10月より放送開始アニメ『ログ・ホライズン』寺島拓篤さん、前野智昭さん、加藤英美里さん、中田譲治さん、監督の石平信司さんへインタビュー!
もしもゲームと現実の世界が逆転したら? そんなオンラインゲームの世界で繰り広げられる、人々のつながりを描くアニメ『ログ・ホライズン』が、10月5日より放送スタートする。
今回はアフレコ終了後に、寺島拓篤さん(シロエ役)、前野智昭さん(直継役)、加藤英美里さん(アカツキ役)、中田譲治さん(にゃん太役)、監督の石平信司さんへインタビューを行った模様をお伝えする。
■ゲームの話も飛び交う収録現場
──まず始めに、石平監督へお聞きします。この作品によせて一言お願いします。
石平信司さん(以下、石平):この作品のとても魅力的なところは、コミュニケーションを取るということです。ゲームの中の世界に閉じ込められた人達の話ではあるんですが、冒険して敵と戦うという方向性ではないんです。誰かが誰かと関わるのにあたって、面倒くさいやりとりや関係性を越えた先の話が大事になっています。みなさん大体がそうだと思うんですが、学校や会社など新しい環境に入ったときに、周りに知らない人がたくさんいる中で、ちょっとずつ会話をしながら「こいつ、いけ好かないな」とかも考えつつ、少しずつお互いを理解して関係を築いていくと思います。
そういった、個人と個人の、個人とグループの、グループとグループの……というものを含めて、ゲームでしか出会わなかった人達とのつながりも描かれています。迷っていることや悩んでいること、今の環境に対する不満など、そういうのをひとつずつ解決していく話でもあります。もちろんエンターテイメントなので、バトルもあればかわいらしいシーンもあって、いろんなキャラクターも登場するので見所は盛りだくさんです。
一言ではなくなってしまいましたが、どうぞよろしくお願いします(笑)。
──キャストのみなさんにお聞きします。この作品にかける意気込みをお願いします。
寺島拓篤さん(以下、寺島):どの作品においてもそうなのですが、ひとつの作品を生み出すっていうことの大変さを考えないといけないので、キャスト陣でどんな風に空気を作っていくのか考えたり、監督とどんな作品を作っていくのか話し合ったり、そういったものを感じ取りながらいつもやっています。
今回の作品は考えるということが非常に大事になる作品なので、キャラクターたちが考えているよりも、もっともっと深く考えていかないといけないなと思いながら原作を読んで収録に臨んでいます。いい作品になるように頑張っていきたいと思います。
前野智昭さん(以下、前野):僕の演じている直継は陽気でムードメーカー的なキャラクターで、彼の一言によって周りの空気がガラリと変わってしまうという発言力がある役を演じさせてもらっているので、一言一言の重みを大切にしながら直継を演じていこうと思っています。いい作品になるように僕も頑張りたいと思います。
加藤英美里さん(以下、加藤):この作品はオンラインゲームを題材にしているということで、私も長い間オンラインゲームをプレイしていたので、ゲームの世界での大変さや各ギルドごとのいざこざをリアルに体験したことがあって共感できる部分があります。その中で仲間との絆が深まっていくことが描かれているので、オンラインゲームをプレイしたことのある方には共感できたり、プレイしたことがない人にはこういったコミュニケーションの取りかたがあることを知れたり、いろんなことを感じられる作品なんじゃないかなと思っています。この作品をより良く、いろんな方に見ていただけるように私も頑張って臨んでいこうと思っています。
中田譲治さん(以下、中田):今の世代ではRPGは当たり前のように馴染んでいると思うので、素直に作品に入り込めるんじゃないかなと思っています。僕たちが演じているキャラクターはアバターなので現実にどんな人なのかわかりません。僕の演じているにゃん太は、もしかしたら17才のかわいい女の子かもしれませんし(笑)。そういうことも考えて最初入っていただくとすんなり見ていただけると思います。その中で、もし自分がゲームの中に閉じ込められたらどうなるんだろう、荒んだ世界の中でどうやって活路を見出していくのか、ということをシロエなどを通して感じてもらいたいです。
ゲーム内にいるキャラクターとの問題などもストーリーが進むにつれて出てくるので、僕らも楽しみにしています。みなさんも楽しみにしていてください。
──アフレコ現場の様子はいかがですか?
寺島:この作品で主人公をやらせてもらう上で、どんな風に空気作っていこうかなと考えていました。メインのキャラクターを演じている前野くんと加藤さんが同年代で、僕たちを優しく見守ってくれる中田さんがいたり、とてもリラックスした環境で後輩の子たちにも目配せできてありがたいなと思っています。毎回休み時間などは、テストしたところをみんなで復習してみたり、ばか話してワイワイしたり、楽しい現場だなと思います。
前野:役者どうしもいいコミュニケーションが取れていると思いますし、その中でも本番になればいい緊張感があって、僕も楽しい現場だなと思っています。僕自身もかなりヘビーにオンラインゲームをやっているので、毎回出てくる「PK」だとか「リスポーン」だとか「リキャストタイム」だとか、これ知ってる知ってるとか思いながら毎回台本を読んでいるので楽しいですし、収録が楽しみな作品です(笑)。
加藤:この現場は役者の人数も多いのですが、みなさんけっこうリラックスしているなと思います。新人の方からベテランの方まで幅広い方が参加しています。私はそういったリラックスした空気感がすごく好きで、役者の中でゲームをしている人はゲームの話をしたりするのが私の中では楽しいなと思いますね。なかなか現場によってはゲームの話をするのが難しい所もあったりするので、気兼ねなくそういうことができるのでうれしいです。
中田:登場人物で僕が演じているキャラクターの側にいつも一緒にいる「セラナ」というかわいらしいキャラクターがいるんですけど、この名前が何気に言いにくくて(笑)。パートナーなのでさり気なく言いたいんですけど、「セララさん」ってなってしまって(笑)。いつも名前を呼ぶときは緊張してしまいます。僕は原作を3巻まで呼んだんですけど、文句を言うわけではないんですが1巻1巻が分厚すぎます!(笑) 今6巻まで出ているんですが、3巻以降の話は寺島さんに聞いています(笑)。僕はにゃん太みたいに端のほうでみんなを見守って、自分のことだけ考えられるみたいな安心感があるので、リラックスできています。
個人的には猫役は何度かやったことがあるんですけど、どうしようもないやつだったり、凄みのあるやつだったりでした。今回キャラクターを見たときにとてもジェントルマンで、剣士で腕も立つし料理もできて、貴族的な感じもあるのでちょっとプレッシャーです。最初監督にお会いしたときに、「テンポ速いのでみなさん頑張ってください」と言われて、「えぇ~」と思ったんですが、今までの収録だとにゃん太は特別扱いされているので、ちょっとほっとしています。
石平:他局の話で申し訳ないのですが、中田さんは赤いカエルの伍長さんの作品は自分も長く関わっていたので、どういう風ににゃーにゃーくるのかなと思っていたら、ものの見事にジェントルマンでした(笑)。元々ゲームがあったというわけでもなく、今回初めて声がつくということで、アニメとして色が付いて、動いて、声が入って命を得るわけです。
はじめは監督として、こんな感じかな? とイメージして現場にいくんですけど、いい意味で、みんな大きく違わない範囲でことごとく違うことをやってくるんですよ。そこでシロエはこういう人なのか、直継はこういう人なのかとわかるわけです。そういった中で、今日の収録でも話題になっていたんですが、にゃん太アプリが欲しいという話が出てきたりしました(笑)。「大丈夫にゃん」って励ましてくれるという大人向けの。
そんな感じで、毎週収録しているスタッフ側でも盛り上がる楽しい現場です。アニメの絵というのは記号なもので、表情のパターンも多くて12種類くらいなもので、それに声が入ることによって10倍20倍になっていきます。その微妙な差によって全く印象が変わってくるんです。『ログ・ホライズン』に関してはそれが顕著に出ています。個人的にはかなり納得できる作品になっていると思います。
メイン以外にもいろんなキャラクターが登場して、パターンも様々です。いわゆる記号的なシーンではキャッチーに演じてもらって、合間合間の息づかいで生な感じを出してもらって、みなさん振り幅が広いので聞いてるこちらも楽しめています。リテイクも少ないですしね。聞き応えはすごいですよ。みなさん楽しみにしていてください。
■前野さんのオンラインゲームプレイ時間は1万時間強!?
──ご自身が演じているキャラクターについての印象や気をつけて演じている部分などはありますか?
寺島:シロエは主人公なんですが、地味な主人公であることが魅力なんじゃないかなと思っています。すごく考える人で、そこがこの作品での主人公たる所以で、主人公になる人は何かしらの特殊なスキルを持っていると思っています。シロエは考えるというスキルが特化していて、それを生かして物語が展開していきます。でも中心にはいるんですが、明るいポジションではない影の主人公というのは、面白いところかなと思います。
先ほど監督が顔のパターンに声がついて何パターンにもなるというお話をしていましたが、僕はその中で1.5パターンとか1.3パターンとかシロエの派手ではない部分を微妙に変えられるようにしています。派手ではないけど棒読みではないという微妙なラインを狙えたらなと思っています。
前野:直継は普段賑やかしのムードメーカーなんですが、バトルになると彼がいないと成り立たないチーム編成で、ガーディアンという職業上、敵の攻撃を一身に受け止めるとても重要な役割を担っています。普段の時とバトルの時とのギャップが彼の魅力のひとつかなと思っています。
一番いろんなことを言えてしまうキャラクターなので、台本上にないところでもアドリブが入れられそうなところは積極的にテストから入れてみたり、そういった意識は常に持つようにしています。
加藤:アカツキはアサシンという職業で、元々は男性キャラクターを使っていたんですけど、この世界では生きづらいということで今の姿になっています。アカツキの印象としては、すごくかっこいいなって思います。とてもクールなんですけど、女の子らしさもあって、アサシンだけあって直継にも負けないくらい戦闘能力も高くて、そのギャップが魅力的だと思います。
それに、たまに見せる女の子の表情がすごくかわいくて、直継と騒ぐところとかはクールさを少し抑えて弾けてみたりしています。そのあたりの加減が難しいんですが、演じていて自分ができる範囲で楽しく頑張っていけたらいいなと思っています。
中田:アカツキは萌え担当ですので、僕は猫担当として動物萌えな方を狙って……(笑)。そんな方いないと思いますけど(笑)。
寺島&前野&加藤:いますよいますよ!(笑)
中田:にゃん太はいろんなスキルを持っていて、大人で、そんな自由な人がなぜシロエの側にいて一緒にやっていこうと思ったのか? シロエの魅力を知っていて、信頼していて、一緒にやってみたいという隠れた信頼関係や友情を大事にしたいなと思います。今のところ自分がはっちゃけたりできるという環境ではないので、後ろから余裕を持って見守っているという感じです。でもそれだけに収まってしまうと、どうしても淡々としてしまうので、にゃん太の得意な戦闘シーンや料理のシーンではかっこよく決まるようにしています。「にゃん太、やるときはやるんだ!」という感じも出せたらいいなと思っています。
──ゲームでキャラクターを作るとしたらどんなキャラクターで遊んでみたいですか?
寺島:僕は全然オンラインゲームとかに触れてこなかったので、いつも収録中に前野くんと加藤さんの玄人っぷりに助けられています(笑)。この作品の中ではどうだっていう話はみんなでするんですけど、やっぱり作品見て思うのは自分に似ているキャラクターを作ったほうが後々面倒なことになりにくそうだなとも思います(笑)。
原作でシロエも言ったりするんですけど、いろんなキャラクターでやりたいって思うこともあります。職業で言うと、アサシンとかかっこいいなって感じますね。強いんだけど、前に前に出るよりは影に隠れて忍びみたいなのがかっこいいですね。アカツキも作中では忍者みたいな立ち位置にいるし、昔から和風な職業に憧れていたので、忍者みたいな職業をやってみたいですね。
前野:直継は前衛のガーディアンなんですけど、僕は毎回男性キャラクターで、できる限りかっこいい顔立ちの後衛魔法職を選びます。魔法のアタッカーをよく作っています。
加藤:私が作るキャラクターは女の子がよくて、自分の理想とする使っていて飽きないキャラクターを作りますね。オンラインゲームとなると長い付き合いになると思うので。それに後姿って大事だと思うんです。プレイヤーはゲームのシステム上、キャラクターの後姿しかほとんど見ないので、後姿でもかわいい女の子を作ります。プレイするときは回復とか援護が好きなので、そういった職業をメインに作っています。
中田:僕はやっぱり戦うアクションゲームだと直継みたいなキャラクターになりますね。でも作品に触れる中で、腹黒のシロエみたいにただ戦うだけじゃなくて、策略を巡らせてどのように強い敵を倒すのかとか考えるのも好きだなと思いました。シロエみたいなキャラクターでちょっと癖はあるけど、人間っぽい感じもして、こいつできるなと思わせるキャラクターもやってみたいなと思います。
──放送を楽しみにしているファンへ一言お願いします。
石平:頭をからっぽにして入ってきていただいて、楽しみつつ自分の置かれている状況とどこかリンクするキャラクターがおそらくひとりは出てくると思います。それに勇気付けられたり、考えさせられたりすることも多いかと思います。周りの人と会話することが重要なんだなということを気づかされるような側面もあるんですが、まずは楽しむところから入っていただくのが幸いです。楽しみにしていてください。
中田:EテレさんでやっていただくということでCMもないし、集中して見ていただけると思います。台本や絵も、収録の一週間前から届いている状態で、「なんだ台本遅いから、ちゃんと芝居できないや」みたいな言い訳もできません(笑)。みんなでスタッフさんの努力に応えられるように力を合わせていこうと思っています。作品はとてもスケールが大きくて、どんどんいろんな展開を見せていきます。そのあたりも楽しみにしていただきたいと思います。是非、楽しみに待っていてください。
加藤:オンラインゲームに触れたことのない方もたくさんいらっしゃると思います。オンラインゲームは大変なところもありますが、是非この作品を見て楽しさに触れていただきたいです。オンラインゲームをやっている方たちの中には、自分の分身としてゲームをやっている方も多いので、自分がもしその世界に入ってしまったらどうするか? と考えたことがあると思います。
Eテレさんという全国区で見られるので、たくさんの方に見ていただきたいなと思っていますので、どうぞ楽しみにしていてください。
前野:僕がこれまでオンラインゲームに費やした1万時間以上の経験は、きっとこの作品に出会ってその知識を生かすためにあったんだなという運命的な思いで収録に臨んでいます(笑)。この作品をきっかけにオンラインゲームを始めてもらえればとオンラインゲーマーとして思っています。素敵な作品になると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
寺島:前野さんみたいな重いものは背負っていないんですけど(笑)、単純にアニメなので絵が素敵とか、キャラクターがかっこいい、かわいいとか、どんなことでもいいので楽しんでもらえたらいいなと思っています。最終回を見終わった後に人が社会で生きるってこういうことかなって感じてもらえたらいいなと思います。まずは、ゆっくりストーリーを追って楽しんでください。
■内気な青年の異世界変革アドベンチャー『ログ・ホライズン』
物語は、オンラインゲームに閉じ込められてしまった主人公たちが、たくましく成長していく姿を、壮大で美しいファンタジーの世界と共に描いていく。
<放送情報>
放送開始日:Eテレにて2013年10月5日~(全25話予定)
<STAFF>
原作:橙乃ままれ「ログ・ホライズン」(エンターブレイン刊)
キャラクター原案:ハラカズヒロ
監督:石平信司
シリーズ構成:根元歳三
アニメーション制作:サテライト
制作:NHKエンタープライズ
制作・著作:NHK
オープニングテーマ:MAN WITH A MISSION「database feat. TAKUMA(10-FEET)」
エンディングテーマ:Yun*chi「Your song*」
<CAST>
シロエ:寺島拓篤
直継(なおつぐ):前野智昭
アカツキ:加藤英美里
にゃん太(にゃんた):中田譲治
トウヤ:山下大輝
ミノリ:田村奈央
五十鈴(いすず):松井恵理子
ルンデルハウス:柿原徹也
マリエール:原由実
ヘンリエッタ:高垣彩陽
セララ久:野美咲
小竜(しょうりゅう):逢坂良太
飛燕(ひえん):梶川翔平
リリアナ:雨宮天
アシュリン:佐藤奏美
アイゼル:村田太志
明日架(あすか):高橋未奈美
<STORY>
ある日突然、老舗オンラインゲーム<エルダー・テイル>に、日本人ユーザー3万人が閉じ込められてしまった。ゲーム歴8年の大学院生・シロエも異世界に取り残されてしまう。モンスターとの戦闘、死ぬことのない境遇。
何が起きたのかわからず不安に駆られたプレーヤーが街にあふれ、ヤマト地区最大の都市<アキバ>は秩序を失う。
一匹狼を自負していたシロエは、旧友・直継、美少女アサシン・アカツキたちとギルド<ログ・ホライズン>を設立。他人と接することが苦手で内気な青年が、仲間とともに廃墟アキバから世界を変えようと立ち上がる
>>アニメ『ログ・ホライズン』公式サイト