TVアニメ新シリーズ『僕のヒーローアカデミア』激戦必至の爆豪VSお茶子の対決直前! 岡本信彦さん×佐倉綾音さん対談
2017年4月より新シリーズが始まったTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』(原作:堀越耕平/集英社「週刊少年ジャンプ」連載中)は、雄英体育祭が描かれ、出久ら雄英高校の生徒達が熱いバトルを繰り広げています。そんな中、爆豪勝己と麗日お茶子の注目対決も目前となりました。
そこで爆豪役の岡本信彦さんとお茶子役の佐倉綾音さんに直撃インタビュー! 新シリーズの印象と2人の対決の見どころなど語ってくれました。
――まずご自身が演じるキャラの印象をお聞かせください。
爆豪勝己役・岡本信彦さん(以下 岡本):爆豪を演じることが決まった時、大変そうだなと。アニメに関わる前から原作を読んでいて、出久に感情移入していたので、いじめっ子みたいで嫌な奴だなと思っていました。実際に演じてみると、爆豪なりの理由があるのも理解できて、むしろ出久のほうが悪い奴に思えて。
麗日お茶子役・佐倉綾音さん(以下、佐倉):悪い奴って(笑)。
岡本:モノローグが上から目線で、それに段々イライラしてきて。忘れもしない第1期の7話で、出久が麗日さんと2対1になれば勝てるみたいな算段を立てていた時、「はあ? 負けねえし」という気持ちになり、それはすごく大きな心境の変化で、完全にかっちゃん目線になってしまったんだなと思いました。
佐倉:岡本さんとインタビューを受けるのは初めてで……。
岡本:えっ!? 覚えてないの!?
佐倉:『ヒロアカ』で、ですよ(笑)。岡本さんが『ヒロアカ』の話をしているのを聞くのは初めてなので。普段、少年マンガを読まない私でも人気作品だったのでタイトルは知っていました。そしてオーディションを受けるにあたってじっくり読んで、その時のお茶子のイメージはかわいいというより結構男勝りで、しっかりものだけどガサツな印象がありました。
オーディションでもそのイメージで演じて、でも実際に収録が始まると監督から「かわいらしく」というディレクションがあって。それからは要所要所で出てくるガサツさや男勝りな部分にも少しかわいらしさが垣間見えるように、台本をチェックしたり、お芝居を組み立てる時に考えるようになりました。
爆豪を演じる時はテンション高く、「怒り」をフルゲージに!?
――岡本さんが爆豪を演じる時に心がけていることは?
岡本:テンションを高くすることです。僕は実生活でほとんど怒らないタイプで、彼はなんでこんなに怒るんだろうと思うくらい(笑)。しかもかっちゃんの通常時は普通の人が怒っている時と同じくらいで、なかなかかっちゃんの怒りのゲージにはまったく到達できないんです。
だから、わけのわからないテンションやスイッチを入れないとあそこまで行けないので毎回大変です。ただテストでみんなの声を聴くと「負けちゃいけない」という気持ちになるので、本番ではテンションが上がります。
佐倉さんの爆豪の印象、そして爆豪を愛でる女性キャストとは?
――お互いが演じるキャラについての印象を。まず佐倉さんが感じる爆豪の印象は?
岡本:女の子から見て、かっちゃんはどうなの?
佐倉:かわいいですよ。実際に日常生活でいたら嫌だけど(笑)。
岡本:だよね。
佐倉:でも(蛙吹梅雨役の)悠木(碧)さんはずっとかっちゃんのこと、かわいいと愛でていて。私は隣りで聞いているんですけど、悠木さんは二次元を二次元として捉えることにすごく長けていて。
岡本:確かにそうかも(笑)。
佐倉:私はキャラを捉えるうえで一度、三次元から対等に見てしまう癖があるのに加えて、『ヒロアカ』に出てくるキャラ達は個性が強過ぎて。
岡本:変人ばかりだもんね。
佐倉:ちょっと抜きん出ている人が多過ぎて。その中でもかっちゃんは……。
岡本:怖いよね。
佐倉:そうですね。群を抜いて嫌だなと。
岡本:それでも迷惑かけない人ならいいけど、迷惑かけてくるしね。
佐倉:ただすごく好感が持てるのは、誰に対しても平等に怒っているところで、人を選んで怒っているわけじゃないこと。あとテンションの平均値がわかりやすいのでムラがないから、一緒に過ごしていても情緒不安定になることはなさそうだなって。いいところを探そうとするとそこですね。
岡本:探してくれたね。いい言い方もしてくれて(笑)。僕も演じる前までは嫌いなタイプだったから。
佐倉:かっちゃんを好きになる人はMですよね。そうじゃないと難しそう。
岡本:何で「ジャンプ」本誌の人気投票で1位になったか、わからない。
佐倉:女性目線、お姉様方からするとかわいく感じるんじゃないですか? 噛みついてくる小動物みたいに。
岡本:キャンキャン吠える犬みたいにね。手がかかるほうがかわいいと。
佐倉:そう悠木さんが言っていました(笑)。
――じゃあ岡本さんのお茶子評も。
岡本:あやねるが言ったことと重なるけど、僕も原作を読んでいて、女の子女の子してないところがすごくかわいいなと思ってたんです。“個性”を使うと吐いちゃうという意外なところも含めて魅力的で。普通だったらそういう部分を描かないけど、見せているということは意味があるんじゃないかなと想像したりして。ご飯をばくばく食べてくれる感じとか、気を遣わずに接することができるからいつも一緒にいられて、いつの間にか好きになっているという男の子にとって理想的な女の子じゃないかな。「あれ? これが恋?」みたいな。
佐倉: (笑)
岡本:結婚したいキャラ、ナンバー1じゃないかと。
佐倉:おおっ!?
岡本:そう思わせてくれます。家族想いだし、お父さん達もいい人だし、いい家庭が築けそう。梅雨ちゃんもかわいいけど、僕にはちょっとハードルが高くて。コミュニケーションの壁が。
佐倉:コミュニケーション?
岡本:隣りでぶつぶつ言われたら集中できなさそう。
佐倉:確かに(笑)。
キャラが増えつつも1人ひとりをクローズアップしている2期
――4月から始まった新シリーズと1期との違いとは?
岡本:1期と新シリーズの一番の違いといえば、キャラが増えることと、1人ひとりに焦点が当たるところです。
佐倉:それって相反することなのに共存できてしまうのがすごいですね。
岡本:その中で、「このキャラ、いい子なんだな」と思ったりすることもあって、一番そう思えたのはお茶子で。出久が体育祭の障害物走で1位になって大量のポイントをゲットしたから、次の騎馬戦で出久からポイントを奪おうと誰も組んでくれないなか、「組もう」と声をかけてくれて。出久も感動して泣いてましたけど、お茶子は筋や情を大切にして、仲間を裏切らない子なんだと改めてわかって、めちゃめちゃいい子だなと思いました。
佐倉:お茶子は人を信じることをいとわないんですよね。実際に人を信じるということは大変なことじゃないですか? 裏切られるかもしれないとか、損得勘定で考えてしまったり。でも彼女は「仲が良い人とやったほうがいい」と。もう無償の愛に近いような。
岡本:母だね(笑)。
佐倉:そこが、私がお茶子を好きなところで、この作品にとっても救いみたいなところだなと。人類の敵である敵(ヴィラン)も普通の能力者だったのに、裏切られたり、他人とのわだかまりがあって、個性を悪用するようになった人もいて。そんななかで、ちょっと希望の光、人を信じることって意外と悪いことじゃない、いいことだよと示してくれる、1つの道しるべがお茶子で、その真っ直ぐさが出久に与えたりもしているので、声優としても説得力を持って演じられたらと思って毎回収録に臨んでいます。
轟のすご過ぎる強さは衝撃!?
――1期を含めてここまで演じたなかで印象に残っているシーンやエピソードを挙げてください。
岡本:マンガを読んでいて、このキャラ強いなと思う瞬間が結構あるんですけど、轟君はズルいなと。脳無という敵が現れた時、パンチなどあらゆる攻撃を無効化してしまう強敵なんですけど、轟君は凍らせて割ったんです。脳無に回復能力があったため、それで終わらなかったけど、轟君の強さは異常だなと思いました。
佐倉:新シリーズでキャラが増えたけど、またみんな個性的で。だからシーンやエピソードどれも印象に残っていて。どれだけキャラは出てきても、誰1人埋もれないとか、かぶらないのがすごいですね。それでいて1人ひとりの掘り下げやクローズアップも、轟君の過去が明かされたり、駆け足にならず、丁寧に描かれているのが素晴らしいなと思います。
予告でお茶子にイジられる爆豪は新鮮。じゃんけんみたいな関係?
――お茶子と爆豪は第1期の戦闘訓練で、タッグマッチではありますが対戦していますね。
岡本:あの時はお茶子のパートナーの出久しか見てなかったです。タッグといってもそれぞれ別の場所で、1対1で戦っていたから。
佐倉:かっちゃんは出久君と、お茶子は(飯田)天哉君と。
岡本:だから直接戦ってはいないけど、1期の予告でお茶子にめっちゃイジられて、「うるせー!」と叫んでいるかっちゃんがいて。
佐倉:お茶子もイジっているのが無意識なのか、わからないんですけど、私は意識なくやっていたつもりでした。意外に弱いんですよね。じゃんけんみたいだなと思ってて、かっちゃんは出久君には強いけど、お茶子には……。
岡本:のれんに腕押しみたいな。お茶子のほうが優位に立ってるよね。
佐倉:3人の力関係がおもしろいですね。
爆豪とお茶子のバトルの収録は酸欠状態。お茶子の感動シーンにも注目!
――物語は最終種目のトーナメントに入り、遂に爆豪とお茶子の対決エピソードに突入します。既に収録を終えたそうですがその時を振り返りつつ、感想をお聞かせください。
佐倉:正直、あまり収録の記憶がなくて。
岡本:僕も。
佐倉:覚えているのは酸欠状態になったことくらい。
岡本:あんなにお茶子が叫んだのはこれまでなかった気がする。ビリビリと来るものがあったから僕も負けないぞと臨んで。
佐倉:あの回だけ記憶が飛んでいるんですよね。余裕がなかったのかもしれない。
岡本:新年1発目だったからかな(笑)。
佐倉:まさかの正月ボケ?(笑) お正月休みで英気を養ってエネルギー貯め貯めで臨んだはずですよ。
岡本:そう貯め貯めだった(笑)。お互いに叫び合ったのは覚えているんだけど……あと演出も。「泣かないで」とか。
佐倉:「涙声にならないで」とか。劣勢になっても「ヤバい!」とか「負けた!」とネガティブな考えはもたないでほしいと。基本的にはお互い、勝つことしか考えてませんと言われたことは覚えています。
岡本:そしてジェットコースターのように終わった感じ。
佐倉:理屈で考えている余裕はなかったですね。
岡本:確かに早くて頭で考えている余裕はなかった。
佐倉:出久戦だとモノローグで解説が入ったり、隙間が挟まるけど、出久以外の戦闘って基本的に「マズい!」、「しまった!」とかテンポよく短文で進んでいくので、ついていくのが大変なんです。
――お茶子はバトルの前後にドラマもあったから、なおのこと大変だったのでは?
佐倉:バトル後にお茶子が親に電話するシーンがあって。
岡本:アレはいいシーンだった。
佐倉:お茶子だけじゃなく、私自身も気持ちの切り替えができていないのが逆にラッキーだったのかなって。切り替えようと頑張るけど、結局、切り替えられなくて。そこを1日で録れたのはよかったなと思います。
岡本:まさにお茶子回です。新シリーズの1回目のタイトルが「そういうことね お茶子さん」になっていて、なぜだろうと思ったけど、それもこのためだったのかなと(笑)。
出久役の山下さんが思わず「スマッシュします」と怒った理由
――収録現場の雰囲気はいかがですか?
岡本:1期と変わらないです。
佐倉:学校の教室みたいで。
岡本:あやねるは碧ちゃんの隣りで。
佐倉:もう一方の隣りは相澤先生役の諏訪部(順一)さんがいて、(出久役の)山下さんがいて……。
岡本:僕がいて、その隣りに(天哉役の石川)界人君がいて。
佐倉:マイク前に立ってかっちゃんになった時と岡本さんの時に差がすご過ぎて。もう慣れましたけど(笑)。
岡本:本当?
佐倉:収録の合間に、すごく穏やかにお肉の話をしている岡本さんを見るとちょっと安心します(笑)。
岡本:いつもお肉の話をしてる。だいたい(山下)大輝君をイジる時で、彼がすごくおいしいハンバーグ屋さんがあると言っていて、でもあやねるが「食べたら普通でしたよ」って。それを聞いた大輝君が「スマッシュしますよ」と。そのくだりが好きで。
佐倉:それにはワケがあって、私、味オンチで、お肉の区別がつかなくて。牛・豚・鶏の。だから何でもおいしいんですよ。「普通においしかったですよ」と言ったら、普段、温厚な山下さんが怒って、「今、僕はあなたのことをスマッシュしなければならない」と言われるという(笑)。
お茶子、轟ファンに刺さるエピソードあり!キャラの熱いバトルと声優の熱い演技
――最後に皆さんへ新シリーズの見どころとメッセージをお願いします。
岡本:個人的にはこの新シリーズはぶっちゃけ、轟のシリーズでもあるかなと思っています。1期では強キャラとして登場したのに掘り下げられていませんでしたが、新シリーズではがっつりクローズアップされて、家族関係や強さを掘り下げつつ、着地点もあり、轟の魅力がたっぷり描かれています。僕は轟が結構好きなので、轟ファンの方には刺さるんじゃないかなと思います。
そういう意味ではお茶子や天哉もフィーチャーされているので、1期で詳しくバックグラウンドが描かれていなかったキャラ達ががっつり描かれているのでそこが新シリーズの見どころかなと思います。もちろん主人公の出久、ライバルの爆豪も活躍しますし、新キャラ達にも注目して、引き続きお楽しみください。
佐倉:私は新シリーズでお茶子や轟君など家族のエピソードが増えているのがうれしくて。原作を読んでいても、ただ熱血、バトル、ヒーローを描いているだけではなく、ヒーローも1人の人間で、家族がいて、愛されたり、時には憎んだり、いろいろなことがありながらも家族に支えられている、そんな人間味が魅力的だなと思っていたので、新シリーズになってアニメとしてそこが掘り下げられて、セリフとして感情が追加されて、ドラマが展開されていくのが楽しみで。アフレコでも、絶対に手を抜かせてもらえない現場なので、キャストの皆さんの熱のこもった演技にも期待して見てください。
岡本:そして放送が近づく、かっちゃんとお茶子の対決もお見逃しなく!
●5月27日(土)より放送:新シリーズ第9話(第22話)「爆豪 VS 麗日」
爆豪とお茶子の戦いが始まった。先手必勝とばかりにお茶子は爆豪に突進するが、爆豪の「爆破」の前に近づくことができない。そんな中、お茶子が仕掛けた決死の作戦とは…!?
作品概要
■TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』
読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネット
毎週土曜夕方5時30分放送中!
※一部地域を除く
【スタッフ】
原作:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:長崎健司
シリーズ構成:黒田洋介(スタジオオルフェ)
キャラクターデザイン・総作画監督:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ
オープニングテーマ:「ピースサイン」米津玄師(ソニー・ミュージックレコーズ)
エンディングテーマ:Little Glee Monster「だから、ひとりじゃない」(ソニー・ミュージックレコーズ)
【キャスト】
緑谷出久:山下大輝
オールマイト:三宅健太
爆豪勝己:岡本信彦
麗日お茶子:佐倉綾音
飯田天哉:石川界人
轟焦凍:梶裕貴
蛙吹梅雨:悠木碧
峰田実:広橋涼
八百万百:井上麻里奈
常闇踏陰:細谷佳正
切島鋭児郎:増田俊樹
上鳴電気:畠中祐
相澤消太:諏訪部順一
プレゼント・マイク:吉野裕行
死柄木弔:内山昂輝