『ガンダムUC』の壮大な物語の終着点がここに!『機動戦士ガンダムUC FILM&LIVE the FINAL “A mon seul désir”』の模様をレポート
2014年7月5日、横浜パシフィコにて『機動戦士ガンダムUC』のイベント『機動戦士ガンダムUC FILM&LIVE the FINAL “A mon seul désir”』が開催された。イベントでは、作中の全ての劇伴曲を手がけた・澤野弘之さんとオーケストラによる生演奏に加え、会場に駆けつけた内山昂輝さんを初めとするキャスト陣とストーリーの福井さん・古橋監督らによるミニトークも開催。
本稿では、『機動戦士ガンダムUC』を締め括るに相応しい豪華な様相となったライブの模様をお届けしよう。
●ダイジェスト映像を皮切りに、エピソード7の新曲を中心とした構成でライブはスタート
『機動戦士ガンダムUC』は、『亡国のイージス』などで知られる人気作家の福井晴敏さんが執筆した小説を原作とした作品。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の後の「UC(ユニバーサルセンチュリー)」歴の世界を舞台に、世界を覆す力をもつと言われている「ラプラスの箱」を巡り、主人公のバナージが様々な人々に出会い、成長していく姿が描かれる。
大人向けの骨太なストーリーと、大迫力の戦闘シーン、そして場面を盛り上げる楽曲の数々、全ての要素が高い評価を受け、『ガンダムシリーズ』の中でも特に高い支持を得ている作品だ。
そんな『ガンダムUC』のイベントということで当日は非常に大勢の人々が来場。年齢層は学生から年配の方々まで非常に幅広く、中でも20代の男女(特に女性)の姿が多く見られたのが印象的だった。
会場には原作小説の表紙など各種版権イラストが描かれたポスターにアニメスタッフからの直筆応援イラスト、フロンタル専用オーリスや巨大なネオ・ジオングのプラモデルなど数多くの展示物が並んでおり、時間ギリギリまで展示物を見たり撮影しとする来客者で一杯に埋め尽くされ、大盛況の様子だった。
ライブ会場のスクリーンの周囲にはユニコーンとバンシィの角を模した装飾と、貴婦人と一角獣のタペストリーが左右に展示され荘厳な雰囲気造りはバッチリ。そんな中、エピソード7の主題歌である『StarRingChild』のAimerさんの美しい歌声と共にライブはスタートし、本編のエピソード1~3のダイジェスト映像も上映されライブを盛り上げていく。
前半部は発売中のサウンドトラック第四弾に収録されたエピソード7からの新規楽曲を中心とした選曲で、戦闘開始を予感させる緊張感が伝わってくる『20090522or0331』『MSGUCEP7』から、『EGO』『A LETTER』らボーカル曲、『UXO-→RX0』『UNICORN GUNDAM』という否が応でも盛り上がる人気曲のアレンジまで様々で、公開されたばかりで記憶も新しいエピソード7の数々のシーンが自然と脳裏に蘇ってきた。
さらに演奏の合間には澤野さん自身によるMCも披露。「(MCを)本当はやらないつもりだったけど、スタッフにどうしてもと言われ……」と実は乗り気ではなかったことを明かしつつも、「MCについてのクレームはサンライズの方にお願いします」と会場の笑いを誘う芸達者っぷりも見せてくれた。
●スタッフロールの後には、とっておきの楽曲が用意されているサプライズも
後半からはエピソード4~6のダイジェスト映像が上映された後、『ガンダムUC』の楽曲の集大成とも言える、特に人気の高い楽曲を中心に演奏された。ライバル機・バンシィのテーマソングともいえる『BANSHEE』に始まり、エピソード4でのシャンブロ戦が印象深い『MOBILE ARMOR』、エピソード3のラストシーンなど「ここぞ!」という場面の数々で流れてきた『MAD-NUG』、メインテーマともいえる『UNICORN』のボーカル版である『REMIND YOU』など、人気の楽曲が次から次へと連続するファンにはたまらない構成だ。
ラストは公開されたばかりのエピソード7の映像をバックに、アニメでも終盤を彩った澤野さんアレンジによる名曲『BEGINNING』、エピソード1主題歌の『流星のナミダ』と続き、アニメの同様の余韻に浸りつつライブを締めくくった……かに思われたが、スタッフロールの後に、澤野さんとAimerさんが再び登壇。
アンジェロのイメージPVで使用されたテクノ調の強い異色の『bl∞dy F8』 、さらにボーカル曲の中で屈指の人気を誇るエピソード6のテーマソング『RE:I AM 』を歌い上げるという、これまでのオーケストラ演奏とは全く雰囲気の異なる2曲を披露するサプライズ。悠然とした雰囲気を惜しむように拍手が鳴り響く中、『ガンダムUC』の終幕を飾るに相応しいライブは幕を閉じた。
なお、ライブの途中には、内山昂輝さん(バナージ・リンクス役)、藤村歩さん(ミネバ・ラオ・ザビ(オードリー・バーン)役)、池田秀一さん(フル・フロンタル役)らキャスト陣、古橋一浩監督、ストーリーの福井晴敏さんも加わり、作品にまつわるトークやファンへのメッセージなどが送られた。最後にその様子をお届けしてレポートを締めくくろう。
●トークコーナーでは、出演者の意外な“たった一つの望み”が判明!?
──本日はよろしくお願いします。『機動戦士ガンダムUC』が終わって少し時間が経ちましたが、終了直後とは違った感想などは抱かれましたか?
内山昂輝さん(以下、内山):やはり長い期間をかけたシリーズだったので、収録直後は終わったという気がしなかったのですが、いろいろなイベントや舞台挨拶で各地を回らせてもらって皆さんの反応を生で見るにつれ、「本当に終わってしまったんだな」と寂しい気持ちが沸いてきましたね。
藤村歩さん(以下、藤村):本編は終わってしまったのですが、こうしてイベントで皆さんにお会いできるので、私は逆にまだ終わったような気がしないということを今日改めて感じました。作品が終わってもまだこれだけの人が来てくれるユニコーンは本当に凄いんだなぁというのと、ユニコーンという作品のことをずっと皆さんが覚えてくれている感謝の気持ちも強いです。
池田秀一さん(以下、池田):エピソード7は4回ほど見直したのですが、見る度に新しい発見がありました。是非皆さんも何度も見返して楽しんでみて欲しいですね。フロンタルのラストシーンではアムロとララァ、そして私のよく知るシャアも出てきてくれて(笑)、大変嬉しく懐かしい素敵な思い出を作らせていただけました。
──本日販売されているパンフレットに澤野さん・古橋監督・福井さんの対談が掲載されていますが、そこで澤野さんが「制作期間が長かったため、オーケストラの編成に対する考え方がエピソードごとに変わってきた」というものがありました。
澤野弘之さん(以下、澤野):TVシリーズの作品では、追加曲を作る時のスパンは本収録から2、3ヶ月後くらいのことが多いので、本当に続きを作るという意識が強いのですが、ユニコーンの場合は1年くらいの期間が空くので、毎回心機一転して新鮮な気持ちになって挑めましたね。その間によりいい自分のサウンドを表現するため、オーケストラの編成を変えてみたりという挑戦ができたということです。
──古橋監督と福井さんは、澤野さんの作られる音楽というものに対してどういう想いを抱かれましたか?
古橋一浩監督(以下、古橋):パンフレットの方で一通り語ってしまったので、あまり付け加えることはないのですが……。
福井晴敏さん(以下、福井):いや、そこはパンフレットを読んでない人もいるから!(笑)
古橋:ああ、そうかすみません(笑)。客席で聴かせていただいていたんですが、本当に素晴らしい音楽だなと。ありがとうございましたと、改めてお礼を言わせていただきたいですね。
福井:4年の間に「なんとかの巨人」とかもあったりして(一同爆笑)。すっかり一回り二回りも大きくなってから帰ってきていただけてありがたいです。
澤野:勿論『ガンダムUC』は全力投球で、なんとかの巨人の合間に作ってた訳じゃないですからね!(笑)
──今回のライブのタイトルが“A mon seul désir”、フランス語で「我がたった一つの望み」ということで、是非出演者の皆さんが叶えたい”望み“をお聴かせください。
内山:『ガンダムUC』のスタッフやキャストの方々はよく海外のイベントに行かれているんですけど、実は僕は行ったことがないんですよ。その思い出話なんかを毎回舞台挨拶などで聞いていたので、いつか『ガンダムUC』のイベントで行けたらいいなと密かな望みを抱いています。
藤村:これまで『ガンダムUC』にミネバとしてずっと出演させていただけけて、本当にありがたいんですが、やっぱりパイロットとして戦いたかったなと。エピソード7でバナージが「ユニコーン!」って叫んだら来てくれるユニコーンがすっごい可愛くて羨ましくて(笑)。ミネバ専用モビルスーツとかあったりしないでしょうか?
福井:ああ、君のお父さんのザクとかもあるからね(笑)。ミネバ専用ギラ・ズールとか、その内なんかのゲームで出るかもしれない。
藤村:ホントですか!?ギラ・ズール好きなので嬉しいですね。紫は結構ミネバっぽいなと想うんですけど、アンジェロとも被ってしまうので、もう少し薄い藤色に近いミネバが羽織っていたケープに近い色みたいな上品な感じがいいかなと、いろいろカラーリングの妄想をしたりもしています(笑)。
池田:これまで僕はもういろいろなことをやってきてしまったので、あまり望みもないのですが(笑)。『ガンダムUC』のような素晴らしい作品にまた出会えることができたらいいなというのが素直な気持ちですね。ただ、こうした素晴らしい作品に一度出会ってしまうと、次からのハードルがどんどん上がっていってしまうので、我が儘な望みではあるのですが。
福井:皆さん割と謙虚ですよね。僕はこうして『ガンダムUC』を作れたということで一つの大きな望みは叶っているのですが、更に上乗せをするのなら『なんとかと雪の女王』よりも売れたいということでしょうか(笑)。あれはちょっと、横からポッと出てきてね……(一同大爆笑)。
古橋:将来的な話になりますが、私は身体が弱いのでもう5・6年後には南の島あたりに隠居して余生を過ごしたいなと思っています(笑)。
藤村:隠居って、まだまだそんなお歳じゃないじゃないですか!
福井:きっとサイアムみたいな状態になって、訪ねてきた人達に「待っていた……」って(笑)。
内山:その時は、是非僕が訪ねさせていただきますよ。
──澤野さんはどうでしょうか?
澤野:先ほど内山くんが「海外に行きたい」と仰っていましたが、逆に僕はとにかく飛行機がダメなので、海外とかには行きたくないですね(笑)。日本素晴らしいじゃないですか。
──日本国内でも飛行機移動がある場合もありますが……。
澤野:なるべく電車で行ける所で……。私のたった一つの望みは、どこにも行かずに済むこと……だったんですが、残念ながら叶いませんでした(笑)。
内山:じゃあ、海外で澤野さんの演奏会がある時は、音源だけいただいた僕が代わりにいってなんとなくピアノを弾く動きをしてごまかしますよ(笑)。
──たった一つの望みが本当にそれでいいんですか!?
内山:ダメでしょうね。嘘はいけません(笑)。
──話は尽きませんが、最後に出演者の皆様からメッセージをお願いします。
内山:長い間、『ガンダムUC』を応援いただき本当にありがとうございました。これだけ大規模で豪華なイベントをできるのはユニコーン以外の作品ではなかなかできないことだなと実感しています。アニメやサントラも何度も見たり聴き直して、ずっと楽しんでいっていただければと思っています。
藤村:私は今日のライブの話を事前に聞いた時、一人のお客として絶対に見に行こうと思っていたのですが、まさかこういう形で出演させてもらうとは予想してなかったので本当に嬉しいです。この後の演奏を私自身も楽しみにしているので、皆さんも最後まで楽しんでいってください。
池田:ついに『機動戦士ガンダム』も35周年を迎えましたが、これからも40周年に向けて引き続き頑張っていきたいと思っています。今日はまだまだ素敵な楽曲が演奏されますので、是非ご堪能して頂ければ。
福井:これまで『ガンダムUC』という作品を皆様に育てていただいたお陰で、このようなコンサートが開けるようになるとは当初はまったく想像しておらず、感無量といった所です。これで本当に『ガンダムUC』は終わりとなりますが、このようにまた皆さんと一緒になにかやれたらいいなと思っているので、その時には是非よろしくお願いします。
古橋:監督を務めさせていただいた5年間、いろいろありましたがこのように有終の美を迎えることができたのは、本当に最良の形であると思っております。『ガンダムUC』も終わり、私自身もこのような壇上に上がる機会も早々ないかと思いますので、最後にこの思い出を胸に刻んで、南の島での余生を過ごしたいと思います(笑)。
──本日はありがとうございました。
<セットリスト>
StarRingChild (Vo. Aimer)
20090522or0331
MSGUCEP7
RE:I AM MARIE
EGO
-MC-
ν TYPE-OYM
UXO-→RX0
A LETTER
UNICORN GUNDAM
20140517
出演者トークコーナー
BANSHEE
MOBILE ARMOR
Sternengesang (Vo. Cyua)
-MC-
MAD-NUG
MOBILE SUIT→GUNDAM
REMIND YOU (Vo. 小林未郁)
BEGINNING
流星のナミダ
bl∞dy F8 (Vo. Aimer)
RE:I AM (Vo. Aimer)
>>『機動戦士ガンダムUC』公式サイト