『Wake Up, Girls!新章』ファン待望の第1話について、板垣伸監督と吉岡茉祐さん、田中美海さん、青山吉能さんが語る【WUG新章・バックステージ#1】
2017年10月より放送中のTVアニメ『Wake Up, Girls!新章(WUG新章)』。
2014年1月からスタートした同アニメシリーズ。劇場アニメ『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』、TVアニメ『『Wake Up, Girls!』、続・劇場版前編『Wake Up, Girls! 青春の影』、続・劇場版後編『Wake Up, Girls! Beyond the Bottom』など約3年以上の歴史を刻んできた『Wake Up, Girls!』の最新作に大きな期待が集まっている。
そんな歴史ある作品の連載企画がアニメイトタイムズでスタートする。そのタイトルは【WUG新章・バックステージ】。
アフレコ裏話や楽曲、見どころのシーンなど、ここでしか読めない話をキャストや監督など多くの関係者の口から紐解いていく。
記念すべき第一回に登場するのは、『Wake Up, Girls!新章』の監督を務める板垣伸氏と『Wake Up, Girls!』の吉岡茉祐さん、田中美海さん、青山吉能さんだ。『Wake Up, Girls!新章』に掛ける思いや放送された第1話に迫る。
ファン待望の新章
――『Wake Up, Girls!新章』の放送が決定した時の話を聞かせてください。
青山吉能さん(以下、青山):大々的に『Wake Up, Girls!新章』の放送が決定しました!って感じじゃなくて、話の流れでサラッと聞いたのが2016年の6月頃でした。ホントにさらっと言われたので、「え!」みたい感じだったのはすごく覚えています。
田中美海さん(以下、田中):アニメやるの!ホントに!?みたいな感じだったよね。
吉岡茉祐さん(以下、吉岡):2015年の年末に開催した『Wake Up, Girls!Festa.2015』の時点では、次のアニメについては完全に白紙の状態だったんです。私たちは次に何を目指すべきなのか?次の目標が見えない状況が半年ほど続いていましたね。ですので、アニメ『新章』が決定して安心感みたいなものが生まれたのはとても印象に残ってます。
――次の目標が見えなくて、不安な気持ちがあったんですね。
吉岡:私、『Wake Up, Girls!Festa.2015』の時に「WUG終わりたくない!」って宣言したんですよ。
田中:泣いてたよね。
吉岡:そう。ステージ上であれだけ泣きたくないと思っていたのに泣いちゃって。その時は、『Wake Up, Girls!』というユニットだけが独り歩きしていいのかな?って気持ちが強かったんです。今では別作品のタイアップなどを担当させていただいていますが、そういった活動も当時はなかったので。作品が進まないと、曲も増えないんじゃないか?とかいろんな迷いがありました。
―― なるほど。そういった背景があったんですね。それでは板垣監督『Wake Up, Girls!』という作品との出会いについてお聞きしてもよろしいでしょうか。
板垣伸監督(以下、板垣):自分は1作目から『Wake Up, Girls!』に関わってはいたんです。TVシリーズ#10『登竜門』の絵コンテを担当していましたね。ミルパンセが共同制作をしていたこともあって続・劇場版については、前編から新人の原画マンにアドバイスをしたりなどお付き合いはありました。
―― なるほど。
板垣:僕は作品作りについて縁だと思っていますし、好きな作品を担当したいんです。まぁ、やっているうちに作品のことを好きになっていくのですが。それが『WUG』の場合は以前から関わっていたこともあって、やりやすいなとは思いました。
ただし、『WUG』は過去、僕が携わってきた作品とは少々タイプが違いますね。
―― タイプが違うという点について具体的にお聞きしてもよろしいですか?
板垣:はい。端的に言うとアイドル作品だからです。“アイドル”という象徴に対して、僕があまり感情移入してこない人生を歩んできた。だからこそ、監督を務めるにあたってこれまで以上に想像力を膨らませる必要がある。ということですね。
具体的には絵コンテを作るときですかね。“アニメーターは役者”だと僕は考えていて。実際、『WUG』や『I-1』になりきって絵コンテを作っていくんです。
実際にはじめてみると、異性になりきって考えるというのは想像するフィールドが広いなと感じています。
久しぶりのキャラはどうだった?
―― 長編アニメとしては久しぶりに『WUG』のキャラクターを演じるわけですが、その準備などはいかがでしたか?
田中:私は一度これまでの作品を全て見直しました。『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』を収録したのはもう3年以上前になるので、これはちゃんと見なきゃ駄目だなって。私が演じる片山実波ちゃんが『七人のアイドル』の頃から成長している過程がちゃんとあるので、その歩みを見てから『新章』に挑もうと思ったんです。そうした準備があったから、すんなり戻ってこれた感じはありましたね。
青山:これまでの作品を通して、声優として成長する機会をたくさんいただいたんですけど、1つ心残りな点があったんです。以前のTVシリーズの時は、7人の『WUG』でアフレコをする時の距離感が自分の中で掴みきれていないというか。少し納得できないまま現場が終わってしまっていたんです。
―― それはどうしてですか?
青山:当時の私は、自分が用意した演技をそのまま出してしまう癖があったんです。自分が良ければいいというか。他のキャストの演技を受けて、自分を変化させる演技の柔軟さがなかったんです。
そういった課題もあったので、今回の『新章』では七瀬佳乃を作り込みすぎないようにしようと思いました。相手の演技を聞いて佳乃ならどう動くのか、どう返すのか?そういったアフレコができるように準備してきましたね。
―― どうしてご自身の課題に気付くことができたのでしょう。
青山:音響監督の菊田浩巳さんに相談したんです。「いつも悩んでて、いつもブランクなんですけど・・」ってお話をしたら、「吉能はいつも青山吉能がどう思うか?で演技をしちゃうから、七瀬佳乃の気持ちで考えてみればいいんじゃない。そうすると、七瀬佳乃の気持ちがもっと声に乗るよ」ってアドバイスをいただいたんです。『新章』ではそうした経験を経て成長した演技ができればいいなって思っています。
―― 『新章』の七瀬佳乃は外見でも変化がありますからね。
青山:そうなんです。髪が伸びました!コロコロ変わっちゃう娘なんです。佳乃はもともとロングだった髪を続・劇場版のタイミングでバッサリ切ってたんですけど、その理由がようやく『Wake Up, Girls!リーダーズ』で明らかになったりして。そしたら、『新章』でまた少し伸びて。個人的にボブヘアーの女子めっちゃ好きなんで嬉しいです(笑)。
―― ありがとうございます(笑)。それでは、吉岡さんはいかですか?
吉岡:私は『新章』ということに囚われすぎていた感じがありましたね。『Wake Up, Girls!新章』が大々的に告知されたときに、キャラクターの見た目も変わるし、年齢は私たち同様に成長しているし。正直、すごくキャラクターづくりに時間が掛かりました。第1話の時点では、少しフワッとした感じがありましたね。
でも、1話の中に「結局、何も変わらない私たち」って言葉があって、じゃあ前と一緒でいいんだ。って安心することができました。
現実と同じ時間が進んでいるアニメ作品って、なかなか経験することができないですよね?内面の成長にすごく気を付けながら、島田真夢のことを考えています。
後は、舞台(舞台「Wake Up, Girls! 青葉の記録」2017年1月上演)を経験したのが大きかったです。ここで、初期のキャラクターを考える時間がたっぷりとありました。7人で舞台を踏んだことは『新章』にとってもすごくいい影響があったと思います。
WUG新章1話について
―― 『Wake Up, Girls!新章』の第1話は、アイドルブームが終焉を迎えている。という衝撃展開からスタートしました。
青山:そうですね。ここも現実世界とリンクしているという感じだと思います。『I-1club』が業界の影響をモロに受けているというか。
―― 続・劇場版後編で『WUG』はアイドルの祭典優勝という実績を残していたので、東京再進出かと思いきや仙台で活動していると。
吉岡:その点は安心しました。聖地である仙台で活動しているのが『WUG』らしいというか。雑草魂という感じで。どこか抜けない“お芋ちゃん”感が『新章』になっても残っていたんだなって。
―― さらに1話では『WUG』の新衣装が登場しました。ここではシュシュが1つのポイントになっていましたね。
青山:そうですね。佳乃が『極上スマイル』の衣装から作りました!
板垣:僕は結構リアルに考えてしまう癖があって。あれ実際に作ったら、1つ10分くらいでできちゃうみたいですよ。
青山:そこは不器用な佳乃ですから。すごく時間掛かっちゃうんですよ!
―― なるほど。お話の裏を考えるのも面白いですね。新衣装とシュシュに身を包んだ『WUG』が音ステで『7 Girls War』を披露しました。このダンスシーンにも見どころがあるということで。
吉岡:そうなんです。今回の『新章』では、私たちがモーションキャプチャを付けて撮影したものが映像として使われています。声の演技だけじゃなくて、ダンスでも私たちがキャラに投影されているんです。
青山:特殊なカメラで撮影したよね。
吉岡:そう。30台くらいに囲まれて踊ったよね。これまで『WUG』のアニメって全部手書きだったので、少し雰囲気が変わりますが、モーションキャプチャになったことで、7人それぞれの癖がダンスにも現れています。
板垣:実際に絵で見てみると、菜々美(久海菜々美 CV・山下七海さん)と未夕(岡本未夕 CV・高木美佑さん)が特徴的だったかな。菜々美は7人並んだ時の手の動きがすごくハッキリしていて。未夕は高木美佑さんが手足長いから印象的な動きをしている。
青山:そうですね。美佑は動きがダイナミックだから。歩幅も他のメンバーよりも広いし。
板垣:そう。ステップが大きいんだよね。
田中:1人ひとりの動きをしっかりと見てほしいですね。
板垣:うん。すごく面白いと思う。これは敢えてなんですが、止まっているフリの時の微妙な震えとかもそのまま残しているんです。
青山:すごいリアル!
板垣:そう。リアルな感じを出したくてね。
田中:頑張りました!
―― これからのライブシーンが楽しみですね。そんな1話のラストは全国ツアーを行うという話になりました。
板垣:新幹線の中で発表という感じでしたね。
田中:『WUG』ちゃんは色々なところでチラシ配ったり、ライブしたりは今までにもありましたけど、全国ツアーは初なんです。現実の私たちも今年は全国7箇所でライブしましたけど、そんな大発表を新幹線でサラッと言われたら驚きますよね(笑)。
ホントに『エー!』って感じ。
―― ですよね(笑)。
と、話が盛り上がってきたところで、連載第1回はここまで。
次回のインタビューにも引き続き板垣伸監督と『Wake Up, Girls!』の吉岡茉祐さん、田中美海さん、青山吉能さんの登場が決定。次はどんな裏話が飛び出すのか?2話放送後に公開される連載を楽しみに待っていて欲しい。
[取材・文/川野優希]
「WUG新章・バックステージ」連載記事まとめ
【WUG新章 #01】
ファン待望の第1話について、板垣伸監督と吉岡茉祐さん、田中美海さん、青山吉能さんが語る
【WUG新章 #02】
板垣伸監督「『新章』は新しい魅力を」第2話と今後について吉岡茉祐さん、田中美海さん、青山吉能さんが語る
【WUG新章 #03】
『Run Girls, Run!』初アフレコの感想は?島田真夢の心理描写に注目の第3話に迫る
【WUG新章 #04】
人の行動を変えるほどのインパクトがある出会い方とは?板垣伸監督&『Run Girls, Run!』が第4話について語る
【WUG新章 #05】
『I-1club』の山本希望さん、加藤英美里さん、津田美波さんが語る、キャラへの思いと「アイドルの心構え」
【WUG新章 #06】
山本希望さん、加藤英美里さん、津田美波さんが行ったアフレコへの準備と『I-1club』の未来
【WUG新章 #07】
吉岡茉祐さん×大坪由佳さん対談!『夢みるふたり』の演技に隠された秘密とは?
【WUG新章 #08】
吉岡茉祐さん×大坪由佳さんが語る、声優としてのターニングポイント
【WUG新章 #09】
『Wake Up, Girls!』×『MONACA』対談!OP『7 Senses』には幻のヴァージョンが存在した!?
【WUG新章 #10】
『WUG』らしい楽曲とは何か――?『Wake Up, Girls!』×『MONACA』が語る、楽曲制作秘話
【WUG新章 #11】
『Run Girls, Run!』が語る、泣いて、笑って駆け抜けた183日!
【WUG新章 #12】
『Wake Up, Girls!』が語る『Polaris』の意味――「仙台、東北への想い。ワグナーへの想い」
Wake Up, Girls! 新章
【INTRODUCTION】
「Wake Up, Girls!(以下、WUG)」は、2014年に劇場作品「七人のアイドル」とTVアニメシリーズが放送され、
2015年には前・後篇となる「青春の影」・「Beyond the Bottom」が劇場にて公開。
2017年、再びTVアニメにて「新章」が公開となるオリジナルアイドルアニメーション。
「新章」では、主人公のキャラクターを演じる7人の声優
(吉岡茉祐、永野愛理、田中美海、青山吉能、山下七海、奥野香耶、高木美佑)に加え、
新たに3人の声優(林鼓子・森嶋優花・厚木那奈美)が
「Wake Up, Girls!AUDITION-第3回アニソン・ヴォーカルオーディション-」より選ばれ、
アイドルに憧れる新キャラクターを演じる。
現実とアニメの境界を越えて、今再び、彼女達の新しい物語が始まる―。
【STORY】
「Wake Up, Girls!」は、宮城県・仙台市で暮らす7人の少女たちが
アイドルグループ「Wake Up, Girls!(以下、WUG)」を結成し、互いに切磋琢磨しながら、トップアイドルを目指していく姿が描かれた成長と絆の物語。
仙台の弱小芸能プロダクション「グリーンリーヴス・エンタテインメント」に所属するWUGは、数多の挫折を経験しながらも、国民的アイドルグループ「I-1club」を「アイドルの祭典」で破り、優勝した。一躍トップアイドルに……と思ったのもつかの間、
「アイドル経済不況」が叫ばれてきたこのご時世、現実は甘くない。7人は地道なアイドル活動に追われる日々が続いていた。
一方、仙台市の中学に通う速志歩・守島音芽・阿津木いつかの3人は、次第にアイドルに憧れを持つようになり……。
【放送情報】
テレビ東京:2017年10月9日(月)深夜2時05分 放送開始
仙台放送:2017年10月10日(火)深夜2時 放送開始
AT-X:2017年10月11日(水)深夜11時30分 放送開始
リピート放送:毎週金曜午後3:30/毎週日曜深夜2:00/毎週火曜朝7:30
※放送日時は変更になる場合があります。
【配信情報】
10月13日(金)深夜0時より随時スタート
あにてれ・dアニメストア・アニメ放題/U-NEXT・JCOM+KDDI ほか
【STAFF】
原作・脚本:Green Leaves
監督:板垣伸
キャラクター原案:近岡直
キャラクターデザイン:菅原美幸
色彩設計:山上愛子 長岡純子
美術監督:海野よしみ
撮影監督:春原幸子 川田敏寛
編集:長谷川舞
音響監督:菊田浩巳
音楽:神前暁 MONACA
音楽制作:DIVE II entertainment
アニメーション制作:ミルパンセ
オープニングテーマ:Wake Up, Girls!「7Sense」
エンディングテーマ:Wake Up, Girls!「雫の冠」
【声優】
島田真夢:吉岡茉祐
林田藍里:永野愛理
片山実波:田中美海
七瀬佳乃:青山吉能
久海菜々美:山下七海
菊間夏夜:奥野香耶
岡本未夕:高木美佑
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