映画
『キンプリ』監督&Pが更に何度も観たくなる最新作へのこだわり

何度も観る度にモヤモヤする魔法をかけた――菱田監督&西Pが語った『キンプリ』新作へのこだわりと気合い

 2017年6月10日(土)より劇場公開中のキンプリこと、『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』。2016年1月に公開を迎えた『KING OF PRISM by PrettyRhythm』の新作にあたる本作は、4年に一度開催されるプリズムスタァの大会「プリズムキングカップ」を舞台に、一条シンをはじめとした次世代のプリズムスタァたちや、現役トップスタァであるOver The Rainbow、そして現役からは身を引いた氷室聖、法月仁、黒川冷という3世代スタァたちの苦悩や戦いが描かれていきます。

 そんな本作から、監督の菱田正和監督、プロデューサーの西浩子さんに前作の振り返りを中心に、印象的なイベント、そして最新作の見どころや制作について話を伺いました!

 本稿ではこのインタビューの模様をお伝えしていきます。

 

前作のヒットは『プリリズ』からのファンのおかげ
――まずは前作公開当初の盛り上がりを振り返ってみて、公開当初はあそこまでの盛り上がりは予想されていたのでしょうか。

菱田正和監督(以下、菱田監督):全くですね。

西浩子プロデューサー(以下、西P):私も全くでした。流れとしては1月の2週目の時に動員が1番少なくて、「もうすぐ終わってしまいます」ってことを監督がSNSで投稿して、それを見たファンの皆様が劇場に足を運んでいたのをテレビで取り上げて頂いたんです。それで急に満員になったりしてから動員が増えて行きました。

菱田監督:3月9日の時点て興行収入が2.5億を突破していたので、どこかから突然だよね。

>>劇場アニメ『キンプリ』興行収入2億5000万円を突破!大ヒット作の仲間入りに寺島惇太さん「まだまだ盛り上げていきたい」

西P:2~3月が1番爆発的に増えましたね。

菱田監督:信じられなかったし、嬉しかったよね。

西P:全然実感も無かったですけどね。今も無いですけど。

――改めて成功の要因というのはどのような所にあったと思いますか。

西P:ご好評頂いた要因で言うと、元々『プリティーリズム』から応援して下さっていたお客さんが自分の事の様に色んな方に作品を伝えてくれたおかげだと思います。

菱田監督:あとは応援上映という新しい映画鑑賞の形が上手くマッチしたのもあるかなとも思います。

 
――応援上映に似たもので言うとライブビューイングは今までにもありましたが、『キンプリ』の応援上映は「ここでこれを言う」というセリフみたいな物があったり、ファンたちの中でどんどん成長していった印象があります。応援上映を観た時に印象はいかがでしたか。

西P:劇中のキャラクターと喋るのはある程度想像がついたんですが、アクションまで付き出した時は凄いなと思いました。

菱田監督:ペンライトで“仁”を作ったりとか。

西P:本当によく考えてくださるなと思います。

菱田監督:応援上映は過去に他の作品でもやりましたけど、あそこまでの盛り上がりにはならなかったです。ライブシーンで盛り上がりはあっても、『キンプリ』の様に会話シーンであいづちを入れたりとかはありませんでした。

でも、それは『プリティーリズム』の頃から応援してくれた人たちが、ここに至るまでの過去の劇場版2本を観て応援上映の練度をあげて下さったからだと思います。だから『KING OF PRISM』だけで出来た応援上映ではなくて、3年、4年を経た上で出来ているので、長く支えてくれるファンの人たちのおかげです。

 
――他にも、前作ではキャラクター人気投票も行われましたが、結果を見ていかがでしたか。

西P:全く予想外でした。

菱田監督:僕も全く想定してなかったですね。

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――お2人の中で上位に来そうなキャラクターという予想はありましたか。

西P:私はルヰでしたね。

菱田監督:僕はユキノジョウだと思っていました。だって、緑(タイガ)って戦隊モノで言うと昔から人気が無かったんですよ。でも緑がトップに来るなんて僕の普段の価値観が崩された瞬間でしたね。

 
――ちなみに敵キャラクターながら大和アレクサンダーが2位にランクインしましたよね。

西P:菱田さんの本当に凄い所は、敵キャラも嫌われないことなんですよね。

菱田監督:僕はそもそも、ファン投票の中にアレクが入っていることに驚きました。中間発表で3位くらいの時は「アレク入れてるんだ」ぐらいに思っていましたけど、最終的に2位になった時にビックリして「入れなくて良いんじゃないの」って思いましたよ(笑)。

西P:一回悩んだ記憶もあるんですけど、人数が少ないので入れました(笑)。

――あの人気投票はプリズムキングカップへの出場権投票みたいな側面もあったはずなので、個人的にも「なんでアレクが入っているんだろう」って思っていました。

菱田監督:アレクは新作があったら「そりゃ出るだろ」っていうキャラクターだったので、「そんなに推さなくてもたぶん出るよ」と個人的には思っていたんですけど、2位になって絶対出さなくちゃいけなくなっちゃいました。

 
――他にも、イベントなど様々な展開が行われて来ましたが、印象に残っているものはありますか。

西P:私は「キンプリファン感謝祭」というイベントを4月末に開催していただいたんですけど、あのようなイベントを開催していただける所まで行けるとは全く思ってなかったので、本当に夢のようでした。お客さんも沢山集まって下さって嬉しかった記憶があります。

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菱田監督:僕は昨年9月11日の「KING OF PRISM Over The Rainbow SPECIAL THANKS PARTY!」ですかね。

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待ちに待った形でオバレがイベントに出てきて、ここまで引っ張ってイベントに出たオバレの大物感が凄かったですね。しかも『-PRIDE the HERO-』の制作発表として彼らが「athletic core」を歌ってくれて、僕らはイベントの内容は知っていたんですけど、あれを生で見た時に「いよいよここまで来たな」って感慨深かったですね。

 
何度も観るうちにモヤモヤしていく魔法をかけた最新作
――最新作の制作が決定した経緯を教えて頂けますか。

西P:3月9日に行われたサンキュー上映会で興収2.5億を達成したので、その辺りから「そろそろ新作が作れるんじゃないか」という話になりました。そこから菱田監督がプロットを作って下さって、そこからシナリオの打ち合わせを重ねて、9月6日に会社の決裁が下りまして、9月11日に解禁しました。

――前作を踏まえて制作の中で意識した点などはありましたか。

菱田監督:前作ではファンの方が50回とか100回とか観られる想定で作っていなかったので、「そんなに観て頂けるならもっと何かやってあげられれば良かったな」と思っていたんです。今回は時間を多く貰えたので、あらゆる所で密度を高くする事を意識しました。

 
――イベントでも仰っていましたが、元々長かったストーリーを短くしたんですよね。

菱田監督:とにかく70分未満にしてくれと言われていたんですけど、僕の中でまとめ切れなくて、結果的に77分になったのを編集して69分にしました。60分を超えると色々と制作費がかさむんですけど、それを西さんとタツノコの依田さんが許してくれたんです。普段はあまり愛を感じなかったんですけど、その時だけは愛を感じましたね。

一同:(笑)

菱田監督:「菱田監督の作りたい物を作って下さい」って言ってくれて、なんか愛されているなと思いました。期待に応えられる物を作った自信はあります。

 
――僕も一足先に観させて頂きましたが、目まぐるしい展開で細かい小ネタはきっと網羅出来なかったですね。なんなら大筋の内容は覚えているんですけど、終盤が凄すぎて前半の記憶が無い所があるくらいです。なのでまんまと「2回目を観たい」と思ってしまいました。

菱田監督:1回目見るとなんとなくスッキリはするんですけど、何回も観ていくうちにどんどんモヤモヤしていく魔法をかけて作りました(笑)。観れば観るほど「あれ何だったんだろう」っていうのが増えていくと思うので、それは狙って作りましたね。

 
――ちなみにそのモヤモヤは何らかの伏線だったりするんですか。

菱田監督:伏線だったり伏線じゃないものもあります。だからモヤモヤするんです。

――他にも前回の反省が活きた部分はありましたか。

西P:私は5.1chにすれば良かったなと思っていたので、今回5.1chにしていただきました。

菱田監督:僕は応援上映でファンの方がどのくらいのことをやってくるかを今回も勉強したので、ある程度今回はファンの方が映画館の中でどう演じるかというのをある程度想定して作りました。今回の話は半分以上プリズムキングカップが描かれるんですが、観に来たファンの方は大会の観客になるわけじゃないですか。

なので、観客がどのように芝居をするかというのをシナリオを作って演じさせるっていう事を考えました。ちゃんと出来ないと僕からダメ出しが出るかもしれないですよ!(笑)。

あと、観ている方が会場のスタンドにいる様な画を作ったり、キャラクターがこっちを向いてアクションをしてくれたりっていうこともやっていますし、その辺は前作よりも増やしましたね。

 
――前作に引き続き『プリティーリズム』のキャラクターが出て来るシーンがありますが、それはやっぱり前作のファンが支えてくれたからという意味もあるのでしょうか。

菱田監督:全くその通りで、『キンプリ』を作ることができたのも昔からの熱烈なファンのおかげですし、前回の『キンプリ』のヒットもファンがSNSとかで広めてくれたおかげだったので、そういう人たちにも喜んで貰える物を作りたいと思って入れましたね。



――難しいとは思うのですが、2人が挙げるお気に入りのシーンを伺ってもいいですか。

菱田監督:僕は全部なんですけど……個人的には聖のジャンプですかね(笑)。3強と言われる氷室聖、法月仁、黒川冷の3人の過去が更に掘り下げられたりもしているので、そこも観て欲しいですね。

西P:私は今回の新キャラクターの「The シャッフル」が好きでたまらないです。テレビの中で「恋のロイヤルストレートフラーッシュ!」って言うんですけど、バラバラで可愛いんです。

菱田監督:しかもカードが“ロイヤルストレートフラーッシュ”じゃなくて“5カード”なんですよ。

一同:(笑)

菱田監督:そのチグハグさが大好きですね。「全然強くないじゃん」みたいな。

 
――最後にファンの皆様へメッセージをお願い致します。

西P:本当にファンの方々には感謝しか無いです。私も『プリティーリズム』の1ファンなので、観たいものを観ることができて良かったです。

菱田監督:僕は何のブレーキもなく120%の力を出し切って作れたので、何も思い残すことは無いです。皆さんには感謝の気持ちで、是非楽しんで頂けたら良いなと思います。

[取材・文・撮影/イソベアラタ]

 
作品情報
劇場版「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」
新宿バルト9ほか全国ロードショー中

●概要
4年に一度開催されるプリズムキングカップの出場を目指すプリズムスタァ候補生たちの前に立ちはだかるエーデルローズ解散の危機。借金返済のためにハリウッドで音楽制作に打ち込むコウジ、カヅキはストリート系の原点を見つめなおし、ヒロは己を高めるために特訓に打ち込む。それぞれの場所で自分自身と向き合い、改めて問われる互いの絆。予想だにしない波乱の中、いよいよプリズムキングカップの幕が開けます。

●Story
Over The Rainbowのライブで見たプリズムショーに憧れ、エーデルローズに入学した一条シン。そこでは7人の新入生たちが、未来のプリズムスタァになるべく学んでいた。しかし、法月仁が率いるシュワルツローズの陰謀は、エーデルローズを解散の危機へ追い込む。

エーデルローズを救うために無期限活動休止したOver The Rainbow。コウジは巨額の負債を返すためにハリウッドでの映画音楽制作に、カヅキはストリート系としての自らの原点を見つめ直し、ヒロは己を高めるため特訓に打ち込む。

それぞれの場所でプリズムスタァとしての自分と向き合うメンバーたち。先輩から後輩へと手渡されるバトン。あらためて問われる、仲間との絆。

波乱の中プリズムキングカップが、いよいよ開幕。これまで誰も見たことのない、プリズムジャンプの息もつかせぬ応酬。キング・オブ・プリズムの王冠は、いったい誰の頭上に輝くのか。新たな歴史が、いまここに刻まれる!「俺たちが目指すのは勝者じゃない。」

●スタッフ
監督:菱田正和
脚本:青葉譲
CGディレクター:乙部善弘
キャラクター原案&デザイン:松浦麻衣
プリズムショー演出:京極尚彦
音楽:石塚玲依
音楽制作:エイベックス・ピクチャーズ
音響監督:長崎行男
音響制作:HALF H・P STUDIO
原作:タカラトミーアーツ/シンソフィア/エイベックス・ピクチャーズ/タツノコプロ
アニメーション制作:タツノコプロ
配給:エイベックス・ピクチャーズ
製作:キングオブプリズムPH製作委員会

●キャスト
神浜コウジ:柿原徹也
速水ヒロ:前野智昭
仁科カヅキ:増田俊樹
一条シン:寺島惇太
太刀花ユキノジョウ:斉藤壮馬
香賀美タイガ:畠中祐
十王院カケル:八代拓
鷹梁ミナト:五十嵐雅
西園寺レオ:永塚拓馬
涼野ユウ:内田雄馬
法月 仁:三木眞一郎
如月ルヰ:蒼井翔太
大和アレクサンダー:武内駿輔
氷室 聖:関俊彦
黒川 冷:森久保祥太郎
山田リョウ:浪川大輔

>>「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」公式サイト公式サイト
>>「KING OF PRISM 」公式ツイッター(@kinpri_PR)

(C)T-ARTS / syn Sophia / エイベックス・ピクチャーズ / タツノコプロ / キングオブプリズム PH 製作委員会
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