2連作映画『死ガ二人ヲワカツマデ…』の第二章の中里貴春を演じた豊永利行さん。映画初主演となる本作の見どころをお話してくれました!
声優、ビジュアル系アーティスト、舞台俳優とさまざまなジャンルから集められた豪華キャストで送る2連作映画『死ガ二人ヲワカツマデ…』が、2012年9月1日より全国順次公開。
第一章は剣劇、銃撃と目を見張るアクションと共に、孤独な男女の恋愛が描かれる本格アクション・『色ノナイ青』。第二章は、とある病院で奇怪な事件をきっかけに、医師と患者が甘く切ない恋をするサスペンスホラー・『南瓜花 -nananka-』。同じ世界軸、共通したテーマも持っているにも関わらず、まったく異なる世界観を作り上げたふたつの物語をお楽しみください。
また、本作の最大の特徴は、冒頭にも上げた多彩なキャスト陣。第一章では、ゴールデンボンバーのギターを務める喜矢武 豊さんと、役者に声優とさまざま才能を持つ野水伊織さんが。
第二章では、人気声優・豊永利行さん(『デュラララ!!』竜ヶ峰帝人、『絶園のテンペスト』(2012年10月よりMBSにてOAスタート)不破真広、など)と、AKB48で活躍する藤江れいなさんが主演を務めます。
今回は第二章に登場する、若干ヘタレながらもハートフルな医師・中里を演じた豊永さんにインタビューを敢行。本作の感想や、現場のエピソードをお聞きしました。
■お互いが尊敬し合える、居心地のいい現場
――初の主演映画となる本作ですが、どんな気持ちで挑みましたか?
豊永さん:僕、あんまり気負いすぎるとうまくいかないことが多いんですね(笑)。ほどよい緊張感だと1番いいんですけど、それを越えると空回りしたり、カチカチになっちゃったりする。だから、「主演だから!」っていうプレッシャーや責任感をなるべく持たないように、気にしすぎないようにと心がけていましたね。あとは、周りにベテランの方から同年代の実力派若手俳優の方まで揃っていたので、そういう意味では、ものすごく周りのキャストさんに助けられて演じられたなって思います。
――本当に俳優、アーティスト、声優、アイドルとさまざまなジャンルからのキャスト陣が揃った作品だと思うのですが、現場はどんな雰囲気だったのでしょうか?
豊永さん:僕は今まで映像、舞台、アニメなど、いろいろとやらせていただいた中で、違うジャンルの人たちが集まったときの空気はおもしろかったですね。変な上下関係がないというか、みんながお互いの仕事のフィールドを尊敬し合っている空気がありました。すごく居心地のいい現場でしたね。「誰が偉いっていうわけじゃないんだよ」っていう空気を、なにより粟根さん、伴さん、宮内さんなどの大御所の方々が出してくださった。なので、我々がすっごく居心地がいいと感じたのは、ベテランの先輩方の空気の作り方、そういうフィールドや窓口を広げていてくださったおかげかなって思います。
――たくさんいい影響をもらったということですね。
豊永さん:常日頃からどの現場でも毎回勉強だと思っているのですが、その中でも今回、劇団☆新感線の方々とご一緒させていただくのは初めてだったんです。僕は劇団員ではないですが、所属するSETとはまた違うお芝居の仕方やベクトルを見させていただき、そこがすごく勉強できたなと思います。
あとは、ヒロインの藤江れいなちゃん→さん。藤江さんと僕10歳くらい違うんですけど、フレッシュな感じで、ムードメイカーとして、みんなとフレンドリーに話していましたね。男性キャスト陣は、藤江さんの笑顔が癒しだって病院の控え室で話してました(笑)。
――映画の中だけではなく、実際にも癒しだったんですね(笑)。
豊永さん:そうですね! 藤江さんがヒロイン役で、よかったなと思います。一日中撮影なのにも関わらず、元気に振る舞っている姿は見習わなきゃという気持ちにさせられましたね。
――豊永さんの役作りについてお願いします。演じた“中里貴春”についてお願いします。シリアスとコメディで差があるキャラクターだと感じたのですが。
豊永さん:僕の中では、中里先生は振り回される側、能動的ではなく受動的なキャラクターだと思っています。そういう部分では、中里がギャップがあるように見えるのは、周りが変化しているからだと見てもらえるといいのかな。あとは僕の中で、基本的に中里先生はダメな人というか、どこかイケてない人っていうイメージなんです。だからこそ、やっぱりほっこりするというか、一生懸命な姿が微笑ましい、かわいらしいっていうポジションの人かな。
――病室でマフラーをひっかけるシーンがすごくかわいらしかったです。
豊永さん:あれは監督の指示だったんですよ。監督から「このマフラーをドアに挟んでグイッてなろうか?」って言われて(笑)。うまいことマフラーが挟まらないせいで、あのシーンだけで3テイクくらいやっているんですよ! だから「もう、よくない!?」って言ったんですけど、監督に「いや、これは入れるんだ!」って言われて、本当に何度も頑張りました(笑)。でも、結果として、その部分が監督の考える中里像や中里らしさが出たのかな。アクシデントやちょっとした不運みたいなものが中里には降りそそぐんだな、っていうのが端から見ると出ているんだと思いますね。
■芝居の中で行う役者同士の球の投げ合いを感じて欲しい
――完成した本作を見たときの感想をお聞かせください。
豊永さん:これから見られる方には、第一章、第二章と続けて見てもらいたいです。第二章だけでは解釈できない部分や謎がけっこうあるんですよ。でも第一章を見たあとだと「こう繋がってるんだ!」とわかる瞬間があるので、続けて見てもらえたら嬉しいですね。あと、サスペンスホラーの第二章は、非現実的なことが起きる中での心の葛藤や、空気の奪い合いみたいなビジョンが印象的だと思っています。役者さんが言葉を発していないシーンで、いろんな芝居としてのキャッチボールをしているんですよ。その空気感が映像にしたときに
どこまで伝わるかなっていうのが気になりますね。きっと、その空気を感じ取れた人たちは、この映画をものすごく楽しめるのではないかと思います。
――お気に入りのシーンや印象に残っているシーンを教えてください。
豊永さん:院長先生役を演じている新感線の粟根まことさんと真剣に対峙するシーン。「なんで何も行動しないんだ!」って中里が怒っているシーンがあるんですけど、そのシーンはすごく印象的ですね。大ベテランの方とあんなに芝居のキャッチボールができることって滅多にないので。同時に、粟根さんのオーラや圧力に負けないように、僕も勢いや若さを持ってぶつかっています。粟根さんからも「豊永くんの芝居がすごく熱くて、思わず熱が入っちゃったよ」って言ってもらえて、すごく嬉しくなっちゃいました。ぜひ、院長との対峙シーンを見てください。
――アクションシーンについてお願いします。
豊永さん:階段落ちはスタントですね。でも、いろいろ交ざっています。僕、ジャッキー・チェンさんが好きなんで、アクションシーンも大好きなんですよ! だから、実は一章の人たちが羨ましかった(笑)。二章でも最後のほうに消化器で殴られたり、首を絞められたりするアクションシーンがあるんですけど、それは全部自分でやってます。なので、あそこで「動けるんだぜ」アピール(笑)。ただ、僕はバク転とかはできないので、あのアクションシーンを見て、拳での殺陣を依頼したいなと思う方は、ぜひご連絡ください!(笑)。
――第一章で主役のメイファ役を演じた喜矢武 豊さんとのエピソードがあればお願いいたします。
豊永さん:じつは喜矢武さんと僕って同じ年なんですよ。現場でご一緒する機会はワンシーンだけだったんで、そのときはあまり話さなかったんですけど、打ち入りの時点で「同じ年なの!?」ってメチャメチャ仲良くなりました。喜矢武さんが本当にいい方で、僕は「バンドっていいっすね~。ゴールデンボンバーさんって全部当て振りなんですよね~?」とか聞いて、喜矢武さんは喜矢武さんで「声優ってどんな仕事なんですか?」みたいな情報交換をしていたら、すっかり仲よくなりました。連絡先も交換してて「今度、飲み行きましょうよ!」っていう話もあるんですが、結局お互いスケジュールの都合で実現できてない……。あと前に、喜矢武さんからメールで「今日、ライブがあるから来てよ!!」っていうメールが来たんですけど、その日は俺も別の所でライブやってたんですよ(笑)。だから、そのときはお互い頑張ろう的な会話をしてました。
――最後に上映を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
豊永さん:今回は初の主演、初めての医者でございます。中里先生という人をどう表現しようか、中里先生になりきって撮影にのぞみました。なので、豊永利行としてではなく、中里先生として見ていただけたら嬉しいです。あとは、いろんな役者さんが出てらっしゃるので、こんな役者さんがいるんだとか、次のAKB48総選挙では藤江れいなちゃんに票を入れようとか、そういう気持ちになる作品だと思います(笑)。もちろん、ほかの役者さんのファンの方にも「豊永利行」っていう人がいるんだっていう認識をしていただけたら嬉しいです。ぜひ、豊永利行にも清き一票をお願いいたします!(笑)
――ありがとうございました!
●データ
死ガ二人ヲワカツマデ…
第一章「色ノナイ青」
第二章「南瓜花 -nananka-」
公開日:2012年9月1日
公演場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国順次公開
配給:日活
主題歌:ゴールデンボンバー
【第一章】企画・監督・脚本・プロデューサー:松村清秀
【第二章】企画・監督・プロデューサー:松村清秀、脚本:檜山豊
【第一章】出演者:喜矢武豊、野水伊織、中河内雅貴、川原正嗣、関智一、葵、高野八誠 ほか
【第二章】出演者:豊永利行、藤江れいな、粟根まこと、保坂エマ、中谷さとみ、林明寛、磯貝龍虎 ほか
(C)2012 NIKKATSU日活
>>映画『死ガ二人ヲワカツマデ…』公式サイト