TeddyLoid、ボンジュール鈴木とのコラボEPを記念し、2人のきっかけである"今石洋之(トリガー)"と対談
弱冠18歳にして、サウンドクリエイターとしての力を発揮し、2010年には今石洋之監督作品『パンティ&ストッキングwithガーターベルト(以下、パンスト)』ではOSTを手がけその名を轟かせたTeddyLoid。
『パンスト』以降、『宇宙パトロールルル子』で再びタッグを組み作品を作り上げた二人だが、今回、TeddyLoidがボンジュール鈴木と手がけるEP「SILENT PLANET 2 EP Vol.2 feat. ボンジュール鈴木」のリリースに合わせ、お二人の対談インタビューが実現!
『パンスト』時代のエピソードから、お二人がタッグを組み見据える未来の作品まで、色んなお話を聞いてきました!
━━パンストでタッグを組まれて作品作りをされたのがお二人の出会いと伺っています。その出会いはどのようにして生まれたのでしょうか。
TeddyLoid:もともとm-floの☆TakuTakahashi(m-flo / block.fm)さんが、僕の先輩にあたる音楽プロデューサーなんですが、当時、彼の周辺にいるTCY FORCEと呼ばれるクリエイター達がいて、☆Takuさんと彼等が共同で『パンスト』の音楽を担当するということで、僕にもそのプロジェクトに興味がある?手伝ってほしいと声を掛けてくれて。
監督が今石さんと知って、僕は実は元々今石監督作品の大ファンだったので、即答で「やります」と返事しましたね。で、すぐにトラック作りを始め、初日で10数トラックを一気に仕上げました。それがファーストコンタクトでしたね。
━━いくつか「こういう曲をお願いします」という要望があって、それに沿って10トラックくらい制作されたということですか?
TeddyLoid:はい。僕の方からこの場面にこういうのはどう?と勝手に提案することもありました。当時はまだ流行っていなかったダブステップとか。それを新鮮に感じていただけたようで……。
今石洋之(以下、今石):まずフライングドッグに佐々木さんという方がいまして、今回作るアニメで曲はクラブサウンドっぽいものを使いたいという相談をさせていただいた時に、佐々木さんに紹介していただいたのがTakuさんでした。
最初は「え、そんな有名な人に頼めるの?」ってびっくりして。僕は音楽方面のことについてはあまり知見がなかったんですけど、紹介していただいて実現しました。
そしたら出来上がった曲が期待以上のものがきて、細かいオーダーをした曲もあったんですけど、好きに作ってもらった曲の方が多かったと思います。
TeddyLoid:結構細かいディレクションもありましたよ(笑)。このシーンは◯◯系とか、絵コンテごとに整理されていて。
今石:あ、本当(笑)。
TeddyLoid:なので、今では僕の代表曲になっている「Fly Away」も、最初は変身シーン用の曲じゃなかったんですよ。僕が勝手に作って送った中で、☆Takuさんが「変身シーンはコレだ!」ってすぐに決めたみたいです。
今石:あ、やっぱりそういう流れがあったんだね。
TeddyLoid:☆Takuさん自身も、僕の沢山のトラックの中から、ここの絵コンテにはこれが合うとか、こういうシーンにはこれが合うだろうという風に、音楽監督的にピースをどんどんハメていましたね。
僕は、今石監督に関しては『天元突破グレンラガン』の印象が強かったので、そのイメージから今石監督のご要望を想像して曲作りをしました。なので、四つ打ち系の曲が多いんですよね。
今石:そうだね(笑)。
TeddyLoid:四つ打ちのカッコイイ曲を!っていうのは、とても意識していました。こういうのが響くのではないかなって。
■今石監督「ハマり具合がすごかった」
━━パンストについて、初めてお話いただいたときどんな印象でしたか。
TeddyLoid:日本のアニメとしてこれほどハチャメチャな内容で、結構エグいシーンとかもあるのに、テレビシリーズでチャレンジできるんだという驚きがありました。
パンストの曲を作ったときは僕もまだ21歳ぐらいだったので、特に衝撃的でしたね。それに加えて、当時はダンスミュージックがまだまだ浸透していなくて、「まだ世に出たことのないアニメとまだ世に出たことのないサウンドを一緒に仕掛けるんだ」というワクワク感がすごくありました。
━━今石監督としては楽曲のハマり具合についてどういった印象でしたか?
今石:ハマり具合はすごかったですよね。
TeddyLoid:曲の中盤の方では、実際に動いている絵コンテ動画をいただいて、その動画をDAWっていう音楽ソフトに貼りつけて、合わせて曲を作っていたので、それがさらに音楽とアニメがハマる理由になったのかもしれないです。
━━パンストの次に2016年4月~6月まで放送された『宇宙パトロールルル子』という作品でもタッグを組まれていますけど、この作品で今石監督が再びTeddyLoidさんを起用された理由はなんだったのでしょうか。
今石:今回、クリエイティブディレクターでクレジットされている、もとはパンストの制作チームだった若林と音楽の話をしているときに、そろそろTeddyLoidとやりたいよねという話をずっとしていました。
少し前に日本アニメ(ーター)見本市で短編アニメを作ったときにも、本当はTeddyLoidに楽曲制作をお願いしたかったのですが、なんか他の人に先に取られちゃったみたいで、「なんだよ」って(笑)。
TeddyLoid:僕、海外フェスでたまたまTRIGGERのクリエイティブ・ディレクターの若林さんと一緒になったことがあるんですけど、そのとき「何で僕に振ってくれなかったんですか!」って、軽く抗議しましたから(笑)。
今石:なので、この話が動き出したときに、「じゃあそろそろお願いします」ということで、急なお願いをしてしまいました。
TeddyLoid:もう二つ返事で「今石監督と若林さんのご依頼ならやります!」って言いました。
━━今石監督が考えるTeddyLoidさん楽曲のアニメとの親和性や、アニメとTeddyLoidさん楽曲が起こす化学反応ってどういったところでしょうか。
今石:僕は単純にエレクトロとかそういうジャンルの曲が好きだし、テクノとかも好き。今回も「Pipo Password」のremixバージョンを最終回一本前の本編内で使わせてもらって。それように発注してたわけじゃなかったんですけど(笑)。
TeddyLoid:僕が去年リリースしたアルバムの舞台『SILENT PLANET』に、ルル子が遊びにきたらどうなる?みたいなremixを作りました。なので、「Pipo Password(Luluco on SILENT PLANET Remix)」と名付けました。
今石:それを聴いた若林とこれはもうすぐ使おうって話になって。
TeddyLoid:12話ですよね。
今石:今回「ルル子」全体ではアクションは少なめだったのですが、12話、13話はラストなのでアクション多めで盛り上げていく展開が多く、そうなるとこのremixバージョンはビタッとハマりました。
■30代・40代のおっさんが集まり、一生懸命女子中学生の恋愛を考えた
━━パトロールルル子を作られる段階からTeddyLoidさんを意識して作られたところとかってありますか。
今石:これ僕の監督史上、最も短期間で作った作品なんですけど、企画し始めてから半年くらいで……。だから、あまり時間をかけて考えるよりは、どんどん進行していくなかで、説明しなくても僕のやりたいことがわかる人にどんどん頼んでいくというスタイルでした。
━━「こいつに頼んだら間違いなく望んだものが返ってくるだろう」というような人にお願いしたと?
今石:そうですね。なので、そういう意味ではそもそも信頼できるが故にTeddyLoidに頼みましたね。
━━TeddyLoidさんは結構嬉しそうな顔されていますが。
TeddyLoid:嬉しいですね。でも最初にこの話をいただいたときに、まだHPの情報しか見ていなくて。
そして「私の初恋、ビッグバン。」というキャッチコピーを見たときに、「ついに今石監督は普通の恋愛ものを作るんだ」とちょっと意外に思ったし、曲調に関しても少しゆったりとした、浮遊感のあるボーカルソングを作って欲しいというオーダーだったので、最初は珍しく感じました。
恋愛物語なのでハチャメチャな展開はないだろうって思い、蓋を開けてみたらやっぱりすごくて(笑)。
━━「私の初恋、ビッグバン」というキャッチは、どうやって生まれていったのでしょうか。
今石:今回の作品の第二監督をしている雨宮という者が自分で脚本書いていて、30代・40代のおっさんが集まり一生懸命女子中学生の初恋について考え、その挙句に雨宮の中から絞り出されてきたのが「ビックバン」というワードでしたね。
TeddyLoid:一歩間違えると危ないですね(笑)。
━━今回の楽曲で恋心とか甘酸っぱさみたいなのを出そうとしたところはありますか。
TeddyLoid:そんな感じを出したくて、ボーカルにはボンジュール鈴木さんを指名させてもらいました。真っ先に思い浮かんだのが彼女でした。以前からとても興味があったので、引き受けて下さった時は嬉しかったです。
━━繊細な思春期と言いますか、今にも消えそうな繊細な声というのをイメージしたのでしょうか。
TeddyLoid:そうですね。あと彼女自身、『ボンジュール鈴木』というコンセプトがあって、「私を連れ去って」みたいなストーリーがあるんですよ。なので、絶対に恋愛ワードにおける引き出しは多いと期待したんですが、間違いなかったですね。
━━今回のPipo Passwordは今石監督の方から何かディレクションされたことはありましたか?
今石:どちらかというとそういうやりとりは若林とされていたような……。
TeddyLoid:そうですね。今までの僕の曲調とはちょっと違って、まったりした、ゆったりした、ボーカルもちょっとふわっとした感じの曲にして欲しい。BPMは遅めでというオーダーはいただきましたね。
━━もう最初に聞いた瞬間から今石さんのなかでハマったんですかね。
今石:そうですね。特に「あれ直して」「これ直して」みたいなやりとりはなかったですね。これはお互いのことをすでに知っている間柄じゃないとできないなと。
━━今回の「SILENT PLANET 2 EP Vol.2 feat. ボンジュール鈴木」にはボンジュール鈴木さんがremixされたものが入っていますが。こちらはどういった経緯で誕生したのでしょうか。
TeddyLoid:そもそも宇宙パトロールルル子きっかけで一緒にお仕事できて、「Pipo Password」ではもちろんまずは歌詞と歌をお願いしたんですが、実はクリエイター、サウンド・プロデューサーとしてのボンジュールさんにも元々興味があったんですよ。彼女は歌だけでなく、絶対よいリミックスを作れるって確信していたので。無理言ってお願いしました。
━━remixをいただいたときの印象はどうでした?
TeddyLoid:「ふわふわremix」というタイトルはボンジュール鈴木さんが考えたタイトルなんですけど、もうそのまんまだなと(笑)。
でもそのなかでも、結構ビートが効いているところやドラムの打ち方が途中変拍子になっているところがあったりして、すごいなと思いました。
僕と彼女にはフレンチ・エレクトロという共通のバックボーンもあって。もともと僕が本格的にダンス・ミュージックを始めたきっかけにあたるジャンルですが、今回の彼女のリミックスにもそういったルーツを感じることが出来て嬉しかったです。
彼女とはこれからもどんどん曲を一緒に作りたいですね。お互いソングライティングからミックスダウンまでがセルフというのも共通項だし、色んなことが出来ると感じています。
━━最後に、今後もタッグを組まれて何か作品作りをされることがあるかと思いますが、今石監督×TeddyLoidというタッグで挑まれる作品を待っている方もたくさんいると思います。そういった方に向けて今後チャレンジしていきたいことや、豊富などがあればお聞かせください。
今石:なかなかこういうのね、決まらないと言えないから難しいんだけど……(笑)。やっぱりTeddyLoidさんの曲と映像がハマった瞬間っていうのは、すごく気持ち良くて、もうずっとこの時間が続いて欲しいって思うんですよね。
「この瞬間が!」という時間が本当は50分とかずっと聞いていたいなと思うわけで、そういう時間が少しでも長くなるような作品を作りたいと思います。
TeddyLoid:嬉しいですね。僕としては、パンストのときもそうですし、ルル子のときもそうなんですけど、僕にとって今石監督とのセッションっていうのは、常に自分の新しさを引き出してくれる存在なんです。
パンストのときも僕の「Fly Away」という僕のターニングポイントになる曲を残せたし、今回の「Pipo Password」も今までのTeddyLoidになかった曲になりました。
そして今回のボンジュール鈴木さんとの再会では、EDMシーンの最新トレンド「トロピカル・ハウス」という新しいジャンルにトライしてみようと思ったり、そういう新しい自分を引き出してくれるんです。
なので、個人的に次回御一緒出来るなら、シリーズ作品のテーマ曲だけでなく、全ての効果音やサウンドトラックまでを手掛けてみたいです。そしたらまた新しいTeddyLoidがきっと出せると思います。
今石:いいですね。そういう企画を用意しないとですね(笑)。
TeddyLoid:お願いします(笑)。
■商品概要
「SILENT PLANET 2 EP Vol.2 feat. ボンジュール鈴木」
9/16(金)Apple Music / iTunes
http://itun.es/jp/d_9Feb
M1. Sleeping Forest feat. ボンジュール鈴木
M2. Sleeping Forest feat. ボンジュール鈴木 (French Touch Remix)
M3. Sleeping Forest feat. ボンジュール鈴木 (Extended Mix)
M4. Pipo Password (ボンジュール鈴木 ふわふわremix)
■Blu-ray
TVアニメ「宇宙パトロールルル子」ブルーレイディスク 好評発売中
発売元:フライングドッグ/販売元:ビクターエンタテインメント
【初回生産限定版】 VTZF-67/¥8,800(税抜)
【通常版】 VTXF-94/¥7,800(税抜)
©TRIGGER・今石洋之/宇宙パトロールルル子製作委員会☆彡
(収録内容)
・TV放送ver. 全13話(2chステレオのみ)
・6/24上映イベント用特別編集版 (音声:5.1chサラウンド、2chステレオ)
・今石監督ほか、メインスタッフによるオーディオコメンタリー
・ブックケース(キャラクターデザインまご描き下ろしイラスト使用)
※初回生産限定版のみ
・特典CD(オリジナルサウンドトラック(音楽:末廣健一郎+録り下ろしショートドラマ4本収録)
※初回生産限定版のみ
■TeddyLoidプロフィール
TeddyLoid (読み:テディロイド)
弱冠18才にしてMIYAVIのDJ~サウンド・プロデューサーとしてワールドツアーに同行し、そのキャリアをスタート。
☆Taku Takahashi(m-flo)と共にガイナックスのアニメ"Panty & Stocking with Garterbelt"のOSTをプロデュース。柴咲コウ、DECO*27とのユニット、galaxias!の結成、ももいろクローバーZの"Neo STARGATE"のサウンドプロデュース~2013年の西武ドーム大会へのゲスト出演、アニメ『メカクシティアクターズ』へのBGM提供、ボーカロイドIAのプロデュース〜リミックス、『アニメ(ーター)見本市』中の吉崎響監督作品『ME!ME!ME!』、スクウェア・エニックスの『無限∞ナイツ』、宮本亜門演出のWRECKING CREW ORCHESTRAの長編新作公演、"SUPERLOSERZ SAVE THE EARTH 負け犬は世界を救う"等を手掛ける。
2014年8月にキングレコードEVIL LINE RECORDSよりEP、"UNDER THE BLACK MOON"、続く9月にファーストアルバム、"BLACK MOON RISING"をリリースし、ソロ・アーティストとしてメジャー・デビュー。2015年夏には『ももいろクローバーZ×TeddyLoid Remix Project』をスタートし、9月には初の公式リミックス・アルバム、"Re:MOMOIRO CLOVER Z"としてリリースを実現。
ももいろクローバーZの夏の大型公演『桃神祭2015』では、DJとしてフロントアクト出演を果たした。12月には全12曲に計14組の豪華ゲスト・アーティストを迎えた初のコラヴォレーション作品、"SILENT PLANET"をオリジナル2ndアルバムとしてリリース。小室哲哉、中田ヤスタカ、柴咲コウ、KOHH他、豪華かつ大胆な共演が話題となっている。
4月からオンエア中のモード学園グループの学校法人・専門学校 HALの2016年度TVCM「嫌い、でも、好き」篇では、音楽を担当している。
海外からの評価も高く、今年5月には初のアジア開催となった"MICS MACAU 2016 DJ Festival"に日本代表DJとして招聘され、また7月にはLAで催された北米最大のジャパンカルチャーの祭典、"ANIME EXPO 2016"のDJイベントにヘッドライナーとして出演を果たす。
「SILENT PLANET」の続編となる「SILENT PLANET 2 EP」シリーズを現在デジタル限定リリース中。
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