幾原邦彦監督と荒川美穂さんが語る作品の魅力とは? 『ユリ熊嵐』先行上映会レポート
『輪るピングドラム』や『少女革命ウテナ』などで知られる幾原邦彦監督が手がける新作オリジナルアニメーション『ユリ熊嵐』が、2015年1月よりテレビ放送を開始する。本作は、多くの百合作品を描いてきた漫画家・森島明子さんがキャラクター原案を担当しており、森島さんによる同名のコミックスも現在発売中だ。
そして、多くを謎に包まれた本作の先行上映会が2014年12月7日(日)、角川シネマ新宿で行われた。このイベントではアニメ第1話上映後に監督の幾原監督と荒川美穂さん(百合城銀子 役)が登壇しトークショーを開催。本稿では、トークショーの模様をメインにレポートでお届けしていく。
●ミステリアスかつ百合要素が満載!
イベントは先行上映会からスタート。アニメ本編では、可愛らしい女の子たちが動き回り、「ユリ」の名に相応しいファンシーな世界が展開。さらに、ヒトを襲う「クマ」の登場や細部にまでこだわった映像が怪しい雰囲気を醸し出していく……。二転三転しそうな予感がするほどのミステリアスなストーリーは、放送まで楽しみにお待ちいただきたい。
●製作の裏話が溢れるトークショー
上映後は幾原監督と荒川さんが登壇しトークショーが開催された。劇中に登場する「クマ」のぬいぐるみを持って両者とも可愛らしい出で立ちだ。最初の話題は『ユリ熊嵐』誕生秘話について。「前作の『輪るピングドラム』のときに思いつきました。作品の制作に煮詰まっていると、他のことを考えたくなるんですよ(笑)」(幾原監督)と大胆な発言が。さらに、「その中で次の作品でお会いしたい作家さんや漫画家さんを思い浮かべていて、その中のひとりが森島先生でした。その時はすぐ作り出すとは思っていませんでしたけど」と当時の状況を語る。
キャラクターにも様々なこだわりを見せる本作。「百合城銀子の最初のイメージは、ボーイッシュで活発な女の子でした。ですが、いつも一緒にいる百合ヶ咲るるの台詞を聞き流したり、クールなところもあって、いろんな面があるキャラクターなんだなと思いました。アフレコではミステリアスに、と指摘を受けましたね」と自身が演じる役にコメントする荒川さん。これに対し幾原監督からは、「可愛いんだけど、不気味なところもあるキャラクターです。ゾンビっぽいっていう感じかな?(笑) 背後にあるニュアンスを出せるように意識しています」というコメントも。
本作で気になるところといえば、やはり百合的な要素だろう。しかし、意外にも幾原監督は特にこだわっている部分はあまりないそうだ。「僕はタイトルから入るほうなので、タイトルを思いついたときに「これだ!」と思いました。タイトルが出来上がって、「これをやれるのは森島さんしかないな」と思ったんです」(幾原監督) そう語るも、幾原監督の自身に満ちた表情に期待せざるを得ない。
荒川さんによると、アフレコも楽しく収録が進められている様子。「私と生田善子ちゃん(百合ヶ咲るる 役)の誕生日が近くて、アフレコ現場に幾原監督が北海道から取り寄せたケーキを差し入れてくださったんですよ!」と嬉しそうに語る荒川さん。「ケーキか鮭か迷ったんですけどね(笑)」と幾原監督も冗談っぽくコメントを返す。
さらにここでも幾原監督のこだわりを垣間見えるコメントが。「キャラクターの演じ方をある程度は想定していますが、テストの段階でどんな芝居を見せてくれるのかまずチェックします。自分のプランとは違った芝居が出てくるかもしれないけど、そこから何かが生まれて作品に与えられるときもあるので。僕もずいぶんと大人になりましたよ。昔は人のプランは受け付けませんでしたから(笑)」と昔を懐かしみつつ、制作への取り組みの移り変わりを語った。
話は尽きないが、ここで終了の時間へ。ラストはお二人から会場のファンへ向けてメッセージが贈られた。こちらを最後にご紹介しよう。
◆幾原監督
ついに『ユリ熊嵐』が始まります。スタッフも放送前の追い込みを頑張っています。どうか応援よろしくお願いします。ガウー!
◆荒川さん
私はデビュー作から監督にお世話になっていて、またこうやってご一緒させていただけることを嬉しく思っています。頑張って元気に銀子を演じていきますので、アニメの放送を楽しみにしていてください。
■テレビアニメ『ユリ熊嵐』
【放送時期】
TOKYO MX:2015年1月5日より毎週月曜日 深夜0時30分~
MBS:2015年1月6日より毎週火曜日 深夜3時30分~
テレビ愛知:2015年1月6日より 毎週火曜日 深夜2時05分~
BS11:2015年1月7日より 毎週水曜日 深夜0時00分~
AT-X:2015年1月13日より 毎週火曜日 夜11時30分~
※放送日時は変更になる場合があります。
【スタッフ】
原作:イクニゴマモナカ
監督:幾原邦彦
副監督:古川知宏
シリーズ構成:幾原邦彦 伊神貴世
キャラクター原案 :森島明子
キャラクターデザイン:住本悦子
プロップデザイン:阿保孝雄
色彩設計:木村聡子
美術監督:中村千恵子
スペシャルテクスチャー:越阪部ワタル
撮影監督:荻原猛夫
編集:西山茂
音響監督:幾原邦彦 山田陽
音楽:橋本由香利
音楽制作:KADOKAWA(メディアファクトリー)
アニメーション制作:SILVER LINK.
【メインキャスト】
百合城銀子:荒川美穂
百合ヶ咲るる:生田善子
椿輝紅羽:山根希美
ライフ・セクシー:諏訪部順一
ライフ・クール:斎賀みつき
ライフ・ビューティー:山本和臣
泉乃純花:小倉唯
百合園蜜子:悠木碧
百合川このみ:小清水亜美
針島薫:日笠陽子
箱仲ユリーカ:井上喜久子
椿輝澪愛:遠藤綾
【イントロダクション】
あるとき、宇宙のかなたで『小惑星クマリア』が爆発した。こなごなになったクマリアが流星群になって地球に降り注ぐと、何故か地球上の『クマ(熊)』が一斉に決起し、人類に襲いかかった!『ヒトVS クマ』クマはヒトを食べ、ヒトはクマを撃っち、果てのない戦いと憎しみの連鎖。やがて、ヒトとクマの間には巨大な『断絶の壁』が築かれ、互いに不可侵な状態となった…。
ヒトの世界。ある朝、嵐が丘学園の生徒、椿輝紅羽(つばき くれは)と 泉乃純花(いずみの すみか)は二人きりで花壇に咲いた「百合の花」を見ていた。二人は『友だち』であり【 恋人 】。花壇は二人にとって大切な場所なのだ。見つめ合う二人。そのとき【クマ警報】がけたたましく鳴る!クマがヒトの世界に侵入し、ヒトが襲われたのだ! そのクマは果たして…? 謎が謎を呼ぶ怒涛の連続! 『ユリ熊嵐』が華麗に開幕!
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