『Wake Up, Girls！』に聞く、新曲「僕らのフロンティア」の裏側～初の他アニメ作品タイアップへの思いと歌唱へのこだわりとは

　2016年11月25日（金）にリリースされる『Wake Up, Girls！（以下、WUG）』の新曲・僕らのフロンティア。同曲は、テレビ東京ほかにて放送中のアニメ『灼熱の卓球娘』のEDテーマとして起用されているアニメタイアップ楽曲だ。

　声優ユニットがアニメのタイアップ曲を手がける。当たり前のことのようだが、『WUG』について言えば、これは通常のコラボレーションではないと言えるだろう。

　『WUG』が本格稼働したのは2014年。7人のメンバーが作中に登場するアイドルを演じる映像作品では2014年に映画、テレビアニメ。2015年には前後編となる続・劇場版が公開された。

　一方、声優ユニットとしては2014年から3度のライブツアー、冠のテレビ・ラジオ番組、各種イベントなど着実に歴史を積み重ねてきた。そんな彼女たちにとって初となる、他のアニメ作品とのコラボ。これまでに多くのアニメ作品発の声優ユニットが誕生してきたが、別作品とのタイアップを行なった事例は非常に稀な例の一つだと言えるだろう。

　注目の集まる楽曲のリリースを控える中、『WUG』の吉岡茉祐さん、永野愛理さん、田中美海さん、青山吉能さん、山下七海さん、奥野香耶さん、高木美佑さんの7人にインタビューを行なった。タイアップを聞いた時の感想、レコーディングで印象に残ったことは何か。そして、『WUG』が持つ、センターの価値観とは。彼女たちの胸中に迫る。

2016年は挑戦の年。多くの人に曲を届けるチャンス
―― 『WUG』として初の外部作品タイアップ。まずは感想をお聞かせください。

田中美海さん（以下、田中）：タイアップを最初に聞いた時は本当にびっくりしました。次に、これは私たちにとって挑戦だなと思いましたね。正直、発表を聞いたワグナーさん（『WUG』ファンの総称）がどう感じるのか？など不安なことも多かったのですが、プラスに感じてもらえる声が大きかったのが嬉しかったです。今回のタイアップが、もっともっと『WUG』を知ってもらえるキッカケになったのかな？と思っています。

僕らのフロンティアについては、『WUG』らしさもありつつ、『灼熱の卓球娘』にもマッチし た仕上がりになったと実感しています。曲に恵まれ、アニメにも恵まれ『これからも私たち頑張ろう！』ってすごく思いました。 　

山下七海さん（以下、山下）：最初、不安はあったんですけど、ワグナーさんはアニメ『Wake Up, Girls！』のキャラクターも好きなのと同時に、声優である私たち中の人の人も好きという人がたくさんいるという印象があったので、タイアップしてもマイナスにはならないだろうな？と思ってました。
曲については普段から『WUG』の曲を書いていただいている広川恵一さんが担当でした。私たちのこともすごく分かってくれてたので、安心しながら収録を頑張れました。2016年は挑戦の年だなってみんなとも話していたので、本当にいい機会だったなって思います。

奥野香耶さん（以下、奥野）：アニメ『Wake Up, Girls！』があったから、私たちも『WUG』になったと思っています。なので、今回は同じユニット名で活動していいのかな？例えば名前変えた方がいいんじゃないかな？って少し悩みました。でも集英社の方からも『Wake Up, Girls！』のままで一緒に頑張りたいとお声掛けいただいた結果、私たちのままで行こうとなりましたね。

永野愛理さん（以下、永野）：私たちはアニメを元にしてオーディションを受けて、結成したので他の作品のタイアップを個々でやってはいたけど、アーティストとして7人全員でやるのは想定外でした。ですが、私たち『WUG』が広がっていくという意味ではいい機会ではあると思っていました。実際、『灼熱の卓球娘』が好きなファンの方々からも、僕らのフロンティアがアニメの雰囲気にあっていると感じていだだけてとても嬉しいです。

青山吉能さん（以下、青山）：私たちは『WUG』でもあるんですけど、一人の声優でもあります。一人ひとりが声優として活動していて、そんな声優ユニットの名前が『WUG』なんです。これまではアニメ『Wake Up, Girls！』と共に歩んで来たんですけど、2016年は特にアニメの活動もなくって、どうしていくっぺか？と話していたときに、『私たちでできることをやって行こう』と考えたんです。

ライブについては、ハモリを増やそうとか。自分たちでも現状を変えて行こうと思ったときのタイアップで、もちろん不安でもあったのですが、いいチャンスだったなと思っています。今はまだ実感がないのですが、『WUG』にとって大きな一歩だったと感じています。

高木美佑さん（以下、高木）：『灼熱の卓球娘』の放送スタートや僕らのフロンティアのMV公開後に、『こういった衣装も新鮮でいいね！』だったり、『一番好きかも！』みたいな声が聞けて嬉しかったです。こうしたタイアップを通じて、新しい魅力につながったのではないかな？って思いますね。 　

吉岡茉祐さん（以下、吉岡）：当初メンバーの中でも色々な意見が出ていました。正直、不安の割合が大きかったかもしれません。今までのファンの方々がどう感じるのか？そもそも私たちが声優ユニットであることをどれだけの人が認知しているのか？などですね。 　いざ蓋を開けて見ると、好意的な声が大きかったので、嬉しかったです。

BLUE SKY。伸び伸びとした歌声が印象的
―― では、レコーディングについてお聞かせください。 　

高木：僕らのフロンティアは静かなAメロからはじまります。バックの音もほぼ同じ音。なので普段歌っているような、抑揚のある曲よりも歌うことが難しかったですね。また、それぞれの歌詞に沿った気持ちをその中で表現するというのは、はじめての試みでした。 　そうした静かなスタートからのサビは力強いイメージへ。真っ直ぐに歌った感じが多くの方に届いていたらいいなって思います。 　

青山：私は張り上げて歌う方が得意なので、Aメロの静かなところは“お経”みたいになりそうで苦戦しました。美佑が収録したのを聞きながら、じっくりと抑揚をつけて歌ったのが印象深いです。

吉岡：この曲はハモリがすごく気に入っています。サビの終わりにある『進め、僕らのフロンティア』のパートが特に好きなんです。今回はレコーディングにあたって、アニメの中で演じているキャラじゃなくて、私、吉岡茉祐のままで歌っても良いとディレクションがあったのですが、歌い方はかなり迷いました。私はアニメ『Wake Up, Girls！』の曲も割と自分に近い感じで歌っていたので、変えた方がいいのか？それとも素直に歌った方がいいのか？ということを考えていましたね。

いざ曲が完成してみると、伸びやかさというか「伸び伸びと歌ってるな私」と思いました。高音のパートもこれまでの曲だと一生懸命歌っている感じがあるんです。キャラを守りつつ、爽やかさも出しつつというイメージですね。それが、僕らのフロンティアでは、結果歌いやすいように歌っているな。と自分で聞いていても思いました。 　

山下：私がレコーディングしてる時、「吉岡さんのこのパートがいいんですよ～」って話題になった！ 　

吉岡：本当！知らなかった！

―― 吉岡さんの歌声はレコーディングスタッフにも好評だったんですね。では、山下さん、永野さんはいかがでしたか？

山下：僕らのフロンティアは、最初は静かな感じではじまるんですけど、Cメロは楽しげにというディレクションだったんです。私のパートは『言いたくないな、言い訳』。そこは、本人で歌いながらも『キャラに近い感じ』という話になったんです。普通に私が歌うよりも、久海菜々美ちゃんっぽいツンツンした感じを出して歌いました。ここは特に力が入っていて、レコーディングも5回くらい撮り直しましたね。

永野：現場では、まゆしぃのレコーディングが絶賛されてて、まゆしぃの声を聞いて「この雰囲気にあった歌い方をして欲しい」という話がありましたね。ひたすらレコーディング中にまゆしぃの声を聞いてました。

吉岡：嘘でしょ（笑）

永野：本当！私はまゆしぃの声と合うまで収録を繰り返してました。2番のAメロで私の次がまゆしぃだったので「しっかりとつながるよう」に心がけましたね。 　

―― 歌い方で特に印象に残っている点について、奥野さん、田中さんはいかががですか？　

奥野：『遊びたい気分じゃなかった』、『恋にはまだ興味がなかった』というのが、私のAメロ のパートなのですが、最初どちらも「本当に遊びたくない・・・」という気分で歌っちゃったので、もうちょっと感情上げてくださいというディレクションが入りましたね。 　ちょっと質問から外れちゃうんですけど、僕らのフロンティアでは、美海の力強い歌い方が私はすごく好きです。これまでの曲と一番違う感じなんです。

Beyond the Bottom（続・劇場版　『Wake Up, Girls！ Beyond the Bottom』主題歌）も演じているキャラじゃなくて、本人で歌っていいよ？って言われたんですけど、僕らのフロンティアはまた違った感じ。力強い美海の歌い方が大好きです。 　

田中：やった☆ 　

奥野：うふふ。 　

田中：私は、Aメロ歌い出しの『机の上電話が鳴った』というパートが印象に残っています。音も全然ないので、色々と変えて歌ったりしたんですけど、最終的に「無になって欲しい」というディレクションが入りました。そこで、「あー、なんか鳴ってるー」って気持ちで歌ったんです。ここが印象に残っていますね。僕らのフロンティアはAメロは静か、Bメロは少しずつ可愛く、そして、サビで青い空が広がるみたいな。一曲の中で色々な私たちを見せることができたと思います。アニメ『Wake Up, Girls！』とはまた違った魅力が詰まっているんじゃないか？と思います。

声優ユニット『WUG』のセンターとは
―― 僕らのフロンティアは吉岡さんではなく、田中さんがメインの印象を受けました。その点に ついてはいかがですか？

田中：正直センターと言われると、ピンと来てないんです。

―― なるほど。

吉岡：私が普段、センターと言われていますが、曲全体を通してみるとメンバーそれぞれがセンターに立つようになっているんです。声優ユニットの『WUG』については特別誰がセンターという感じでもないんですよね。今回は『灼熱の卓球娘』とのタイアップということで、作品にもメインで 出演している美海が落ちサビ（ラスト1つ前の静かなサビ）を歌っていることもあって、一番注目される立場にある。そういう意味では、センターかもしれないですね。

高木：アニメ『Wake Up, Girls！』では、まゆしぃの演じる島田真夢がセンター。ですが、実際の私たちは曲の振りによっても変わりますし色々ありますね。

吉岡：確かに改めてセンターが誰？聞かれると私になるのですが、そのような質問の際の真ん中のポジション的な立場です（笑）。そういった意味でも今回、他のアニメとのタイアップということで、他のメンバーが真ん中に立つという新しい『WUG』ができたかな？と思っています。

―― 貴重なお話をありがとうございました。

　『灼熱の卓球娘』とのタイアップ・収録時の思い出についてはここまで。後日公開の記事では、MV収録やカップリング曲、そして開催の迫った「Wake Up, Girls！Festa. 2016 SUPER LIVE」、舞台「Wake Up, Girls！ 青葉の記録への意気込みをお伝えします。

取材・文/川野優希　撮影/塚越淳一

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商品情報
発売日：2016年11月25日（金）
タイトル：僕らのフロンティア
アーティスト：Wake Up, Girls！
仕様：SG+DVD、SG
【≪CD収録内容≫】
01 僕らのフロンティア
02 タイトロープ ラナウェイ
03 outlander rhapsody
04 僕らのフロンティア（Instrumental）
05 タイトロープ ラナウェイ（Instrumental）
06 outlander rhapsody（Instrumental）

【≪DVD収録内容≫】
01 「僕らのフロンティア」ミュージックビデオ収録

※収録内容・仕様は予告なく、変更になる場合がございます。
　予めご了承ください。

舞台概要

■作品名：舞台「Wake Up, Girls！ 青葉の記録」

■日程：1月19日(木)～1月22日(日) 全8回公演
※公演日時は変更の可能性があります

■劇場：AiiA 2.5Theater Tokyo

■出演者：
≪Wake Up, Girls！≫
島田真夢 役　吉岡茉祐
林田藍里 役　永野愛理
片山実波 役　田中美海
七瀬佳乃 役　青山吉能
久海菜々美 役　山下七海
菊間夏夜 役　奥野香耶
岡本未夕 役　高木美佑

≪I-1club≫
岩崎志保 役　大坪由佳
近藤麻衣 役　小山梨奈
吉川愛　役　岩田華怜　
相沢菜野花 役　水原ゆき
鈴木萌歌 役　山下夏生
鈴木玲奈 役　立花玲奈
小早川ティナ 役　日下部美愛

≪グリーンリーヴス・エンタテインメント≫
丹下順子 役　田中良子
松田耕平 役　一内侑

※出演者は変更になる可能性がございます。

■原作：Green Leaves
■脚本：待田堂子
■音楽：神前暁 MONACA
■演出：柿ノ木タケヲ

■スタッフ
美術：松本わかこ
舞台監督：大竹竜二
照明：大波多秀起(デイライト)
音響効果：前田規寛(S.S.E.D)
映像：noadd
衣裳：雲出三緒
ヘアメイク：B★side
振付：SATOMI
演出助手：城内由夏子
制作：Office ENDLESS

■主催：エイベックス・ピクチャーズ株式会社

■公演スケジュール
1月19日（木）13:00～　19:00～
1月20日（金）13:00～　19:00～
1月21日（土）13:00～　18:00～
1月22日（日）12:00～　17:00～
※各会場ロビー開場は開演の１時間前、客席開場は開演の30分前を予定しております

■ライブコーナー
各公演後にはライブも開催します