作り手も、拳と拳の殴り合いするくらいの情熱とこだわりで作っています──アニメ『血界戦線』阪口大助さん、小山力也さん、中井和哉さんにインタビュー
内藤泰弘さん原作の人気マンガ『血界戦線』(集英社『ジャンプSQ.19』連載)がアニメ化し、4月よりオンエア開始! 『血界戦線』は異界と人界が交わる元ニューヨークのヘルサムレズ・ロットを舞台に、世界の均衡を保つために活動する秘密結社ライブラのメンバーと、制圧を目論む血界の眷属(ブラッドブリード)との戦いを描いたバトルアクションSF作品。
今回アニメイトTVではアニメに出演する阪口大助さん、小山力也さん、中井和哉さんの3人にインタビューを敢行。見どころや魅力を語ってもらった。
■緻密でハードなSFでありながらも拳を交え合う熱い作品
──原作を読んだ時の印象は?
レオナルド役・阪口大助さん:ハードなSF作品であり、設定も緻密だけど、バトルは拳と拳の殴り合いで、僕が昔、大好きだった少年マンガを思い出しました。またところどころにギャグ要素も散りばめられていて、入りやすい作品だなと。特に男子は燃えるし、ハマるんじゃないかな。
クラウス役・小山力也さん:元ニューヨークが舞台なのに、漢字が踊っているのもおもしろいですね。
ザップ役・中井和哉さん:「技名を叫んでから殴る」というキャッチフレーズがありますが、「今からこの技をやるから」と叫んだら、ちゃんと漢字が踊ってくれて。その気持ち良さがありますよね。
小山さん:技名がドイツ語なのに、漢字が踊るという。
阪口さん:和洋折衷ですね。どうもドイツ語だけではなさそうですけど……。
小山さん:これでもう勝ったも同然です! 海外では漢字がクールだと言われて人気があるので、きっとフォリナーの方々にウケるのでは?
中井さん:なぜ外国人を、フォリナーと英語に!?(笑)
小山さん:アニメでどう漢字が踊るのかなと期待が膨らみつつも、ワールドワイドに展開して、夏頃には全世界で血界の眷属(ブラッドブリード)のコスプレイヤー達が……あっ、それは敵だ。
(一同爆笑)
小山さん:我々、秘密結社ライブラのメンバーのコスプレが流行ると確信しました。
中井さん:読んだ時、詰まっている作品だなと。セリフの情報量や絵の密度もそうですし、世界の設定というか約束事にもズシッとした塊感があって、ハマりがいやこの世界の住人になりがいがある物語だなと思いました。
阪口さん:異界(ビヨンド)と人界という2つの世界軸があったり、血界の種族にまつわる設定など、一見複雑そうに見えるけど、異界とつながってしまったニューヨーク以外は普通の世界ですし、意外とシンプルですよ。
小山さん:異界と人界の均衡を守るのが目的で、僕らライブラのメンバー達は戦っているわけですが、それも2つの種族が共存するためですから。目的も手段も実はシンプルなんです。
■監督の中に明確な設計図。そのイメージにいかに近づけられるか
──収録も始まっているそうですが、実際に演じてみての感想は?
中井さん:原作を読んであらかじめイメージして収録に臨んだわけですが、松本監督の頭の中には更に深いイメージがあって。
阪口さん:監督の中で設計図ができているんだよね。
中井さん:世界観というよりは個々のキャラについての説明を綿密に。自分自身もすごく納得できたし、他のキャストさんへの説明を聞いてても「なるほどな」と気付かされることが多かったり。現場でもう一歩深く踏み込めたような手応えを感じました。
阪口さん:自分の中で作ってきたレオと、監督の意図するものをどう近付けていくか、とにかく一生懸命で、1話はいっぱいいっぱいでしたね。元々、セリフ量も多かったし、「モノローグはこういう感じだろうな」と考えていたら、更に強弱や語尾など監督の中で出来上がっていたので、それをどう表現するのがいいんだろうと……。とにかく1話は難しかったです。
中井さん:監督語があるんですよね。「こういう表現で伝えようとするんだ」って。よく「3倍」って言いませんか?
小山さん:確かにそうだね。
中井さん:「今の3倍くらいで」と言われて、「えっ? 3倍!?」って(笑)。
阪口さん:監督は天才肌というか、感覚が鋭い方なので、懸命に僕らに言葉で伝えようとしてくれるのもわかって。この作品は音響監督がいないため、監督が収録でもディレクションされるんです。だから僕らもどう汲み取って表現するか、やりがいもあるし、おもしろいですね。
小山さん:とにかく熱心だよね。あと今は若い現場が多くて、自分が年長とか2番目みたいなことがよくあって、若い子達があいさつに来てくれるけど、この作品の収録では僕のほうから「どうもご無沙汰してます。お世話になります」とあいさつにうかがわなきゃいけない大変な現場で(笑)。先輩方にお会いできるのはありがたいですし、気も引き締まりますね。それで監督だけお若いんですよね。
阪口さん:こういうベテランの先輩方がたくさんいる現場はアニメでは少ないですからね。キャスティングされたスタッフの皆さんの意気込みも感じます。
■収録は演じる前よりもキャラを更に深く掘り下げる作業
──演じるキャラクターの印象や演じる時に心がけていることは?
阪口さん:ライブラはクラウスを筆頭にとんでもない能力を持った人達の集団ですが、レオはその中にいる凡人です。特に身体能力も知力も高いわけでもなく、何か優れているわけでもなく。記者見習いという設定ですが、スーパーマンのクラーク・ケントみたいな超人でもなく、ライブラに入ったきっかけも偶然で。僕が今、抱いている音速猿(ソニック)が原因なんですけど、(なでながら)かわいいです(笑)。ただ信念を曲げない強さはあるので、心は強いんでしょうね。収録では監督からひと言ひと言のセリフについてディレクションがありましたが、僕が考えている以上に監督の中のレオはしっかりしているんだろうなと。僕はもっと流されやすい人なのかなと思ったけど、しっかり芯を持たせて。だから逆境にも立ち向かえるし、ライブラのメンバーの中にいても立ち回れるんでしょうね。
中井さん:ザップは強いし、天才だし、プロフェッショナルな男だけど、風体や口調からはそれを感じさせなくて。でもメンバーからは信頼されているのがわかります。
演じる時も、しゃべる口調はマンガのセリフのように荒っぽかったり、だらしなく見えるけど、仕事への向き合い方や志をしっかり持っている部分を大切にしなきゃいけないと考えながらやっています。監督からは「やさぐれ感やあらくれ感はあるけど、それよりも仕事に対して真っ直ぐな部分を出してほしい」と言われました。
レオは、新たに迎え入れた後輩ということもあって、うれしくてついちょっかいを出してしまうのかな。クラウスにはまったく敵わないし、今後もその可能性を感じません(笑)。それでも挑まずにはいられないのが彼の真っ直ぐさや良さなのかなと思います。原作では女性に関してだらしないけど、TVでどこまでやれるのか?(笑)
小山さん:クラウスはライブラのリーダーで、崇高な人なので、ごり押し、力押しだけにならないように心がけています。普段、穏やかで感情表現が豊かで強さを決してひけらかさない人だからこそ、戦闘モードに入った時の強さが際立って。目的意識がちゃんとあって、一瞬にして敵を殲滅できる。だから「手始めに」と言えるだけの、大きな人間を作らなければいけないと、日夜邁進しています。
阪口さん:クラウスは完璧なんですよね。人間的にも人格者だし、頭脳もあるし、戦闘能力も高くて。吸血鬼に対抗できるのはクラウスだけですし。
小山さん:でも心の痛みも弱さもあって。監督からは「ここはもっと緊張感を」とか「ここは怒りを出しましょう」と具体的な指示があるので、そこは明確ですね。
■阪口さんが手に汗握ったシーンとは?
──この作品ではバトルがやはり見どころの1つだと思いますが、バトルシーンを演じる時は大変ですか?
小山さん:クラウスは一発でなぎ倒してしまうので。ただ結構、難しいことをしゃべっているので、どうやれば印象に残るか、考えますし、「ここは一拍置いて」とか「上げ幅をこうしましょう」とディレクションしてくださって。でも任せてくださる部分が多いので、「これでいいのかな?」と。
中井さん:僕はこの時点ではあまり戦ってなくて(笑)。
小山さん:チャラチャラしてるほうが多いよね。
中井さん:そうですね。それと人にツッコんでる時のほうがカロリーを使っているかもしれない(笑)。でもバトルではキメる時はキメる感じのカッコ良さで、気持ちいいですね。
技名ありきの戦いは。
小山さん:血を使った戦闘術だし、絵も激しいけど、生臭くないんですよね。スタイリッシュに感じることさえあって。
阪口さん:僕も戦いたい、技が欲しいです。ライブラに入ったとはいえ、まだ傍観者でしかないんですよね。解決には役立っているけど、まだライブラに完全には溶け込んでいないかも。立ち位置がふわふわしてますね(笑)。
──ライブラが戦う相手、ブラッドブリードについてはどう思われますか?
阪口さん:強いですよね。見ていてこちらも緊張するような、手に汗握る展開で。「すごいな」と声を出してしまいそうなシーンもありました。
中井さん:僕が印象的だったのは、レオと妹のミシェーラのエピソードですね。あのシーンだけファンタジックなんですよね。2人の関係性や絆、想いの強さも描かれていて。
小山さん:僕は、クラウスがゲームでバトルした時のエピソードが印象に残っています。頭脳、精神、体力を駆使した戦いにはビックリしました。
■拳と拳の殴り合いするくらいの情熱とこだわりで作られた作品を見逃すな!
──この作品の魅力、見どころをお願いします。
小山さん:異界と人界の均衡を保つ戦いとシンプルにまとめられますが、一人ひとりのキャラには大きなバックボーンがあって、奥深く描かれているんですよね。だからこそ、思い入れを持って見ることができると思うし、視点を変えることでいろいろ楽しめると思います。原作よりもセリフが少ないキャラもいますが、ひと言ひと言に厚みがあって、奥深いからこそベテランの方がたくさんいらっしゃると思うし、そういう場所に自分もいられることがうれしいです。そしてアニメを見た後に原作を読んでいただくと更に楽しめると思います。
中井さん:アニメ化に際して削らざるを得なかった部分もあるんですが、原作が隙無く作り込まれているから、切られている部分からにじみ出るものが必ずあって、本当なら30分にするのが不可能な作品をあえてすることで出る深み、味わいがきっと出ていると思います。原作ファンの方も純粋に「すごい!」と思っていただけると思うし、アニメから入った方も原作を読めば楽しさ倍増です。僕が原作を読んで感じた「塊としてすごい!」を更にパワーアップした映像になっているし、コメディなど入りやすさもあって。いったん見始めると一瞬も見逃せないような1コマ、1シーンになっていて。
小山さん:だからオンエアを見た後もブルーレイやDVDが必要なんです!
阪口さん:さすが宣伝上手! でもブルーレイやDVDを出るのを待つのではなく、毎回、画面に集中してくださいね。この作品にはすごいスタッフさん、キャストさんが集結して、それだけでも奇跡的なことだと思うし、僕も毎回収録するたびに刺激を受けています。作り手も、拳と拳の殴り合いするくらいの情熱とこだわりで作っているのでたくさんの方に見てほしいです。この記事を見て、オンエアが待てない方は原作をじっくり読んでおいてくださいね。
小山さん:我々、男性なら誰でもテンションが上がって、ハマる作品だと自信を持っていえますが、女性の方ももちろん楽しめますよ! ハードだけどスタイリッシュで、それは映像の見せ方や音楽による部分も大きいと思いますが、男女誰でも、そして日本だけでなく、世界が楽しめるアニメになったと思います!我々も世界からのイベント出演のオファーをお待ちしております。
TVアニメ『血界戦線』は2015年4月より放送スタート!
◆テレビアニメ『血界戦線』作品概要
TVアニメ2015年4月より放送開始!
>>TVアニメ『血界戦線』公式サイト
>>TVアニメ『血界戦線』公式ツイッター(@kekkaisensen)
>>TVアニメ『血界戦線』公式フェイスブック
>>公式webラジオ『TVアニメ「血界戦線」技名を叫んでから殴るラジオ!』