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『ハイキュー!!』ファンに寄り添ってくれるtacicaの魅力とは

アニメイトのイケメン店員・内田裕也が熱弁!『ハイキュー!!』ファンに寄り添ってくれるアーティスト「tacica」の魅力とは

 女性読者のみなさん、ステキなお兄さんは好きですか? 今回は“イケメン店員”として有名な、アニメイト大阪日本橋の内田裕也さんに、同社に入社したきっかけや趣味のアニメ・音楽の魅力にいて語ってもらいました。爽やかフェイスなのに、語りだしたら激アツな内田さん。自身が大好きだと言うアニメ『ハイキュー!!』と、楽曲提供するアーティスト「tacica」についても熱弁! 春の季節にぴったり(!?)な、イケメン店員・内田さんへの超ロングインタビューをどうぞ!

 

■ イケメン内田さんがアニメイトに務めたワケは?

――そもそも“イケメン店員”として有名になったキッカケは?

内田裕也さん(以下、内田):私は前職でウェディングプランナーをしていました。その職場では毎日、大勢のお客様の成婚を見届けてきたのですが、あるとき「もっと人のために働きたい」と思い始めてきたんです。人に喜びを提供しつつ、なおかつ自分のためにもなる仕事、それはなんだろう? と考え始めました。

そこで思いついたのが、昔から好きだったアニメの仕事でした。「お客様と接することができるアニメの仕事」ということで、いまのアニメイトの仕事を選びました。僕が入社したのは5年前で、そのちょっと前に『らき☆すた』や『涼宮ハルヒの憂鬱』などが流行っていて、『けいおん!』が真っ盛りの時期でした。でも、いざ働き始めてみると、自分の知識の浅さにがくぜんとしました。お客様の方が何倍も知識が豊富だ……と(笑)。


――アニメイトにいらっしゃるお客さんは、濃い方も多いですよね。

内田:そうですね。マニアックな方からライトな方まで、たくさんいらっしゃいます。なので初めは自分の「好き」をお客様に伝えたくても、なかなか伝わらないことも多かったです。噛み砕いて紹介することも必要ですし、ときにはもっと大雑把に紹介しなければならない。具体的に言うと「○○というアニメはすばらしいので観てくださいね」と紹介するより、「○○ってアニメがあるんだよ」と、大胆に言ってしまったほうがいい場合もあります。


――内田さんはいままで、どのようなコーナーを担当されていましたか?

内田:入社当時は主にキャラクターグッズの担当でした。昨年の12月からは、オーディオビジュアル(音楽、映像、ゲーム)を担当させていただいております。


――アニメイトの店内には、独特なPOPが飾られていますが、内田さんも作ったことはありますか?

内田:もちろんです。作品が発売されるごとにコーナーを作成します。お客さんが売り場を観て、「これは楽しそう!」と興味を持ってくださるような仕掛けを提案するのが僕の仕事です。ですが、以前はすごく力作だと思ったコーナーよりも、時間が足りなくて手がかかっていないコーナーのほうが好評だったり、なかなか上手くいかない時期もありました。


――最近はいかがですか?

内田:以前よりはわかってきた気がします(笑)。ある程度数をこなしてからは、どれだけ商品にプラスワンできるかが僕の課題になってきました。でもまだ修行中です。お客様に喜んでもらえるようなコーナーを、日々模索していますね。


――最近作成したコーナーで、傑作はありますか?

内田:『ラブライブ!』の内田彩さんのコーナーを作成したのですが、ありがたいことにお客様が選ぶコーナーコンテストで全国2位に入賞しました。そのとき優勝したのは、内田彩さん出身の群馬県にある店舗でした。悔しかったですが、郷土愛に負けた感じです(笑)。


――売り場を作るのは、CDが多いですか?

内田:もちろん映像作品のコーナーも作りますが、発売される商品のなかでCDが一番多いので、CDのコーナーを作る機会が多いです。CDのおもしろいところは、映像と違って「音」だけの商品です。目に見えないモノをお客様に認知していただくためには、飾り付けがすごく重要になります。映像作品みたいにモニターにサンプル映像を流すだけというわけにはいきませんから、とてもやりがいがあります。


――アニメイトの売り場が、そこまで苦労して作っているとは知りませんでした。作品を知り尽くしていないと務まらないお仕事ですね!

内田:僕ら店員は知恵を絞ってコーナーを作りますが、お客様にはただ「楽しそう」と思っていただけるだけで十分です。ですが、僕もまだまだ勉強中です。知らないことが多くて、ファンの方からいろいろ教えていただくことがすごく多いです。アドバイスや感想はとても励みになるので、たくさん意見をいただきたいです。

今は情報社会なので、売り場のPOPなんてネットを見れば誰でも書けると思われそうですが、それは違います。愛を込めたコーナーと、そうじゃないコーナーは、熱心なファンのみなさまが見れば一目瞭然。なので、僕も売り場を担当させていただくからには、ファンのお客様たちに負けないくらい、愛を持って作品に接しています。


■ 趣味が仕事!? 可能な限りたくさんのアニメを観る!

――内田さん……カッコイイ! イケメンで、なおかつ仕事熱心でカッコイイっス!! ところで内田さんは、アニメはどれくらいの本数を観ているのですか?

内田:たくさんのお客様に接する機会が多いので、作品の数はできるだけ多く観るようにしています。いまはアニメの本数がとても多いので、いくら時間があっても足りないですね(笑)。どの作品も多くの人の手がかかっています。監督の見せ方のこだわり、作中に流れる音楽の意味、そういったところをしっかり観て語れるようになったら、もっとファンのみなさまの芯に近づけるのかなって思います。


――いつもお店に立たれていて、最近の動向はいかがですか?

内田:みなさんお気づきだと思いますが、やはり『おそ松さん』のブームがすごいですね。特に女性のお客様が大注目しています。


――今日は内田さんが大好きだと言う『ハイキュー!!』についても伺いたいのですが、内田さんは担当されましたか?

内田:もちろんです。1期が放送されていたころはキャラクターグッズを担当していました。当時、「ヒナガラス」のグッズが人気で、とても盛り上がっていました。


――『ハイキュー!!』は放送時から注目していましたか?

内田:お恥ずかしい話ですが、コミックではなくアニメから注目しました。『ハイキュー!!』との出会いは、放送前に先行上映を拝見させていただきました。あのときのことは、いまでもハッキリ覚えています。「コレはスゴい作品がきたぞ!」と衝撃を受けたんです。


――どこに衝撃を受けましたか?

内田:一話完結型の作品でもいいくらい、一話のなかにエピソードの起承転結がきれいにまとまっているんです。そして映画並みのクオリティー。「スポ根もの」ではあるのですが、その枠を超えた「熱さ」に共感できる作品でした。純粋に「早く次が観たい!」と思いました。完全にファンですね(笑)。


――先行上映会の数週間後にオンエアされたと思うのですが、当時のお客さんの反応は?

内田:予想した通り、すぐに人気が出ました。僕が気に入った作品だから、大勢に気に入られたのが嬉しくて嬉しくて(笑)。


■ 内田裕也が語る『ハイキュー!』の魅力とは

――『ハイキュー!!』が他作品と違うところは、なにかありましたか?

内田:楽曲がすごく人気だったのが、おもしろかったです。それには理由があって、『ハイキュー!!』の楽曲はどれも選手にスポットライトを当てた歌詞・楽曲が多いんです。おそらく参加したアーティストさんたちが、曲作りを意識していたのでしょう。普段なら出演キャストさんのCDを買うような層の方々も、アーティストさんのCDを購入してくださったんです。



――内田さんが担当した『ハイキュー!!』コーナーはどのようなコンセプトにしましたか?

内田:『ハイキュー!!』はメディアミックスの展開がしやすい作品でした。キャラクターグッズとコミック、音楽、映像を、違和感なく共存できるんです。アニメイトとしては、とても紹介しやすい作品でした。


――『ハイキュー!! セカンドシーズン』も、内田さんが担当されましたか?

内田:『ハイキュー!! セカンドシーズン』は僕の所属がオーディオビジュアルになったので、ちょうど同時期にバンダイナムコさんから発売されたゲームも一緒に展開させていただきました。あのころ、47都道府県のアニメイトなかから優れた売り場を決める「ディスプレイコンテスト」がありました。予選を勝ち抜けば全国大会に出らるコンテストだったのですが、うちの店舗は関西代表になれませんでした。


――どのようなディスプレイを作ったのでしょうか?

内田:実は僕、「音駒高校」が大好きなんです(笑)。なので音駒を推したコーナーを作成したのです!


――いま、語っている内田さんの顔が急に笑顔になってますが(笑)。

内田:えっ!? ヤバい顔になってますか? それくらい好きなんですよ(笑)。そのくらい好きを詰め込んだコーナーにしたのに、3回戦くらいまで勝ち抜いたんだけど、あえなく敗退してしまいました。しかも負けたのは比較的近隣の店舗です!


――敗因は?(笑)

内田:「好き」をとことん突き詰めすぎたのかもしれません(笑)。音駒高校のファンの方々にはすごく喜んでいただけたみたいですが「わかりやすさ」という面では劣っていたのかも……。でも、遠方からはるばる見に来てくださった音駒ファンの方も多かったので後悔はしていません! 『ハイキュー!!』は続編の制作も決まっていますから、次回も「音駒高校推し」でいきたいです(笑)。


――そこまで「音駒」が好きなんですね。烏野高校に好きなキャラクターはいませんか?(笑)

内田:烏野だったら「田中龍之介くん」が好きですね。とにかく快闊で、チームのムードメーカー。他校にも似たようなキャラクターはいますが、田中くんの良い所はメンバーのテンションを上げてくれるところ。プレイにおいては天才肌ではなく努力家。決してチームの大黒柱ではないが、彼がいなければ大黒柱も活躍できないような役割りを果たします。田中くんがいなければ、きっといまの烏野は成り立っていません。


――田中くんをべた褒めですね。

内田:実は僕が目指しているのが、いまの職場の田中くんなんです(笑)。田中くんは、実力があるのにバカもできる。これを仕事に置き換えると、普段おちゃらけているように見えて、実は他の人の面倒も見られる。なおかつ上司ともコミュニケーションを取れる、そんな感じだと思います。職場に田中くんみたいな人がいたら、素晴らしいじゃないですか? 僕はそういう人間になりたくて、田中くんが好きなんです。

『ハイキュー!!』はチームワークを大事に描いている作品です。ひとりが頑張りすぎてもチームがついてこない。全体を見渡すと自分を支えてくれる人がいますし、自分も他人を支えている。「チームワーク」というテーマは、いまの世代の子が好きなテーマだと思います。学生さんにも社会人にも観てほしい作品です!!


――『ハイキュー!!』を他人に勧めたことはありますか?

内田:あります。僕の場合はアニメファンじゃない人に勧めました。その人たちには「スポーツ番組だと思って観てくれ」と言いました(笑)。そうしたら勧めた4人全員とも見事にハマってくれて、コミックまで読んだみたいです。


――さすが多くのお客さんを相手にお仕事されている店員さん! 一般の方に勧めるのも上手なんですね。

内田:いやいや、僕じゃなくて作品がスゴいんです(笑)。僕はこの経験から『ハイキュー!!』は有能なコミュニケーションツールだと思いました。スポーツものですがかわいい女の子も登場するので、男性にも観てもらえますし。ちなみに、僕が好きな女性キャラはぶっちぎりで「清水潔子ちゃん」です。


――サラッと推しキャラ(女子)をブッ込んでくるあたりが、カリスマ店員さんだと思いました(笑)。先ほど、『ハイキュー!!』は音楽もすばらしいとおっしゃっていましたが、普段からアニメを観るときに音楽を意識しますか?

内田:します。音楽がアニメに対してどれだけ混ざり込んでいるかは、僕にとってとても大事です。たまに曲だけ浮いている作品もありますよね? そうなるとちょっと違和感を感じてしまいます。誰だって好きなアニメを観るときに、その作品の世界観や雰囲気にピッタリ合った曲が欲しくなるはずです。僕はいまオーディオビジュアルの売り場で働いているから余計にそう感じるのかもしれませんが、曲はアニメを観るときの大事な要素のひとつです。


■ アニメ『ハイキュー!!』は楽曲との組み合わせが最高


――『ハイキュー!!』の音楽はいかがでしたか?

内田:ひとことで言うと、最高です!(笑) オープニングもエンディングも、映像と噛み合っているんです。この作品において、オープニングもエンディングも、それぞれがひとつの作品なんです。放送を観ていると、毎回三部作を観ている感じでした(笑)。


――つい先日、『ハイキュー!!』で使われた楽曲『発熱』を収録したtacicaさんのアルバム『HEAD ROOMS』が発売になりました(2016年4月6日発売)。すでに聴きましたか?

内田:もちろん! tacicaさんは『ハイキュー!!』(第2クール)のエンディング『LEO』で知り、次に『ハイキュー!! セカンドシーズン』の『発熱』です。そして、今回彼らのアルバムを初めて聴かせていただきました。

――アルバムの感想をお願いします。

内田:『ハイキュー!!』で使われた曲は「心情」を歌った曲だったように感じたのですが、アルバム全体を通して聴くと、胸をえぐる歌詞が多い印象でした。他人に見られたくない部分に突き刺さるというか……。聴いていて「なるほど」と思いました。

前向きなだけではない歌詞が多かったのが意外でした。それにメロディーも心が揺さぶられるものが多かったのも、アニメタイアップ曲との大きな違いでした。新しい発見がたくさんあり、『HEAD ROOMS』はとても魅力的なアルバムだと思います。しかもtacicaさんの曲は、どれも曲作りが素晴らしいんです。

不穏なメロディーに決してポジティブではない歌詞を乗せた楽曲なのに、なぜかその中のどこかに、かすかな希望が見えてくるんです。だから不思議なことに、向き合って聴くと心地よいんです。アルバム全体の構成がそう感じさせてるのか、それとも一曲ごとのメッセージ性が強いからなのか……。何度も聴いているのにまだわかりません。

――アルバムのなかで聴く『発熱』の感想は?

内田:『発熱』をアニメで初めに聴いたときは曲名の意図がわからなかったんだけど、アルバムで何度も聴いているうちに「徐々に熱量を帯びていくという意味なのかな?」と思ってきました。僕はこの曲の出だしの歌詞「何者でもない者」というところが胸に染みて好きなんです。まだ何者でもないんだけど、その世界の中で一生懸命戦っている人たちがたくさんいる。必至に生きてて、何度も何度も繰り返して戦い続けている――。この曲は、tacicaさんたちから、そのような人たちへ向けたメッセージだと思います。


――アルバムに『ハイキュー!!』の曲はひとつだけです。その他の曲を聴くときになにを考えながら聴きましたか?

内田:そうですねぇ……正直に言いますと、勇気が要りました。なんといっても、未知の領域ですから(笑)。でも、勇気を出して聴いてみたら、ガツンと心を持っていかれました。このアルバムは落ち込んでるときに聴きたいです。その理由は、テンションが高いときに聴いたらサラッと流してしまうようなメッセージを、ちゃんと受け止めることができるからです。凹んでる僕を励ましてくれるような気がしたんです。えーと、なにから話したらいいでしょうか? せっかくなので、一曲ずつ語っちゃってもいいですか?(笑)


■ イケメンで熱い男・内田裕也が語る! tacica『HEAD ROOMS』の全曲紹介

■■■ #1 『go by』 ■■■

内田:「さーて、いまからtacicaさんのアルバムを聴こう♪」と思ってCDをプレイヤーに入れたのに、いきなり歌詞がない曲で度肝を抜かれました。でも、一曲目がインストのアルバムって、けっこう存在するみたいですね? 僕は知らなかったので、今回tacicaさんのアルバムを聴いて「では2曲目からは、どんな曲が始まるんやろ?」と、ワクワクしました。

※編集部注※
内田さんが熱くなりすぎて、いままで封印していた大阪弁ストッパーがついに壊れる。ただし本稿では読みやすさ優先のため、可能な限り標準語に変換しています。


■■■ #2 『夜明け前』 ■■■

内田:2曲目の『夜明け前』は、『発熱』と同じように夜明けに向かっての準備段階のイメージが強い曲でした。太陽が昇って夜が明けてしまう前の、夜が一番深いとき。その心情を歌っている曲なのかなと思いました。周りが暗くてよくわからない……でも、確実に明るい方向に進んでいる。そんな歌詞が全体的に感じられました。

歌詞の「点と点の線」という箇所は、「ひとつひとつは点でも、たぐり寄せていけば線になる」という意味だと思います。これを聴いたとき、「いまやっていることは無駄じゃない。自分が紡いでいく点と点は、いずれ物語になる」と言われている気がしました。

また、「彼の創った太陽で誰かの今日は大炎上する」というフレーズからも、誰かの創った点が誰かの線に変わるのかなって、胸に刺さりました。やはり人間は誰かを見て動く生き物なんです。他人と比べるのはよくないことでしょうけど、誰かのおかげで頑張れる人間に、僕もなりたいなって思いました(笑)。


■■■ #3 『発熱』 ■■■

内田:『ハイキュー!!』そのものですね(笑)。「何者でもない者 眼を光らせた」の歌詞に衝撃を受けるくらいグサッときました。大部分の人間は、何者でもないんです。光があれば闇もある。光が強くなればなるほど、闇も濃くなる。光と闇は決して交わりませんが、混ざり合おうとするところが強く表現されている作品です。

『発熱』は、そんなテーマ性を持った『ハイキュー!!』の曲なので、「弱者でもいいかな」と思えるような曲です。珍しいですよね? いまは負け犬かもしれないが、何者かになろうとしているんだろって言われているような気がする曲です。


■■■ #4 『Butterfly Lock』 ■■■

内田:アルバムのなかで、特徴的な曲だと思います。聴けば聴くほどクセになるというか、何回も聴きたくなります。気になったので調べてみたら、インディーズ時代の曲のようですね。 同じような曲とリズムがずっと続く曲なのに、何度聴いても飽きない不思議な曲です。


■■■ #5 『咆哮の詩』 ■■■

内田:さっきからコレばかり言ってますが、リップサービスじゃないです! この曲も好きです(笑)。このアルバムは名曲揃いですね。『咆哮の詩』は歌詞も曲もネガティブな印象なのに、気に入っています。初めはすごく怖い曲だと思っていたけど、よく聴くと「楽になりたいって人がいるかもしれないが、それが面倒なんだろ?」という歌詞なんです。

ネガティブな感情を持っていても、自分で終止符を打つのは嫌というメッセージ。結局、人間は嫌なことが起こっても前に進んでいくしかないし、終わらせることもできないのであれば、夢物語をそのままにするのではなく、前を向いて頑張ればいい。曲としてはネガティブな感じだけど、ちゃんと噛み砕いてみればプラス志向のメッセージが込められた、しっかり未来を見据えるような曲です。


■■■ #6 『ヒカリトカゲ』 ■■■

内田:先ほど『発熱』のときに「光と闇は決して交わらない」と言いましたが、この『ヒカリトカゲ』もまさにそうです。『ハイキュー!!』に通じる歌詞や雰囲気がとても多く、作品の世界観を感じました。「僕達は又 此処に立った」の歌詞を聴いたとき、バレーコートの上を連想しました。そして「又」というワードは、たぶん負けても負けても「結局ここに帰ってくるんやな、俺たちを表現できる居場所はここだけなんやな」って思いました。

影ってのは、誰しもが恐れるものではあると思うんですけど、その影を繋いでいくと光にたどり着く。「次第に牙を剥いだ影も繋いだ者だけが迎える日に降り注ぐは光だ」という歌詞の僕なりの解釈です。この曲は『ハイキュー!!』を知っているか知らないかで、捉え方が変わりそうです。この曲で『ハイキュー!!』のプロモーションビデオを作ってほしいです。お願いします! 作ってください!!(笑)


■■■ #7 『フラクタル』 ■■■

内田:フラクタルの意味を調べると、「どこを切り取っても同じになる」という意味。なので、『フラクタル』は「自分自身がどこにあるのか?」という不確かさを書いた曲なのかなって思いました。曲自体は爽やかで透明感があります。ですが歌詞をひとつひとつ見ていくと、「自分はどこにあるのか」と問いかけています。この曲では「この世に前例のない僕を擦り切れるまで使おうよ」の歌詞が好きです。自分としてのアイデンティティーを持って、それをもっとアピールしていけばいいじゃないかというメッセージ。挫折しても、そのたびにもう一度最初からできる! そんな自分を褒める歌詞が、すごく伝わってきました。

いま社会人の僕は、とても好きな曲で励まされます。仕事や勉強で辛い思いをしている人たちが聴くと、勇気づけられると思います。僕だってみんなと同じように、単なる人間です。でも、自分自身は「なにか特別な存在でありたい」と思う。きっと誰もがそうでしょう? いろいろな人に聴いてもらって、いろいろな感想を感じ取ってもらいたい曲です。


■■■ #8 『acaci-a』(アカシア) ■■■

内田:ちょっと難しい曲でしたね……。なんと言いますか、歌詞も曲もコレといったイメージをつかめません。例えるならば「洋楽」でしょうか。僕は洋楽が苦手なんです。その理由は歌詞がわからないから。僕は曲を聴くとき、可能な限り音楽と歌詞を自分なりに理解したい気持ちが強いんです。

そんな自分なので、この『acaci-a』は難しくて、根底にあるモノが見えてこないんです。もしかしたら、僕自身のレベルがこの曲を身体に入れるに至っていないのかもしれません。もしかしたら5年後や10年後、僕が人間としてもっと成長したときに聴いたら、いまとは違うなにかを感じ取れるのかもしれない。唯一、「高層ビルの上から下を見下ろした」という歌詞は、自暴自棄というか、ふてくされているときの心境なのかな? と思いました。tacicaさんの音楽は「恋愛」とか「がんばれ」とかキレイな歌詞ばかりじゃないところが、とても泥臭くて僕は好きです。


■■■ #9 『ONE』 ■■■

内田:聴いたときに風景のイメージが湧いてきました。何も考えずに聴きたいときに適していると思います。ですが、急に「騒がしい骨」や「汗流して暴れて行く」といった具体的な歌詞が出てきます。ここで「ハッ!」と我に返りました。初めはイメージで聴いていたのに、途中で驚かされるんです。それに続く歌詞の「終わる合図が始まりの音と耳すまして暮らしている」の部分、怖くないですか?(笑) だって「終わりと始まりは常に隣り合わせ」という意味ですよね? 僕はここにひっかかりました。

「いまの平穏がいつ崩れるかわからない」というメッセージが、「宇宙」という言葉にかかってきてるのかなって僕は感じました。よい意味でゆるいところと、キュッとしているところのメリハリが心地よい曲です。


■■■ #10 『サイロ』 ■■■

内田:太陽と月の情景が浮かぶ曲です。「列車」という単語も出てきますね。歌詞の「太陽と月の行き交う場所」を聴いたとき、なぜか僕の頭には地元の風景が浮かびました。どこにでも登る太陽は、心のよりどころなのかな? そこを走る列車だから、「乗り込んだ者は一人残らず歓喜した」のかな? この曲は広大な感じがして、広い世界を行き来しているように感じました。

『サイロ』は曲順も好きです。9曲目の『ONE』から続けて聴くと「宇宙」という単語が残ります。列車に乗っていろいろ旅をしているけど、ポジティブだけじゃなくネガティブな部分も見えてくる。臭いものには蓋をしたいが、ときには見たくないものが視界に入ってくることもある。生きていれば悲しいことも多いけど、やはり人間としては楽しいところにすがりたくなる。歌詞に出てくる「列車」は、その「希望」なのかなって思いました。

難しいけど、いまを忘れさせてくれる曲ですね。時間旅行というか、過去を振り返りたいときに聴きたくなる一曲です。「時間の旅人」といったところでしょうか?


■■■ #11 『NWM』 ■■■

内田:実はすごく悲しい曲で、最後にふさわしくない曲だなって思いました。「この曲をラストに選ぶんや!?」というのが自分のなかで驚きでした。でも、聴き終わってリピートで1曲目に戻ると、#1「go by」との繋がりにビックリしました。こういう終わり方もいいですね。アルバムならではの楽しみを味わえて嬉しくなりました。

「採取した夏」という歌詞があるのですが、これは「想い出」という意味に捉えました。色あせてほしくないというか、形を変えてほしくない想い出なのかな~と思います。自分の経験をもとに当時の想い出が美化されてしまうのは悪い印象になりがちですが、やはり過去は過去。過去は持ったままでいいんです。次に進むときの材料として「想い出は持っておいてもいい」ってことだと思います。

この曲を聴いて、「想い出にずっと浸るのはよくない、立ち止まっているままじゃいけない」と言われてる気がして、その歌詞に気づいた瞬間、アルバムのラストに相応しい曲だと感じました。そのときは「はぁ……」と感動の溜め息が出ました(笑)。いい意味での満腹感。自分がピークのまま、あといくつ夏を過ごせるのかを考えてしまいました。もしかしたら、あと20回も過ごせないかもしれないじゃないですか? この曲を聴いて、「過去は過去として、フタをして保管をする。そしてこれから始まる新しい季節に向けて動き出そう!」というメッセージを受け取りました。

>>tacica「HEAD ROOMS」特設WEBサイト


■ 内田裕也さんが『HEAD ROOMS』を勧めたい人は?

――最後に、このアルバムをどんな人に勧めたいですか?

内田:アニソンだけでなく、もっと違う音楽にも興味を持ち始めた人に勧めたいです。いまの時代、アーティストさんがアニメタイアップの曲を作るのは珍しいことではありません。でも、彼らが作る曲はそれだけではありません。そのアーティストさんを気に入って興味を持ったら、ぜひその先を見ていきたいです。

この『HEAD ROOMS』は『ハイキュー!!』のファンが多く聴くと思います。この作品のファンって、どこか熱い気持ちを持っている方が多く感じます。「このままじゃ終わりたくない!」というような、現状に嘆きつつも、どうしたらいいのかわからないような感情。『HEAD ROOMS』は、特にそんな熱い人達に聴いていただきたいです。僕もすごく共感できる曲が多かったように、きっとみなさんも共感できると思います。


――共感がテーマでしょうか?

内田:僕は素直な気持ちで「自己投影ができるアルバム」だと思いました。もちろん、これは僕の感想ですので、みなさんがどう感じるかは興味深いです。うまく言えませんが、「ありのままの自分に戻りたい方」にお勧めです。このアルバム『HEAD ROOMS』は、tacicaさんから「身にまとっているものを一枚二枚剥ぎとってみろよ」という挑戦状かもしれません。


――内田さんも、ありのままの自分になりたい?

内田:tacicaさんは、そんなときに自分に寄り添ってくれて、理解してくれるアーティストだと思います。

このアルバムを聴くときは、なにもしない時間を作って、ちゃんと音楽に向き合って聴いてほしいです。そこで『ハイキュー!!』を思い浮かべるのもいいです。その先に見えてくる未知の領域があるので、そのときに自分がなにを感じているかを、しっかり感じ取ってほしいです。僕はこのアルバムを聴いて、tacicaさんに一層興味が湧きました。ライブを精力的に行っているそうですが、果たして活力溢れるライブなのか、それともいまの自分と向き合うライブなのか……どのようなステージなのか気になります。次回のライブは足を運んで、自分の目で確かめたいと思いました。

<リリース情報>
■tacica NEWアルバム「HEAD ROOMS」発売中
<完全生産限定盤> 4,167円+税 / <通常盤> 2,778円+税


■tacicaプロフィール

2005年に札幌で結成されたロックバンド。07年デビューミニアルバムが軒並みインディーチャート1位を獲得し、08年メジャーに移籍。その後もメディア露出が無いにも関わらずシングル、アルバム共にオリコンTOP10入りを記録。日本のロックシーンに新たなムーブメントを起こすきっかけとなる。

2015年4月5日には結成10周年を迎え、記念公演として中野サンプラザで開催した初のホール公演はSOLD OUT。「彼らの楽曲を自分の人生の歌、生きる指針として愛する」ような、深い部分で繋がるリスナーを増やし続けている。


>>tacicaオフィシャルサイト
>>tacicaオフィシャル twiiter
>>ハイキュー!!.com

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