「『アイカツ!』との出会いが私を大きく変えた」川上千尋さんが目指す新しい世界【連載:to the future!】
「『アイカツ!』で天羽まどかを演じたからこそ声優・川上千尋として、もっと多くのアニメに出演したいと思いました」
新しい輝きを放っている声優さんを応援するこの連載。第1弾としてご紹介するのは、TVアニメ「アイカツ!」では天羽まどかを演じ、アニメイトTVにて2015年11月10日よりスタートした「川上千尋のStoryJukeBox」のパーソナリティーを務める川上千尋さんです。
川上さんはなぜ声優を目指したのか。そして、運命とも言える『アイカツ!』との出会いとその裏側とは。川上さんが自分自身を振り返りながら、未来への目標を語ります。
親友の一言で、人生が変わる
――以前、「金元寿子と川上千尋のテラ娘屋~Teller girl's house~」で、声優を目指したきっかけは「高校時代からの親友との出会い」だとお聞きしました。
川上:入学初日って、クラスで自己紹介しますよね?そこで私の声を聞いた今の親友が、「あなたの自己紹介を聞いてビビッときたの!」って突然伝えてくれたんです。
全然知らない娘に初対面でこんなこと言われるとビックリしますよね。でも、当時からアニメ関係の仕事がしたいなぁって、絵を描いたりはしていたので、運命の出会いだったのかもしれません。今、振り返ってみればですけど。
私は彼女と仲良くなる高校生まで、声優業界のことを全く知りませんでした。彼女は声優の名前も1人も知らない私に、声優や養成所など、色々なことを教えてくれました。
彼女の存在がなければ、私はこの場には居ないと思っています。だからではないですが、とても感謝していますね。
――ご友人との出会いが、声優を目指す第一歩になったわけですね。川上さんご自身のホームページを拝見すると、教育免許をお持ちになっていたり、イラストを公開されていたりと多彩な印象を受けます。それでも声優を目指された理由は?
川上:高校を卒業後、大学は教育学部に進学して美術を専攻していました。大学時代の作品作りは楽しかったですし、今でも絵を描くことは大好きなのですが、アニメーターさんやイラストレーターさんのように毎日机に向かって描き続けることは厳しいと思ってしまったんです。
やっぱり私は、「親友から褒められた声」を活かした仕事がしたいと思った。これが一番のポイントになります。
――大学進学時に教育学部を選んだ理由は?
川上:両親の影響が多分にあります。実は、父も母も弟も教員なんです。そうした家庭環境だったので、「声優になりたい」という話に対しては協力的でしたが、「教員免許取得」は条件でした。
どうしても保障のない世界ですし、学ぶことはこの先に役に立つとも思っていたので、私も不満はありませんでした。
実際に大学に行っていて良かったなと今は思っています。
――声優デビューについてお聞かせください。
川上:デビューは大学を卒業した少し後です。最初は吹き替えのお仕事で女の子役。クローゼットに閉じ込められて、「キャー!」って叫ぶ役でしたね。
――なるほど。
私は大学と並行して、養成所に通っていたのですが、事務所に所属することができなかったんです。しかし、ご縁もあり、以前まで所属していた、ぷろだくしょんバオバブに入所させていただけることになりました。
養成所にいたころに同じ年に入学した数人と、解放されているスタジオでアフレコの練習をしたことはいい思い出です。
今もですが、勉強会やレッスンなどに通っていたときは特に、声の仕事をする上で、改めて自分の未熟さを感じたり、講師の方々からアドバイスをいただいたりと多くのことを学ぶことができました。現在もプロになる前、なってからの講師のディレクターさんとはつながりがあり、吹き替えのお仕事をいただいています。
「ハローニューワールド」の裏側
――では、大変だったお仕事の思い出についてお聞かせください。
川上:吹き替えのお仕事でヒロイン役を務めた時なのですが、ご飯が食べられなくなるくらいハードな時期がありました。
声優として本当に現場経験が浅い時期。現場で多くのご指摘をいただきまして、共演者の方々に迷惑が掛けられないという思いがあっても、リテイクを繰り返してしまいました。
ここでの辛さや悔しさが、私が成長するきっかけになったと思っています。次の現場ではあんな思いは2度としたくない。もっと上手くなりたいと強く誓いました。
実際、そのすぐ直後に初のナレーションのお仕事が決まったりもして、困難ではあったものの、とてもいい経験だったと思いますね。
――アニメや吹き替えなど色々な役をご経験されて、特に印象に残っている作品や役などはありますか?
川上:全ての作品や役が印象深いですが、大きく2つあると思っています。まずは吹き替えのお仕事で2013年に公開された映画『ジャックと天空の巨人』。次にTVアニメで『アイカツ!』です。
『ジャックと天空の巨人』は私が声優という仕事をしていることを親に証明できた作品になりました。両親と劇場に足を運んだのですが、「千尋だよー!」ってすごく喜んでくれました。
私自身、銀幕の世界で私の声が出ていることにすごく喜びを感じたのですが、それ以上に喜ぶ両親を見て、いろんな嬉しさがこみ上げてきたことが記憶に残っています。
でも、やっぱり1番は「アイカツ!」の天羽まどか役に決まった時ですね。まどか役のオーディションを受ける時には、まさかこの子と長い付き合いになれるとは思っていませんでした。私が今ラジオのお仕事ができたり、こうしてインタビューに応えることができる大きなキッカケになったと感じています。
教員をしている両親が、生徒に「『アイカツ!』見てる?」と言えるような代表作ができたことも、私の誇りになりました。
――天羽まどか役を射止めた時は、過去のオーディションと違ったことはありましたか。
川上:これまでのオーデションと比較しても、本当に何も変わったことしていません。やるだけやって楽しもう!と思って全力でまどかを演じました。
結果論になってしまいますが、これまでのオーディションは手探りで役を演じているところがあったような気がしています。ですが、まどかはすごく自然に演じることができたと感じています。
――川上さんから見て、天羽まどかはどんな女の子ですか?
川上:作品を見ていただいている方なら分かると思うのですが、第一印象はふわっふわな娘に映るかなと思います。ただし、それは表面上に出ている一面で、実はとても真面目な女の子なんです。
まどかの祖母にあたる天羽あすかさんとのエピソード(TVアニメ「アイカツ!」133話)で、その点がしっかりと伝えられたことは嬉しかったですね。正直、私は台本をいただいた段階から大泣きしてしまったお話です。
実はこのシーン、オーディションでまどかを初めて演じたシーンでもあります。ですが、天羽あすか役・井上喜久子さんの演技や、これまでの経験、天羽まどかを演じることができていると考えると、やっぱり我慢できずに泣いてしまったんです。泣かないようにと思っていたのですが、ちょっと無理でしたね。
ネタバレはもったいないので詳細は伏せます。ですので、映像で見ていただけるととても嬉しいです。
■番組を通じて、今までとは違った印象を届けたい
――2015年11月からはご自身の冠ラジオ番組「川上千尋のStoryJukeBox」がスタートしました。
川上:フリーになって最初に決まったラジオ番組が冠番組。さらに毎週放送ということに驚いたのですが、これまで私が出演させていただいたラジオ番組が明るい印象のものが多い中で、今回のコンセプトは「朗読とトークでお届けするちょっと瀟洒(しょうしゃ)なプログラム」になっています。
番組ではリスナーさんからのメールやお手紙を読み上げる段階で、お名前を言わないという仕組みを取り入れてみました。ラジオを通じて、私とお話をしている印象を受けていただけると嬉しいです。
――ラジオ番組以外でも今後チャレンジしていきたいことをお教えください。
川上:たくさんあるのですが、敢えてお伝えするのであれば2つあります。美術館のガイドナレーターを務めてみたい。そして、もっと多くのアニメ作品への出演したいです。
――どうして美術館のガイドナレーターを?
川上:以前、とある美術館別館で開催された展示会で、VTRのナレーションを務めさせていただいたんです。
そこで、美術館で私の声がするって嬉しいなと思ったんです。今はまだまだ難しいかもしれませんが、もっと声の幅を広げてチャンスが来たらいつでもチャレンジしたいと思っています。大学でも美術を学んだ私ならではの個性も活かせるのではと感じています。
そして、やっぱりアニメ作品にもっと出たい。これは、『アイカツ!』でまどかを演じたからこそより強く思うことです。もともとこの仕事を志すきっかけになったことでもありますので、そこは今でも変わらないです。
――大変貴重なお話をありがとうございました。
取材・文/川野優希
「川上千尋StoryJukeBox」
配信日:毎週火曜日更新
パーソナリティ:川上千尋
配信ページ:https://www.animatetimes.com/radio/details.php?id=jukebox
アイカツ!
http://www.aikatsu.com/
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