5年間にもわたる活動の集大成がこの1枚に! livetuneの新アルバム『Re:Dial』の発売に合わせて、livetuneのkzさんへのロングインタビュ―をお届け!
音楽プロデューサー「kz」によるソロプロジェクト、livetuneの新アルバム『Re:Dial(リダイアル)』が、3月20日(水)に発売される。アニメイトTVでは、そんなlivetuneのkzさんに、独占ロングインタビューする機会をいただいた。
livetuneは2008年にデビュー以来、VOCALOID「初音ミク」を使った音源を作成し、2011年12月には「Google Chrome - 初音ミク篇-」の為に書き下ろした「Tell YourWorld」を発表。国内のみならず、全世界で話題騒然の曲となり、動画投稿サイトではCM映像が約400 万回の再生回数を記録した。また、同年8月には若き期待のクリエイター八王子Pと最強タッグを組み『初音ミク -Project DIVA- f』のために書き下ろした『Weekender Girl』をリリース。また9 月には自身初のシングルで、ヴォーカリストに中島愛を迎えた『Transfer』をリリースしている。
さらに、2013年2月28日に発売されたばかりの『マクロス30 銀河を繋ぐ歌声』の主題歌や、4月から放送開始予定のテレビアニメ『DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION』のオープニング主題歌をSEKAI NO OWARIのFukaseをヴォーカリストに迎え、livetune名義では初のアニメ主題歌を担当するなど、幅広いジャンルで勢力的に活動中の業界内でいま最も注目を集めているクリエイターだ。
そんな国内外ともに注目の高いクリエイター、livetuneのkzさんに、インタビューで5年間にもおよぶ活動の集大成となるであろうアルバム『Re:Dial』に込めた熱い想いなどをお聞きしてきましたので、是非ご覧ください!
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●これまでの活動に『Re:Dial(リダイアル)』する
──まず最初に『Re:Dial』の制作を終えての感想をお願いします。
kz:普通にベストアルバムを作るだけならそこまで作業は多くはないのですが、「過去の曲をリファインする」と言い出してしまい、何故こんなにもやることを多くしてしまったのだろう……と今では思っています(笑)。最近の曲以外はほとんどをリファインしたものを収録し、自分としては納得のできるアルバムに仕上げることができました。
──アルバムの制作が決まったときはどんなお気持ちでしたか?
kz:アルバムの制作は、これまでのlivetuneをまとめた1枚を作るということでスタートしたのですが、活動してきた5年というのはかなりのロングスパンで、当時と今では音の差や作り方など、クオリティ以前の問題が多かったです。制作のスタート時には、まずはその部分を埋めなければという思いがあり、アルバムを出すなら過去の曲をリファインさせていただくことをお願いしました。
──kzさんご自身がリファインを希望したんですか?
kz:そうですね。もちろん、初心に立ち返るためでもありましたが、このアルバムのタイトル『Re:Dial』は、自分から能動的に動く、過去の物にアクセスするという意味を込めているので、最初にお話をいただいたときから過去に作った曲をリファインすることは決めていました。
──なるほど。実際に制作がスタートしてからはいかがでしたか?
kz:とりあえず、表題曲である「Redial」が全然できませんでしたね(笑)。アルバムには新曲を2曲収録したいと考えていて、まずは1曲……と作り始めたのですが、前に作ったのが「Tell Your World」というシリアスで重い楽曲だっために、作業中にチラッチラッとあの曲が睨んでくるんです。そのプレッシャーもあってか、普段は曲を作るのにあまり時間がかからないのですが、珍しく1ヶ月くらい悩みに悩んでしまいました。
──1ヶ月も! 仕上がってみて「Redial」はどんな曲でしょうか?
kz:最初に作ったデモではかなりシリアスな曲でしたが、最終的にはキャッチーで明るいポップスに仕上がりました。ただ、そのぶん歌詞は真面目で「曲を聞いてくれる人が増えれば意見も多くなって、傷つくこともある。ただ、“それでも物を作るのは楽しい!”」というメッセージを込めた1曲です。livetune名義で明るいハウスミュージックを作ったのは久しぶりだったので、そんな部分も楽しんでいただければ嬉しいですね。
──なるほど。では、もう1つの新曲となる「Magnetic」はどんな曲になりましたか?
kz:「Magnetic」は、「Redial」とリファインの作業で制作が予定より遅れて煮詰まり、時間がなさすぎて“もう旅に出たい……”という想いを詰め込んだ1曲です(笑)。
──確かに、聞いてると日常風景が目に浮かぶ曲ですよね。この電車に乗って何処かに行きたいなぁ……と。
kz:いつも乗っている電車の終着駅とか、絶対に行かないような場所に行きたいな……という感じです(笑)。
──小田急線の箱根湯本とかですか?(笑)
kz:そうですそうです(笑)。普段はテーマの大きい曲ばかりで、あまりこういった物語性のある歌詞は書かないので、気の抜けた感じの曲を作るのは楽しかったですね。朝方とか時間がなさすぎて、逆に作るのが楽しくなってきちゃって。
──それほど切羽詰まってたんですね(笑)。ちなみに、この2曲のタイトルに込めた想いなどはありますか?
kz:「Redial」はアルバムのタイトルと同じく、過去の物にアクセスするといった意味を込めています。「Magnetic」に関してはガッチリとした意味は考えていませんでしたが、先ほどいったように“何処かへ引っ張られて行きたいな”という感じです。この電車に身を任せて何処かへ連れてってほしい……けど、出来ない。そんな想いを込めてタイトルをつけました。
●「Last Night, Good Night (Re:Dialed)」は痺れるストリングスアレンジを聴いてください
──ここからは話を変えて、村上隆さんの初監督映画『めめめのくらげ』の主題歌にもなっている「Last Night, Good Night (Re:Dialed)」についてお聞きしたいのですが、収録するにあたってリファインしたポイントなどがあればお聞かせください。
kz:この曲はアルバムのなかで一番変化した曲です。もともと打ち込みだった弦楽器の演奏部分を生演奏に置き換えたいとずっと考えていて、「映画主題歌の曲ならストリングス(弦楽器)だろ!」という想いもあって、この機会に実行しました。アレンジは『マクロス30 銀河を繋ぐ歌声』の主題歌でお世話になった真鍋裕さんにお願いしてストリングスアレンジを作っていただいています。
──実際に仕上がった曲を聴いてみていかがでしたか?
kz:やはり、生の音はパワーが違いますね。特に、2番のサビ直前の部分はもともと初音ミクの音声だけだったのですが、ストリングスアレンジを加えてみると高揚感が様変わりしました。マクロスの時にも感じたことでしたが、生の楽器の音はとても楽しくて、今後もなにかしらの演奏を曲に入れてみようと考えています。
──それは楽しみです。この曲が映画『めめめのくらげ』の主題歌になったのは村上隆監督からkzさんへのオファーがあったという形なのでしょうか?
kz:そうですね。映画の制作では仮編集でシーンにサウンドを当てて雰囲気を確認しながら作っていたらしく、その際にたまたま「Last Night, Good Night」を使っていただいたことがキッカケらしいです。
──映画の主題歌になると聞いたときはどんなお気持ちでしたか?
kz:使っている音源がVOCALOIDという特殊な物なので、最初は凄く難しいと思いました。ただ、すでに映画の編集も曲にマッチする形で進行していたりと、村上隆監督に物凄い情熱を持って推していただいて「もうこの映画にはこの曲が無いと始まりません!」という雰囲気で(笑)。
──かなり熱いラブコールだったわけですね(笑)。もともと村上隆さんとは面識はあったのでしょうか?
kz:3年くらい前になるのですが「GEISAI TAIWAN」という台湾で行なわれるイベントにDJとして参加させていただく機会があり、そこで村上さんと初めてお会いしました。
──なるほど。kzさんから見て村上隆さんはどのような方ですか?
kz:先ほどもお話しましたが、人並み外れたパッションを持っている方です。ベルサイユ宮殿で作品展を行うなど、相手にしている規模が違います(笑)。それだけのパワーはもちろん、人間としての精神力は本当に凄いです。
──ありがとうございます。では、ここからまたアルバムのお話をお聞きしたいのですが、「Packaged」「Tell Your World」を始めlivetuneの代表曲尽くしとなった収録曲の中で、kzさん一推しのオススメ曲を教えて下さい。
kz:一番はメッセージ性の強い楽曲「Tell Your World」です。ただ、自分のことをすでに知っている多くの方にとっては聴き慣れた曲だと思うので、そういったみなさんには「Redial」を聴いていただきたいですね。頑張って悩んで作った曲なので、楽しんでいただければと(笑)。
──なるほど。では、次に今回のアルバムジャケットは『Tell Your World EP』でも参加していたmebae氏が描くイラストですが、こちらに関してはいかがですか?
kz:アルバムの製作が決まって、打ち合わせで「今回もmebaeさんにお願いします」と軽くお話したら、妙にパッションが有り余っていたのか、1日~2日で3パターンくらいのラフ絵が上がってきてビックリしました(笑)。基本的に僕自身がジャケットなどのアートワークに関して口出しすることはないのでmebaeさんにも「好きにしてください!」という感じで描いていただいています。仕上がったものに関しては、mebaeさんの『NONSCALE』という書籍の表紙の延長線上にあるようなイメージで素敵です。好きにやってもらえた結果がこれなので、凄くいいものになったと思います。
──イラストで初音ミクが着ている衣装はブランド『galaxxxy(ギャラクシー)』とのコラボレーションになっているとのことですが、kzさん自身もこのブランドは愛用なさっているんですよね?
kz:今日、中に着ているシャツもgalaxxxyの物ですよ(笑)。前々からいつか一緒に仕事をしたいというお話はあって、今回は女の子がたくさんいるイラストですし、みんながgalaxxxyの服を着ていたら面白いということでコラボレーションが実現しました。僕らの意見はもちろん、mebaeさんも「galaxxxyで行けたらいいね!」と思ってくれていたらしく、galaxxxyさんにもOKしていただけたので、「じゃあ行きましょう!」という感じで誰ともなく企画が進みました。
──なるほど。では、次に期間限定盤に収録されるMusic Video(以下、MV)についても伺いたいのですが、こちらはkzさん監修という形なのでしょうか?
kz:いえ、こちらも完全にノータッチです。先程も話したように、アートワークなどに関しては基本的に口出しをしないので、完全にお任せしました。「Fly Out」のMVはyakoくんをはじめとする「flapper3」が全部作り直してくれていたりなどもしていますよ。
──全部ですか!?
kz:はい。以前から1コーラスのショートバージョンのような物はあったのですが、MVの収録が決まったときに矢向くんも僕と同じように「3年前の作品をそのまま出すわけにはいかないよね」と言ってくれて、テクスチャなどからすべて作りなおしてくれました。
──では、MVも力の入ったものに仕上がっていると。
kz:そうですね。以前にどこかでMVを観ていただいた方にも改めて観ていただければ嬉しいですね。自分自身がまだ完成したものはきちんと観れていないので、今日家に帰ったら楽しませていただこうと思います。
──ありがとうございます。では、『Re:Dial(リダイアル)』の発売を待つファンのみなさんへメッセージをお願いします。
kz:多くの方は「Tell Your World」で僕を知ったと思うので、それ以前の活動という部分をこのアルバムを通じて楽しんでいただけると思います。livetuneによる初音ミクの「VOCALOID」を起用した楽曲をある程度まとめた、自己紹介的な1枚に仕上がっているので、『Re:Dial』で初めて僕のことを知った方はまずこれを手に取っていただき、もともと僕の曲を聴いてくださっていた方には、リファインで曲がどのように変わったかを楽しんでいただければ嬉しいです。
●「DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION」主題歌には作品への愛を詰め込みました
──ありがとうございました。では、ここからは話題がガラリと変わるのですが、『DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION』のオープニングテーマを担当されるとのことで、曲の制作状況などをお聞きしたいのですが……。
kz:4月から放送スタートのアニメなので、もちろん曲はすでに完成しています。……もし出来てなかったら大事故ですね(笑)。
──曲の仕上がりはどういった物になりましたか?
kz:ボーカルは「SEKAI NO OWARI」のFukaseくんで、僕としては初の男性ボーカルの楽曲になります。これまでの可愛いキラキラしたものとは違った曲に仕上がっていますが、聴けば僕が作った物とわかるはずです。ただ、アニメの世界観を意識して、これまでの曲よりも少しギターが多めですね。どんな曲になったのか、放送されるのを楽しみにお待ちいただければと思います。
──なるほど。最初にこのオファーを受けた時はどういった思いでしたか?
kz:僕自身、アトラス作品が大好きでして、これまでペルソナシリーズや世界樹の迷宮シリーズなどをプレイしていたので、それに関われるというのが純粋に嬉しかったですね。
──ちなみに、『DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION』の映像自体はご覧になりましたか? そろそろ第1話の製作も終了したとは思っているのですが。
kz:これは曲の制作後になりますが1話は見させて頂きました。この作品の製作はとても早くから動いていたらしく、実はかなり前に第1話は完成していたという噂です。
──それは相当気合が入っていますね。
kz:そうですね。試写会に行ったお客さんなどからもクオリティが高かったと聞いているので、僕自身も放送開始が待ち遠しいです。
──ありがとうございました。では、最後に『デビルサバイバー2』ファンの方にメッセージなどあればお願いします。
kz:本音を言うと、アトラスファンのみなさんに認めていただけるか怖い部分もあります。ですが、僕なりにアトラスや『デビルサバイバー2』への愛を詰め込んだ1曲になっているので、楽しんでいただければ凄く嬉しいです。まだ作品を知らない方は、アニメ本編もストーリーがかなりシリアスで面白い作品なので、是非観て頂ければと思います!
4ページに渡るロングインタビュー、いかがでしたか? kzさんが手がけるアルバム『Re:Dial』は、明日発売! また、オープニングテーマを担当するアニメ『DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION』は4月より放送開始なので、どちらも要チェックです!
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