『月刊少女野崎くん』OPでシンプルな力強さを目指した理由とは? オーイシマサヨシさん インタビュー【後編】
Sound Scheduleでの活動や、テレビアニメ『ダイヤのA』主題歌などで知られるシンガーソングライターの大石昌良さんが、アニメ主題歌セクターでのソロアカウント(=オーイシマサヨシ名義)を設立。その第一弾となるシングルをリリースする。
オーイシマサヨシさんのデビュー作となるのは、現在放送中のテレビアニメ『月刊少女野崎くん』OPテーマ『君じゃなきゃダメみたい』。耳に残るパワフルな歌声に心を奪われたアニメ視聴者も多いのではないだろうか。シンプルな構成のなかにファンキーなギター、にぎやかなブラスセクションが大胆に導入されており、オーイシさん独特の視点や感性が大いに発揮されたストレートなナンバーとなっている。インタビュー後編では『君じゃなきゃダメみたい』に秘められたメッセージに迫る!
●「キーワードになったのが90年代J-POPの無敵感と王道感」
──『君じゃなきゃダメみたい』がどのように完成していったのか、具体的にお伺いしてもいいですか?
オーイシマサヨシ(以下オーイシ、敬称略):『月刊少女野崎くん』のオープニングやりませんか?というお話をいただいて、原作からイメージを膨らませて何パターンか曲を作らせてもらったんです。そのなかでもこの曲が光っていて、手ごたえを感じていました。
これは個人的な見解なので原作ファンの方が誤解されたら申し訳ないんですけど、『野崎くん』って古き良きスタンダードな4コマの笑いがあると思っていて。誰でも笑えて面白い。こういう感覚が自分の音楽の中にないかなと今まで培ってきた音楽のページをめくったときに、キーワードになったのが90年代J-POPの無敵感と王道感。
サザンオールスターズ、ウルフルズ、スピッツ、Mr.Children……『野崎くん』はそういうポピュラリティと、相通じるモノがあるなと。それで“どこか懐かしくて、なんとなく今っぽい”ということを考えながら作っていきました。というのも、いまアニメソング自体がどんどんと複雑化されてる気がするんですよ。それについては張本人と思われるTomとも話してたんですけど(笑)。
彼とは一緒に仕事もさせてもらってますが、Tomくんの場合は音楽マニアだからハイブリッドに音をとらえてアニメのオープニングに投影させていますが……昨今いろいろな流れがあって、メロディ、構成、言葉、すべて複雑になってきてるなぁと。1分半という短い時間にどれだけのストーリー、情報を音で見せられるかって問題もあると思うんですけど……詰め込みたくなる気持ちは分かるんですよ。
でもアニメのオープニングってアニメありきのモノだから、基本的な前情報ってめちゃくちゃあるんですよね。アニメもアニソンも大好きなのでよくチェックしてますけど“もっと情報少なくても伝わるなぁ”って思うこともあったりしたので、自分が歌うならストレートにしたいなと。もっとシンプルでもいいから、“なんかいいな”って思わず画面を観ちゃうような音楽を今だからこそ、そして僕だからこそやれないかなって。もっと歌の良さみたいなモノを感じてもらえたらなと。
──そういう想いがあるからこそ『君じゃなきゃダメみたい』はど真ん中に歌がきたストレートなナンバーになったんですね。サビのシンプルなキャッチーさがたまらないです。
オーイシ:僕もたまらないなって思ってます(笑)。特にAメロの展開は、“懐かしい”って思ってもらえるんじゃないかな。バックの音楽はループで。同じコード進行のなかで言葉じりを変えていって、掛け合いのコーラスが登場して……という展開で人によっては古いと思うかもしれないですけど、それもいいかなって作りました。
──裏を返せば、自信がないとできないことですよね。実際に手ごたえは感じられましたか?
オーイシ:ありました。自分、めっちゃ気持ちよく歌ってるなぁってボーカルブースのなかで思いました。こんなに解放されているんだって。一緒にやらせてもらったスタジオミュージシャンのみなさんの力だったりエンジニアさんだったり……いろいろな人たちの力もありつつなんですけど、ものすごく気持ちよく歌わせてもらいました。
●「(タイトルは)ストレートで情けない」
──ところで、コーラス部分が英語っぽく聴こえるのは敢えてですか?
オーイシ:あ、嬉しいですねぇ(笑)。あそこは僕がコーラスを歌っているんですけど、もともとのイメージ的には「君」=gimme、「じゃな」=Jump up、「きゃだ」=cant ‘that、「めみたい」=make me tight……みたいな感じで実際そんな英語はないんですけど、いわゆるソウル、ファンクの掛け合いをイメージして、日本語だけど英語っぽく聴こえる言葉を選んでいったんです。そしたらそのままそれがタイトルになったという。
──なるほど、タイトルはすぐに決まったんですか?
オーイシ:はい。キメ台詞みたいなモノなので、これしかないでしょって。『君じゃなきゃダメみたい』って普段の生活のなかでは言えない言葉だと思うんです。ストレートで情けないというか……。
──情けない、ですか?
オーイシ:はい。だって『君じゃなきゃダメみたい』ってほかに目移りしたうえでのセリフじゃないですか(笑)。だから超情けないんですけど、アニソンだからこそ振り切れて歌えました。
●「あそこまでいくと、野崎くん、なにかの病気なんじゃないかと(笑)」
── 一方のカップリングのタイトルは独特の響きを持ってますよね。
オーイシ:『純情可憐書店屋ガール』。『君じゃなきゃダメみたい』が先に上がって、カップリングをどうしようかなとスタッフと相談していた時期に、アンテナを張って街を歩いていて。で、たまたまアニメイト渋谷店に行ったときに『野崎くん』の原作を全巻抱え込んだかわいらしい女の子がいて、背後に立ったことがあって(笑)。
そんなに僕は有名じゃないし、まだ『野崎くん』の放映前だったからニマニマしつつ“このアニメの主題歌、俺歌っちゃうんだよなぁ~♪”とか思ってて……(笑)。その感じが一方通行の片思いって感じで面白かったんですよね。君は気づいていないけど、こっちは君に対して想いを馳せてるんだよって気持ちが、青春の甘酸っぱさや懐かしさを呼んできてこれは曲になるなぁと。特にこのシングルを買ってくれる方はアニメが好きな方が多いと思うので、そういう方へのひとつのメッセージとして歌にしたら面白いのかなって。
──メッセージというのは?
オーイシ:アニメに情熱を傾けている人ってすごく魅力的なのに「いえいえ私なんて」と遠慮してる子が多いんじゃないかなと思うんですよね。自分のことはほったらかしにしがちというか。「今月給料ヤバいのに、グッズ買っちゃった」とか(笑)。みんな一生懸命なんですよね。でもそういう想いに隠れて気づかないこともたくさんあるよ、と。
──それで<無我夢中でいいじゃない/でもひとつ忘れないで/大切なことを><君はビューティフォー/とてもビューティフォー>という歌詞が登場するんですね。でもそんな不器用なところも愛しいというか。
オーイシ:そのアニメイトで出会った女の子もめちゃくちゃカワイくて、こんなに可愛い女の子が漫画に一生懸命になってるんだなって胸が熱くなりました。まわり回ってそのコにメッセージが伝わったらいいな(笑)。
──(笑) 一方通行と言えば、『月刊少女野崎くん』のヒロインである佐倉千代ちゃんの野崎くんに対する想いも、そう表現できますね。
オーイシ:そうですね。千代ちゃんの野崎くんに対する想いも一方通行ですよね。あそこまでいくと、野崎くん、なにかの病気なんじゃないかと(笑)。それでいうと若とローレライ、鹿島くんと堀ちゃん先輩も、お互い惹かれあっているのに好きという気持ちを掛け違えているように思います。……って、みこりんがハブられちゃいましたけど(笑)、そういう風にストーリーに重ねてもらうのも面白いかなと。
あと今回のCDは、近年稀に見るボーカルが録れました。すごく気持ちよくボーカルが録れたので、カップリングもおすすめです。素晴らしいミュージシャンの方々とご一緒できたことで、より良い歌がうたえたんじゃないかなと。
──今後の“オーイシマサヨシ”名義の楽曲も楽しみです。
オーイシ:はい、もちろん続けていきたいと思っております!
──ありがとうございました!
[取材&文・逆井マリ]
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■『君じゃなきゃダメみたい』/オーイシマサヨシ
テレビアニメ『月刊少女野崎くん』OPテーマ
発売日:2014年8月27日(水)
価格:1,200円(本体)+税
発売・販売元:株式会社KADOKAWA メディアファクトリー
【収録トラック】
Track-1 君じゃなきゃダメみたい
(テレビアニメ『月刊少女野崎くん』オープニングテーマ)
歌手:オーイシマサヨシ
作詞・作編曲:大石昌良
Track-2 純情可憐書店屋ガール
歌手:オーイシマサヨシ
作詞・作編曲:大石昌良
Track-3 君じゃなきゃダメ見たい
(instrumental)
Track-4 純情可憐書店屋ガール
(instrumental)
■テレビアニメ『月刊少女野崎くん』
【放送情報】
テレビ東京:毎週日曜深夜1:05~
テレビ大阪:毎週月曜深夜1:15~
テレビ愛知:毎週火曜深夜2:35~
テレビせとうち:毎週水曜深夜1:40~
テレビ北海道:毎週火曜深夜1:35~
TVQ九州放送:毎週木曜深夜3:00~
AT-X:毎週金曜夜11:00~
[AT-X リピート放送]
毎週日曜朝10:00~/毎週水曜朝5:00~/毎週木曜夕方5:00~
※放送日時は変更になる可能性がございます。
【スタッフ】
原作:椿いづみ(掲載「ガンガンONLINE」スクウェア・エニックス刊)
監督:山﨑みつえ
シリーズ構成・脚本:中村能子
キャラクターデザイン:谷口淳一郎
アニメーション制作:動画工房
製作:月刊少女野崎くん製作委員会
【キャスト】
野崎梅太郎(CV:中村悠一)
佐倉千代(CV:小澤亜李)
御子柴実琴(CV:岡本信彦)
堀 政行(CV:小野友樹)
若松博隆(CV:木村良平)
鹿島 遊(CV:中原麻衣)
瀬尾結月(CV:沢城みゆき)
鈴木(CV:宮野真守)
マミコ(CV:三宅麻理恵)
宮前剣(CV:三宅健太)
前野蜜也(CV:小野大輔)
都ゆかり(CV:川澄綾子)
ほか
【ストーリー】
無骨な男子高校生の野崎梅太郎に恋をした女子高校生の佐倉千代は、ある日、勇気を振り絞って告白をするのだが、想いは上手く伝わらず、気が付くと彼のとあるお仕事をアシスタントとして手伝うことに……。男子高校生でありながら人気の少女漫画家である野崎くんを中心に、個性豊かなキャラクターたちが織り成す少女漫画家男子コメディー!
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