デビューまでの軌跡は、ブラック・ジャックのように波乱万丈!? TVアニメ『ヤング ブラック・ジャック』の主題歌を歌うUMI☆KUUNにインタビュー
音大卒業のYouTuberで、この秋、冠番組も始まるなど多方面で活躍中のUMI☆KUUN(うみくん)がアニメ新番組『ヤング ブラック・ジャック』のOP主題歌「I am Just Feeling Alive」で10月28日にメジャーデビュー! そんな注目のUMI☆KUUNのメジャーデビューまでの経緯やデビューシングル「I am Just Feeling Alive」、話題騒然になった半裸のコスプレ写真、アニメイトTVで配信中のラジオやテレビ冠番組などについてたっぷり語ってもらいました。
■ 『もののけ姫』との出会いが音楽の道の始まり
――音楽を始めようと思ったきっかけは?
UMI☆KUUN:小学生の時、『もののけ姫』を観て、久石譲さんの音楽に感銘を受けて、物心つかない時に嫌々習わされていたピアノをしっかり学ぼうと思ったのが自分の意志で音楽を始めたきっかけでしょうか。また「みんなのうた」も大好きで。そして高校に入って、進路を決める時期になって、ワンチャンスつかむために東京に行って音楽をやりたいなと思ったけど、父が教員で「最低限、教員免許を取ってもらわないと」と言われて。音楽と教員免許取得の両方実現しようとしたら音大しかなかったんです。
――幼少期からピアノを習っていたからハードルが高い音大合格もクリアできたのでは?
UMI☆KUUN:それがギリギリで。久石さんに憧れていたので音大の受験生に教える先生に僕が弾くピアノを聴いてもらったら「ヘタ。無理」と言われ、翌日にもう一度、打開策を聞こうと思っていたら体育のソフトボールの授業で指を骨折して。「ヘタだし、運もないし」と逆に同情してくれて、「声楽だったら才能さえあればどこかの音大に入れるかも」と別の先生を紹介してくれて、車で数時間かかる先生のところへ行ったら「イケるんじゃない!?」とやる気になってくれて、2年間みっちり教わって東京音楽大学声楽科に入学することができました。
■ 音大卒業後ひきこもりに。立ち直るきっかけは動画投稿!?
――計画通りの順調な音楽人生に見えますね。
UMI☆KUUN:それがそうでもなくて。入学後に何を学ぶのか、どうするのか考えていなかったため、軽くカルチャーショックを受けて。東京に来たら何かあるのかなと思っていたけど何もなく、そのうち、ひきこもりに(笑)。その時に深夜アニメなどを見て、心が浄化され、音楽の先生にも「もうちょっと頑張ってみよう」と励ましの手紙をもらったりして、一歩外に出て何とか教員免許取得&卒業できました。
――音大卒業後はどんな進路を?
UMI☆KUUN:教員試験を受けるとか、次のアクションを起こすところまで心の折り合いがつかなくて、また2年ほどバイトをしながらふらふら生活してました。そんな中で、子供の頃から映像を作るのが好きで、友達にドッキリを仕掛けてその様子を撮影して本人に見せるなど悪質なイタズラ(笑)をしていたら、「ひくけど、映像のクォリティは高いからYouTubeとかニコニコ動画で自分を表現して、真っ当な人間になりないなよ」と友達に言われて。それで映像の投稿を始めたのが約1年半前で、世の中に自分や音楽を発信した出発点でした。
――僕もアニソンカバーを歌っている映像を見ましたが、カットもよく変わるし、演出など本格的で驚きました。
UMI☆KUUN:ありがとうございます! ひきこもりの時期に、いかに友達を驚かせるかに熱中して、我流で学んだ技術が活かせてよかったです(笑)。
■ 動画投稿から繋がったメジャーデビュー
――YouTuberとして世の中に発信していく中で、メジャーデビューにつながったターニングポイントは?
UMI☆KUUN:具体的にこうしたいというイメージはなかったけど、表現やクリエイティブなことで生業になればいいなとは漠然と思っていました。発信を続ける中で、Web上でもリアクションがあったり、自分が普段読んでいる雑誌からインタビューのオファーやイベントのお誘いをいただくようになって。一緒に音楽をやりませんかというメールもたくさんいただいて。その中で今のメーカー担当の方からお話をいただいて、SNSでやり取りを重ねる中で意気投合してお世話になることになりました。
――まさにサクセスストーリーですね。
UMI☆KUUN:でもそのお話をいただくまでにいろいろな経験もしていて。卒業するまでの間に芸能事務所からのお話をいただいたり、ミュージカルなどのオーディションをたくさん受けたりもしました。そして「デビューができるよ」と言われて、「やった!」と思ったら「まず15万円入金してくれ」と。母も喜んでくれたけど、お金が必要だから貸してと話したら「それ、危なくない? お父さんに相談するから2日待って」と保留に。その次の日にネットニュースで、詐欺でそのレーベルが摘発されるという(笑)。それ以来、宣材写真に一円も払いませんからと用心深くなり、今回お話いただいた時も疑いながら、「育成費とか払いませんから」って(笑)。
――すごい体験ですね(笑)。
■ 感謝と決意を込めたアーティスト名表記
――今までネットなどを介してつながってきた皆さんとの関わりは今後も大切にしたいとのことですが。
UMI☆KUUN:はい! それはアーティスト名義にも現れていて。今回、プロとして活動していく決意としてアーティスト名義が必要だなと考えた時、普段、UMI☆KUNという名前で発信していますが、“U”を1つ増やして。いつも一緒に楽しんでくれる皆さんや音楽活動に関わってくれるスタッフさんなど、周りで支えてくれる人達の総称、あなた(YOU=U)をずっと大切にしたいという意思表示です。「いいね!」という1つのコメントですごくテンションが上がるし、励まされてきました。そんな皆さんへの感謝の気持ちも今後も一緒にという願いを込めて。
■ プレッシャーに負けず、自分らしく振り切る決意。国内外の応援に後押しも!
――デビューが決まったのはいつ頃ですか?
UMI☆KUUN:今年の7月くらいかな。結構、近々で(笑)。デビュー曲がアニメの主題歌と聞いた時はすごくビックリしました。ずっとアニメが好きで見てきたので、言葉にならないくらいうれしかったです。それと同時に『ヤング ブラック・ジャック』という大作のテーマ曲で、プレッシャーもありました。でも中途半端な曲じゃなく、振り切ってやろうと。
――ファンの方に報告した時の反響は?
UMI☆KUUN:「ウソでしょ!?」とか「またまた冗談ばっかり」みたいな(笑)。でもみんな、喜んでくれたし、楽しみにしているよと。また先日、フランスの『JAPAN EXPO』に行きましたが、今、フランスでも『ヤング ブラック・ジャック』が放送されていて、クレジットで僕の名前を見て、写メで送ってくれたり。いろいろなことがミラクルなタイミングで起こって、ツイてるなと思います。
■ 大きな時代のうねりとパワー、手術シーンに釘付け! 素晴らしいOP映像にも感動
――『ヤング ブラック・ジャック』という作品の印象は?
UMI☆KUUN:『ブラック・ジャック』は全編に渡ってシリアスでハードな雰囲気が漂っていましたが、この作品ではブラック・ジャックが医学生だった頃のお話ということもあり、フレッシュでエネルギッシュ、時にコミカルさもあって。また60年代の学園紛争など熱い時代感なども肌で感じられて。もちろんリアルな手術シーンなど緊迫感や手に汗握るシーンもあって、毎回1秒も目が離せません。
――自分の曲が流れるOP映像をご覧になった感想は?
UMI☆KUUN:感動しました! 間の若さや躍動感に、ハードな状況やタフさも描かれていて、素晴らしいです。でも毎回OPを見るたびに「もっとこう歌えばよかったかな」と楽しみよりも反省のほうが多くなって。やっぱり自分もアニオタなので(笑)。
■ デビュー曲は自身と主人公を重ねて、今、生きている実感を歌う
――OP曲「I am Just Feeling Alive」はご自身で作詞されていますが、どんなイメージやテーマで歌詞を書かれたのでしょうか?
UMI☆KUUN:作品に通じるものと現状の自分の心情の共通点も入れていきたいなと。この作品で僕にとってインパクトの大きなキャラはブラックジャックのライバル的な存在の若き日のドクター・キリコなのですが、キリコは医者であるがゆえにオペをするのに対して、間は自分が生きるためにオペをすると言っていて、そこがとても共感出来ました。僕自身も自分が生きている実感がなくて、どこかに僕を必要してくれる人やおもしろがってくれる人がいてほしいという想いから動画の発信を始めて、今色んな人と繋がれて、そのおかげで生きている実感が湧きました。そのイメージを主体に歌詞を書いていきました。ブラックジャックも巨額の借金などいろいろな事情はあるけど、オペをしている瞬間だけは“Feeling Alive”(生きている実感)を感じているんじゃないかと思って。あとは原作の好きなシーンも読み直しながら、歌詞の中に“残酷な世界と希望の狹間(はざま)”や“つぎはぎのDestiny”などの作品にまつわる言葉を意味が通るように入れて歌詞を完成させていきました。
――“信じてくれるAlwaysたった一人でいればいい”や“信じ続けることAlways最後の最後まで”など確かにUMI☆KUUNさんと間の共通項を感じました。“なあそうだろう”はUMI☆KUUNさんが間に語りかけているようにも聴こえて。
UMI☆KUUN:そうですね。自分に語りかけているようであり、誰かを勇気づけるようであり。誰でも悩んだり、もがいたり、僕のように生きているという実感や手応えを探している人の心に共感してもらえたらいいですね。
■ クラシカルやプログレなどのサウンドで音楽人生やルーツも見せつつ、歌唱は熱く激しく
――サウンドアレンジも疾走感がありつつ、いろいろなジャンルの要素が混ざり合って。
UMI☆KUUN:作曲・編曲をしてくださった徳永暁人さんは偶然、同じ大学の先輩で、こちらの希望を伝えたイメージ通りのサウンドに仕上げてくれました。僕は元々、アーティストで一番好きなのはクイーンで、そんな部分もお話しして。
――なるほど! だからプログレやグラムロックのテイストが! 壮大でクラシカルな雰囲気で幕を開け、Aメロからポップでキャッチーな感じで、サビになると熱くエモーショナルに歌い上げる楽曲に。
UMI☆KUUN:そうなんです! 僕らは大学時代にクラシックをやっていたのでどこかにそんな要素を入れたいねと。イントロのクラシック感はまさにそうで、あとサビになるとよく聴くと、「カノン」のメロディも入っていて。僕の楽曲にはどこかにクラシックな要素が入っている! というのは今後もやっていきたいなとも思っているので注目ポイントの1つです。
――サビの熱く歌い上げるところはさすが声楽科出身と思わせる本格的な歌唱法や、伸びやかさとスケール感などを感じました。
UMI☆KUUN:そう言っていただけるとうれしいです。レコーディングでは音程やリズムを意識するのではなく、ずっとテンション高めでライブのような気持ちで歌うように心がけました。松岡修造さんみたいに暑苦しいくらいに(笑)。精魂込めてエネルギッシュに歌ったので、聴いてくれる方にも僕のパワーやマインドが伝わって元気になってくれたらいいですね。そしてアニメを盛り上げられたら最高です!
■ コスプレ&アニメ映像など密度の濃いMV、コスプレでの半裸写真は大反響!
――MVはさすがにYouTuberらしく、シーンもストーリーも詰め込んで見応えいっぱいですね。
UMI☆KUUN:YouTubeでずっと動画を作ってきたので、自分でアイデアを出して、編集もさせていただきました。冒頭では、会社で上司に怒鳴られまくって疲れ果てて家に返ってくる僕がいて、親からの手紙にぐっときたり、白衣を着ているシーンではカラフルな塗料が飛び散って。お医者さんのイメージみたいな。そして終盤にはヤング ブラック・ジャックに扮した僕が。
――ジャケットにも採用されていますが、発表時かなり話題になりました。映像中にはありませんが、あの裸の写真は衝撃的で。
UMI☆KUUN:かなり反響が大きくて(笑)。特殊メイクをしての撮影も初めてで。僕自身、コスプレが好きだし、せっかくアニメの主題歌を歌わせていただいたので頑張りました。更にアニメーションの映像もインサートさせていただいて。最後まで飽きないMVにしたかったので、何度も見て楽しんでください。
■ カップリング曲は『JAPAN EXPO 2015』のトリビュートソング
――カップリング曲「HELLO BABY」は、7月にフランスで行われ、ご自身もオフィシャルレポーターを務めた『JAPAN EXPO 2015』のトリビュートソングですね。
UMI☆KUUN:説明会から参加して、どうにか行かせてほしいとお願いして、オフィシャルレポーターとしてフランスに行かせていただいて。その時に歌も歌えるとアピールしたら「いい曲ならトリビュートソングに使います」と言っていただいたので、気合を入れて曲を選んで、歌詞を書きました。歌詞のテーマは1年に1度のお祭り騒ぎなので、みんなで歌えて、イエー! と楽しめるものにしようと。サウンドはどきどきワクワク感をイメージして、ポップに楽しく、またA・B・Cメロとそれぞれに変化を付けて。
――曲頭の“君の知らない場所を教えてあげる 海ひとっ飛びで ほら 夢のEXPO”はまさに『JAPAN EXPO』にやってくる人達、そしてUMI☆KUUNさんそのものですね。
UMI☆KUUN:はい。あとフランスで開催されるので、フランス語で、「やあ」みたいな、軽いあいさつでよく使われる“Salut!”を入れてみたり。その言葉の直前に曲名が出てくるんですけど、イベントは出会い、そして再会の場だから“HELLO”、“BABY”はノリですかね(笑)。
――サビの“Hello Baby Salut! Salut!”で、会場のお客さんと手を振り合う姿が浮かんできました。また“ついに夢の大冒険が今始まる”や“まだ見ぬ世界に一歩踏み出して”はメジャーデビューするUMI☆KUUNさん自身とも重なって。
UMI☆KUUN:そうですね。“同じ地球のどこか 出会えた奇跡が~繋ぐよ”も“下手っぴでいいから自分でいよう~ドキドキワクワク分かち合いたい”も僕の今までと未来への想いを歌っています。表題曲もこの曲も違うタイプの曲だけど、「自分なりにがむしゃらに頑張っていけばきっといいことあるさ」とポジティブマインドなところは一緒で、僕のパーソナルが全面に出たシングルになったと思います。
■ ラジオとTVで冠番組がスタート! 声優への野望実現なるか!?
――ここでこの秋に始まったレギュラー番組についてお話を。まず当サイトで好評配信中の『うみくんレディオ』のご紹介をお願いします。
UMI☆KUUN:SNSなどを活用して、聴いてくださる皆さんとコミュニケーションをとりながら毎回、ハイテンションでしゃべり倒す、そんな番組です。僕の妄想も入り混じっているのでカオスパーティ状態(笑)。皆さんのリアクションがないと成り立たないのは普段の僕と同じです。すべての要望に応えることは難しいけど、皆さんがどんなことを考えているのか、何を望んでくれているのかは知りたいので、深夜ラジオを聴いている感覚で気軽に参加してもらえたら。僕も生じゃない分、攻め切った妄想、クレイジーUMI☆KUUNが見られるのはこの番組だけです(笑)。あと好きなアニメやマンガやオススメ作品などを一緒に話し合えたらいいですね。
――そしてTOKYO MXにてTV番組『うみくんの声優への道』も始まりました。
UMI☆KUUN:内容はタイトルそのままです(笑)。いちアニメファンとして、いろいろな作品で、声優さんの声の存在の大きさや表現力に感動させていただいて。僕も歌の世界で声について学んできたけど、声優さんの勉強をすることで、シナジー効果でもっと成長できるんじゃないかという想いもありました。それを密かにやるのではなく、どうせだったら僕が失敗したり、不器用なところ、ダサイところも番組にして見ていただいたほうがいいんじゃないかと思ったんです。同じ愛媛出身の水樹奈々さんのいらっしゃる事務所の養成所にお世話になって。
声優を目指そうと思っているけど踏み出せない人や何か挑戦しようと思っている人が元気になったり、頑張ろうと思ってもらえたら。もちろん笑ってもらえるだけでもいいんです。「HELLO BABY」の“下手っぴでいいから”の精神で、チャレンジするので奮戦するリアルな僕の姿を見てください。
■ 今後もいろいろなフィールドでみんなと楽しく発信していきたい
――もし声優になれたら、歌も映像も作れるので、第2のFROGMANさんになれますね。他にインフォメーションはありますか?
UMI☆KUUN:11月1日に東京・池袋のニコニコ本社で、『ヤング ブラック・ジャック』で間黒男を演じられている梅原裕一郎さんとイベントを行います。11月2日に東京・ゲートシティ大崎で行われるシングル発売記念イベントは、元AKB48の松井咲子さんをゲストにお招きして、松井さんのピアノで「I am Just Feeling Alive」を歌わせていただきます。また延期されていた、僕が宣伝部長を務めるタイでのサブカルイベント『Tokyo Crazy kawaii』も開催が決まりましたので、詳しくは公式HPなどでチェックしてください。
――今後の活動の展望や野望などを教えてください。
UMI☆KUUN:今後もナビゲーター、レポーター、コスプレイベントなどに参加して、皆さんと楽しい時間や出来事を共有し続けられる自分でありたいというのが目標です。メジャーデビューさせていただきましたが、僕にとって表現の場所がまた1ついただいたという感覚で。ワンマンライブもしてみたいですね。みんなで楽しく騒げるパーティみたいな。あといつか自分の原点であるクラシックの良さを、まだ触れたことがない若い人達に伝えられるアクションを起こせたらいいなと思っています。でもその前に僕をもっとたくさんの人に認知してもらうことが必要かなと。今後もどんどん発信し続けていくので、輪が広がったらいいですね。
――では最後に皆さんへメッセージをお願いします。
UMI☆KUUN:僕のちょっとうざくて、ちょっと暑苦しいインタビュー記事を最後まで目を通していただいてありがとうございました(笑)。YouTubeだったり、ラジオやテレビ番組だったり、イベントだったり、僕は発信し続けていきますので、見たり、聴いたり、受け取ってもらえるだけでうれしいです。もし興味を持ってもらえたなら一緒に遊びましょう! これからもよろしくです!!
■UMI☆KUUN「I am Just Feeling Alive」
2015年10月28日発売
初回限定盤1,500円(税別)
通常盤1,000円(税別)
発売:ビーイング
>>UMI☆KUUN公式サイト
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