霜月はるか・日山尚・MANYOのユニット、canoue(カノエ)が12月11日メジャーデビューミニアルバム『ルチカ』発売! リリース記念座談会【前編】
霜月はるかさん、日山尚さん、MANYOさんというクリエイター3人のユニット、canoue(カノエ)が12月11日にメジャーデビューミニアルバム『ルチカ』をリリース!
今年1月にユニット名の発表と本格始動を宣言し、満を持してのミニアルバム。今秋発売の人気ゲーム『アルカナ・ファミリア2』、『SNOW BOUND LAND』、『ARCADIA~楽園に吹く風~』の主題歌とタイトルチューンを収録。ファンタジー&ライブ感あふれるサウンドと、独特な歌詞でcanoueの世界観を表現! 3人の足元が映るアーティスト写真や「ルチカ」の実写ミュージックビデオなど話題になっている。
『ルチカ』の発売を記念して、霜月さん、日山さん、MANYOさんの3人による、canoue初となる対談企画を独占掲載! その模様を2回に渡ってお届けする。前編となる今回はcanoue結成までの経緯やユニット名の由来、『ルチカ』のコンセプトなどを語ってもらった。
●3人での同人活動からcanoueとして本格活動スタート!
――canoue結成までの経緯を教えてください。
霜月はるかさん(以下、霜月):元々、それぞれが創作活動をする中でタッグを組むことはありました。例えば私と日山さんの企画でMANYOさんに曲を書いてもらったり、私とMANYOさんで仕事をしたりとリンクはしていて。3人で一緒に同人活動しようということになって、自主制作盤『ツナギ蝶ノ塚』で2010年12月の冬コミに出たのが始まりでした。その後、蝶シリーズを展開して、毎年、夏・冬コミ用にCDを作って、「3人で何かするの楽しいね」と。ファンの方からも3人で作るものを支持してくださっている実感もあったので、せっかくだから今後もこの3人で展開していけたらいいねということで……。
MANYOさん(以下、MANYO):昨年12月にcanoueというユニット名でCDを出して、今年1月にライブをやって、同人でもCDを作って。
霜月:そのライブで、canoueとして正式にやっていきますと宣言して、フロンティアワークスさんとのご縁でお仕事をいただいて、今回のCDにつながったという感じです。
――以前、3人での活動は、“ひやまにょつきん”と言っていたような。
霜月:日山・MANYO・私の愛称・シモツキンをつなげたもので、皆さんが呼んでくださる愛称でした。こちらがユニット名を付けてなかったので(笑)、皆さんが自然とこの3人で作るものをひやまにょつきんと呼ぶようになって、広まっていたのもわかっていたので、私達もそう呼ぶように……。ただ、ひやまにょつきんという名前はユニット名として、どうなのか? という話になりまして。ちゃんとまじめにやっていくのに、その名前はどうよ、と。それでちゃんと名前を付けようよと。
――なるほど。では、ユニット名、canoueの由来は?
日山尚さん(以下、日山):3人で決めたんですが、考え始めたのは2012年の春頃です。
MANYO:ライブの話が出始めて、今年ライブをやったクラブチッタに会場の下見に行って、その足でラゾーナに足を運んで。そこでずっと名前、名前と。
日山:店を転々としつつ、12時間くらい。でも決まらなくて。
霜月:バンドメンバーとクラブチッタのライブの打ち合わせ後に、東京ソラマチに行ってまた悩んで。
日山:いくつか挙がった候補の中から「カノエ」という言葉が残りました。たいまつの光を意味するルーン文字の「カノ」と、干支の十干にあたる「庚(かのえ)」に新たな形への変化という意味もあって。その2つを掛けています。中に“u”が入っているのにも理由があって、“u”はルーン文字で「ウル」と読むんですけど、前進とか挑戦の意味が含まれているので、「光」と「新たな形への変化」と「挑戦」を掛け合わせて、新たな再出発をしようという想いを込めて付けました。
霜月:元々、3人では活動していたので、区切りを付けてリスタートの意味をもたせたかったんですよね。
●お互いの感性を出し合って自由な音楽制作
――canoueとして、こんな音楽をやろうというコンセプトやイメージはあるのでしょうか?
霜月:「canoueだからこんな音楽を」ということはあまり考えていなくて。基本的にはそれぞれの感性に引かれ合って組んでいるので、自由に作ることで、お互いの感性を出し合ってできるもの……例えばMANYOさんが曲を作って、それを聴いた日山さんが妄想して、私が表現します、みたいな。お互いを信頼しているし、それが好きだったりもするし、ぶつかることもほとんどなくて。逆に言うと、まだ始まったばかりなので、これから目指すものが見えてくるのかなとも思っていて。今のところはできる限り、自由にやることを心がけています。
――3人それぞれは個性的なクリエイターなので、発端が誰でも、最終形は想像できなかったものになる可能性を秘めていますよね。
霜月:そういう変化を楽しんでいるところは常にありますね。自主制作でスタートした時も特に何も決めず、好きなものを作り、毎回驚きと「さあ、どう料理してやろうか?」と腕を振るう楽しさもあって。またcanoueの活動を通して、個々人に影響や変化を与えていくのかも未知数ですが、ここで得たものは個々の活動にフィードバックする部分は必ずあると思います。
――canoueって名前を見て誰だろう? 何人みたいな、ミステリアスさがありますね。
MANYO:そういうところから出発できるのがむしろおもしろいかなと。個々人のことや作品は知っているけど、そことは違う立ち位置でスタートしたいという気持ちもあるので。
霜月:まだ駆け出しのユニットですが、ゆくゆくはcanoueの音楽を好きになって、そこから「canoueのボーカルって霜月さんっていう人なんだ」とメンバー個人にも興味を持ってもらえるのが理想です。
●ゲームのタイアップ曲から『ルチカ』へ
――今回のミニアルバム『ルチカ』でメジャーデビューとなるわけですが、いつ頃、リリースが決まったんですか?
MANYO:時期が決まったのは春くらいかな。
霜月:タイアップ曲を作って、それを入れたアルバムを作りましょうというお話をいただいて。秋頃に出るゲームの主題歌4曲が決まっていたので、冬頃かなと。それぞれのゲームをきっかけにcanoueを知ってもらえたらいいなって。
日山:結成したのが去年の12月で、デビューアルバムが今年の12月という1年の区切りでちょうどいいかなと。
――ゲームのテーマ曲が4曲もある中で、1枚としてまとめるのは難しそうです。
霜月:それまでは自主制作で自由に世界観を作っていた私達が、オーダーとゲームの世界観に合わせて作ること自体がcanoueとしては初めてだったので、割と1つ1つの楽曲に個性を出して……。
MANYO:広がりを持たせるみたいな。
霜月:ひとつのアルバムにまとめてみると、こういう形になったかと。
MANYO:本人的に意識したまとまりというより、できてみたらやっぱりそれぞれの個性が出たよねという結果論としてのまとまりが出ればいいなと。むしろ制約を設けて、その中で1枚を作るのはやめよう、それぞれの楽曲に対して全力で取り組もうというのはアルバムの話があった当初から言ってました。
――意図したまとまりでない、そんなミニアルバムは皆さんにとっても新鮮だったのでは?
霜月:歌もの5曲のうち4曲がタイアップというのは機会をいただかないとできないことですからね。それぞれのゲームの世界観があっての曲であり、1枚になったので感謝です。
●アルバム名は「光」のイメージ。表題曲はcanoueの方向を示す
――ミニアルバムのタイトル『ルチカ』の意味を教えてください。
日山:イタリア語で、「水面のキラキラした光」という意味があって。今回収録される曲は光や目指すところのイメージが強い歌詞をいっぱい書いた気がしたので、光をイメージさせる言葉にしようと思って決めました。
このタイトルはcanoueの曲としては珍しいタイプで、いつも日本語タイトルが多いんですけど、今回はタイアップものがたくさん入っているので、変わったタイトルにしたかったこともあります。
霜月:私達もわかりやすくて、ぱっと見て「『ルチカ』ってどういう意味だろう?」という不思議感もあって気に入ってます。
日山:またMANYOさんからひと言で言えるタイトルがいいというリクエストもあって。
MANYO:そうだっけ?
日山:そうでしたよ(笑)。
MANYO:何か大げさなのはね。『ギャラクシー●●』とかはちょっと。
日山さ:1枚目の私たちにはちょっと壮大すぎますね。10枚目くらいならありかもしれないけど(笑)。
――ミニアルバムのために作られた新録曲で、タイトルチューンでもある「ルチカ」についてご説明をお願いします。
MANYO:タイアップ曲はたくさんあるけど、新録曲は入れようと決めていて。僕らが自由に作って、canoueとしてやりたいことはこれなんだと示すための1曲です。名刺代わりの1曲にしたかったので、ひやまにょつきん時代にやわらかいイメージとはちょっと異なる、押し出し感が強いものを目指しました。
――歌詞も今後のcanoueの方向や決意を示すような内容になっているのかなと。
日山:確かに今の立ち位置やこうなりたいという希望を込めた歌詞になっているかもしれません。私は普段、企画やボーカリストの個性ありきで作詞することが多いんですけど、canoueに関しては自分達の感覚をそのまま包み隠さず、割と押し出しているところがあるなと思っています。
●生楽器の演奏で躍動感とライブ感あふれるサウンドに
――1枚を通して聴くと、バンドサウンドや生感が強い楽曲が並んでいるなと思いました。
MANYO:僕が元々、生楽器を録るのが好きで、それにフロンティアワークスさんがのってくれて。今回は全部バンドでの同時録音ですね。ちょっと大きめのスタジオを押さえて、みんなでいっせいので録ってもらう形で、そういう臨場感は大切にしました。
霜月:どの曲もほぼ同じバンドメンバーで、仮歌もその場で録ったりして。生ならではのグルーヴ感と一体感がある1枚になったかなと思います。
日山:ずっと繰り返して聴き続けても苦にならない、心地いいミニアルバムになりましたね。
――霜月さんは普段歌っている楽曲とcanoueで歌う楽曲で違いを感じるところはありますか?
霜月:やっぱり同時録音である以上、グルーヴ感があるし、ミュージシャンによってもカラーが違うし、レコーディングではライブ感があったなと思います。もちろんコーラスを重ねたりもしてるけど、基本的には躍動感のバックサウンドなので、ライブのような感覚で歌っていた気がします。
MANYO:ボーカルも含めて一気に演奏している人数も多いので、適度な緊張感もあって、それが演奏にも雰囲気にも反映されているかもしれない。
霜月:スタジオ録音だけど、仮歌を録る時も皆さんがそれぞれのブースに入って、演奏しているところを見ながら歌えるので、「あっ、ライブだ」と。あとはMANYOさんの難しいフレーズにいかに付いていくかという。毎回、挑戦されている気がしますが。
――霜月さんがMANYOさんから提供された曲についてコメントする時、いつも「難しい」って言ってますよね。
霜月:たぶん私に限らず、みんな、そう言うと思います(笑)。でも私を含め、ボーカリストにはMなところがあると思うので、「これを歌いこなしてやるぜ!」と気持ちを奮い立たせられて。でも今回はライブ感があるだけに、自分の体に曲を入れ込まないとライブ感に負けてしまうし、音に引っ張られると思ったので、練習の段階から「ライブをやるんだ」という気持ちで臨みました。ミュージシャンも結構攻めてくる、前へ前へと出てくる人達だったので、セッション感が出ておもしろいけど、負けちゃいけないと気合を入れてます。
●タイアップ曲でも作品に寄り添いながらcanoueらしさも
――乙女ゲームの恋愛アドベンチャーの主題歌と、男性が好きなアクションRPGの主題歌、一見対照的な気がするのに、canoueの音の魔法にかかると、1枚に収まってもまったく違和感がなくて。
霜月: 今回のタイアップの曲に限らず、ゲームの世界観は異世界的なものが多いから、それほど違いを感じないのかも。それに3人ともゲームが好きで、ファンタジーも好きだし、自主制作でもファンタジーな楽曲を作ってきてますし。1枚にまとまることで、canoueの表現として一本筋が通っていればいいなと。もちろん「このタイアップならcanoueに合うんじゃないか」と考えて、フロンティアワークスさんがお話を持ってきてくださったことも統一感につながっていると思っています。
――乙女ゲームのタイアップ曲が3曲入っているので、女性ファンは特に注目かもしれませんね。
霜月:私個人としては乙女ゲームのお仕事をするようになったのは最近ですけど、MANYOさんと日山さんは以前から乙女ゲームのお仕事をしていて。だから今回、『SNOW BOUND LAND』や『アルカナ・ファミリア2』でcanoueを知って、メンバーの名前を見たら「あっ! あの作品に関わってた人では」と気付いてくれる人もいたりして。そういう広がりが出てくるとありがたいですね。
[後編へ続く]
■『ルチカ』/canoue
発売日:2013年12月11日(水)
価格:2,400円(税別)
発売:フロンティアワークス
■『ルチカ』発売記念イベント
・2014年1月18日(土)13:30~
東京・とらのあな秋葉原店 サイン会
・2014年1月25日(土)16:00~
神奈川:アニメイト横浜店 ミニライブ&トークショー
>> canoue公式サイト