「一番くじ 輪るピングドラム」開発者インタビュー前編、テーマは「かわいいペンギン」
2011年7月から放送されたアニメ『輪るピングドラム』。「生存戦略、しましょうか」や「イマージーン!」など、インパクトのあるセリフが印象的な話題作だ。現在もBD/DVDが発売中で、幾原邦彦監督のファンが次巻を楽しみにしている。そんな男女問わず人気の『輪るピングドラム』だが、今年の4月中旬に「一番くじ」が発売される。価格は一回600円。今回の記事は、開発を手がけた株式会社バンプレストの石井氏と戸矢氏にインタビューを敢行。開発秘話や一番くじにかける熱い思いを前後編に渡って、読者のみなさまにお届けします!
――「一番くじ 輪るピングドラム」が誕生したきっかけは?
石井氏:この作品はアニメ放送が開始されるまでなかなか情報が出なかったので、個人的にも放送を楽しみでした。そして一話目を観た瞬間「これはおもしろそうだ!」と思い、すぐに社内で会議に出したんです。そうしたらトントン拍子で商品化が決まりました。
――本放送を観て決めたなんて、普通にファンですね。
石井氏:そうですね(笑)。一般の視聴者とまったく同じですよ。私達が一番くじを作るときは、イメージビジュアルや設定資料だけでなく、キチンと作品を観て、アニメファンと同じ気持ちになり、作品を感じてから作ります。そうしないとお客さんがどのようなアイテムを欲しがっているかわかりませんから。自分が欲しいものじゃないと、お客さんも求めてくれないと思います。
――それでは個人的にもアニメが好きなんですね。
戸矢氏:石井も私も、かなり大好きです!(笑) 弊社はキャラクターを扱っている企業なので、やはりアニメやゲーム、キャラクターが好きなスタッフが集まっています。
石井氏:なのでアニメは放送が始まる前から情報を追いかけて、本放送の当日を楽しみにしています。輪るピングドラムの場合は監督やスタッフを知った時から期待していました。
――「一番くじ」の商品はどのように考えましたか?
石井氏:一番くじプレミアムの場合、上位等級にフィギュアがラインナップされることが多いのですが、今回のA賞は雑貨の「ソフビ貯金箱」にしました。これはアニメを観てペンギンがかわいかったのが理由ですね。ですが、もちろん登場人物のキャラクターもかわいいので、フィギュアは「ちびきゅんキャラ」として組み込みました。最初はいつものように上位等級にプレミアムフィギュアを作ろうともしましたが、アニメを観ていくにつれて「違うのかな……今回はペンギンを推さなければならない」と思って決断しました。きっと運命に導かれていたのでしょう(笑)。
――ソフビ貯金箱にはいくら入りますか?
石井氏:サンプルが上がってきたので500円硬貨を入れてみたのですが、500枚入れたところで断念しました(笑)。
戸矢氏:それでいっぱいになっちゃった? それともまだまだ余裕?
石井氏:まだスペースはあったけど、かなり重くて危険を感じたのでストップしました。なので仕様書には「500枚までは入る」ということにしてあります。
戸矢氏:だそうです! 500円硬貨で25万円分は入ります。
(編集部注:500円硬貨 x 500枚 = 約3.5kg、インタビュー中に見た感じだと、まだまだ入ります)
――C賞の「カレー皿」もユニークですね。
石井氏:『輪るピングドラム』では作中にカレーが頻繁に登場するので、今回の食器は外せませんでした。なので、何に使ってもいいお皿だけど、あえて「カレー皿」と命名しています(笑)。
――その他にもグラスやフェイスタオルなど、かわいいアイテムが多いですね。
石井氏:作品のなかで印象の強い場面を選別して、そこからなんのアイテムになるかを考えて作りました。フェイスタオルは2種類あるのですが、キャッチコピーにもなっている「生存戦略しましょうか」というメッセージを大きくプリントした柄と、もう一枚は頭に巻けば「ペンギン帽」として遊べるネタ要素のデザインです。
戸矢氏:劇中の電車の中吊りをそのままタオルにしようというアイデアもありましたが、今回はこの2種類にしました。
石井氏:グラスはかわいいペンギンだけでなく、ロゴマークのシンプルなものと、キャラクター「トリプルH」を描いた3種類です。いろいろなお客さんに喜んでほしいので、バリエーションを意識して作ってあります。
――商品を考えるとき、他にもアイデアは出るのでしょうか?
石井氏:他の一番くじでもそうですが、アイテムのラインナップはだいたい3パターンくらい考え、その中からベストなものを選んで制作します。今回の『輪るピングドラム』は多くの女性も支持している作品と判断したので、俗に言う「萌え系フィギュア」ではなくて、かわいい系の雑貨を組み込んでみました。
――それにしても、荻野目苹果ちゃんがゼンゼン出てこないんですけど!
石井氏:苹果ちゃんのアイテムですね……やはり聞いてきますか(笑)。当初、あの柄の日記帳とかノートとかを入れようというアイデアもあったのですが、第一クールは苹果ちゃんがあまり活躍しなかったので入れませんでした。そうしたら、まさか第二クールであんなに活躍するとは!
――アイテムを決めるところまで視聴者目線なんですね。
石井氏:そうですよ、僕らもアニメを楽しんでいますから! ですが、ひとつのアイテムを作るのに1年近くかかるので、ゆっくり楽しんでもいられない。早め早めに行動しないと、ファンのみなさんの気持ちが熱い内に一番くじを発売できません。もしも第二クールすべて見終わってから開発していたら、まだ告知できていなかったでしょう。
――人気が集まりそうなアイテムはどれだと予想しますか?
石井氏:B賞の「ペンギンぬいぐるみセット」が人気になると思います。
戸矢氏:一番くじではありませんが、今年の3月ごろクレーンゲーム用にペンギンのぬいぐるみを出したんです。そうしたらとても好評で、すぐに市場からなくなってしまいました。通常、プライズの再販はしないのですが、『輪るピングドラム』のペンギンだけは特別に再販を決定しました。だから今回の一番くじも、「ペンギンぬいぐるみセット」が人気になると思います。
石井氏:男性はフィギュアのような「型物」を好まれる傾向にありますが、女性はぬいぐるみや雑貨が好きみたいです。でも、「きゅんキャラ」シリーズだけは男女問わず人気ですね。
――「輪るピングドラム」ならではですね。
石井氏:2012年3月4日に開催した「バンプレスト博覧会」というイベントに今回の商品を展示したのですが、ここでも見てくださった女性のお客様から「ぬいぐるみがかわいい」と言ってもらえました。それを聞いて、ぬいぐるみを入れてよかったと安心しました。特に今回の作品は女性のファンも多いので、アイテムを作るときに女性社員の声を多く取り入れています。僕も作品を楽しんで観ているとはいえ、どうしても男性目線になってしまいますから。
――いろいろ苦労があって作られているんですね。そんな「一番くじ 輪るピングドラム」の発売はもうすぐですよね!
戸矢氏:4月中旬に発売しますので、お楽しみに! それに、今回はコンビニエンスストアだけでなく書店、ホビーショップ・ナムコなどで販売します。今回はキャンペーンで、くじを1回引くごとに特典ももらえるんです。コンビニでは「コースター」、書店では「しおり」、ホビーショップ・ナムコでは「ポストカード」です。デザインも凝ってますよ。期待しててください。ぜひ3種類の店舗を回ってゲットしてほしいです。お取扱いのない店舗もあるので、一番くじ公式サイトの店舗検索をご利用ください。
石井氏:それに、今回はラストワン賞とダブルチャンスも実施します。こちらの詳細も後日、一番くじ公式サイトで紹介します。
実際にアニメを見てから景品が考えられたという「一番くじプレミアム 輪るピングドラム」。後編では、一番くじそのもののの制作秘話や、こだわりについてをクローズアップしていくので、お楽しみに!
――後編に続く――
>>一番くじ公式サイト