『俺たちゃ妖怪人間G』『変形少女』安達譲監督インタビュー!――日本のオタク文化の1つだと思って、たくさんの人に笑っていただければ
1968年にテレビに初登場して以来、世代を問わず多くのファンに支持されている日本怪奇アニメの金字塔「妖怪人間ベム」。その50周年プロジェクトとして2017年10月より放送されていた新作アニメ「俺たちゃ妖怪人間」が「俺たちゃ妖怪人間G」として4月4日より大きくリニューアルされます。
『俺たちゃ妖怪人間』『俺たちゃ妖怪人間G』の監督・脚本を手がける安達譲さんは、実は昨年にYouTubeから話題となり世界累計1100万回再生となったショートアニメ『変形少女』の監督でもある。アニメ界をザワつかせる1人である安達譲監督にお話を聞いてきました。
『俺たちゃ妖怪人間G』『変形少女』の安達譲監督にインタビュー
――簡単に、今までの経歴をおしえていただけますか。
安達譲さん(以下、安達):2003年に放送作家としてデビューし、日本テレビ系の人気バラエティ番組『エンタの神様』や『ダイエットヴィレッジ』等を手掛けていました。
2015年に『秘密結社 鷹の爪』などで知られるDLEに入社して、それ以来ショートアニメ『変形少女』や今回の『俺たちゃ妖怪人間G』、それから前作の『俺たちゃ妖怪人間』などの監督を務めています。
――それまでアニメ作品を手掛けたことはあったのでしょうか?
安達:DLE入社まではなかったですね。でも『秘密結社 鷹の爪』は元々好きでした。
――なぜ人気放送作家がアニメの監督を始めたのでしょうか?
安達:TVに入る前はお笑いの劇場で修行していたので、コメディで勝負したいという気持ちは昔からありました。
10数年前はお笑いブームだったのですが、時代も移りTVでコントやコメディをやる番組がほとんどなくなってしまいました。
そこでいろんなやり方を探していくうちに、ショートアニメにめぐり合いました。これまで勉強してきた演出を活かして、頭の中で描く空想をストレートに表現するツールとしてショートアニメはぴったりだと思いました。
――旧作「妖怪人間ベム」の印象が強いですが、現代版の新シリーズとなる「俺たちゃ妖怪人間」「俺たちゃ妖怪人間G」で特に意識されていたことはありますか?
安達:旧作のキャラクター設定とのバランスですね。特に「妖怪人間ベム」は日本アニメの先駆けとして僕自身もリスペクトしていたので、旧作のキャラクターに如何に自分なりの解釈を入れるかは非常に気を使いました。
原作を再度新シリーズ化する、いわゆるリブート作品ならすべて当てはまると思いますが、原作のキャラクターのままでやっていては、絶対に原作に勝てない。それではリブートした意味がないと思うんです。
『俺たちゃ妖怪人間』はコメディなので、例えばベムなら、”まじめな性格”が行き着く先を探って新たな魅力を引き出そうと考えました。結果として最初の1話ができたときに「これで行こう!」と思えたので良かったです。
また、これは『俺たちゃ妖怪人間』に限ったことではないのですが、作品を作る際には、「理屈より感情に訴えるものになっているか?」「自分自身が楽しめるものになっているか?」を特に意識して作っています。
脚本の滑らかさとか映像のつじつま合わせ等を一旦後回しにして、とにかく理屈を超えて感情に突き刺さるように、というのは大切にして作っていますね。
――1期目「俺たちゃ妖怪人間」は、かなり攻めた作品になっていますね。
安達:ギリギリすぎて、愛のあるお叱りを受けることもあります(笑)。でもスタッフは皆辛抱よく付き合ってくださっているので、ありがたい限りです。
――2期目「俺たちゃ妖怪人間G」の内容をお聞かせ下さい。
安達:基本的にショートアニメだから出来る手法を取り入れたいと考えていて、2期目は「皆で作るアニメ」というコンセプトになっています。
通常のアニメであれば、2年ほど前から制作が始まるのですが、ショートアニメであれば最短1ヶ月で制作ができる。もしかしたら、放送期間中にファンの皆さんから頂いたアイデアをアニメに反映できるかもしれませんね。
これ以上詳しくは言えないのですが、色々とファンの皆さんに楽しんでもらえる仕掛けを入れていくつもりなので、ぜひご期待ください。
――2期は、出演者によるキャラクターデザインも見どころですね。
安達:そうですね。新作「俺たちゃ妖怪人間G」の第1話は、キャストである杉田智和さん、倉科カナさん、須賀健太さんに実際に描いていただいたキャラクターデザインから始まります。第1話でしか観られない特別版のキャラクターデザインですね。
しかも、3人ともお互いにどんなタッチのイラストを描いているか知らない状態で描いてもらったので。強烈なヴィジュアルに仕上がっていますよ。
――2017年にネット上で話題になったショートアニメ「変形少女」についてもお伺いします。
安達:元々、社内プレゼンでプロデューサーがパイロット版の動画を発表していたんです。
女の子がメカに変形する映像だったんですが少しグロくて……(笑)誰も見向きもしなかったんですが、僕には石のふりをしたダイヤモンドに見えました。
安達:初めて観たのに、自分の中でものすごいスピードで作品のすべてが決まってしまって。「これはいける!」と思ったのですぐに「僕に任せてください」ということでスタートしました。
URL:https://youtu.be/HhgiiVddR5c
――「変形少女」制作において、こだわりや特に難しかった点はあるでしょうか?
安達:少女がメカに変形するだけの作品ならこれまでにもあったので、いかにHENTAI要素を入れるかにこだわりました。
世界初のパンチラする飛行機なんかはそのいい例ですね。メカの形状と、フェチのぎりぎりのラインにこだわって作っています。
――シリーズ続編はあるのでしょうか?
安達:詳しくはお伝えできません(笑)。ですが、着実に一歩ずつ実現に向けて近づいていることだけはお伝えしときます。
日本のオタク文化の1つだと思って、もっとたくさんの人が「変形少女」で笑ってくれれば、早々に続きをお見せできるかもしれないですね。
作品紹介
■アニメ「妖怪人間ベム」
(アニメ「妖怪人間ベム -HUMANOID MONSTER BEM-」&新アニメ「俺たちゃ妖怪人間G」)
【放送】
TOKYO MXにて2018年4月4日(水)26時05分放送スタート
毎週水曜26時05分~26時35分
BS11にて2018年4月9日(月)26時放送スタート
毎週月曜26時00分~26時30分
◆アニメ「妖怪人間ベム -HUMANOID MONSTER BEM-」
【STAFF】
原作:アサツー ディ・ケイ
監督:原田浩
シリーズ構成:武上純希
アニメーション制作:スタジオコメット
制作:NAS
製作:NAS/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/エイベックス・エンタテインメント/スタジオコメット
【CAST】
ベム:井上和彦、ベラ:山像かおり、ベロ:洞内 愛 ほか
◆アニメ『俺たちゃ妖怪人間G』
【STAFF】
原作:アサツー ディ・ケイ
監督:安達 譲
アニメーション制作:DLE
製作:NAS/DLE
【CAST】
ベム:杉田智和
ベラ:倉科カナ
ベロ:須賀健太 ほか
50周年プロジェクトHP:http://youkainingen-bem.com
Twitter(@bem_50th/@oretacha_yokai)