声優
ムービーコミック『PとJK』本谷歌子役・山本希望さんインタビュー

『PとJK』で警察官を演じる鳥海浩輔さんのセクシーボイスは犯罪級!? 本谷歌子役・山本希望さんが語る、アニメとムービーコミックの境界線

 国内外の映画やドラマはもちろん、音楽やシアター(演劇、落語ほか)、カラオケなど、多彩なコンテンツを楽しめる映像配信サービス「dTV」。アニメラインナップも非常に充実し、会員数は今や500万人を突破した本サービスですが、実はコンテンツの一つに「マンガ」があることをご存知でしょうか? 「dTV」におけるマンガは「ムービーコミック」と呼ばれ、一コマずつコマ割りして動かして声優がセリフを吹き込み、さらにSEやBGMが加わって動画で楽しめる大人気ジャンルとなっています。

 現在は『進撃の巨人』『好きっていいなよ。』など、幅広いジャンルの作品を楽しむことができますが、この度「別冊フレンド」で連載中の『PとJK』が2017年1月1日(日・祝)より配信スタート。山本希望さん、鳥海浩輔さんらがキャスティングされ、女子高生と警察官のピュアなラブストーリーが描かれます。

 本稿では、そんな本作の主人公・本谷歌子を演じる山本希望さんにインタビューを実施。作品の魅力や、アフレコにおけるアニメとムービーコミックの違いをはじめ、山本さんの学生時代のエピソードもお伺いしました。

 

アニメでもドラマCDでもない、ムービーコミックを演じる上での難しさとは?
――本作は『別冊フレンド』の作品ですが、少女漫画はお好きですか?

本谷歌子 役・山本希望さん(以下、山本さん):学生の頃はよく読んでいたのですが、大人になるにつれて、読む機会が減ってしまっていました。漫画原作のお仕事では、その作品を読んでから臨むのですが、あまり少女漫画のお仕事をすることが多くはないので、すごく久しぶりに読んだ気がします。でも、いざ読んでみるとあまりの面白さにハマってしまい、この作品と出会うことができてありがたく思いました。


――やはりキュンキュンする恋愛要素に惹かれるのでしょうか?

山本さん:キュンキュンしましたね! 『ロミオとジュリエット』のように、年の差、警察官と高校生という立場の違いがある恋愛のお話なので、いろいろな要素でドキドキしました。


─―ちなみに本作はご存知でしたか?

山本さん:私は映画が好きなんですけど、映画館に行ったときに実写版『PとJK』の予告を見たんですよ。それを見て、とんでもない少女漫画があるんだなと思いました(笑)。


――確かに、社会人と16歳の女子高生という、かなりインパクトのある内容です。

山本さん:法的にもどこまで大丈夫なのか理解しておらず「これって大丈夫なの!?」と思いながら予告を見ていたんです(笑)。すると、それから約2週間後にこのお仕事が舞い込んできました。


――すごい偶然ですね(笑)。

山本さん:そうですね、「あれ? 『PとJK』って、映画の予告をみたあれ!?」と。先ほど言った通り、「大丈夫なのかな?」というところから原作を読ませていただいて、「あ、なるほど! 結婚すればいいんだ!」と、やっと私の中で腑に落ちました。映画の予告だと、ラブラブなシーンが多く描かれていたんですが、漫画ではそこに至るまでにしっかりお話があったので、「どこで付き合い始めるんだろう?」「まだ距離遠くない?」などワクワクしながら、楽しく読ませていただきました。


――では改めて、山本さんが演じられる女子高生の「カコ」こと、本谷歌子の紹介をお願いします。

山本さん:カコはすごくいい子なんですが、猪突猛進なところがあって、思ったことはすぐ行動に起こします。ただ、相手の気持ちや立場を考えて、節度を持って会話をできる子だと思います。一見すると、自分がすごく前に出てしまって、人に迷惑をかけがちな子のように見えるんですが、実は全然そんなことはないんです。とてもいいバランスでいろいろな人と接している子だなと思いました。私にとって理想の女の子ですね。


――落ち込んでいると励ましてくれる友達がいたりと、周囲から慕われていることが分かるシーンもありますよね。

山本さん:それこそ大神さん(※後に登場する大神 平助)との接し方も、近づきにくい人の側に行って、ちゃんと真正面からぶつかろうとする姿勢に、正義感の強さを感じます。

 
――ではカコを演じるにあたって、工夫された点、意識した点などを教えてください。

山本さん:カコは普段から表情豊かでありながら、たくさん出てくるモノローグもテンションが高かったり、逆にすごくテンションが低かったり、ひきつっていたりと、とても幅が広いので、そこを楽しみながら演じました。あとは常にハイテンションで、いかに能天気な感じに見せるか、というところも意識しました。ただ、この漫画はシリアスな部分もあるので、そういった場面に遭遇したときのカコにギャップをつけて演じられればいいなと思い、メリハリを出せるように頑張りました。


――今回は原作漫画の展開に合わせて、キャラクターを演じる“ムービーコミック”となりますが、アニメやドラマCDとは演じるポイントが違うのでしょうか? ムービーコミックならではの良さ、ムービーコミックならではの難しさをお聞かせください。

山本さん:アフレコはすごく楽しかったです。それが何故かと考えたとき、私は声優になる前に、よく漫画を朗読していたんですよ。声優の勉強といいますか、自主練習として。養成所に通う前のことですね。なので、すごく懐かしい気持ちになりました。家で台本チェックをしていて「これって、あの時と同じだ!」と。今、それが仕事になっているのは、とても素敵なことだと思いました。なので、作品にとても入り込みやすかったです。


――本作のようなムービーコミックのアフレコは、どういった形で行われるのでしょう?

山本さん:原作の漫画を台本として持ち、キャストがマイク前に立ち演技する形で進みます。ドラマCDを録る作業に似ているかもしれません。


――アフレコで見る絵では実際にコマが動いているのでしょうか?

山本さん:アニメでもコマは動くんですが、なかなか時間帯などは絵で分からないことが多いので、ト書き(※台本に書かれているシチュエーションや人物の動作)に昼とか、今はどこにいる、ということが書かれています。それを確認しつつ、みんなでお芝居をしながら、息を合わせてやっていくんです。でもやっぱりムービーコミックでは、イメージがそのまま漫画として表現されているので、時間帯や場所がイメージしやすかったです。やはり、いろいろな情報はできるだけ的確に知っておきたいので、バッチリ演技の参考になりました。


――逆にアニメやドラマCDと比べて、演じていて苦労した点はありますか?

山本さん:誰が喋っているセリフなのか、分からない時がたまにあるんです。


――コマ内の吹き出しが、他のキャラクターと混同してしまうと?

山本さん:そうですね。誰が喋っていてもおかしくない「じゃあ、行こー!」といったセリフとか。あとは純粋に少女漫画なので、ドキドキするシーンが多いので、そのドキドキを出すのにすごく苦労しました。


――少女漫画特有のキュンキュンするシーンですよね。

山本さん:キュンキュンするシーンは、少女漫画ならではの特別なシーンだと思うんですよ。なので、見てくれている女の子たちに共感してもらえるようなキュンキュンにするために、自分の経験にはあまり無いキュンキュン度を上げて頑張りました(笑)。

 
――物語が進むにつれ、交際を経て結婚していく二人ですが、お気に入りのシーンや印象的なセリフを教えてもらえますか?

山本さん:やっぱり、功太君がカコの実家に来て、お父さん・お母さんに挨拶するシーンですね。私は経験したことはないのですが、高校生の娘が急に二十歳過ぎの男を連れてきて「結婚したい」って言い始めたら、親はやっぱり反対すると思うんですよ。


――親からすると、もちろん驚きますよね。

山本さん:少なくとも私の親は反対すると思います(笑)。そこで、カコのお父さんが反対しつつも認めていく過程が描かれているんですが、そこに私はグッときました。「簡単に娘はやれんぞ!」というお父さんの気持ちも分かりますし、たまに見せるお父さんの切ない表情とか。もちろん作中では、功太君やカコちゃんが様々なことを経験して、いろいろな表情を見せてくれますが、ふたりだけじゃなく、そのほかのキャラクターの気持ちもすごく丁寧に描いている作品なんです。その中でも特に、あの時のお父さんは印象に残っています。


――では、佐賀野 功太役・鳥海浩輔さんとの掛け合いをご覧になってどう思われましたか?

山本さん:鳥海さんとは別録りで、後から聞かせていただきましたが……やはりセクシーでしたね!(笑) 今、鳥海さんと一緒にラジオ番組をやらせていただいているので、お声はよく知っているのですが、功太という役では初めて聞いたので、思っていた以上にセクシーだと感じました。警察が学校に来て護身術を教えるシーンがありましたが、耳元であんなセクシーボイスを囁やく警官って、もはやそれだけで犯罪ですよね(笑)。

 
――現実で鳥海さんのように魅力的な声の警察官がいたらメロメロですよね。

山本さん:「私、こんなにセクシーな声でささやかれていたんだ!」と、びっくりしました(笑)。みんなのお芝居が重なった上で効果音やBGMが付いて、より立体的になった新しい『PとJK』を皆さんに見えてもらえると思います。なので、今回のムービーコミックはもちろん、漫画でも実写でも見てほしいですね。


――プライベートの功太と仕事モードの功太、まるで雰囲気の違う鳥海さんの演技に、女の子はキュンキュン来るんじゃないかと思います。

山本さん:キュンキュンすると思います。仰ったとおり、功太君はギャップがあります。カコとふたりでいるときは、お仕事モードとはまた違う、雰囲気のやわらかい功太君になるので、声がついたことでファンにはたまらないんじゃないかなと思います。



子供らしい大人でありたい山本さんの学生時代と現在は……?
――作中でカコは「早く大人になりたい!」と言っていましたが、山本さんはそのように思ったことはありますか?

山本さん:ずっと思っていました! 高校のときは「卒業したくない!」「ずっと高校生でいたい!」と言っている友達が多かったんですが、私はその時から高校を出た後のビジョンしか見ていなくて。「声優になりたい」「早く高校を出て東京の養成所に通いたい」という気持ちがとても強く、今思うと高校生活をちゃんと楽しめていなかったのかなと思います(笑)。


――では卒業式でも、山本さんは湿っぽい雰囲気にならなかったと?

山本さん:そうですね。女の子は卒業式で、よく泣いちゃったりするじゃないですか。でも、私は一切泣かなくて(笑)。嫌な思い出が学校にあったわけではないんですが、「やった、これで東京へ行って声優を目指せる!」という気持ちでした。


――もらい泣きしたり、目が潤んだりすることも……?

山本さん:なかったですね!(笑)。未来に向いている分、「別れは絶対通過するものだ」という、すごく達観した考え方でした。


――ちなみに、声優になりたいと思ったのはいつ頃からだったのでしょう?

山本さん:小学生の頃からずっとなりたいと思っていました。ただ、小学生の頃はそこまで現実的に考えることはできていなかったので、卒業式で泣いた記憶があります。ただ中学は泣かなかったと思いますね。「よし高校だ、次のステップだ!」「高校が終わったら、やっと養成所だ!」という気持ちでした。


――早い段階から強い目的意識があったからこそ、ということでしょうか。

山本さん:だからこそ、お仕事で学生の役を演じさせていただいたり、こういったご縁で読ませていただいた漫画に青春している子がいると、すごく嬉しくなるんですよね。私が体験している気持ちになれるので(笑)。


――原作を読んでいて、山本さんの学生時代と重なる部分はありましたか?

山本さん:テスト勉強のシーンがあると「テストとかあったなぁ」という気持ちにはなるんですが、ひとりで勉強していたので、みんなでワイワイやっていた記憶がなくて。あとはプールのシーンもありましたが、同じ感じで「プールあったなぁ」と思うくらいで、自分の学生時代をあまり思い出せないんです。

ただ、ひとつ思い出したのが、高校生の時にクラスで茶屋みたいなものを開いて浴衣を着たんですよ。そのときに、普段は学校で着ない服を着ることがすごく新鮮で嬉しかったです。いつもは制服ですし、うちの学校は校則にすごく厳しく、少しでもスカートの丈が短いとダメな学校だったんです。なので、解放感が強かったです。その点、カコは学校でカッパのコスプレをするという、私以上に解放感に溢れたことをしていて、さすがでした(笑)。

 
――先ほど、学生時代は「早く大人になりたい」と仰っていましたが、いざ大人になってみてどう思いましたか?

山本さん:全然子供ですね!(笑) 両親は私を若くに生んでくれていて、6歳の頃に父親は26歳でした。6歳には少しずつ物心がついてきて、結婚がなんとなく分かってきていたんですが、その頃に「私も26歳になったら結婚する」と言っていたんですよ。お父さんと同じ年齢で私は結婚するんだと。それを自分も両親も覚えていたんです。当時、26歳ってすごく大人だと思っていましたが、いつの間にか通過していて、意外と考えていることは小学生の頃とそんなに変わらないかなと(笑)。

ただ、大人になっていくこと自体に抵抗はなく、「ずっと若くいたい」という気持ちは特にありません。最近は「子供らしさを残した大人でいたいな」という気持ちが芽生えています。ビシッとするところはビシッとしつつ、子供心を忘れない大人になりたいなと。


――逆に、ここは大人になったなと思うところはありますか?

山本さん:お酒が飲めるようになったことですね(笑)。最近少しづつ飲めるようになってきました。もともと、二十歳の頃からお酒に弱くはなかったんですが、最近まで少し怖さを感じていて、あまり飲みすぎちゃいけないなという気持ちがありました。「お酒は大人の飲み物だから、そんなにガバガバ飲んじゃいけない。お酒は怖いよ」みたいな。そういう気持ちが自分の中にあったんです。

なので、あまり飲まなかったんですが、最近少しずつ量が増えていますし、お酒の味も分かってきたので楽しくなりました。このワインを飲むならこのお肉がいいな、このお魚がいいなとか、お酒に合うメニューも考えたりします。そういったことも含めて、いろいろなものを合わせて考えられるようになったのが、大人なのかなと思います。そういったことを考えられるようになったのが、大人っぽいといいますか……「今の私、大人っぽくない?」みたいな(笑)。


――最後にムービーコミック『PとJK』の見どころと、本作を楽しみにしている方へのメッセージをお願いします。

山本さん:本当にドキドキできる作品です! 私も久しぶりに少女漫画を読みましたが、キュンキュンして続きがすごく気になっています。少女漫画って、基本的に結婚がゴールになっているイメージがありますが、その点で『PとJK』は、序盤で結婚をして物語がスタートします。結婚してから巻き起こるいろいろなことや、キャラクターとの関わり合いなど、そういったことが次から次へと起こるので、息をつく暇もなくページをめくることができる作品だと思います。

ぜひ原作を読んで声も想像していただきつつ、このムービーコミックを見ていただきたいです。「声が皆さんのイメージと合っていたかな?」という不安もありますが、自分の中の世界観と比べながら見ていただければと思います。また2017年3月から実写映画も始まります。そちらの『PとJK』も応援しているので、私は劇場で鑑賞する予定です!ぜひ皆さんにも『PとJK』の世界にどっぷりと浸かっていただきたいです。

――ありがとうございました。

[取材・文/鳥谷部宏平]

>>dTV『PとJK』特設サイト

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