ノイタミナムービー第2弾「Project Itoh」より『虐殺器官』『ハーモニー』のスタッフ解禁! 更に『屍者の帝国』が劇場アニメ化決定!
今年3月開催された「ノイタミナラインナップ発表会2014」の場で『劇場版PSYCHO-PASS サイコパス』に続くノイタミナムービー第2弾として発表されて以来、大きな注目を集めている「Project Itoh」。
これまで発表されたのは、2009年に34歳で夭折した小説家・伊藤計劃氏が遺したオリジナル長篇小説『虐殺器官』『ハーモニー』の劇場アニメ化という第一報と、人気イラストレーターredjuiceによる新規ビジュアル。
そして、11月27日に開催された「ノイタミナプロジェクト発表会2015」にて、ついにスタッフ情報や新ビジュアルが解禁されました。
さらに、伊藤氏が遺した序文を、芥川賞作家・円城塔氏が書き継いで完成させたという『屍者の帝国』も2015年劇場アニメ化決定です! 気になる詳細をお届けしましょう!
◆『虐殺器官』『ハーモニー』のスタッフ解禁!
『虐殺器官』は2006年の『Ergo Proxy』以来、国外からも大きな注目を浴び、次回作を嘱望されていた村瀬修功氏が監督を務め、『サムライチャンプルー』など硬質でスタイリッシュな作品に定評があるmanglobeが制作を担当。
『ハーモニー』は、『AKIRA』の作画監督など長きに渡って第一線で活躍し続けるなかむらたかし氏と、『鉄コン筋クリート』で日本アカデミー賞最優秀アニメ映画賞など数々の賞を受賞したマイケル・アリアス氏のダブル監督。制作は『鉄コン筋クリート』他、劇場作品をコンスタントに発表し続けるSTUDIO4℃。
◆新たに、伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』劇場アニメ化を発表!
『屍者の帝国』牧原亮太郎×WIT STUDIO
更にこの日、もう1つ大きな発表が用意されていました。『虐殺器官』『ハーモニー』に加え『屍者の帝国』も劇場アニメ化されることが、イベント内で明らかになりました。この原作は、伊藤氏が遺した30ページの序文を、盟友として知られる芥川賞作家・円城塔氏が書き継いで完成したものです。
「人は死してなお、生きる続けることが可能なのか。」これはまさに病床で執筆を続けた伊藤計劃氏が探求を続けたテーマであり、未完の物語が他者によって書き継がれ完結するという事実さえ、伊藤氏の計劃(プロジェクト)だったのではと実感させるほどの必然的帰結として受け入れられます。
『虐殺器官』『ハーモニー』で描かれた近未来から一転、『屍者の帝国』は産業革命を経て活気づく19世紀末のロンドンで幕を開ける。前世紀にフランケンシュタイン博士が開発したとされる「死体蘇生技術」により、“死者=屍者”を新たな労働力として活用するというサイバーパンクな都市設定。
主人公は、シャーロック・ホームズの相棒となる以前、医学生のジョン・ワトソン。彼はある目的のために屍者・フライデーを伴い、世界各地で冒険譚を繰り広げる。行く先でワトソンが突きつけられるのは「生者と死者」の境界線。魂の在処(ありか)。
第33回日本SF大賞特別賞を受賞した本作の劇場アニメ化を手がけるのは、『ハル』でロボットと人間の恋愛模様を繊細に描いて劇場監督デビューを飾った俊英・牧原亮太郎氏と、『進撃の巨人』のWIT STUDIO。
同スタジオでの牧原監督作品は『ハル』に続く2作目であり、信頼の絆で結ばれたスタッフが再集結しました。
◆redjuice氏が全作品のキャラクター原案を担当! 新ビジュアル公開!
既に『虐殺器官』『ハーモニー』の第1弾ビジュアルは公開されていますが、この日、『屍者の帝国』も含めた『Project Itoh』全てのキャラクター原案でredjuiceが参加することも正式に発表されました! ノイタミナへの参加は、TVシリーズ『ギルティクラウン』以来です。
そしてこの発表会では、『虐殺器官』『ハーモニー』の第2弾ビジュアル、『屍者の帝国』の解禁ビジュアルが発表されました。
『虐殺器官』は主人公、クラヴィス・シェパード率いる特殊暗殺部隊の4人。
『ハーモニー』はヒロイン、霧慧トアン監察官と、権威の象徴でもある赤いコートを纏ったエリート達。そして『屍者の帝国』はワトソンと、彼が行動をともにする屍者・フライデーが描かれています。
それぞれの制作チームとコミュニケーションをとりながら、redjuice氏が生み出していった数多くのキャラクター陣に、今後も注目して下さい!
◆メインスタッフ達のコメントが到着!
★今回、監督一挙解禁に伴い、3作品の監督、redjuice氏、そしてプロジェクトのチーフプロデューサー山本幸治氏よりそれぞれコメントが寄せられました。
●『虐殺器官』村瀬修功監督コメント
人間は他の動物と異なり「ことば」によって事象を伝達し相互認識する事で地球を覇権するまでに至りました。
人間を進化させてきた筈の「ことば」が人間を窮地に追い込む。そんな様を今回の作品で映像化するのが楽しみです。
●『ハーモニー』なかむらたかし監督コメント
『ハーモニー』の原作は、依頼を受けて初めて知りました。文体のスタイルがあっての小説なんだなと感じまして、映像化する事で物語のシンプルさだけが浮き上がって来はしないかと危惧はありました。アニメを作る上で、SF小説の使命である黙示的要素、さらに皮肉と毒が込められている原作とどう折り合うのか、魅力あるエモーションが生まれてくれれば良いかなと、願っています。
●『ハーモニー』マイケル・アリアス監督コメント
『ハーモニー』は、出たばかりの時に初めて読みました。ハードSFですし、現代から約60年後の話ではありますが、読んだ印象は(むしろ)凄く現実的で、今こそ皆が考えるべきテーマのたくさん詰まっている作品だと思います。読んだ当時はまさか自分が今になってSTUDIO4℃でなかむらたかしという素晴らしいアニメ作家と一緒に映像化することになると思ってもいませんでした。(笑)
●『屍者の帝国』牧原亮太郎監督コメント
伊藤計劃先生の作品はいつか映像化するんだろうなと楽しみにしていたファンの一人です。『屍者の帝国』も円城先生が続きを書かれると聞いてから発売を楽しみにしていました。『屍者の帝国』は伊藤先生的問題設定と円城先生のクールで時に悪戯な文のミックスが魅力的で、お二人の関係性も感じ(妄想し)ながら読ませて頂きました。
今自分の机の周りにはお二人の魂からなる「物語」が物質化し、動画の紙束として山のように積まれています。
「霊魂」(anima)を与えて「動かす」(motion)。アニメーションと作品との不思議なリンク、文学から映像と表現を変えて引き継がれていく、その必然を感じながら日々制作に励んでおります。
●『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』キャラクター原案・redjuice氏コメント
弾丸と言葉のリアリズムで描かれた『虐殺器官』、現代社会の延長とも言える近未来を舞台に繰り広げられる儚い命の物語『ハーモニー』、19世紀を舞台とし、様々なギミックが楽しめる冒険活劇『屍者の帝国』。3つの全く異なった世界観を持つ作品と同時に向き合うという大役を授かることになりました。より多くの方々の心に届くような、きっかけとしての絵を作れれば良いな、と日々筆を走らせています。
●山本幸治チーフプロデューサーコメント
人は何故生まれてきて、どこへ向かうのか。小説家は物語を遺すことで、どこに至ろうとしたのか。
何か求めてやまないその魂が、映像にも宿ってほしい。遺された物語が、人々の心を揺さぶってほしい。
★その他、今回発表となった『屍者の帝国』のredjuice書下ろしのイラストカバーバージョンの文庫原作も近日書店に並ぶ。また「月刊ニュータイプ」にて『虐殺器官』『ハーモニー』のコミカライズも決定し、ニュータイプ創刊30周年企画の一連で2015年春から連載予定。今後の「Project Itoh」の展開にますます期待が高まる。
◆作品情報
『虐殺器官』
原作:伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)
監督:村瀬修功『Ergo Proxy』
キャタクター原案:redjuice
アニメーション制作:manglobe『サムライチャンプルー』『Ergo Proxy』
公開:2015年公開予定
『ハーモニー』
原作:伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)
監督:なかむらたかし『AKIRA』(作画監督)『ファンタスティックチルドレン』
マイケル・アリアス『鉄コン筋クリート』
キャラクター原案:redjuice
アニメーション制作:STUDIO4℃『鉄コン筋クリート』『ベルセルク』
公開:2015年予定
『屍者の帝国』
原作:伊藤計劃×円城塔(河出文庫)
監督:牧原亮太郎『ハル』
キャラクター原案:redjuice
制作:WIT STUDIO『ハル』『進撃の巨人』『鬼灯の冷徹』
公開:2015年公開予定
◆コミカライズ情報
「月刊ニュータイプ」にて2015年春、創刊30周年記念企画として下記コミカライズ決定。
1.『虐殺器官』 画:麻生我等『009 RE:CYBORG』
2.『ハーモニー』 画:三巷文『キャプテン・アース』
※詳細は後日公式HP、ニュータイプ誌面等にて発表予定
◆伊藤計劃プロフィール
1974年生まれ。2009年3月20日、死去。享年34歳。美術大学を卒業後、企業に勤める傍ら執筆活動を開始。2006年『虐殺器官』が第7回松左京賞最終候補となり、ハヤカワSF文庫シリーズJコレクションより作家デビュー。同作は「SFが読みたい!」第1位、月刊プレイボーイミステリー大賞1位等を獲得。2009年第2作目『ハーモニー』で第30回日本SFミステリ大賞を没後受賞。2010年、同作の翻訳版がフィリップ・K・ディック記念賞の特別賞を受賞。長編オリジナル第3作となるはずだった『屍者の帝国』は、序文30ページのみが遺され、盟友であり芥川賞作家の円城塔に書き継がれる。同作は共著として2012年に刊行され、第44回星雲賞日本長編部門、第33回日本SF大賞・特別賞等を受賞。
◆円城塔プロフィール
1972年、札幌市生まれ。東京大学大学院修了。2007年、『オブ・ザ・ベースボール』でデビュー。『道化師の蝶』で芥川賞、『Self-Reference ENGINE』でフィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。
伊藤計劃との共著『屍者の帝国』で日本SF大賞特別賞、星雲賞日本長編部門を受賞。
◆redjuiceプロフィール
高知県出身のイラストレーター・デザイナー。Supercell、livetuneとのコレボレーションで話題となって以降、漫画・イラスト雑誌への寄稿、アニメ・ゲームのキャラクターデザイン・キャラクターフィギュアの原案などで活動中。代表作はアニメ『ギルティクラウン』キャラクター原案、小説『BEATLESS』イラスト等多数。
◆原作情報
●虐殺器官
伊藤計劃
illustration : redjuice
刊行日 : 2014/8/8
価格 : 778円(税込)
ハヤカワ文庫JA
米情報軍大尉クラヴィス・シェパードは、後進諸国で頻発する内戦や虐殺の背後に存在する謎の男、ジョン・ポールを追うが……。伊藤計劃×円城塔の対談を収録した新版。
●ハーモニー
伊藤計劃
illustration : redjuice
刊行日 : 2014/8/8
価格 : 778円(税込)
ハヤカワ文庫JA
優しさと倫理が支配するユートピアで、3人の少女は死を選択した。13年後、死ねなかった少女トァンが、人類の最終局面で目撃したものとは? 2011年米フィリップ・K・ディック賞特別賞受賞作。
●屍者の帝国
伊藤計劃×円城塔
illustration : redjuice
刊行日 : 2014/11/6
価格 : 824円(税込)
河出文庫
屍者化技術が普及した19世紀末、大英帝国の諜報員ジョン・ワトソンは戦乱のアフガニスタンに潜入。カラマーゾフより渾身の依頼を受け、魂の秘儀を求めて世界を駆ける。伊藤計劃の絶筆を円城塔が完成させた超大作。
>>「Project Itoh」公式サイト
(C)Project Itoh / HARMONY
(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES