スタジオジブリ・鈴木敏夫プロデューサーが企画の裏側を語る! au協賛『思い出のマーニー』展示会「思い出のマーニー×種田陽平展」詳細発表イベントレポート
2014年7月7日(月)、スタジオジブリの新作劇場アニメ『思い出のマーニー』と、KDDIが擁する通信ブランド「au」とのタイアップ企画「思い出のマーニー×種田陽平展」の詳細発表イベントが開催された。
『思い出のマーニー』は、2014年7月19日に公開が予定されている、イギリスの同名児童文学を原作とした新作アニメ映画。製作の指揮を執るのは、スタジオジブリ作品『借りぐらしのアリエッティ』(2010年)でも監督を務めた米林宏昌氏で、美術監督として種田陽平氏を招いている。今回の「思い出のマーニー×種田陽平展」は、auとスタジオジブリの連携企画“au Lovesジブリ”の一環として行われる展覧会だ。
本発表イベントにおいては、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏、KDDIの代表取締役である高橋誠氏らが登壇し、江戸東京博物館で実施予定の「思い出のマーニー×種田陽平展」に関する情報を発表。さらに、その企画の裏側に迫るトークを展開した。
本稿の後半には、実際に展示される立体物の写真も掲載する。展示内容に興味がある人は、そちらも合わせてチェックしてほしい。
●「au Lovesジブリ」のテーマは“リアルとネットのリンク”
イベントの開始と同時に、まずはKDDI代表取締役の高橋誠氏がステージへと登壇。現在公開中の『思い出のマーニー』PVが上映された後、今後展開される(また、現在展開中の)「au Lovesジブリ」の詳細についての解説が行われた。
主題はやはり、7月27日より江戸東京博物館で開催が予定されている「思い出のマーニー×種田陽平展」である。以前に実施された「思い出のマーニー×種田陽平展」に続き2回目の開催となる本イベントは、アニメの中の世界観を立体で表現する展示会だ。
高橋氏は、「au Lovesジブリ」のコンセプトを“リアルとネットのリンク”であると紹介。作中の世界を体感できるスマートフォン向けサービス「見つめるジブリ展」等の“ネットコンテンツ”から、展示会などの“リアルコンテンツ”への誘導を、積極的に行っていく方針であることを明らかにした。
具体的には、auがサービスを行う「auスマートパス」との連動サービスとして、展示会のプレオープンや、種田陽平によるナイトミュージアムなど、スタジオジブリ主催イベントへの招待を行う予定であるとのこと。スタジオジブリのファンにとっては見逃せない展開と言えるだろう。
●鈴木敏夫氏による一問一答!
高橋氏による各種コンテンツの紹介につづいては、プロデューサーの鈴木敏夫氏を招いてのトークセッションが開始。MCより投げかけられた質問に対して、両氏が応える形式で進行が行われた。以下からは、インタビュー形式で詳細をお届けしていく。
――auの取り組みについての感想はいかがでしょうか。
鈴木氏:ジブリは過去にも、様々な出版物を発売してきましたが、(「ジブリの森」には)それがあるんですね。当時の文章を調べるときに非常に便利なので、僕自身も活用させていただいています。
高橋氏:サービスを始めた当初から、多くの熱狂的なジブリファンの皆さんからご支援をいただいています。これから先は、ライトなユーザーの皆様へも、手を広げていきたいですね。
――『思い出のマーニー』の注目点や、作品としてのポイントを教えてください。
鈴木氏:今回の作品は、以前に『借りぐらしのアリエッティ』という作品を作った、米林宏昌という男が監督をやっているのです。米林宏昌のことは、社内では「マロ」と呼んでいるのですが、マロは本当に女の子を描くのがすごく得意なんですよ。
マロが「アリエッティでやり残したことがある」と僕に話した時に、その時点では題材が決まっていなかったみたいで。そこで『思い出のマーニー』という原作を勧めることにしたんです。その説得をするときに「(『マーニー』には)女の子が2人も出るんだぞ」と(笑)。
――『思い出のマーニー』を原作に選んだ理由はどこにあるのでしょうか。
鈴木氏:宮﨑さん(宮﨑駿氏)なんですが、あの人は引退したとは言いながらも、実は毎日出社して来てるんですよねぇ。本人は「手を出さない」とは言っているんですが、僕が知る限りそんなこと(手を出さなかったこと)なんて1度もないんです。
あの人が口を出したり、手を出したりするのは、基本的に“男女の話”の時なので。女の子同士の作品である『マーニー』なら、宮さんも手を出し用もあるまいと。ちょっと「これなら大丈夫かな」という計算もあったりしました。
――配信開始となったLINEジブリスタンプについて
鈴木氏:初めてスタンプを配信した時には、まだ僕自身がLINEの使い勝手をよくわかっていなかったのだけど。実際に自分で使い初めてみて、それがよく分かるようになってきました。今回は、そんな自分の実感を反映させたデザインになっています。あと今回は、ご要望の多かった「コダマ」(もののけ姫)を出せたのは嬉しかったですね。
――建物など、各種美術へのこだわりについて
鈴木氏:キャラクターの背景に映る世界は、アニメだろうと実写だろうと、映像作品の最重要な要素のひとつです。僕らはそれを“美術”と呼ぶわけですが。その美術を作るにあたって、実写の世界から種田陽平さんをお招きしているのは、ジブリに新しい風を吹き込みたいという気持ちがあったからです。
彼がやった仕事の中では、この洋館(湿っ地屋敷)は、デザイン的にすごく面白くて。過去のジブリ作品を観て、まだ登場していない“新しい建物”を作っていただけました。お客さんにも新鮮に感じてもらえるのでは、と思っています。
――今回のコラボが実施されたきっかけを教えてください
鈴木氏:種田さんの作業場は別の場所にあるのですが、ある時を境に僕の視界に入る範囲をうろうろするようになったんですよ。スタッフに話を聞いてみて、捕まえてみたらたら「実は(展示会を)やりたかったんんだ」と。だから今回の展示は、種田さんありきの企画なんですよ。
ウォルト・ディズニーも色々作ったけど、最後に作ったのは“実物”のディズニーランドですよね。映画はどんなものでも常に2Dですから、それを作りながらも3Dへの憧れがあるんです。
●ハイクオリティな展示品の数々
こうしたイベントの最後には、7月27日より開催される「思い出のマーニー×種田陽平展」の体験も行うことができた。そちらの写真を掲載し、本稿の締め括りとしたい。作品の世界観を感じられる、ハイクオリティな展示物をご覧頂きたい(展示会の日程や詳細情報などは次項に掲載)。
■展示会詳細
◯展示会名:「思い出のマーニー×種田陽平展」
◯会場:江戸東京博物館1階展示室
◯アクセス:
・JR総武線両国駅西口下車 徒歩3分
・都営地下鉄 大江戸線両国(江戸東京博物館前)駅A4出口徒歩1分
◯会期:
・開始 2014年7月27日(日)
・終了 2014年9月15日(月・祝)
◯開館:
・時間9時30分~17時30分
(休館日 8月4日、9月1日)
※金曜日は午後9時まで土曜日は午後7時30分まで
※入場は閉館の30分前まで
■参加団体
◯主催
・公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館
・スタジオジブリ
・日本テレビ
・読売新聞社
・ローソン
・イープラス
・「思い出のマーニー」製作委員会
◯特別協賛:
・KDDI
・アイフルホーム
◯協賛:
・EPSON
・ア・ファクトリー
■チケット
◯当日:
・一般 1,300円
・大学生/専門学生 1,040円
・高校生/中学生/小学生/65歳以上 650円
◯前売券:
・一般 1,100円
・大学生/専門学生 840円
・高校生/中学生/小学生/65歳以上 450円
※未就学児童、身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方2名までは無料
>>『思い出のマーニー』公式サイト
>>「au Lovesジブリ」公式サイト