ミレーヌという大役に挑む平野綾さんの本当の気持ち。“らしさ”を求めてーー『歌マクロス スマホDeカルチャー』インタビュー
『マクロス』シリーズの歌姫たちの美麗3Dモデルや、人気楽曲が楽しめるリズムゲームアプリ『歌マクロス スマホDeカルチャー』。続々と新たな歌姫や楽曲が追加される中、ついに『マクロス7』よりミレーヌ・ジーナスが登場です。
今回、『歌マクロス スマホDeカルチャー』でミレーヌの声優を務めるのは平野綾さん。
『マクロス』シリーズでも人気のミレーヌ、ヒロインという役柄に、平野さんも相当な想いがあった様子。
様々な葛藤、今だからこそ込められる気持ち、そしてミレーヌへの愛。すべての『マクロス』ファンに贈る、平野さんが新たな扉を開いた姿をロングインタビューで紐解きます。
まずはゲームを遊んでみる!
早速、インタビューを行おうとした矢先、なんと取材時にはまだ実装されていなかったミレーヌを使用できる端末をDeNAさんがご用意してくださることに!
ということで、まずは平野さんによるゲームプレイがスタート。もちろん使用するキャラクターはミレーヌです。
今回チャレンジする曲は「TRY AGAIN」。「やっぱりいい曲ですよね」と平野さんもノリノリです。
そしてプレイスタート! 意気揚々とゲームをはじめますが、最近、『歌マクロス スマホDeカルチャー』をはじめたばかりということで、少々苦戦気味……。
「ぎゃー!」「うわー!」と大きな声を上げながら楽しそうな様子でしたが、あえなくクリアならず! しかし、今度は【EASY】で再挑戦です。
「いけそうです!」と笑顔を見せながらゲームを進めていき、今回は無事にクリア! 見事、SSランクをゲットです! 平野さん、おめでとうございます!
3度目のオーディションで射止めたミレーヌ
ここからはインタビューをお届け。ミレーヌに対する想いをたっぷりと語っていただきました。
──先程、ゲームをプレイしてみましたが、いかがでしたか?
平野綾さん(以下、平野):やっぱり曲を聴いているとすごくテンションが上がって、曲に集中して手元がおろそかになることが多かったです(笑)。
いつも難易度を【EASY】にして遊んでいるので、【NORMAL】が難しくて、これは練習が必要だなと思いました。
そもそもスマホでリズムゲームをやるのは初めてなんですが、それでも何度も何度も繰り返し遊びたいと思えるのは、ゲームがすごく楽しいからなんだなと実感しています。
──3Dのグラフィック綺麗で、すごく可愛いですよね。
平野:振り付けがすごく可愛いですよ。私は『マクロスF』に出演させていただいた(ミーナ・ローシャン、ネネ・ローラ役)こともあって、いつもシェリルを使っています。
ゲームを遊んでいると、ライブシーンや当時のアフレコとかも思い出したりするんです。みなさんも思い出に残っているシリーズごとに、当時のことを思い出すと思います。長年やっているシリーズの良いところってそういうところもありますよね。
──平野さんは、『マクロス』シリーズ全体を通してどんなイメージを持っていますか?
平野:自分が関わっていなくても、歌ものって言われると反応しちゃうんです。『マクロス』っていろんな作品があって、楽曲だけ知ってることもありますよね。私も好きな『マクロス』の楽曲が多いんです。曲から作品に入った人も多いんじゃないかな。
あと、私は昔、オーディションに落ちている経緯があるので、いろんな思い出があります(笑)。
──それはそれですごい話ですけどね(笑)。
平野:私、『マクロス』シリーズでオーディションを3回受けていて、今回初めて、ヒロイン役がオーディションで受かったんですよ。
実は一番最初に受けたのが『マクロス ゼロ』で、その時はヒロインを両方とも(サラとマオ)受けたのにかすりもしなくて(笑)。そのあとに『マクロスF』でシェリルを受けたんです。
それも落ちてしましたが、幸いにもオペレーターのミーナ・ローシャンとピクシー小隊のネネ・ローラの二役をいただきました。オペレーター役も夢だったので、精一杯やらせていただこうと思いました。
でもまさか、今回『マクロス7』のミレーヌ役でもオーディションを受けさせていただけると思っていませんでした。
だから、今回はようやく受かって、めちゃくちゃ嬉しかったんです。普通はあまりオーディションで落ちた話はしないと思うんですけど(笑)。
──しませんね(笑)。ようやく射止めたミレーヌというキャラクターの印象はいかがですか?
平野:実はお嬢様なんですけど、自分の気持ちにすごく素直で、自分の意志のままに行動する女の子という印象です。
女の子らしいところもあるんだけど、女子から見ても、「この女の子好きだな」「格好いいな」って思えるところも持っています。
男子から見ても守ってあげたくなる部分を持っていて、ヒロインらしいヒロインだなと思いますね。
私は最近、悪役を演じることが多くてヒロインをあまり演じていなかったので、ヒロインらしさを見つめなおすいいきっかけになりました(笑)。
──ミレーヌの好きなところはどこですか?
平野:ちょっと口うるさいかと思いきや、ほっとけない女の子らしさみたいな部分があるところ好きです。女子女子しすぎてなくて、いいバランスで成り立っているなと思います。
女の子過ぎないというのは、演じていて気を付けた部分でもあったんですけど、そこに元気で活発なイメージがプラスされて、すごく愛せるキャラクターだなと思います。
“ミレーヌらしさ”でスタッフも満場一致
──また今日は、平野さんを起用した理由を知るスタッフをお呼びしています。平野さんを起用した経緯をお聞かせいただけますか?
平野:私も聞いたことないからドキドキしています(笑)。
一同:(笑)。
スタッフ:『マクロス7』は、去年の時点で、23年目の作品になっているわけです。
長いこと作品やっていると、声優さんをバトンタッチさせなければいけないタイミングが来るんです。
『マクロス』自体は今後も40年50年と続けていくつもりでいるので、いずれにせよキャスティングは続けていかなくてはいけません。
その中で今後のミレーヌ役をどなたに継承していただこうかということで、まずは『マクロス7』の当時の音響監督の本田保則さんにご相談して、オーディションという形でセッティングすることになりました。
そこで、最初に本田さんと音響ディレクターさんに十数名の候補を出していただいて、その中に平野さんも入っていたんですよ。
『マクロス7』制作当時のメインスタッフみなさまに声のイメージを聞いてもらい、絞り込ませていただいたところで、最終的にスタジオでミレーヌのセリフを演じていただきました。
一番ミレーヌのイメージを継承していただける方を探していたところ、そこにいたスタッフの意見が一致して。平野さんにやっていただくことになったという経緯です。
平野:……緊張しました。よかったです。
──平野さんを選んだポイントはどこだったんでしょうか?
スタッフ:一番ミレーヌらしい声ということで、満場一致で平野さんがぴったりだねと、決まりました。
──なるほど。今の話を聞く前、平野さんご自身は、選ばれた理由は何だと思っていましたか?
平野:自分の中では本当に意外でした。最近ヒロインやっていないってのもありますし。
オーディションのお話をいただいたときも、“三度目の正直”か“二度あることは三度ある”のどっちかだなと思っていました。
一から作り出すのも難しいけど、すでに演じていらっしゃる方がいる役を引き継ぐのも相当難しいことです。それが自分にできるのかなという不安もありました。
ミレーヌを今演じるとしたら、どういう声の方が選ばれるんだろうと客観的に考えた時に、
なかなか思い浮かばなかったんです。
だからこそ、「新しいものを作らせてもらえる」「自分だったらできるかもしれない」っていう自信にもつながりました。実際の収録は「いいですかね? これでいいですかね?」って何度も確認しながらやらせていただいちゃいましたが(笑)。
これまで私が音響監督の本田さんにお世話になった作品は大人っぽい役や男の子の役だったので、どんな声質を求められているのか最初は分からなかったんです。
そんなときに、「今までの役っていうよりも平野くんらしさで」って言ってくださって、じゃあ本田さんに対して新しいプレゼンができるなと思いました。何も考えずに自然な感じでやらせていただきました。
──舞台や映画では、同じ役を何人もの役者が演じるのは当り前です。しかし、ことアニメになるとそれが難しいと言われていますよね。平野さんは、舞台でも活躍されているので、そういう意味でもキャスティングされたのかなと、勝手ながら感じていました。
平野:おっしゃる通り、そこに対する意識は舞台とアニメでは、ちょっと違うかもしれませんね。私はそのことに対して、プレッシャーになることはなく、普段からやっていることなので、“平野版のミレーヌ”みたいな意識で取り組めたかなと思います。
──今回の平野さんの声の実装は公開された1日目くらいまでは声優名が非公開になっているようです。どんな反響があると思いますか?
平野:本当にドキドキです。私は割と声でバレることが多いので(笑)。ただ、「今の平野がヒロインをやるのか?」っていうことで、バレないんじゃないかっていう気もしていて(笑)。
そこでみなさんに面白く予想していただければ嬉しいなと思います。
声優、女優、歌手、すべてがシンクロする
──平野さんは、女優と声優、そして歌手としての面があると思いますが、それぞれの仕事がそれぞれにいい意味で影響したりはするんでしょうか?
平野:すごく影響しています。やはりどのジャンルの現場でも「声優さんでしょ」っていう目で見られますし、始めの頃は厳しかったです。でもそれは当たり前のことで。
初舞台を踏んだのも6年前で、もともと子役からやっていて舞台がやりたくてこの業界に入ったんですけど、なかなかその機会がなくて6年前にようやく叶ったので。
でもこの歳から新しく学べることがあるってすごくいいことだなと思いました。正直、舞台の世界は本当に厳しいです。この歳で自分の為に怒っていただけることってなかなかないから、今それを経験できてすごく幸せだと思います。
声優の現場でもいろいろな経験をさせていただいて、夢のようなステージに立たせていただけたおかけで、度胸だけはあって(笑)。
それを持って舞台の世界に乗り込んでいけたから、ちゃんと腹が据わってチャレンジできたんだと思います。
あと技術的に言うと、舞台上でもマイクや声に特化した技術を活せることが多かったんですよ。
マイクをつけていない普段のお稽古のときは、「もっと空間を広く作らないといけないよ」って言われてたんですけど、アフレコで常にマイクに向かってお芝居をしていたので、舞台稽古になってマイクをつけた瞬間にそれが一変するんですよ。
マイクをつけることによって成り立つ技術を持っているから、急に声がガンガン通るようになって奥行きが出る。それを、「声優をやっているからこそだね」と言ってもらえたのがうれしかったですね。
でもそれだけでは舞台でやっていけないし、ずっと舞台をやってきている人たちにいつまでたっても追いつけないので、真剣に勉強しなくてはと昨年ニューヨークに留学しました。
逆に舞台で学んだ表現や、ニューヨークのボイストレーニングで鍛えた発声法を声優の現場で活かせることも増えました。なんだか、本当に全て繋がっているんだなって思います。
より専門的な技術職は声優なのかもしれませんが、一番底の部分ではちゃんと繋がっているんだなっていうことが発見できたので、それが分かってからいろいろな現場がすごくやりやすくなりました。
それまでの私は、現場によってスイッチを切り替えないといけないと思っていたんです。今ではあまり変えず、自分の中で基準ができた気がして、いつでもやりやすくなりました。
ようやくこの歳でちゃんと形になってきたかなと、やっぱり奥が深いなと思います。
──様々な分野で活躍している中で、表現者として自分の中で大事にしていることはありますか?
平野:そもそも「何でお芝居をやりだしたんだっけ?」と振り返ると、元々は自分にコンプレックスがあったから、自分以外の何かになれる瞬間が楽しかったんです。
自分じゃない人生をその瞬間だけ生きられるっていうことにやりがいを感じて役者になろうと思ったんです。どの分野においても、例えば歌を歌っているときでも、その歌に出てくる登場人物だったり、歌い手自身の人物像を考えて歌っています。
平野綾っていうイメージが自分の中でも独り歩きしている感じがあって、自分の思う平野綾像と世の中に出ているものにも差を感じるんです。だから常に自分以外の何者かになっていると思ってお仕事しているので、そういったところはどの仕事も一貫しています。
だからジャンルは全然違っても、「平野綾がやるならどうなるのかな?」っていうのを客観的に見ています。そういった面では自分がごっそり入れ替わるくらいまで別のものになるというか、その中でどこかで平野綾らしさが一貫して表現できればいいなと思っています。
──役に入るときは第三者目線で自分のことを見ているんですね。具体的にはどういう感覚なんでしょうか?
平野:すごく不思議なんですけど、舞台をやっていても声優をやっていても、いわゆる乗り移ったような、没頭しすぎて自分がどっか行っちゃうときがあるんですよ。そういうときにすごいお芝居ができたりします。
でもあまりにも没頭しすぎてハンドリングできていないとダメだから、もう一人の自分がいて制御しているみたいな。常にどこかしら冷静な部分は残しつつ、自分がなくせたら良いなと思っています。
もしかすると、今までが割と冷静に分析できちゃう派だったかもしれません。そこから一歩先に行ったところで面白味を感じるようになってきたので、そっちに移行しているのかなという感じがあります。
自然体で演じられたミレーヌ
──今回の出演はご自身にとっても挑戦だったと思いますが、ご自身にとって何が一番の成果でしたか?
平野:ちゃんと受け継いで真摯に取り組むことが一番大事だなと思っていたので、その部分はうまく踏襲できたんじゃないかなと思います。
だからスタッフさんに、「平野さんらしさもある」って言っていただけるのがうれしくて。平野らしさもあるし、ミレーヌらしさもちゃんとあるっていうバランスが難しいなと思いながらお芝居しました。
今回は1回目だったのもあって探り探りやった感じではあったんですけど、その中でも、“らしい”って言ってもらえるのがすごくうれしいなと思います。
私が今まで演じてきたどのヒロインともちょっと違うと思うんです。なのでそこは櫻井さんに助けていただきつつ、役に助けてもらいつつ、元々あるものから新しいものが生み出せたっていうのが一番うれしかったかなと思います。
──“らしさ”っていいですよね。
平野:多分人によって、私に感じる“らしさ”って全然違うと思うんです。本田さんは、「元気で素直なところが平野くんらしい」って言ってくださったんです。「なんで、私の素直なところまでバレてたんだろう?」って思いましたけど(笑)。
声優のお仕事も15年以上やらせていただいていて、ずっとお世話になっているスタッフさんも増えてきて、そういう方たちが自分の分かっていないところで見てくれていたんだなっていうのをすごく感じるんです。
自分が思っていた以上に私のこと知ってくれているし、分かってくれているし、いつの間にかフォローしていただいていることがすごくいっぱいあって。そうやって自分がこの業界に長くいて、心から良かったなと思うことができたのはみなさんのお陰です。
まさにそのタイミングでこのお話をいただけたっていうのが、またご縁だなと思います。
「頑張らなきゃ!」と必死で余裕がなかったときにこのお話をいただいていたら、自分に対してもっと厳しくというか、ストイックにならないとやっていられなかったと思います。自然体でできたのはこのタイミングだったからこそ。すごくいい環境でやらせていただいているなと実感します。
──すごくいいお話ですね。
平野:この歳だから分かることもあります。なんか経歴だけはやけに長いので(笑)。
共演させていただいている役者さんも10年以上のお付き合いの方ばかりで、みなさんお兄さんお姉さんではあるんですけど、「一緒にやってきたよね」って言っていただけるのがすごくうれしくて、可愛がっていただけてありがたいなと思います。
──平野さんのミレーヌの実装が楽しみです。
平野:私も本当に楽しみです。さっきはゲームオーバーしちゃいましたけど(笑)。なんとか人に見せられるくらいに、「できるじゃん!」って思われるくらい練習します。
──今後は平野さんのプレイにも期待ですね。
平野:そうですね! あと、自分の中で好きな曲とかをなんとかSSランクくらいまで持っていきたいと思います!
──ありがとうございました!
※ゲーム画面は全て開発中の画面となります。実装時に変更となっている可能性ございます点ご了承ください。
[インタビュー/石橋悠 写真/アイザワヒロアキ]
『歌マクロス スマホDeカルチャー』概要
『歌マクロス スマホDeカルチャー』は、ロボットアニメの金字塔『マクロス』シリーズの超時空リズムゲームです。『マクロスΔ(デルタ)』の「フレイア・ヴィオン」「美雲・ギンヌメール」や『マクロスF(フロンティア)』の「シェリル・ノーム」「ランカ・リー」など、おなじみのキャラクターが3Dで登場し、歴代の『マクロス』シリーズの名曲にあわせて踊ります。
タイトル:歌マクロス スマホDeカルチャー
配信形式:スマートフォン向けアプリ
ジャンル:超時空リズムゲーム
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