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『恋愛暴君』原作者がTVアニメ化に対する思いの丈を語る

ついに原作者の三星めがね先生が登場!『恋愛暴君』TVアニメ化に対する思いの丈を語る

 2017年4月より放送が始まったTVアニメ『恋愛暴君』が先日、最終回を迎えました。毎週アニメの放送終了後に、小野賢章さん、青山吉能さんら声優陣や、監督、総作画監督、音響監督といったスタッフへのインタビューをお届けしてきた連載企画「恋愛暴君 明日ヘノ教訓」も、今回でいよいよ最終回となります。

 最後に登場していただくのは、『恋愛暴君』の原作者・三星めがね先生! アニメ化が決まった時の心境や連載することになった当時の想い出などなど、担当編集の方も交えてたっぷりと語っていただきました。

 

「小ネタは正直、思いついたら入れてるんですよね……ペン入れの時でも」
――三星先生は、ダメな男が好きだったりするんですか?

三星めがね(以下、三星):えっ、急に! 全然ないです。でも確かに男はヘタレしか出てこないですよね(笑)。女の子がみんな我が強いというか、自分が!というタイプなので、どうしても男は一歩下がってしまうというか。あと、カッコいいキャラが描けないんですよ。私、最初は少女漫画志望だったんですけど、イケメンキャラが描けなくて、こっちに来ちゃいました(笑)。

担当編集:イケメンに興味なかったよね?

三星:うん。恥ずかしいんですよね。

――カッコいい女性はいっぱい出てくるのに。

三星:そうなんですよねぇ。

――じゃあ必然的にああいう感じに?

三星:そうなんですよ。だから好きか嫌いかっていうと、ちょっとわからないです(笑)。

――でも考えてみれば、青司くんはヘタレではあるけど、ダメ男ではないですね(笑)。この作品ですが、まず『恋愛暴君』というタイトルにインパクトがあるなぁと思いました。

三星:最初、英語で『LOVE TYRANT』というタイトルの読み切りだったんです。それが連載になる時に日本語にして、読みやすく、本屋で見つけやすくしただけではあるんですけど。あと、四文字系はタイトルにしたら売れるんじゃないかなと。ひらがな4文字系の作品とか? それのちょっと強いバージョンです(笑)。

――連載が始まった時は、どのくらい先の展開まで考えていたのですか?

三星:読み切りが終わった段階で、終わったものだけどこのあとどうなるんだろうっていう妄想はしていまして、連載が決まった時にそれを膨らませたくらいで、先の先までは正直あまり考えていなかったんです。

担当編集:キャラのことは結構考えていましたよね。

三星:そうですね、キャラ重視で動くマンガなので、キャラクターがどう動くかだけで考えていました。

――何巻まで続けばいいなと思っていたんですか?

三星:4巻が目標でした、正直!

――それは4巻の巻末のマンガにも描いてありましたね。

三星:はい。4巻続けば御の字だと!

――やはり連載が続くというのは大変ですか?

三星:大変ですけど、楽しいです。正直、結構くすぶっていた時期が長かったので、連載になって本になってというのは、自分の中で大きかったんですね。なので、奇跡みたいな感じで進んでいたんです。

――連載って、人気があってこそ続くものですしね。

三星:そうですね。だから毎回不安なんです(笑)。

――1巻の時に、茜さんが躊躇なく人を殺そうとしていて、別の意味で、この先大丈夫なのだろうかと正直思いました(笑)。

三星:そこらへんツッコんで見てみると怖いですよね? 本気だったんだ!って。

担当編集:沼倉さんが茜は直感だってインタビューで言っていましたけど、茜は本能で動いてますよね。

三星:もう全然考えてないですね。青山さんと沼倉さんのインタビューを読ませていただきましたけど、本当にその通りだなと思いました。

担当編集:キャストさん皆さんそうですけど、本当にキャラクターをつかんでくださっていました。

――キャラクター重視という話ですが、この主要キャラクター5人の誕生秘話などはありますか?

担当編集:柚が一番変わったんじゃないですか?

三星:そうですね。柚は最初、ただの後輩だったんですよ。それが妹設定になりました。あとグリに弟がいたんです。出落ちキャラみたいなのがいたんですけど、兄弟が多すぎるからと自分で却下しちゃいました(笑)。

――三星先生が一番描きたかったキャラクターというのは?

三星:一番はやっぱりグリかなぁ。

担当編集:グリが落ち込んでると、三星先生の描く速度も落ちるんですよ。

三星:グリが悩むっていうのが分からないんですよね(笑)。でも、もともとグリみたいな突っ走るようなキャラクターが好きだったので、すごく描きやすかったです。グリの場合は振り切れてるところがあるので、自分の中で楽しくなっちゃって、かわいいというより、頭がおかしいキャラになっちゃうんですよね。そこが読者さんに好かれるかが分からないから、実験のようなところはあったんですけど、面白いと言ってもらえて良かったなと。萌えキャラでもないし、かわいいキャラでもない…でも私は描くのが楽しかった。

――マンガでもアニメでも、愛されるキャラクターになっていますよね。では、描きやすかったキャラクターというと?

三星:柚はすごく描きやすいです。全然ブレないというか。悩んでも自己解決して前に進んでいけるから、答えが見つかりやすいんですよね。逆にグリと茜は悩んでる姿が想像できないから、そこを描くのが難しかったりしたんですけど。

――樒さんはどうですか?

三星:樒さんもかなり難しいです! 必要悪が欲しくて来てもらった面もあるんですが、最初は嫌われキャラなのでかわいそうなことをしてしまったなと。

担当編集:アニメだと樒の担当の回まで行かないですからね。

三星:原作の11巻まで読んでくだされば、何となく好かれるんじゃないかなって思うんですけど。

――でも結局、みんな嫌われてないんじゃないかなと思いました。

三星:そうですね、私があまり嫌いたくないので。

――キャラクター愛はすごく伝わってきました。細かくプロットを書いて物語を構築していく方法もあると思うんですけど、わりとキャラクターが勝手に動いちゃう感じなんですか?

三星:キャラが何をしたいかっていう感じですね。勝手にしゃべって勝手にコマを進めてて、勝手にオチを作っている感じなんです。最初にプロットを担当さんに渡して、それに沿ってネームを描くんですけど、そこからどんどんズレていくんですよ。

担当編集:プロットを見ないって言ってましたよね?

三星:うん。担当さんに送ったあとは頭の中で整理できているので見ないんですけど、そこからキャラクターがどう動くかでネームを描いて、そこから下描きに入るんですけど、そこからもまた変わるんです(笑)。

担当編集:セリフが、プロット、ネーム、下描き、原稿で入ってくるんですけど、全部違うんです。ストーリーの本質は変わらないんですけどね。小ネタとかが入ってきたりして。

三星:小ネタは正直、思いついたら入れてるんですよね……ペン入れの時でも。

担当編集:アニメになったら、キャストさんたちがアドリブも入れてくれていて。

三星:遊んでもらえてすごくうれしかったです。最高でした。

――ちなみに、もともとギャグ寄りの作風なんですか? 先ほど、少女漫画志望だったと言っていましたが。

三星:それがちょっとギャグだったんですよ……(笑)。何でなんでしょう、真剣に描いているつもりなんですけど、つい小ネタに走ってしまうんです。

――それで面白くなっているのがすごいです。では大まかな、学園祭なら学園祭のプロットがあって、あとは自由に動いてもらう感じなんですね。

三星:見せ場はちゃんと決めてあって、それに向けてっていう。

担当編集:ゴールはちゃんと決めていますね

―― 一番暴走するキャラクターは?

三星:みんな?(笑)

担当編集:オチとして登場する率が高いのは茜?

三星:そうですね。茜さんがいれば解決するところはあると思います。


「キャストの皆さんがキャラクターをちゃんと愛してくださって、めちゃめちゃ嬉しかったです。」

――9~10巻の巻末マンガで、アニメ化の話が最初は信じられなかったと描いてありましたが、アニメ化というのは目標にしていたり?

三星:いや、全然! 連載して単行本化することが目標だったので、アニメ化の話がきた時に、慰めの言葉かなと思って(笑)。モチベーションが落ちないように頑張れよっていう意味かなって。

担当編集:編集長を連れて行ったら、打ち切りかと思ったと言っていましたから。

三星:偉い人が来るってことは……って。でもアニメ化はあまりにもすごいことで、本当に信じられなかったです。だから現場の方々に挨拶をした時に初めて、ドッキリとかじゃないんだ、みんな真剣なんだって思いました。

担当編集:アフレコの時まで、企画が進んでもポシャることってありますよね?って言ってて。

三星:なんかネットで調べてて、途中で頓挫したとかいう話も見てたので。だから最後まで行けて本当に良かったです。

――スタッフとは、最初にどんなことを話したのですか?

三星:私のほうからは、このマンガはテンポが大事というか、それしかないと思っていたので、テンポを何とか考えてくださいとだけお願いしました。そしたらアニメはマンガ以上にテンポが良くて、詰め込んでいましたけど(笑)。本当にありがたい!

――アニメで、キャラクターたちに声が入って動いているのを見てどうでしたか?

三星;いやぁ、キャラクターの声は本当に想像していなかったので、初めて見た時はぴったりハマってて、こういう声だったんだ!って感動しました。はじめまして!って感じで(笑)。

―― 一度アニメで声が付いちゃうと、マンガもその声で再生されたりするんですか?

三星:そうですね。描いてる時も、今は脳内でみんなの声が再生されますね。

――アニメとマンガで違うところ、驚いたことなどはありますか?

三星:背景が素晴らしくて! 家の間取りが作られていたんです。9巻まで一人で描いていたんですけど、背景も正直適当なんですよ。間取りとかも決めてなくて。それをきっちり起こしていただいて、こんなふうになってるんだ!って思いました(笑)。部屋数とかもちゃんとしてて、すごいなって。

――青司の家とかですよね。キャラクターはどうですか。

三星:やっぱり、違う方に自分のキャラクターを描いてもらえることが、すごく嬉しかったです。簡略化されて、でもちゃんと特徴を捉えていて。あとそっくりだったのがブルーという猫で、私が描くブルーとそっくりで! それにギャグ顔も私の絵のまんまだったんですよ。それがすごいなって感動しました。

――アフレコも見て?

三星:何度かおじゃまさせていただきました。いや、もう声優さんってすごいな!って。何であんなにセリフをポンポン言えるんだろうって。何も文句のつけどころがないというか、本当に何も言うことがないんですよ! すごく良かった!

――みんなキャラクターをつかんでいるなと。

三星:何であんなに、私が知らないところまで読み込んでくれているんだろうって思いました。

――アニメでの好きなシーンなどはありますか?

三星:全部って言っちゃうとアレですよね。でも全部なんですけど、グリの第一声とか、青司の第一声もそうですし、コラリ、ストラスも誰得なの?って感じのキャラなのでアニメにしてもらえて嬉しかったし、そうですね……選べないですね!(笑) あっ、怪談の話(6話)に私がいたんですよ(※コミックスにある三星先生の自画像がお化けに紛れて登場)。あんなところに私がいる!って。誰が入れてくれたのか分かりませんが、ありがたい。本当に自由に遊んでもらえて、すごく嬉しかったです。

――ではあらためて、キャストの皆さんに三星先生からコメントをいただいてもよろしいですか?

担当編集:これはひとりずつ言ったほうがいいんじゃないですか?

三星:一人ずつですか!? そうですね……。青山さんには直接言ったんですよ。「グリですね!」って。なので、あなたはグリでした! 素晴らしかったです!

――沼倉さんと長野さん、原さんは?

三星:茜という、どうしたらいいか分からないキャラ。美人だけど頭がおかしい、わがままなのか、そうじゃないのか分からないキャラをあんなふうにきれいに演じてくれて、ありがとうございます。長野さんは、今隣りにいるんですけど……(※たまたま遊びに来ていました)、柚って単純なお嬢様キャラではないので、難しいだろうなって思っていたんですけど、すごくかわいく、意志が強い感じに演じてくださって、めちゃめちゃぴったりでした! 柚が頑張ってる!って思いました。原さんには本当に申し訳ないなって。樒がやんちゃ過ぎて、一番厄介なキャラクターなので、大変だったんじゃないかなと思います。原さんの樒って、かわいいんだけどセクシーなんですよね。そこが大好きでピッタリでした。小悪魔的な感じに演じてもらえて良かったです。

――青司役の小野賢章さんはどうですか?

三星:青司はイケメンキャラではないのでどうなるんだろうって思いましたけど、ちょうどいい、優しいお兄ちゃんという感じでした。ツッコミのキレもすごく良くて、さすがだ!と本当に思いました。いい青司くんでした。

――あくあ役の高橋李依さんとコラリ役の檜山修之さんについてもお願いします。

三星:あくあはピッタリ過ぎですよね。ご本人もキャラクターにピッタリで、ビックリしました。あくあはこの作品の中で、一番普通の女の子なので、かわいかったです。檜山さんは、コラリの第一声で笑ってしまったんですよね。意外と言ったらアレですけど、面白すぎて最高でした!

――本当にキャラクターが立っているアニメだったなと思います。

三星:はじめに声優さんにご挨拶させていただいた時に、「とりあえずキャラクターを愛してやってください」と言ったんですけど、本当に皆さん、ちゃんと愛してくださって、めちゃめちゃ嬉しかったです。

――12話の放送後の公開になるのですが、全話放送を終えてみていかがでしたか?

三星:本当にあっという間でした。贅沢な夢を見させていただきました。自分以外の方々がマンガのキャラクターを愛してくださるのが目に見えるのは、最初不思議な感じだったんですけど、好きに演じてもらえたり、遊んでもらえたりして、本当にうれしくて楽しかったです。始まってしまうと本当に毎週あるんだっていう感じだったので、それがなくなってしまうと思うと、ちょっと寂しいですね。でも本当に皆さんに、お疲れ様でしたと言いたいです。

――また続きもあったらいいですけどね。

三星:また何かのご縁があればうれしいですね(笑)。原作もまだ続いておりますので、アニメが終わっても『恋愛暴君』をよろしくお願いします。

[インタビュー・文/塚越淳一]

 

■TVアニメ『恋愛暴君』

【放送情報】
2017年4月6日からテレビ東京にて、毎週木曜日深夜2:35~
2017年4月8日からBSジャパンにて、毎週土曜日深夜0:30~
2017年4月8日からAT-Xにて、毎週土曜日夜11:30~
リピート放送:毎週日曜深夜2:30~/毎週火曜午後3:30~/毎週金曜朝7:30~

【STAFF】
原作:三星めがね(COMICメテオ連載)
監督:濁川 敦
シリーズ構成:高橋ナツコ
キャラクターデザイン:いとうまりこ
総作画監督:谷津美弥子
美術設定:小山真由子 松本浩樹
美術監督:松本浩樹 菊地明子
色彩設計:いわみみか。
音楽: MONACA
音楽制作:DIVEⅡentertainment
音響監督:本山哲
音響制作:HALF H・P STUDIO
編集:近藤勇二(REAL‐T)
撮影監督:岩崎敦
撮影:T2studio
アニメーション制作:EMTスクエアード

【CAST】
グリ: 青山吉能
藍野 青司:小野賢章
緋山 茜: 沼倉愛美
黄蝶ヶ崎 柚:長野佑紀
白峰 樒: 原 由実
ほか

【音楽】
OPテーマ:恋?で愛?で暴君です!/Wake Up, Girls!
EDテーマ:「スキ」を教えて/smileY inc.

>>公式サイト
>>公式Twitter(@boukun_PR)

(C)三星めがね・COMICメテオ/恋愛暴君製作委員会
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