「どうなんすかねぇ?」「どうなんでしょうねぇ?」で始まる二人の絶妙な空気感をお楽しみください! 劇場版『gdgd妖精s』、菅原そうた監督&森りょういちさん超ロングインタビュー【前編】
9月27日(土)より角川シネマ新宿他で、ついに3DCGアニメ『gdgd妖精s』の劇場版『gdgd妖精s っていう映画はどうかな…?』の公開がスタート。本作は『gdgd妖精s』の生みの親である菅原そうた監督と、大ヒットCGアニメ『Peeping Life』の森りょういちさんが初めてタッグを組んだ話題作。そこで今回は公開に先駆けて、菅原そうた監督と森りょういちさんにインタビューを行なった。
当初は劇場版アニメ『gdgd妖精s っていう映画はどうかな…?』についてのインタビューのハズだったんだけど……ほとんどフリートークというか座談会のようなgdgdな感じになってしまいました。ほぼ全編ノーカットの、超ロングインタビュー! あまりに長いので、2回に分けての掲載です。
■ 菅原そうたさん&森りょういちさんのスペシャルインタビュー!!
――まずは菅原そうた監督と森りょういちさんの、お仕事の役割分担をお聞かせください。
菅原そうたさん:どうなんすかねぇ?
森りょういちさん:どうなんでしょうねぇ?
菅原そうたさん:どこまで言っていいのかなぁ?(笑)
――では質問を変えましょう(笑)。映画化になったきっかけを教えてください。
菅原そうたさん:『gdgd妖精s』はアドリブがひとつの大事な要素なんですが、アドリブって言ったら大先輩の『Peeping Life』だね! ということでゼヒとも森さんにやってもらいたかったんです。僕はずっと前から『Peeping Life』を知ってましたし、少なからず影響を受けていますから無視していられないなと思って、プロデューサーから声をかけてもらいました。
――それを聞いて、森さんはどう感じましたか?
森りょういちさん:最初にお会いしたのは「アニメコンテンツエキスポ」のウチの会社のブースでした。菅原そうたさんがわざわざウチのブースに来てくださったんです。
菅原そうたさん:普通に会場を歩いてて、「あっ! 『Peeping Life』だっ!」ってね(笑)。
――お客さん目線じゃないですか(笑)。
菅原そうたさん:そりゃそうですよ。僕はファンですからお客さんですよ。そしたらブースに森監督が立ってるんですね。「本人がDVD持って立ってるじゃーん」って思って話しかけました。
森りょういちさん:僕だって菅原そうたさんのことは知ってましたから、菅原さんが来てるってわかってました(笑)。
菅原そうたさん:それで立ち話をしたら、森さんの身振り手振りが、オタクくん(『Peeping Life』の登場人物)の動きとまったく同じなんです。しかも小芝居をしてくださって、ホンモノだったから感動しました。
森りょういちさん:僕だって駆け出し時代は菅原そうたさんのネット上のインタビュー記事を読んで、「いつかこうなるぞ!」って思っていました。
菅原そうたさん:僕はそれを聞いてびっくりしましたね~。昔受けたインタビューの内容まで覚えてくださってて……。「あの『Peeping Life』の森さんが読んでくれてるの~?」って(笑)。
森りょういちさん:しかもすごくかっこいいコトを言ってたんです。「アイデアは鮮度のいいうちにカタチにしなきゃ(菅原そうた談)」ってね。
菅原そうたさん:ぎゃぁぁぁ! ヤダーーー!(笑)
――それは覚えていらっしゃいますか?
菅原そうたさん:言ったかもしれないけど、もっとダサい言葉で言ったはずですよ。それが森さんの小芝居が入るとカッコイイ感じになっちゃうんです。ほんと、キャラを美味しくコーティングするのが上手い!! だから僕は死んだ後、森さんに僕のことを語ってもらいたいですね。そうしたらたぶん、それを聞いた人は僕のことを「ものすごく頭のいい人だったんだなぁ」と思うはずです。
一同:(笑)
■ 森さんの本気のパンチでいつもの『gdgd妖精s』ではない何かが出た!
――話を戻しますと、そのアニメコンテンツエキスポのブースでの立ち話で『gdgd妖精s』の映画でタッグを組むという話に?
菅原そうたさん:いや、まだ決まっていませんでしたから、あのときは確か「いつかなにかやりたいですね」みたいな感じでした。そもそも森さんは「タツノコプロ」とかの仕事もしてますから、ムチャクチャ売れてる方なんです。手塚治虫に愛されてる人ですから、コラボ自体がおこがましいんじゃないかという存在だったんです。それから時が流れて……。
森りょういちさん:えっ? そんなに流れてない!(笑)
菅原そうたさん:そっか、そんなに流れてない(笑)。
一同:(爆笑)
森りょういちさん:それから3ヵ月くらいして話があったんですが、「劇場版です」って言われたんです。『gdgd妖精s』で劇場版!? 初めは「なにかの間違いか?」と思いました(笑)。そしてきちんと説明を受けて、僕の関わり方としては一部脚本とアイデア出しだったので、それくらいならできるかなぁ~と思いました。
菅原そうたさん:森さんは「世界観を壊しちゃうのが怖い」って言うんです。だったら自由にできるパートをメインに関わってもらおうと思いました。その上でいろいろ相談させてもらいました。
森りょういちさん:だから僕が担当させてもらったのは、物語の核心にはそんなに迫らないパートですね。
一同:(笑)
菅原そうたさん:ただ、テンションというかお祭りというか、相当な発火をします。『gdgd妖精s』は3人の妖精のお話なのに「なんか違うのが出てきちゃったよ!」って(笑)。スゲーって思いますね。森さんの本気のパンチはさすがです。
森りょういちさん:『gdgd妖精s』のファンにとっては非常にザンネンなことになってますね……。きっと「僕らの大事なキャラクターを汚すな」って怒られると思います。
菅原そうたさん:いやいやいや(笑)。そもそもあの3人は「3人の世界観」が確立してるから広げるのが難しいんです。あの3人のハーモニーが絶妙なので、他のキャラや声優さんを容易に入れられない。森さんとかでんぱ組.incとか、ものすっごく濃い人じゃないと『gdgd妖精s』には入れられないんですよね。
■ おふたりの収録現場は似ている? レコーディングはセッションだ!
――『gdgd妖精s』と『Peeping Life』の似ているトコロは?
菅原そうたさん:『gdgd妖精s』の1期も2期も、いままで主軸が脚本なのか声優さんなのか、それともCGなのか、はたまたアニメという枠なのか、1つでは言い表せない作品でした。アドリブパートなどはレコーディングで声優さんがしゃべったことを、こっちでかってにCGを作ってきましたからね。だけどそれぞれのお客さんがそれぞれついてきてくれたんです。主軸がなくて、スタッフみんなのセッションみたいな作品なんです。
『Peeping Life』はどうやって作っているのか知りませんけど、たぶん普通のアニメとは違うんじゃないかなと思ってます。声優さんというか、そもそも「森劇場」ですよね? 普通の声優さんに指示をするのではなく、森さんが自由にやってる感じがします。
――いまのお話を聞いて、森さんはどうお考えですか? 収録現場の雰囲気は似ていましたか?
森りょういちさん:だいぶ近かったです。普通のアニメの現場では「このキャラの声優さんを変えてみようか?」なんてありえないと思うんです。そんなことをしたらいろんなところから怒られますからね(笑)。だけど僕らの『Peeping Life』では「立場を入れ替えてみよう」とか、けっこうやったりもしますね。
菅原そうたさん:原作があると指示どおりに作らなきゃいけませんけど、僕らの作品は「いまこの現場で作られているんだ」というのが大切。そもそもプロデューサーが遊ぶノリの考えの人なので、現場でゴーサインが出ちゃうんです。だってプロデューサーがつまらなかったら、そもそもやりませんからね。遊び心がビジネスに勝っちゃってる人たちなんです。たぶん、今回の映画でお客さんが入らなかったとしても「楽しかったね~」で済んじゃう人たちかもしれません。
一同:(爆笑)
■ そして劇場版が完成! 菅原そうたさんの思いは?
――劇場版が完成しましたが、感触はいかがですか?
菅原そうたさん:めちゃくちゃ怖いのが、いままでネットと連動していたのに、それが切り離されて映画になったことです。映画ってのはニコ動と違ってコメントが出ないじゃないですか? 映画館だとツッコめないから、みなさんがどんな反応をするのかなぁと怖いです。おそらく「フフッ」って含み笑いをすると思うんです。
――映画館ってしゃべったり笑ったらいけない雰囲気があリますよね?
菅原そうたさん:そうそう。日本の映画ってコメディーでもなんでもゼッタイに声を出さないじゃないですか? なので『gdgd妖精s』は声を出してもいいんだよって思ってもらわないとね。声を出してもらわないと、全部すべった感じになっちゃう。その悪循環はよくない。でも、心のなかで「オレはおもしろかったぜ」と思ってくれればありがたいですね。
――テレビで放送されたときと違いますね。
菅原そうたさん:テレビのときはすべってもなんでも、「さむーっ!(笑)」ってとりあえず笑ってくれるんですよ。「ピクちゃん演じる三森すずこさんは痛々しくてかわいいなぁ~♪」って(笑)。すべってもなんでも、ニコ動のコメントで、でっかく「大事故」って書かれてたらおもしろいシーンになるんですよ。
――先程から、なぜ「すべる」ことが大前提なんですか(笑)。
菅原そうたさん:あはははは。映画館がねぇ、やっぱ怖いんですよね。せっかく森りょういちさんがおもしろいお話を作ってくれたのに。ね?
森りょういちさん:いやいや(笑)。
■ テレビ版『gdgd妖精s』を振り返って
――先ほど森さんが以前から知っていたとおっしゃっていたテレビ版の『gdgd妖精s』を初めて見たときは、どんな感想でしたか?
森りょういちさん:初めは『Peeping Life』のプロデューサーから教えてもらったんですが、そのプロデューサーが「今のアニメの裏覇権と呼ばれてます」と言うんですね(笑)。それで初めてテレビとニコ動で見たとき、これはDLEさんの『鷹の爪』以来の衝撃なんじゃないかなと思いました。しかもそれが視聴者に受け入れられている。それを見て、時代が変わったんだなと感じました。Flashアニメが出てきたときも業界内で物議はあったんですが、作り手よりも見る側のほうが進んでいたんです。受け入れる土壌があっておもしろかったから見てくれる。『gdgd妖精s』の場合はCGで作られているけれど、プロの声優さんを使ってきちんと見せるという表現を証明しました。視聴者に「CGなんて、どうせシロートが作ったなにかだろ?」と思わせないナニカがそこにあったんです。
菅原そうたさん:MMDとかCGというのを超越して「楽しかったら勝ち」なんです。『Peeping Life』もそうだと思うんだけど、「手の指のポリゴン数が」とか意識しちゃったら楽しめないじゃないですか? すっごく作り込まれたCG映像でも、5分も見ていたら飽きてきちゃう。だけどその世界に引っ張りこんでしまったら、何分でも飽きずに楽しんでもらえる。MMDの映像に一度楽しんでもらったら、その先ずっとこの映像で許してもらえるってワケです。
森りょういちさん:だからこそ『gdgd妖精s』は挑戦的なことができてるんですよね? 「アフレ湖」のコーナーとか。
菅原そうたさん:一番かわいそうなのはアニメーターさん。アドリブをナチュラルに見せるのは、ものすごく大変なことなんです。お客さんからすればナチュラルな動きは「普通にできるんでしょ?」と取られちゃうかもしれないけど「普通な動き」を作るのはとにかく大変なんです。『gdgd妖精s』の場合は実写トレースを使わないので、今回の映画ではすべてポンポコPさん(MMDの取りまとめ役)をはじめMMDer(MMDを使いこなすクリエイター)の方々が想像で動きをつけているんです。あの3人のキャラクターが、あたかも本当にやりとりをしているように見せなきゃいけないの大変ですね。
『gdgd妖精s』はそうやってがんばって映像を作ってますけど、細かいちょっとした動きは『Peeping Life』に嫉妬しちゃいますね(笑)。さりげない動きとか、森さんは本当に上手いな~って思います。
森りょういちさん:ありがとうございます(笑)。僕が『gdgd妖精s』でビックリしたのは、テレビ版は尺が15分くらいあったことです。『Peeping Life』だとありえないですし、作ろうとも思ったことがないです。あれは大変な作業だと思う。
菅原そうたさん:いまはYoutubeとかの動画サイトのおかげで、視聴者の脳は3分区切りで切り替わってるようなんです。だから映像が6分もあったら飽きられちゃうし、1時間の映画とかはもっと観られない脳になってる。起承転結の「起」が10分もあって、しかもなにも起こらなかったら続きを見てもらえない。だから作る側も『gdgd妖精s』は3分を密にねじ込んで、違ったアプローチで戦ってるんです。パッと見は複数の番組をムリヤリくっつけたような感じに見えるかもしれません。
後半では、劇場版の制作秘話から、アフレコの様子など、細かい話を伺っています。こちらもお楽しみに!
(後編は、こちら)
【DATA】
劇場版『gdgd妖精s っていう映画はどうかな…?』
2014年9月27日(土)より、角川シネマ新宿他全国11劇場で公開中!
<CAST>
ピクピク(サラサラ):三森すずこ
シルシル(ファファ):水原薫
コロコロ(クルクル):明坂聡美
魔女:森夏姫
王様:野沢聡
鎧犬/商人:宮本崇弘
王子:森りょういち
■でんぱ組.inc:古川未鈴/相沢梨紗/夢眠ねむ/成瀬瑛美/最上もが/藤咲彩音
<STAFF>
企画:別所敬司/福原和晃/古川陽子/尾山仁康/岩崎拓矢
原案・監督・キャラクターデザイン:菅原そうた
脚本:森りょういち/長部一幸
音響監督:久保宗一郎
録音:今泉武
音響制作:東北新社
音響効果:徳永義明
プロデューサー:別所敬司/福原和晃/鎗水善史/北澤晋一郎/高瀬裕章
制作:ストロベリー・ミーツ ピクチュアズ/ファンカンパニー
制作協力:6次元アニメーション
製作:ストロベリー・ミーツ ピクチュアズ/ファンカンパニー/ポニーキャニオン/TOKYO MX/MEME TOKYO
配給:ポニーキャニオン
>>劇場版公式サイト
●同時上映
『こんな私たちがなりゆきでヒロインになった結果www』
(※略して『なりヒロwww』)
<CAST>
梵(そよぎ)ソクラ:田村睦心
梵プラト:巽悠衣子
梵アリス:内田真礼
キャッツォ統括:西村太佑
DT:落合弘治
<STAFF>
原案・監督・キャラクターデザイン:菅原そうた
脚本:ますもとたくや
制作:ストロベリー・ミーツ ピクチュアズ/ファンカンパニー
「なりヒロwww」テレビアニメ放送開始中!
10月6日(月)25:05~ TOKYO MXで初回放送開始!
10月10日(金)22:45~AT-Xで初回放送開始!
10月8日(水)15時~ニコニコ動画で公開(毎週水曜更新)
10月8日(水)12時~ドコモアニメストアで公開(毎週水曜更新)
>>アニメ公式サイト