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中村悠一さんには“ガチャ器官”が!?『虐殺器官』上映会レポート

中村悠一さんの身体の中には、恐怖の“ガチャ器官”が!?『虐殺器官』完成披露上映会レポート

 2017年1月28日、東京・お台場メディア―ジュにて、映画『虐殺器官』の完成披露上映が開催されました。

 映画『虐殺器官』は、SF作家・伊藤計劃先生の同名小説を劇場アニメ化した作品。本来は「Project Itoh」として円城塔先生との共作『屍者の帝国』と、遺作である『ハーモニー』と共に、3作連続公開される予定だったのですが、制作を担当していたスタジオ・マングローブの倒産により公開が延期に。その後、本作のために設立された新スタジオ「ジェノスタジオ」によって制作が進められ、2017年2月3日に公開を迎えることになります。

 その完成を記念して開かれた完成披露上映会では、二ッポン放送・吉田尚記アナウンサーによる司会の元、中村悠一さん(クラヴィス・シェパード役)、櫻井孝宏さん(ジョン・ポール役)、三上哲さん(ウィリアムズ役)、石川界人さん(リーランド役)らメインキャスト陣に加え、チーフプロデューサーの山本幸治さんも出演した舞台挨拶が行われました。

最大の苦境となった、制作スタジオの倒産についてもトークは及ぶ 
 複雑な経緯を経てついに完成を迎えた本作ですが、なんと作業が終了したのは昨日の朝だったということが山本プロデューサーから明かされ、開幕早々に会場の度肝を抜くことに。ただしそれよりも少し前の時期に、既にキャスト陣はその一つ前のバージョンを見ていたそうで、その時点でもうほぼ作品は完成していたのだとか。そのため、あくまでギリギリまで作業をしていたのは、それ以上のクオリティを追及するためであり、作品の出来には一切の不安がないことを念押しするフォローがキャスト陣から入れられるという一幕も。

 収録と公開の時期が大きく離れていたこともあり、完成した作品を見た時には、「こんな感じだったっけ?」と思ったという中村さん。櫻井さんも、「収録から公開まで年単位の時間があり、一度距離を置いたことで、よりキャラクターを近く感じられるようになりました」と、中村さんと同じく収録から印象が異なるものになっていたことを語っていました。

 一方三上さんは、「収録した時期にちょうど『メタルギアソリッド』(※原作者である伊藤先生はメタルギアシリーズの大ファンで、4のノベライズも担当)をプレイしていたこともあり、運命的なものを感じました」と本作との奇妙な縁を明かし、石川さんも「収録現場が大先輩の方々ばかりで、すごく緊張したので強く印象に残っています。演じた時に衝撃的を受けたシーンを映像で見た時は、『ああ、こうなったんだ』、と嬉しい気持ちになりました」と本作への思い入れの深さを明かします。

 また、制作会社であるマングローブが倒産したことから、収録したものが未公開のまま終わってしまうかもしれないと知らされた時の心境を尋ねられると、「何の確証もないんですが、完全にお蔵入りになることはないだろうと勝手に思っていました」と、さほど心配をしていなかったことを告白する中村さん。これは他のキャスト陣にとっても同じだったようで、厳しい状況に追い込まれながらも、何らかの形で作品を完成させてくれると、スタッフを信頼していた様子でした。

 しかし、当事者である山本プロデューサーにとっては、決して楽観視できる状況ではなかったのも事実。制作スタジオの倒産を知った当初は、「頭がハゲるかと思いました」と、つっこんでいいものかキャスト陣を困惑させたジョークを飛ばしつつも、「止めた方が楽になれると思ったこともあった」と、真剣な苦労が語られます。『虐殺器官』のように、制作途中に不慮の事態が起きてしまった作品は、他の制作会社に引き継いでもらうのも難しいそうで、作品を完成させるには新会社を立ち上げるしか道なかったのだとか。そんな死地を何度も越えてきた後だけに、現在はやや燃え尽き気味になっているそうなのですが、同時に「その分、良いものができたと自信をもっています」と太鼓判を押しており、無事その苦労も報われた様子でした。

 その後には、作品のタイトルに関連した、「自分にもし○○器官があったら」というテーマでトークが展開することに。

 まず中村さんがソーシャルゲームにハマっている自身の生活を省みながら「次こそは出るんじゃないかと思ってしまう、“ガチャ器官”が何者かによって埋め込まれているんだと思います」と、ついガチャを回して散財してしまう原因を分析し、櫻井さんは「“物欲器官”です。一度ハマると何度も同じ店に行ってしまうので、マスクをしたり別人のフリをするのですが、結局はバレてしまいますね」と語り、客席の爆笑を誘います。

 一方、「“アルコール器官”です。飲みすぎて電車から降りられなくなり、6時間経つとSuicaで出られなくなるのを知りました」(三上さん)、「人に褒められると、その人にどんな意図やメリットがあるか考えてしまったり、イベントの最中はテンションが高くても、終わって見直すと辛い気持ちになるので……“ネガティブ器官”です」(石川さん)と、他のキャスト陣からも、それぞれに自分の欠点に関連した器官が挙げられていきます。

 実は山本プロデューサーも、当初は石川さんと同じ“ネガティブ器官”と答えようとしていたそうなのですが、もう一つの回答として「僕はマングローブが本当に大好きだったので、ジェノスタジオを『マングローブ器官』として、受け継いでいきたいと思っています!」と前向きに宣言。さらには、持っていたTシャツを客席に投げ入れるというサービス(吉田アナウンサーいわく、台本になかったのだとか)で盛り上げたあと、最後は出演者全員からファンに向けたメッセージが送られ、舞台挨拶は幕を閉じました。

 山あり谷ありの苦難を乗り越えて、ついに完成を迎えた『虐殺器官』。伊藤計劃先生の代表作であり、ファンからの高い期待を特に集めている本作が、「Project Itoh」3部作のラストを飾るのに相応しい出来となっていることは間違いなさそうです。

[取材・写真/米澤崇史]

「虐殺器官」作品情報
2月3日全国ロードショー
※「虐殺器官」はR15+指定作品になります。15歳未満の方は、ご覧になれませんのでご了承下さい

【INTRODUCTION】
2007年に刊行された「虐殺器官」は“ゼロ年代最高のフィクション”と称えられ、SF、アクション、ミステリといったジャンルで区分けすることはもはや無用だった。文庫版の帯には、小島秀夫、宮部みゆき、伊坂幸太郎からの絶賛のコメントが大きく掲出された。原作は『一人称で戦争を描く。主人公は成熟していない、成熟が不可能なテクノロジーがあるからである』というコンセプトで書き進められた。

「虐殺器官」の特徴であるリアルで戦列な戦闘シーンと、内省的で繊細な心理描写―この両面を描くことが出来る映像作家は限られている。監督・村瀬修功はその中でも間違いなくトップの一人だ。2015年秋に起こったスタジオmanglobeの倒産により、一時は制作中止の危機に陥ったが、新たに設置されたジェノスタジオにより再始動。「予測のできない事態だったが伊藤計劃さんが再びチャンスをくれたのかもしれない。」村瀬を中心に新たに始動した『虐殺器官』。その映像作品としての純度は必ずや、我々の期待を凌駕するだろう。
計劃〈Project〉は止まらない―。

【STORY】
テロの脅威にさらされ続けたアメリカは、その恐怖に対抗すべく徹底した情報管理システムを構築していた。一方、アメリカ以外の世界各地では紛争の激化が続いていた。世界の紛争地を飛び回る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉に、謎のアメリカ人の追跡ミッションが下る。その男、「ジョン・ポール」は、紛争の予兆とともに現れ、その紛争が泥沼化するとともに忽然と姿を消してしまう。かつて有能な元言語学者だった彼が、その地で何をしていたのか。アメリカ政府の追求をかわし、彼が企てていたこととは…? ジョンがチェコに潜伏しているという情報を元にクラヴィスは追跡行動を開始。チェコにはかつてジョンと関係のあった女性ルツィアがいた。「虐殺の王」と呼ばれるジョンの目的は一体何なのか…。クラヴィスはジョンから驚くべき真実を聞かされる。

【CAST&STAFF】
<キャスト>
クラヴィス・シェパード:中村悠一
ウィリアムズ:三上 哲
アレックス:梶 裕貴
リーランド:石川界人
ロックウェル:大塚明夫
ルツィア:小林沙苗
ジョン・ポール:櫻井孝宏

<スタッフ>
原作:「虐殺器官」伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)
監督:村瀬修功
キャラクター原案:redjuice
アニメーション制作:ジェノスタジオ

アニメイトで特典付き前売り券発売中!
>>アニメイト公式チケットページ

>>「Project Itoh」公式サイト
>>「虐殺器官」公式サイト
>>「Project Itoh」公式ツイッター(@PJ_Itoh)

(C)Project Itoh / GENOCIDAL ORGAN
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