スピード感がある、キラッキラのきらびやかな世界へ！――映画『ONE PIECE FILM GOLD』キャストインタビューリレー　フランキー役・矢尾一樹さん

国民的大人気コミック『ONE PIECE（ワンピース）』。1999年にTVアニメの放送がスタートし、2000年から公開されてきた劇場版も、今作『ONE PIECE FILM GOLD』で第13作目となります。３年半ぶりとなる新作は、前作に引き続き、原作者・尾田栄一郎先生が総合プロデューサーとして参加。そんな期待の高まる映画は2016年7月23日（土）公開です！

舞台は、政府公認の独立国家グラン・テゾーロ。世界中の名立たる海賊、海兵、大富豪たちが集うその世界最大のエンターテインメントシティは、世界政府すら手を出すことのできない絶対聖域だった。そこでルフィたちの前に現れたのは、その国の支配者である黄金帝ギルド・テゾーロ。海賊、海軍、そして世界政府ですら容易く金の力で動かすテゾーロの底知れぬ野望が動き出し、今、新世界の勢力図が塗り替えられようとしていた―。

映画の公開直前、麦わらの一味で、フランキー役の矢尾一樹さんにインタビュー！　作品の観どころや、フランキーというキャラクターの魅力など、いろいろとお話をうかがいました。

▲矢尾一樹さん(フランキー役)

映画『ONE PIECE FILM GOLD』では、フランキーが大活躍！

――いよいよ『ONE PIECE FILM GOLD』が2016年7月23日（土）より、公開となりますね。ひと足早く、映画をご覧になった感想をお聞かせください。

矢尾一樹さん（フランキー役/以下、矢尾）：映像、音楽、音が三位一体となって、すごくスピード感があって、面白かったですね。映画の感想で「面白い作品です」とか、「スピード感がある」というのをよく聞きますが、『ONE PIECE FILM GOLD』は本当にスピード感が満載で観ていて、あっという間でした。個人的に、きらびやかな感じが好きなので、今回の作品の派手な画は大好きで、これはもう飽きないです。

俺は舞台では宝塚とかも好きなんですが、宝塚って、やっぱりきらびやかですよね。観ていて、キラッキラしているのって、こっちもなんだか、良い意味で浮かれてくるっていうか、テンションが上がってくるんですよ。そういった意味で、今回の映画は最初から、すごくキラッキラしていてテンションが上がりました。

それから、プロデューサーと話していたんですけど、「停電のシーンでも、あえて、なるべく暗くしないように」と、そこら辺をこだわったと話していましたね。

――フランキーが大活躍でしたね。

矢尾：そうですね。久しぶりに、ちゃんと役目を果たしたなっていう……（笑）。いつもいるんだか、いないんだか、よくわかんない。みんなと一緒にいても、すぐ「俺は船を直しにいってくる」って言って、一人でどっか行っちゃったりするので……。今回の映画では、ちゃんと最後にフランキー将軍（フランキーが製作したロボット兵器）にもなりましたし！

――ルフィと一緒にチームA（作中では、麦わらの一味がチームに分かれて行動）で活躍されていましたね。

矢尾：いや、良かったですよ。チームがそっちで……(笑)。なかなかルフィとふたりっていうのがないですからね。

――映画の中のフランキーのセリフで「あいつ（モンキー・D・ルフィのこと。『ONE PIECE』の主人公で、麦わらの一味の船長。CV：田中真弓）はやるといったら、必ずやる男だ」というセリフにグッときました！

矢尾：常にフランキーは大人なポジションの立ち位置なので、そういう意味では、きちんとみんなを見ていて、それぞれのキャラクターに対して、「こいつは間違いない」っていう自信がフランキーの中にあるんだと思いますね。だからルフィに対して、ものすごく信頼を持っている。そこに、みんなが集まってきているというのも事実ですしね。

――フランキーは、原作の登場からアロハシャツと海パン一丁というスタイルで、インパクトありましたよね。サイボーグですし、外見的にもちょっと変わっているところがありますが、内面的にはすごく大人な部分があって、常識人ですよね。

矢尾：うん。人間として、割とクールなところありますもんね。

――そのギャップが魅力的ですよね。

矢尾：そうですよね。なんかちょっと改めて、今回の映画でフランキーの男っぽさっていうか、人間っぽさっていうか、そういう部分をちょっと知ることができた面がありましたよね。

矢尾さんの譲れないものとは?!　矢尾さんが感じたGOLDな瞬間

――本作のタイトル『ONE PIECE FILM GOLD』のGOLDにちなんで、お聞きします。矢尾さんにとってGOLDとは、どのようなイメージですか。矢尾さんといえば、GOLDというイメージがありますけど。

矢尾：そうですね。金（きん）はもともと好きなので……。キラッキラしてるけど、18金もあれば、20金も11金もあって、いろんなGOLDがあるので、そういう意味で奥深いですね。表面的にキラッキラしてるというだけでなくて、その中に、いろいろ秘めているような、奥深さを感じる派手さかな。個人的には、昔11金のネックレスを海外で買って、うすい黄色がすごく好きだったんですよね。

――それでは、本作に関わる中で、矢尾さんが感じたGOLDな瞬間を教えてください。

矢尾：さっきの話とかぶってしまいますけど、息の芝居というところの掛け合わせというか、組み合わせをきちんと編集してくれたスタッフですね。先に俺たちの声を録って、俺たちの声を聞きながらゲストの方に収録していただいたので、ゲストの方々も我々の芝居に合わせてくださったんです。それは嬉しいですが、万が一、ずれていたり、かみ合ってなかったりしていたら、「もう一回、俺に収録させて。（タイミングが）違うと思ったら、遠慮なく言って」と監督には言っていました。それは本当に微妙な息芝居なので、そこだけは俺も譲りたくなかったし、時間的なもので、どうのこうのとかっていうのは許せなかったので……。そしたら、なんのリテイクもなく、「全然問題ないです」と返ってきたので、できあがりを楽しみにしていたんですけど、映画を観たら、本当に素晴らしい仕上がりになっていたので、監督、スタッフ、ミキサー含め、全スタッフにGOLDですよね。

でも、台本と全然雰囲気が違いましたからね。全体的にこんな風な仕上がりになるとは思ってなかったっていうか。ちょっと度肝抜かれた仕上がりでした。

――脚本も拝見させていただいたんですけど、やっぱり違いますよね。

矢尾：そんなキラッキラっていうイメージではなかったですもんね。最初に本読んだ時とは全く違う作品のような感じはしましたよね。

――もちろんそれは、映画がすごくパワーアップしたという意味ですよね。

矢尾：そうですね。すごく完成度の高い、クオリティが上がった作品になったということです。

矢尾さんとフランキーの共通点は海パン一丁?!　自分らしく、自然のままに

――『ONE PIECE』という作品で、フランキーという役柄を長年演じてきた矢尾さんですが、フランキーの好きな部分や魅力について、お聞かせください。

矢尾：やっぱり、やればやるほど人間っぽさをすごく感じますね。そこが魅力的なのかなと思います。「なんで前面だけあんなに自分で改造しちゃったんだろう？」っていう、よく意味がわからない部分もありますよね。そんなにいじくらなくてもね。「よっぽどメカが好きなのか。あそこまでいじくる必要があったのか」っていうのが疑問ではありますけど、すっぴんでもよかったんじゃないのっていう……(笑)。最初の海パン一丁だったあの頃でもよかったのに、「ここまで、なぜ彼をそうさせたのか」っていう不思議な部分でもありますよね。

――外見が派手になればなるほど、内面の奥深さが光って見えますよね。

矢尾：そうですね。そういう意味では、そうかもしれないですね。

――フランキーって、外見はどんどん変わっていくんですけど、内面はますます男前になっていくというか、それが際立ってきますよね。

矢尾：そうですね。

――聞くところによると、フランキーというキャラクターは、原作者の尾田栄一郎先生が矢尾さんをモデルにして描いたということなのですが……。

矢尾：まぁ、はい。

――矢尾さんご自身がフランキーに共感できる部分や、逆に、フランキーとは違うなと感じるところはありますか。

矢尾：共感できるのは、人間ぽいっていうところ。そういう意味では、すごく俺自身が人間ぽいと思うし、喜怒哀楽も激しいし、そこは非常に共通点がありますよね。

ただ、これは昔から言っているんですけど、（尾田）栄一郎とは仲がいいですけど、俺の記憶の中では、あいつの前で海パン一丁になったことはないですね（笑）。なので、なぜああいう風体になったのかっていうのがね。でも、だいたいみんなそんなもんだろうっていう。

――でも、昔からラジオなどで聞いていると、矢尾さんはそういうイメージありますよね。

矢尾：そうなんですよね、そういうイメージありますよね(笑)。たぶん「自然のままに生きたい」っていう……。嘘をつきたくないっていうのも、嘘をつけないっていうのも、やっぱりそういうところからじゃないですかね。「ありのままでいいんじゃないの」って……。「裸でも、寒くないわ～♪」っていう……（笑）。寒いときは、寒いんですけどね。フランキーは冬仕様になっても、海パンなんですもんね。あれはよくわからない……(笑)。

――麦わらの海賊団には、船長や船大工といった役割がありますよね。『ONE PIECE』という作品において、フランキーというキャラクターは、どのような役割だとお考えですか。

矢尾：今回の映画の最後でも、フランキー将軍になって出て行くシーンがありますよね。今、話していて思ったんですけど、何かあっても、仲間を（自分の）後ろにやっちゃえば、最終的にフランキーが相手からの攻撃を前面で受けて、「俺が盾になれば、次へ行けるぞ」っていう……。フランキーはそういう気持ちをどこかで持っているんじゃないかな。細かいことは全部（他の仲間に）やってもらうんだけど、ものすごく、どでかい敵と相対した時は、「俺が前面に出る。だからお前ら、俺の背中を守ってくれ」っていう部分が本人の中であるのかなと……。だから、あれほど前面を強化していて、守るのは仲間だと、自分の役割はそういうものなんじゃないかと思っているのかもしれないですね。

――矢尾さんがお考えになる『ONE PIECE』の魅力をひと言で教えてください。

矢尾：やっぱり「最後まであきらめない」ってことかな。特にこの映画は、観ていて、あきらめない。最後の最後は、結局そこじゃないですか。結局は「あきらめない」っていうところを持っていれば、必ず壁は乗り越えて行けるというメッセージかな。

――麦わら海賊団のメンバーたちも自分の夢や確固とした信念を持って行動していますよね。矢尾さんがお仕事をする上で、ご自身が最も大切にしていることや心がけていることは何でしょうか。

矢尾：俺はやっぱり「常に自分らしく」っていうことをテーマに生きていますね。しょせん作ったって、薄い作り方だったらすぐにハゲちゃうし、何にもならないので……。作り込めるんだったら、作り込んだ人生もいいんだろうけど、そうじゃなくて、やっぱり「自分らしく、自然のままに」っていうのをこれからもテーマにしたいと思いますね。マイク前でも、舞台の上でも、テレビカメラの前でも、なんの前でも、常に「自分らしく」ってことは、心がけていきたいと思っています。

新作映画では、麦わらの一味9人全員に、きちんと見せ場がある！

――映画『ONE PIECE FILM GOLD』の見どころを教えてください。

矢尾：なんだかんだ言っても「最後は俺に任せろ！」といった、自信みたいなものがちょこっと、かいま見える部分があったりするので、そこら辺のフランキーの男気、男っぽさを感じてもらえたら……。全面に出さないかっこよさっていうか……。そういったところを感じてもらえると嬉しいかな。

演じる側としては、それが逆にけっこう難しい部分ではあるんですよね。相手との呼吸がやっぱりあると思うので、脚本を読んだ時に「全員と一緒に（収録を）やりたかった」という気持ちがありました。

――スケジュールの都合で、キャスト全員と一緒にアフレコ収録はできなかったんですよね。

矢尾：今回の収録で、麦わらの一味とは（収録で）絡んでますけど、レイズ・マックス（伝説のギャンブラー。その正体は革命軍の重要人物。CV：北大路欣也）に、なぜフランキーが憧れたのかとか……。

ひと言なんだけど、そのひと言でお互いに感じる部分とかってあると思うので、そこをお互いに感じながら、やりたかったんですけどね（北大路さんとは別収録）。もちろんできあがりとしては、その辺りのふたりの会話っていうのも、すごくきちんと仕上がっていますけど、でもやっぱり、生のレイズ・マックスとの息の絡みをしたかったなとは思います。キャラクターとして、レイズ・マックスはかっこいいし、でもあの歩きに全部持っていかれるんですよね（笑）。映画のパンフレットにも書いてありましたけど、北大路さんが収録の時に、レイバンのサングラスで役作りをして、来てくださったっていうのがすごく嬉しかったですね。

▲レイズ・マックス（CV：北大路欣也）

――映画全体で、好きなシーンはありましたか。

矢尾：例えば、麦わらの一味の9人がいれば、9人の見せ場があります。ゲストキャラはゲストキャラの見せ場がいっぱいあって、全体的によくまとまったなと思いますよ。これだけ盛りだくさんなのに、全員の存在がしっかりと残る。これって、すごいことなんだろうなと思いますね。

――昔からの『ONE PIECE』ファンは、「このセリフ、聞きたかったよね」といった王道のシーンやセリフが出てくるので、それも嬉しいと思います。

矢尾：そうですよね。

――最後に、映画『ONE PIECE FILM GOLD』の公開を楽しみしているファンへ、メッセージをお願いいたします。

矢尾：あんまり同じものを二度、三度観ようとは思わないんですが、今回の映画は、あっという間に観終わってしまうので、ちょっと見落としている部分があるはずだと感じました。毎回、新たな発見があると思うので、二度、三度観て、楽しんでいただけたらと思います。

作品情報

＜STORY＞
“海賊王”を目指して新世界を旅するルフィたち麦わらの一味が訪れたのは、政府公認の独立国家、グラン・テゾーロ。世界中の名立たる海賊、海兵、大富豪たちが集うその世界最大のエンターテインメントシティは、世界政府すら手を出すことのできない“絶対聖域”だった。そこでルフィたちの前に現れたのは、その国の支配者である黄金帝ギルド・テゾーロ。海賊、海軍、そして世界政府ですら容易く金の力で動かすテゾーロの底知れぬ野望が動き出し、今、新世界の勢力図が塗り替えられようとしていた―。

＜STAFF＆CAST＞
原作・総合プロデューサー：尾田栄一郎 (集英社 週刊「少年ジャンプ」連載)
監督：宮元宏彰
脚本：黒岩勉
音楽：林ゆうき
劇中曲：小島麻由美
キャラクターデザイン・総作画監督：佐藤雅将
美術監督：小倉一男
美術設定：須江信人
色彩設計：永井留美子
CGディレクター：能沢諭
撮影監督：和田尚之
製作担当：稲垣哲雄
出演：田中真弓　中井和哉　岡村明美　山口勝平　平田広明　大谷育江　山口由里子　矢尾一樹　チョー　山路和弘
ゲスト声優：満島ひかり　濱田岳　ケンドーコバヤシ　菜々緒　北大路欣也