三木眞一郎さん&田中敦子さんがホームズとワトソンの関係性を語る『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』シーズン4 DVDリリース記念インタビュー
現代のニューヨークを舞台に、難事件に挑むという、全米大ヒット中の痛快犯罪捜査ミステリー「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY」。シーズン4のDVD-BOX PART1&DVD-BOX PART2(各9,300円・税別、発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント)が発売中、DVD Vol.1~12がレンタル中です。
本DVDのリリース記念として行われた、シャーロック・ホームズ役の声を担当する三木眞一郎さんとジョーン・ワトソンの声を担当する田中敦子さんのインタビューが到着しましたので、ご紹介します。
――シーズン4では、いよいよシャーロックの父親モーランドが登場しますね。
田中敦子さん(以下、田中):とても濃いキャラでした(笑)。モーランドがこのシーズンを構築していた“影の主役”のような感じがして、モーランドを中心に、家族愛や、親子の関係の難しさみたいなものをすごく感じましたね。モーランドとシャーロックという父親と息子、それからジョーンでは母親、それと継父との関係とか、親子って家族なのにこじれてしまうとこんなにも他人以上に根が深かったり、傷が深かったりするということが色濃く描かれていたと思います。ただ単に謎解きだけではなく、人間関係や家族の絆もテーマのひとつでしたね。
三木眞一郎さん(以下、三木):シーズン4では登場人物も増え、前シーズンからの流れを一度リセットしたみたいな感じがあります。だから、シーズン3までを知らなくても、ここから見てもらうこともできます。そこで興味を持ってもらい、シーズン1から振り返って見てもらえるといいですね。
――シーズン4では親子をはじめ、人間関係も重要ポイントになりますね。
三木:そうですね。田中さんも言っていましたけど、探偵であるし、事件を解決しないといけないのに、そこに親子という人間関係が入ってきて…。物語の長さは今までと変わらないのに、密度はギュッと濃くなっています。それで事件を解決した上で、モーランドとシャーロックの見た目で分からない腹の探り合いみたいなことも展開していきます。いい意味で緊張感のあるスリリングな展開を見せています。
――ホームズとワトソンの関係性もモーランドの登場により、変わっていきますね。
三木:ホームズに関して言うと、徐々にですが、不器用なりに人を思いやるというか、いろいろなことを気遣えるようになってきます。ワトソンを守りたいという部分もありますし。そんな中、モーランドの存在は非常に厄介なんです。父親がいろいろと裏で手を回しているんじゃないかという疑いもあったり…。収録中は先が分からないので、次の回の台本を見て、裏切られた気持ちになりました(笑)。
田中:モーランドの存在自体が、どういう力を持っている人なのか、悪人なのか、善人なのか、その存在そのものが脅威に感じるぐらいですよね。また、モーランドを演じるジョン・ノーブルさんがものすごく貫禄のある役者さんで、それを菅生隆之さんが吹替えることで、いい意味で怖かったです(笑)。
でも、ワトソンはモーランドとシャーロックの親子関係をなんとか修復したいと願っているんです。そのために翻弄されたりしますが、彼女はどこまで行ってもシャーロックの保護者(笑)。人の役に立ちたい、人を救いたいという気持ちが心の根底にあるので、ちょっとお姉さんのような、お母さんのような立ち位置でシャーロックを見守っている感じです。
――“相棒以上、恋人未満”というホームズとワトソンの関係性も作品の魅力の一つですね。吹替えされる時、心掛けていることは?
三木:家でリハーサルをして現場で合わせた時に、お互いの考えに差異があるように思えません。もともと英語で完成している作品に吹替えをするので、そこら辺の関係というのはジョニー・リー・ミラーやルーシー・リューが見事に魅せてくれているので、僕らもそれにスッと乗っていけるんです。ただし、役に入り過ぎると、「やり過ぎです」と演出家の方に言われますけど……。でも、収録時のテストで1回やっておくと楽なんです。「よし、1回スッキリした! 本番は抑えられる、大丈夫」みたいに(笑)。
田中:この作品で一番大変なのは三木さんです。収録ではいかに三木さんの邪魔をしないか、そして投げてくれたセリフを拾って、自分が作ってきたものを乗せていけるかという作業をいつもしています。それで引き出されるものも多いですね。彼のセリフを聞いた上でセリフを言うと、自分が作ってきた以上のものが出てきて自分でもビックリする時があります。だけど、関係性は相棒以上、恋人未満なので、どちらかに恋人ができたりすると、少しジェラシーを感じたりもするんです。でも、そこからそれ以上踏み出さない関係性がすごく微妙なんですよね。そういう感じが吹替版でも伝わるといいですね。
――ホームズとワトソンを長く演じられてきましたが、あらためて二人の魅力とは何でしょうか?
三木:ホームズの魅力といえば、存在自体が僕にとって魅力です。ただホームズ一人だと、どうしようもない人なので、やっぱりワトソンと二人でいる必要があります。欠落している者同士なので、本当によく二人は巡り会えたなと思います。巡り会ってから、ホームズは奔放なところは奔放なままに、ちょっとずつ成長しているんです。記憶力や洞察力といったものが桁外れですが、本当に生きていく上では苦労したんだろうなと。彼みたいに生きていけたら良いなと思ったりしますが、そんなに死体とか見たいわけじゃないので(笑)。 でも、どこを切っても魅力的な部分が見えてくる人物なので、すごく素敵だなと思います。
田中:ワトソン役のルーシー・リューは、ブロンドやブルーの瞳でもないし、いわゆる日本人が思い描くアメリカ人とは違います。東洋系だからなのか、日本人に親しみやすい感じが受け入れられる魅力の一つです。もちろんお芝居も上手ですし、さらにファッショナブルです。シーズン6の製作も決まって、この作品に彼女が女優人生の全てをかけているなと感じます。シーズン4では第22話で監督を担当したり、その上で女優業も行うという熱意が見え隠れしていて、ワトソンとオーバーラップする点があり、魅力に繋がっていると思います。
――お二人にとってこの作品やこの収録現場はどういった存在でしょうか?
田中:私たちが日常的に抱えている作品の中で、群を抜いて大変な作品ではあることは間違いないです。各シーズンが24話ありますし、本国でシーズン6の製作が決まったということで、あと2年先も決まっています。ワトソンは医者なので医学用語が出てきたり、謎解きの長ゼリフだったりと、日常会話とは違う壁があるんです。
ホームズにしてもずっと話し続けなければいけなくて、どこで息継ぎをすればいいんだろう、みたいなシーンだらけですし。収録が思うように進まないときには、心に傷みたいなものを負ったりするんですが、すごく良い座組が支えてくれるので、24話分、“満身創痍”な感じで終わっても、心地いいんです。痛手を負ってもう1回やり直しというのを繰り返しながら、作品が完成していきます。それを支えてもらえる温かい現場です。
三木:本当に良い座組だと思います。擦り傷を作ってもいいから、みんなで手をつないでゴールしたいという感じです。やはり吹替版というのは日本語の音声ガイドを作っているわけではなく、日本人が見て楽しめるというものなので、そこは追求すべきと考えています。そういう意味でも「エレメンタリー」の吹替版は単なる商品ではなく、上質な作品として皆さんに楽しんで頂けると思います。でも、作品はめちゃくちゃハードルが高く、シリーズが始まると半年ぐらい、挙動不審になります(笑)。 それでも、この役が決まった時は本当に嬉しかったです。
田中:大変かもしれないけど頑張ろうねっていいましたね(笑)。
三木:そうそう!その場でディレクターから「この二人で吹替えすることが決まりました」と言われて。僕は本当に田中さんがお相手で良かったなと思っています。これは冗談抜きで、ちょっとでも違和感があるような人だと、毎週の収録の時間が苦痛になっていくと思います(笑)。
田中:私も三木さんが相棒で良かったです!この作品は大変なんですが、みんなで頑張っていこうという気持ちになれます。
三木:それは本当に素晴らしいことで、僕らの嬉しさで終わるんじゃなくて、見てくださった方々に喜んで頂けるまでが仕事なんです。だから、シーズン4を見てくださった方々の心を少しでも動かすことができたとしたらそれが一番嬉しいですね。
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