声優
『マンハッタンに恋をして』主演の沢城みゆきさんへインタビュー

キャリーから学んだ生きていく上でのメッセージとは――『マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~』キャリー役の沢城みゆきさんインタビュー

 世界中の女性を虜にし、日本でも社会現象を巻き起こした海外ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』。同シリーズの主人公・キャリー・ブラッドショーが、どのようにして“あの”キャリーになったのかを描くドラマ『マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~』のシーズン2が、BSチャンネル・Dlifeにて絶賛放送中! シーズン2では『セックス・アンド・ザ・シティ』にも登場するキャリーの大親友・サマンサとの出会いが描かれます。

 そして今回、本シリーズでキャリーの吹き替えを担当した沢城みゆきさんにインタビューを実施! 演じる上で心がけたことや印象的なシーン、大人の階段を登るキャリーの成長などを語っていただきました。

 

■ キャリー、そしてドラマから沢城さんが学んだメッセージとは

――本シリーズが吹き替えドラマ初主演とのことですが、オファーのお話を聞いた第一印象をお聞かせください。

沢城みゆきさん(以下、沢城):第一印象は「その子を演じたことあったっけ?」でした。というのも、「沢城さんはアナソフィア・ロブさんを演じたことがあるので」とお話をいただいたんですよ。だけど「……?」と思って、ググッてみたんです(笑)。そうしたら『ジャンパー』という映画のヒロインの、冒頭5分くらいの幼少期を演じていたのが彼女で、私が声を担当していたんです。

だから棚から牡丹餅みたいな感じで「本当に私で大丈夫ですか?」と思いましたね。普段、私が吹き替えをさせていただく役は・・・少しアウトロー気味の女性の役が多かったので「こんなブロンドで可愛い夢みたいな女の子を私が演じて、お役に立てるのかしら?」というスタートでした。「途中から娼婦になっちゃう系?」みたいな不安もなかったわけじゃないですね(笑)。

 
――キャリーを演じる上で心がけたことやポイントなどを教えてください。

沢城:キャリー役のアナソフィアさんが演じていることを、日本語吹き替えでどれだけ10割に近い状態で再現できるかに挑んでいました。絶対に雰囲気ではお芝居せずに、相手のどの言葉に涙が出たのか、何故ため息をついたのか、琴線が一緒になるよう常に考えながら演じていました。何かをプラスして演じるのではなくて、彼女の魅力をそのまま表現できるように、家でもリハーサルしていました。


――これまでキャリーを演じてきて、印象的なシーンはありますか?

沢城:このドラマって毎話に素敵なシーン、心に残るシーンがあるんですけど、シーズン2に関してはキャリーが見ている、周りに居る人たちのシーンが印象に残っています。キャリーを演じるというより、キャリーと一緒に妹や友達の心配をしている感じなんです。キャリーがどうだったかを聞かれると上手く答えられませんが、友達のことならいくらでも喋れる素敵なドラマになっています。だから、友達の笑っている顔や泣いている顔が一番印象的ですね。

 
――ではキャリー以外で、印象的なキャラクターをお聞かせください。

沢城:本当にみんな魅力的なんですよね(笑)。でも強いて言えばサマンサですかねえ。学校の子たちも個性的なキャラクターで織りなされているドラマですが、サマンサに至っては「個性的の次元が違う人がやってきた」「宇宙人がやってきた」という感じでした(笑)。

アフレコも今までの感じだと全然上手くいかなくって、最初のギクシャクした感じも含めて、ラストシーンまで一歩一歩仲良くなっていったような気がしましたね。個人的には憧れますよね、ああいう人って(笑)。私もどちらかと言うと、理屈から入るところはキャリーに近いので、サマンサみたいに最初から本能的な子って憧れますね。

 
――沢城さんにとってキャリーはどんな女の子なのでしょうか。

沢城:悩んだり怒ったり、少しズルかったり逃げたりとかもするんですけど、それが全部健康的なところが彼女の魅力だと思います。そこが女の子たちから支持されていますし、私も見ていて好きなところです。


――沢城さん的には、キャリーの成長をどのように感じましたか?

沢城:演じていて感じたのは、何をして生きていくかは、誰と生きていくかに直結しているんだなと痛感したことですね。職種や相手を先に選ぶのではなく、どんな生き方をしたいかが先にあって、その結果として職場や恋人が決まっていくんだなと。それがキャリーの姿から学んだメッセージとして、個人的に大きかったなと思います。

 
――ちなみにシーズン1を終えたからこそ、シーズン2で演じやすかったことなどありましたか?

沢城:シーズン1は私にとってもキャリーを知っていく話で、キャリーがどういう子なのかに時間が費やされていたんです。でもシーズン1の後半、もしくはシーズン2にかけては、キャリーのことをよく分かっていて、今度は友達のことに重きが置かれ始めるんです。するとリアルとフィクションの差が分からなくなってくるんですよね。私自身も、海外ドラマのシリーズをこんなに長くやらせていただくのは初めてなんです。だから、こんな風に役を積んでいけることは幸せなことですし、もう自分なのか役なのか、分からなるのかなと思ったりもしました。

 
――作中では口の動きから呼吸までアナソフィアさんとぴったりでしたが、演じていると自然にシンクロしてくるものなのでしょうか?

沢城:上手くいくとあります。それは翻訳の方が頑張ってくれたおかげだと思います。翻訳がバッチリで、アナソフィアさんが「わー!」と喜んだ気持ちだけで喋っているときに、私も同じ気持ちになれると言いますか。長台詞などで琴線を一つ一つ合わせられると、台詞屋としてはかなりやり甲斐があるんですよ。でも逆に一つでも外すと、途端に全部がズレていってしまうんです。

そもそも日本語と英語だと文章の構造が異なるので、アクションに合わせてしまうと自分が引き立てたい日本語の言葉とはズレてしまうんです。そこでアクションに合わなくなると、見ていて気持ち悪くなってしまいますし。一方で翻訳もバッチリ合っていて私も外さずに演じられると、自分なのかキャリーなのか分からなくなって収録が終わる、なんてこともありましたね。特にパパと喧嘩しているシーンはそんな感じでした。

 
――実際、アナソフィアさんの表情と沢城さんの声の表情はシンクロしているようでしたよ。

沢城:彼女の演技が本当にお上手なんです。全部に理由があるというか、雰囲気ではお芝居しないんです。もう私が不足がないように頑張るだけでした。ただ相手の台詞を全部聞いていると、会話の間が編集されているときがあるんですよ。そうなると、どんどん全員の台詞が遅れちゃって(笑)。そこは最初からもう一回録り直したりもしました。本当はテニスの感覚でラリーをしたいんですけど、ピンポンの速さで球が来る、みたいな感じでした。


――演じる上で監督や演出の方から具体的なアドバイスはありましたか?

沢城:基本的に音響監督の高桑さんが毎回スタジオに入って指示をしてくださるんですが、シーズン2に関しては、既に出来上がっているキャラクターを演じているので「そこ口の動きが合ってないから、もう少しどうにかならない?」といった作業的な指示はありましたが、演技的な指示はほとんどなかった気がします。どちらかといえば、新キャラクターの方たちが立ち上がるのに少し時間がかかっていましたね。

また、キャリーがこれから出会っていく新しい人たちが何人かいるんですけど、その人たちとキャリーの関係というものがあって。“キャリーよりも大人でいてほしい”とか“キャリーともっと同世代感を出してほしい”とか、新キャラクターに関してのオーダーはたくさん入りましたが、シーズン1からのキャラクターについては、のびのびと演じさせていただきましたね。

 
――最後に本作をご覧になっているみなさんへ、メッセージをお願いします。

沢城:『セックス・アンド・ザ・シティ』をご覧になっていない人でも『マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~』は単品で楽しめるドラマになっています。シーズン1を見てくださっていた皆さんには、楽しみにしていただきたいですし、シーズン2で興味を持っていただいた方は、新学期や初めての就職を経験してきた方なら、誰でも感情移入できる女の子のお話です。私はキャリーを世界一可愛い女の子だと思っているんですが(笑)。

見た目の華やかさと内面にはギャップがあって、親のことに悩み、友達のことに右往左往して、自分の恋の行く末がどうなるのかは誰も知らない。そんなところは誰でも経験のある共感できる女の子なんです。このドラマの凄いところは、見たあとちょっと可愛いスカートを履きたくなる魔法にかかるところ(笑)。ぜひお見逃しなく!


――ありがとうございました。

[取材・文/鳥谷部宏平 撮影/二城利月]


某美少女ゲーム雑誌の編集、アニメイトタイムズの編集を経て、現在はフリーで活動中のライター。主にアニメ、声優、VTuber、ゲーム、車などの記事を作ってます。好きなアニメは『ガルパン』、『艦これ』、『はいふり』、『ラブライブ!』、『ゆるキャン△』、『放課後ていぼう日誌』など。聖地巡礼が好きで、ハマるとすぐ飛んでいきます。

この記事をかいた人

二城利月
元アニメイトタイムズの編集者で、現在はフリーのライター。アニメ、声優、VTuberの記事など作ってます。

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■ 作品情報


マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~ 2
BSチャンネル・Dlifeにて好評放送中!

 
【キャスト】
キャリー・ブラッドショー:アナソフィア・ロブ/沢城 みゆき
セバスチャン・キッド:オースティン・バトラー/下妻 由幸
マギー:ケイティ・フィンドレイ/豊口 めぐみ
サマンサ・ジョーンズ:リンゼイ・ゴート/魏 涼子

【ストーリー】
 『セックス・アンド・ザ・シティ』主人公キャリー・ブラッドショーのはじまりの物語。1980年代のNYを舞台に、コネティカット州に住む平凡な女子高生が、お洒落と恋愛が命の“あの”キャリーになるまでを描く。今シーズンはキャリーが20代のサマンサと出会うところから始まる。キャリーの人生に欠かせない4人の大切な友人、その1人であるサマンサとの出会いをお見逃しなく。サマンサの自由奔放なハチャメチャぶりも注目。

>>『マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~ シーズン2』番組公式ページ

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