焼け"のメロディ)、『プラチナ』『やさしさに包まれたなら』で始まりました」と挨拶した坂本。空には今にも降り出しそうな雲が浮かび強風という天候。マイクには風の音が入り、彼女の髪や赤いドレスも風に煽られる。
「(風が)ゴーゴー言ってます(笑)。リハの時は天気がよくて暑かったんだけど」と本人も苦笑い。「でも私は大丈夫。面白いです」
この日のバックは、小編成。アコースティックギター、キーボード、チェロ、パーカッションで風通しのいいサウンドを奏でる。
「外で聴いて気持ちのいい、風を感じる曲、空を感じる曲をチョイスしてきました」
椅子に座って「走る」「風が吹く日」「月と走りながら」「SONIC BOOM」と、ゆるやかな曲を気持ちよさそうに歌っていく。
だがその直後、急に雨が降り出してライブは中断。急遽ステージにテントをセッティングすることに。「どうしよう、私ずぶ濡れ(笑)。でもライブはやめたくない」と悔しそうなMC。だが雨脚は止まらず、20分の中断を余儀なくされた。
セッティングが終わり雨脚も弱くなって、ライブは再開。元気よくステージに戻ってきた坂本は「今の天気にぴったりの曲を歌います」と、風をテーマにした「奇跡の海」から「雨が降る」を続けて披露。「雨が降る」のイントロが流れた時は、あまりにも状況に合いすぎて会場から笑いが起こり、和やかな雰囲気となった。
終盤では「stand up, girls!」「Get No Satisfaction!」「マジックナンバー」とアップテンポな曲を連発。観客も立ち上がり、雨の中、拳を上げる。
アンコールでは10月26日にリリースされる、松任谷由実作曲による新曲「おかえりなさい」をお披露目。「こんなに乱れた私はなかなか見られないと思います」「一生の思い出になるライブになりました」と本人が語った大荒れの天候の中でのライブ。いつものように大きな拍手とファンの愛ある歓声に包まれて、幕を閉じた。(TEXT:鈴木隆詩)
坂本真綾 公式サイト