2016-10-26 22:45

イケメンよりもカッコイイ！舞台上のキャストが全員女性なんて信じられますか？

　舞台上のキャストは全員女性。しかし、アイドルとは一味違う華やかさがあります。そう、ここは歌劇団『Grand Stage』――。

　『Grand Stage』は、女性のみで構成される歌劇団「グラン・ステージ」を舞台に、様々なシチュエーションドラマや歌が繰り広げられるキャラクターCDシリーズです。キャストに緒方恵美さん、豊口めぐみさん、井上麻里奈さん、喜多村英梨さん、斎賀みつきさんらが出演し、話題を呼んでいます。

　そんな『Grand Stage』が奇跡舞台化。イケメンよりもカッコイイと評判の女性タレントなどを起用し、夢の舞台が繰り広げられます。

　本稿では、2016年10月26日(水)、赤坂RED/THEATERにて行われたゲネプロの模様をお届け。なお、舞台版のメインキャストは以下の通りです。

【メインキャスト】
美波琥珀役：ルウトさん
陽央あきと役：中山咲月さん
昴涼夜役：小森未彩さん
風宮絵琉役：谷川愛梨さん（NMB48）
蘇皇唯役：悠斗イリヤさん

ハロウィンの特別公演で天組に降り注ぐ事件の数々

　物語の舞台は、毎年組毎の持ち回りで行われるハロウィンの特別公演を前に、今にも稽古が始まろうとしているグラン・ステージ。今年は天組が担当することから、あきと、涼夜、絵琉らは気合十分で心待ちにしていますが、急遽、主役を演じる予定だった赤薔薇の君・蘇皇唯が降板を宣言。そして、唯が代役として抜擢したのは、意外な人物で……？　一方、ハロウィン公演の時期にグラン・ステージ内で囁かれる「ハロウィンの三不思議」が稽古中の天組の面々に襲いかかります。果たして、無事にハロウィンの特別講演を終えることができるのでしょうか……？

　
　ストーリー面では、主役の降板や特別公演へ向けてのハプニングなど、天組にとって数々の難題が突きつけられますが、決してシリアスな内容だけではありません。ところどころで思わずクスッとするような場面も挟まれ、非常にテンポ良く物語が展開します。

　
　中には、意外性のある小道具で観客を楽しませるようなシーンもあり、軽快かつコミカルな内容で作品の世界観へ引き込まれました。

　
　一方、特別公演に関わるシリアスなシーンでは、キャラクターの特徴を忠実に再現した役者による迫真の演技が繰り広げられます。真剣な眼差しや熱のこもった台詞の数々、力強い動きには、思わず自分もグラン・ステージの一員になったような感覚に陥り、彼女たちの行く末が気になって仕方ありません。作中の台詞を借りるとするなら、まさに役者陣は「演じるのではなく、役に染める」といった表現がピッタリでした。

　
ハイクオリティなキャストの演技は必見！

　キャラクターCDシリーズを原作に構成されている本作ですが、舞台ではキャラクターの完成度が非常に高い仕上がりになっています。ルウトさんが演じる琥珀は、ある悩みを抱えて葛藤する場面がありましたが、いざ物語上で公演を迎えると顔つきが変わり、キレのあるパフォーマンスで自らの世界観に引き込みました。本気を出した彼女の前では、為す術もなく虜になってしまうでしょう。

　
　自由奔放かつ豪快な性格のあきとは、物語も役者もパワフルに引っ張ってくれるリーダーとして、ステージの中核を担っています。今回、あきと・涼夜・絵琉は一緒に行動する機会が多いのですが、どの場面でもあきと演じる中山さんが中心となって、舞台上の役者全員をを眩しいくらいに輝かせてくれました。

　
　クールな佇まいで常に凛とした空気を醸し出している涼夜は、良い意味であきとと対照的な存在です。コミカルな場面とシリアスな場面でメリハリをつけて演じ分ける小森さんには、自然と目が奪われてしまいます。

　
　ときに緊迫した場面を和ませるムードメーカーとして、また甘い声で観客の心を鷲掴みにする絵琉は、谷川さんのフレッシュな立ち回りでキャラクターを再現。ひょこひょこと小動物のような動きで舞台上を明るく照らす彼女には、男女問わず魅了されること間違いないでしょう。

　
　赤薔薇の君として天組の大黒柱を務める唯は、悠斗さんの堂々とした雰囲気や力強い歌声によって、原作のキャラクターにも負けずとも劣らないクオリティに昇華されています。特にパフォーマンスにおいては、その熱いパッションが客席に直接ビリビリと伝わってくるような印象を受けました。赤薔薇の君の圧倒的な存在感は舞台上でも健在です。

　
美しい歌声とパフォーマンスで全ての観客を虜に

　歌劇団をテーマにしてるだけあって、本舞台の大きな見どころは何と言っても美しい生歌＆迫力満点のダンスです。芯の通った真っ直ぐな歌声はもちろんのこと、その中でキャラクターの特徴を最大限引き出す姿は、まさに『Grand Stage』ならではです。さらに、キャラクターCDシリーズに収録されている「夢 on stage　～グランステージのテーマ～」を始めとした楽曲も披露され、原作ファンにとっても大満足な内容になっています。

　
　また途中で差し込まれる楽曲の数々も、物語の流れを決して損なわず、観客の心に訴えかけるようなパフォーマンスで会場を大きく盛り上げます。時に激しく、時に悲しく、時に優しく、展開に応じた美しい動きは、役者陣によるキャラクターの作り込みの高さを伺わせます。

　
　圧巻の歌やパフォーマンス、個性的なキャラクターにシリアス＆コミカルなストーリーなど、ハイクオリティな仕上がりとなっている本作。原作こそキャラクターCDシリーズですが、これらの内容を全く知らなくても楽しめる舞台になっています。公演は10月26日(水)～10月30日(日)まで行われているので、本稿で興味を持たれた方はぜひ、劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか？　きっと天組の面々が、今まで見たことのない世界へ連れて行ってくれることでしょう。