次世代スター声優誕生! 「第七回 声優アワード 新人発掘オーディション」レポート
2013年3月2日(土)、東京・港区にある文化放送メディアプラスホールにて「第七回声優アワード 新人発掘オーディション」が開催された。このオーディションは、言わずと知れた「声優アワード」とともに産声をあげ、多数の声優事務所が声優志望者たちを同時に審査することで、才能ある人材を発見・発掘する場として実施されている。
また今年の「新人発掘オーディション」は、音声専門のコミュニティサイト「こえであそぶkoebu」の協力により、一般からの応募受付が郵送だけでなく、WEB上からでも可能になった。その効果もあり、総応募数はなんと、声優関連学校による推薦を合わせて過去最多の約1400通! 本稿では、一次選考を通過した方向けに行われた「第七回 声優アワード 新人発掘オーディション」の様子をレポートする。
●夢を抱いて挑んだ運命のオーディション
開催から七回目を迎えた今回のオーディション。当日は一次審査を突破した40名の精鋭たちが、最終選考を受けるために会場である文化放送へ訪れた。本オーディションでは、エントリー者が1人ずつステージに登壇し、約3分の持ち時間内に自己PRや事前に用意されたテキストリーディング、質疑応答を行う。そして、後に行われる合格発表にて、審査員を務める各声優事務所の代表者の挙手を得た方のみがオーディション合格となる。
合格者は実行委員会のバックアップにより「声優事務所の養成所へ特待生として入所」、「ラジオ番組の出演(WEBを含む)」などの特典が得られ、声優デビューへの道が大きく開かれる。エントリー者は緊張しつつも、夢や希望を胸にオーディションへ挑んだ。
自己PRでは、歌やダンスの披露をはじめ、演劇の舞台に出演経験のあるエントリー者はその場で演技を行うなど、それぞれの持ち味を存分に発揮。経歴を語る場面では、審査員が興味深そうに耳を傾けていた。その後のテキストリーディングでは、必ず1種類のナレーションと、数種類のセリフのうちから任意で選んだもの1つを披露。たとえ同じセリフでも、エントリー者の表現次第でまったく違うものに聞こえたのが印象的だった。
質疑応答では、違うセリフや歌のリクエストなどがエントリー者たちに要求されていた。その中でも、エントリー者の出身地に合わせた"セリフの方言化"は審査員たちの反応がよく、「そのセリフを○○弁にして読んでもらえる?」と問いかけられる場面が多々見られた。
そして、オーディションはついに運命の合格発表を迎える。エントリー者が1人ずつステージに登壇し、審査員の挙手を待つ。不安と緊張を背負い、エントリー者は合格を祈った。そして、みごと10名が最終選考に合格! 自分たちの夢の第一歩を勝ち得た合格者たちは、満面の笑み、ときには涙を見せながら喜びをかみしめていた。
以下は、今回のオーディションなかでも多数の審査員から挙手を得た4人の合格者のコメントとなる。近い将来、「声優アワード」にて何らかの賞に選ばれる可能性を秘めた声優の卵たちの動向を今からチェックしておこう!
■No.07 石井 孝英(いしい たかひで)さん
――自己紹介と好きなアニメを教えてください。
石井:石井孝英、19歳、出身地は茨城県です。好きなアニメは最近ですと『ジョジョの奇妙な冒険』。あと自分がこの道を目指すキッカケになった『うえきの法則』です。
――オーディションを受けてみての感想は?
石井:常に自分の中で自信が持てるように、先のイメージを膨らませていました。今日も合格するというイメージが出来ていて、壇上で自己RPするときは全然緊張していませんでした。
――石井さんが(登壇順で)初の合格者でしたよね。
石井:どうなるんだろうとドキドキでしたよ! でも、審査員の方に挙げてもらったときは「自分の信じていた通りになったな」と思って、ホッとしました。
――合格が決まったときの感想は?
石井:もちろん嬉しいんですけど、まだ実感がないですね(笑)。ここから段々現実味を帯びていくのかなと思います。
――これからの思いや展望は?
石井:主役にしろモブ・サブキャラにしろ、たとえセリフが一言しかなくても、視聴者の方が「この声優だれだろう」と思わせる、人の心に残る演技ができる声優になりたいです。また、1つの夢として、格闘ゲームのキャラクターの声をやりたいですね。いつか自分が声を当てたキャラクターを使用してみたいです。
■No.10 内山 梓(うちやま あずさ)さん
――自己紹介と好きなアニメを教えてください。
内山:内山梓、21歳、秋田県出身です。今は大学で青森県に1人暮らしをしていて、好きアニメは『銀魂』です。
――これから大学と両立するんですか?
内山:あと1年で国家試験が取れるので、そのために勉強しているところです。そこは両立できるように相談していこうと思っています。
――オーディションを受けてみての感想は?
内山:未経験なもので、一昨日まですごく不安で「どうしよう」しか言っていませんでした。前日にようやく自己PRを覚えて、黙々と練習していましたね。もう飽きるほど反復していたので、オーディション中は早く順番が回ってこないかなって思っていました(笑)。
――合格が決まったときの感想は?
内山:嬉しかったです! 最初の方では合格者が出ていなかったのでかなり不安でしたが、全力を出し切ったのであとは待つだけ、「なんでも来い!」と腹をくくっていました。色んな方に支えて頂いたので、今回合格できたのはその方たちのおかげです。
――これからの思いや展望は?
内山:少年声で主人公を演じてみたいです。いつか『ワンピース』のような長期連載されている作品の主人公になりたいです。少年声を押して行こうと思います!
■No.12 鴨池彩乃(かもいけ あやの)さん
――自己紹介と好きなアニメを教えてください。
鴨池:鴨池彩乃、23歳、大阪から来ました。SFが好きで、『攻殻機動隊』の世界観がすごく好きです。今放送されている作品で言うと『PSYCHO-PASS』ですね。また、コテコテの魔法少女ものも大好きです。『セーラームーン』世代なもので(笑)。夢がある作品が好きですね。ちなみに、声優になるキッカケを与えてくれたのは『テニスの王子様』でした。
――オーディションを受けてみての感想は?
鴨池:私は(オーディション中に言いたいことが)飛びましたので……(笑)。すべてがすっ飛んでしまい、正直もうダメだと思っていました。今まで何回かオーディションを受けているんですが、スッ飛ぶなんてことは一度もなかったんですけどね。「これを言おう!」という気持ちを持って何度も練習していたのに、プシューンとなぜかやってしまいました。
――セリフが飛んだあと、急に関西弁が出てきましたよね。
鴨池:本当は標準語で話す予定だったんですが、あのとき頭が真っ白になったから思わず関西弁が出てきてしまいましたね。結果、それがよかったんだと信じたいです!
――合格が決まったときの感想は?
鴨池:嬉し過ぎました。今まで受けてきたオーディションでは、最終選考まで残ることはあっても最後は選んでもらえないという状況が何年も続いていたので……。一社挙げて頂けたら幸せだと思っていましたが、かなりの方に挙げて頂いて、途中から目の前がにじんで見えなくなりましたよ。その様子を写メ撮りたかったです(笑)。あんな光景、なかなか見られないですからね!
――これからの思いや展望は?
鴨池:自己PRでもお話しましたが、お芝居だけでなく、歌やおしゃべりなど色んなことを含めて、声優・鴨池彩乃というよりも、人間としてみんなに愛される鴨池彩乃になりたいです。好きなキャラクターの声優を調べたときにガッカリされるんじゃなくて、私を通してもっとそのキャラクターを好きになってもらえるような声優さんがいいですね。
■No.27 中平 成哉(なかひら せいや)さん
――自己紹介と好きなアニメを教えてください。
中平:中平成哉、23歳の埼玉出身です。好きなアニメは色々ありますが、ロボットアニメが好きで、とくに『機動戦艦ナデシコ』が好きです。『スーパーロボット大戦』に参戦したときに初めて出会いましたね。
――オーディションを受けてみての感想は?
中平:いやー、若い子がたくさんいるなと(笑)。今度高校卒業しますという方もいらっしゃったので、そんな早くからこういう場に挑戦していることが凄いと思いました。オーディション自体はいっぱいいっぱいなところがあったので、実は自分が事前にまとめてきた内容とは少し違う形になってしまいました。
――具体的にいうとどんな感じに?
中平:前から渡されていた課題(セリフ)を「こう演じよう」と思っていたことがあったんですよ。でも、緊張などで自分の思っていた表現とは違う感じになりました。緊張にはまだ勝てないので、これからの大きな課題として克服していきたいです。
――合格が決まったときの感想は?
中平:声優を志して3~4年経ち、その間に培ったものは無駄にはなっていなかったと思いました。こういう場で認めて下さる方がいて本当に嬉しいです。「まだ始めたばかりの方には負けないぞ!」と思っています。
――これからの思いや展望は?
中平:アニメに出たくて声優を目指し始めたので、やはりアニメーションで活躍できるような声優になりたいと思っています。
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