見れば見るほど楽しめる、中毒性の高い映画です――『夜は短し歩けよ乙女』がついに公開！　公開記念舞台挨拶に原作者、森見登美彦さんがサプライズ登場！

　2017年4月8日（土）TOHOシネマズ新宿にて、4月7日より公開となった星野源さん主演の映画『夜は短し歩けよ乙女』の公開記念舞台挨拶が行われました。累計130万部を超える森見登美彦さんのベストセラー小説のアニメーション映画作品。大学生が選ぶ本第1位を記録し続ける、森見登美彦さん作品の中でも最もファンの多い作品の一つとなっています。

　上映会後には、本作で声優を努めた星野源さん、花澤香菜さん、秋山竜次さん（ロバート）に加え監督の湯浅政明さん、そして原作者の森見登美彦さんがサプライズ登場！　公開を迎えた喜びをを熱く語りました。本稿ではその模様をお届けします。

▲左から、秋山竜次さん（パンツ総番長役）、花澤香菜さん（黒髪の乙女役）、星野源さん（先輩役）、湯浅政明さん（監督）、森見登美彦さん（原作者）

スピーディーなので振り落とされないように注意してください
　MCの呼び込みで、まずは星野さん、花澤さん、秋山さん、そして湯浅監督の4人が登壇。集まった大勢のファンから送られる声援の拍手に、みなさん手を振りながら笑顔を返していました。一言ずつ挨拶をおこない、トークへと移っていきます。

　公開をむかえての感想を尋ねられた湯浅さんは、「たくさんの方に楽しんでいただけているようでありがたいです」とコメント。映画はかなりスピーディーに作られているということもあり、これから映画をみようと思っている方に向け「振り落とされないように注意してください」とメッセージを送りました。

　キャストのみなさんは今日の衣装についてトークをおこないます。星野さんは眼鏡にシャツ、花澤さんは赤いワンピース、秋山さんは浴衣に無精髭と、それぞれ演じたキャラクターを意識した姿がとても印象的です。

　また花澤さんが着ている赤いワンピースは黒髪の乙女の服を再現したものであり、発売も予定されているのだとか。「みんなが着ている姿を見てみたいです！」と花澤さんは興奮気味に話しました。

　本作が『夜は短し歩けよ乙女』というタイトルなので、印象的な夜のエピソードはありませんでしたか、という質問が行われました。

　星野さんが語ったのは、昨年の年末のエピソードで「紅白歌合戦が終わって、その後またすぐに別のスタジオに移動しなければならなくて、車の中で年を越しました」と話します。

　花澤さんが話したのは、一昨日の夜というかなり最近のエピソード。「録画した番組を整理しようとしてたら、寝ぼけてたせいで全部削除してしまったんです」と辛そうな表情を浮かべ「私の吉本新喜劇が、乳首ドリルがあ！」と魂の絶叫。客席からは笑いが起こりました。

　秋山さんの思い出は幼少時代のこと「小児喘息だったので夜になる度にヒューヒューと喉を鳴らしてたんですよ。お婆ちゃんやお母さんにおんぶされて看病されたのが思い出ですね」とわかる人にはわかる苦労をしみじみと語りました。

　ここでサプライズゲストである原作者の森見さんが登場。森見さんの参加は急遽決まったということで、事前告知は一切なし。客席からは驚きの歓声が沸き起こります。

　映画の公開を祝う花束を湯浅監督に手渡し、ここからは森見さんを交えてのトークが繰り広げられます。「試写会のときは驚きすぎて、監督に上手く感想を伝えられなかったんです」と話す森見さんに、監督が「先生はいきなり振り落とされちゃったんですよ。原作者なのに」とコメントし会場の笑いを誘います。そして最後に「見るたびに味わいを感じられる、すごく中毒性の高い楽しい作品になっています」と映画の魅力を語りました。

　イベントの最後として登壇者一同から挨拶をいただきました。

森見さん：最初はびっくりするかもしれませんが、見れば見るほど楽しめる映画になっています。ぜひみなさんには2回、3回と見てもらいたいと思います。

湯浅さん：気持ちよく楽しい映画になっていると思います。森見先生に書いていただいた商品小説も素晴らしいですので、ぜひ映画の後に読んでみてください。

秋山さん：演じたパンツ総番長と同じように、映画の期間中くらいはパンツを履き替えないで見てもらいたいですね。“（公開）期間は長し来てよねお客”ということで、どうかよろしくおねがいします。

花澤さん：見終わった後にはいろんな感性を刺激されて、いまならなんでも出来るかも、という気持ちにさせてもらえる映画になっています。ぜひ何度でも劇場に足を運んでもらいたいです。

星野さん：乙女がどんな風に町を歩くのか、どうやって人や町を変えていくのか見届けてもらいたいです。森見さんの考える京都と監督の表現が合わさって、ぜんぜん違う世界に連れて行かれたような感覚を味わえる映画です。ぜひ最後まで楽しんでください。

　以上で公開記念舞台挨拶は幕を下ろしました。スタッフ・キャストが全員の思いとこだわり、そして楽しんだ気持ちの詰まった『夜は短し歩けよ乙女』は、2017年4月7日（金）公開中。ぜひ、大スクリーンでその魅力をご堪能ください！

[取材・文・写真／原直輝]

作品情報
■スタッフ
原作：森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』（角川文庫刊）
監督：湯浅政明
脚本：上田誠（ヨーロッパ企画）
キャラクター原案：中村佑介
キャラクターデザイン・総作画監督：伊東伸高
作画監督：濱田高行、霜山朋久
フラッシュアニメーション：ホアンマヌエル・ラグナ、アベル・ゴンゴラ
色彩設計：ルシル・ブリアン
美術監督：上原伸一、大野広司
撮影監督：バティスト・ペロン
音響監督：木村絵理子
音楽：大島ミチル
主題歌：ASIAN KUNG-FU GENERATION
「荒野を歩け」（キューンミュージック）
制作：サイエンス SARU
製作：ナカメの会
配給：東宝映像事業部