『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』発表会レポート! 宇宙世紀の物語が再び動き出す!
2018年4月20日、ダイバーシティ東京内のガンプラ総合施設「ガンダムベース東京」にて開催された『機動戦士ガンダム』シリーズの新作発表会。すでに速報でもお伝えしていますが、その最新作のお披露目の場なった今回の発表会では、『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』の続編となる『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』が発表されました。
第一作『機動戦士ガンダム』が放送されて以降、大人も楽しめる奥深い物語と、魅力的なキャラクター・メカニックの数々で多くのアニメファンを魅了し続け、30年以上に渡り愛され続けてきたガンダムシリーズ。
ガンダムシリーズが新たな一歩を踏み出した発表会の模様をレポートしていきます。
最新作『ガンダムNT(ナラティブ)』は、『ガンダムUC』の一年後が舞台!
まずはじめに、サンライズの代表取締役社長・宮河恭夫さんが登壇し、『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』が発表。
『機動戦士ガンダムNT』は、『機動戦士ガンダムUC』を手がけた小説家・福井晴敏さんと、サンライズ第一スタジオが再びタッグを組んで送り出す劇場用アニメ。『ガンダムUC』から一年後、ラプラスの箱が開かれた後の宇宙世紀の世界が描かれ、2018年の11月に劇場公開が予定されています。
これまでのガンダムシリーズでは、『機動戦士ガンダム』に始まり、『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』など、宇宙世紀100年までの時代が舞台となることが多かったのですが、本作はそのさらに先の宇宙世紀を描く「UC Next 0100」プロジェクトの第一弾。
今後はアニメだけではなく、ゲームやコミック、小説といったマルチメディア展開でUC100年代以降の物語が描かれていくとのこと。
その中でも、特にゲームが展開の大きな軸となるようで、プロジェクトと連動したスマートフォン向けゲーム「GUNDAM New Tactical Game Project」がリリース予定となっていることも明らかにされていました。
小形尚弘プロデューサー&福井晴敏先生が、『ガンダムNT』の見所を語る
続いて会場には、プロデューサー・小形尚弘さんと福井晴敏さんが登壇。『機動戦士ガンダムUC』でも小形さんとイベントで何度も共演していた福井さんは「一緒に舞台に上がるのも久しぶりで、帰ってきたなという感じ」と久しぶりに『ガンダム』へと帰ってきた心境を明かします。
また本作のタイトルにもなっている「ナラティブ」という言葉には、ニュータイプに重ねる意味合いはもちろんのこと、「語る、語り直す、編纂する」といった意味も込められており、これまでのシリーズで描かれてきた「ニュータイプ神話」というテーマに対する句読点となるような位置づけを目指して制作が行われているとのこと。
会場では、物語の主軸となるメインキャラクターのビジュアルも公開。注目は、本作の鍵を握るユニコーンガンダム3号機「フェネクス」のパイロットでもあるリタ・ベルナルで、ヨナ・バシュタ、ミシェル・ルオらと同い年の幼馴染という関係性なのですが、その容姿は郡を抜いて幼く見えます。これには重要な秘密が隠されているそうです。
そして本作の主人公機となるのが、ヨナの駆る「ナラティブガンダム」。これは『逆襲のシャア』でアムロ・レイが登場したMS「νガンダム」の試験機として開発された機体となっており、「一見頼りない印象をもたれるかもしれませんが、本機のコンセプトは“着せ替えガンダム”で、作戦に応じて様々なパーツを付け替えて戦います。そのため、素体のデザインは“痩せっぽちのガンダム“というコンセプトになっています」と福井さん。
今回公開されたPVの中では、その「A装備」と呼ばれる装備の一つが登場しており、過去に暴走事故を起こして行方不明となったフェネクスを拿捕する「不死鳥狩り」の作戦のために用意されたものであることが明かされていました。
またフェネクスは、福井さんが手がけた小説『ガンダムUC 不死鳥狩り』にも登場していますが、本作ではそれとは別の新しいエピソードが描かれるとのことで、既に原作小説を読んでいるというファンにとっても注目の作品となりそうです。
浪川大輔さん・濱口優さんのお気に入りのガンプラは!?
その後には、『機動戦士ガンダムUC』でリディ・マーセナスを演じた浪川大輔さんと、お笑いコンビ・よゐこの濱口優さんがスペシャルゲストとして登壇。
『機動戦士ガンダムNT』は『機動戦士ガンダムUC』の続編にあたるということで、浪川さんは自身が演じるリディが登場するのかが気が気ではない様子だったのですが、「(リディは)大事にしていきたい」と、遠まわしにリディの登場予定がないことを明かす福井さん。
思わず浪川さんが「それなら、なぜ僕が今回呼ばれたんですか!?」ともっともな質問をぶつけたところ「今回を逃したら、もう(浪川さんに)会える機会はなかなかないと思って……」という非情な回答が。
また浪川さんは、今回の発表会への出演が決まったことで、『ガンダムNT』にも出演すると勘違いしたメディアからの取材オファーが既に入っているそうで、「リディだけじゃなく、そろそろ僕のことも大事にしてください!」と懇願する一幕も。
そんな浪川さんを尻目に、「もしガンダムに出るならどの作品に出てみたいか」という質問を振られた濱口さんは「声的にはもうおじさんになってますから……(「ガンダムはおじさんばかりなので大丈夫です」と小形さん)。もし出られるならやっぱり『ガンダムUC』が良いです」とコメント。
これに対して小形さんが「それならリディ役とかどうですか?」とまさかのキャスト交代をほのめかし始め、「大事に温存させたまま交代って一番悲しいですよ! 何勧めてるんですか!」と、慌てた浪川さんがツッコミを入れるなど、あたかも漫才コンビのような(?)息のあったやり取りが繰り広げられていました。
また『ガンダムNT』はゲームとの連動を強化した作品ということで、ガンダムゲームについて話題が移ると、最近はスマートフォンアプリ『LINE: ガンダム ウォーズ』をプレイしていることを明かす浪川さん。
『LINE: ガンダム ウォーズ』にはスタミナを他のプレイヤーに借りることができる機能があり、『機動戦士ガンダム00』刹那・F・セイエイ役でもお馴染みの宮野真守さんから、「スタミナを貸して欲しい」と頼まれたのがきっかけで、その後は宮野さんとお互いにスタミナを送りあいながら、浪川さん自身も毎日プレイするほどドハマリしてしまったのだとか。
また『ガンダムNT』との連動も予定されているスマートフォンアプリ「GUNDAM New Tactical Game Project」では、アニメに先駆けての新モビルスーツやキャラクター、ストーリーの展開も予定されているようで「政治家になったリディが主人公の『リディ物語』のようなものもあるかも……」との小形さんの発言に、浪川さんも俄然興味を示していた様子でした。
またガンダムベース東京では、数多くのガンプラが販売してされているということ、出演者が各々思い出のガンプラを紹介していくコーナーも実施。
まずは『ガンダムUC』でリディが登場した“バンシィ”に加えて、アルフレッド・イズルハ役として出演した『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』から、“NT-1アレックス”をチョイスした浪川さん。
「(この2機の他に)ザクも思い出深いのですが、昔のガンダムと今のガンダムでこんなに違うんだなと改めて感じます。にも関わらず、たくさんの人に愛され続けている。そんな作品に携われるというのはすごく幸せなこと」と、長きに渡ってガンダムシリーズに関わり続けられている喜びを語ります。
一方、濱口さんは『機動戦士ガンダム』から、“ドダイYS”と“グフ”をチョイス。これに濱口さんが子供の頃、欲しくてたまらなかったグフのガンプラがどうしても手に入らず、唯一買うことができたのがドダイYSだったという思い出があったのだとか。
しかもそのドダイYSも単品で買うことはできず、ラーメン屋台の玩具とセットで買わされる羽目になったという、社会現象となっていたガンダムブーム真っ只中の当時ならではのエピソードを披露します。
そして福井さんと小形さんが選んだのは、“ジュアッグ”、“ゾック”という、それぞれジオンの水中用MSたち。中でも『ガンダムUC』にも登場していたジュアッグは、劇場イベントの際にプラモデルがずっと売れ残っており、「最後にこの子も連れていってあげて」という福井さんたっての願いにより持ち込まれた『機動戦士ガンダムUC』のコンサートでようやく完売。
さらに会場でジュアッグが完売したという報告聞いたお客さんからは拍手も沸き起こっていたという、感動的な思い出も明かされます。
続いて会場では、ナラティブガンダムやフェネクスをはじめとした『機動戦士ガンダムNT』に登場するMSのプラモデルが早くも公開されると、続け様に巨大なモリのような武器を装備した(先端には獲物らしき魚も)、濱口さん専用の“フェネクス”のプラモデルが登場。
最新のガンプラの出来栄えに関心しつつ、予想外のサプライズを受けた濱口さんは、「フェネクス、持ったどー!」とガンプラを片手にお馴染みの決め台詞を叫ぶなど、大喜びの様子でした。
最後には、「サンライズは責任をもって、今後も宇宙世紀のガンダムをたくさん作っていきます。僕が生きている内に完結するかわかりませんが、これには皆さんの応援があってこそですので、『ガンダムNT』を含め、これからも皆さんと一緒にガンダムシリーズを作っていければと思います」と、小形さんが挨拶し、発表会は締めくくられました。
また『機動戦士ガンダムNT』の発表に合わせて、「ガンダムベース東京」が存在する、お台場・ダイバーシティ東京プラザに設置されている等身大「ユニコーンガンダム立像」へのプロジェクションマッピングが現在実施中です。
上映時間はユニコーンモードからデストロイモードへの変形が行われる「19:30」「20:30」「21:30」の各回約6分間となっており、等身大のユニコーンが、最新の投影技術によって「バンシィ」や「フェネクス」といった別のMSとなる演出は必見。
既に一度等身大ユニコーンを見に来たという人も、もう一度お台場に訪れる価値のある、新しい立像の可能性を感じ取ることができる内容となっています。
なお発表会終了後には濱口さんと小形さんにお話を聞くことができました。最後に、その模様をお届けしていきます。
濱口優さん・小形尚弘さん囲みインタビュー
――『ガンダムNT』の見所を教えてください。
小形尚弘プロデューサー(以下、小形):本作は4年前に制作した『ガンダムUC』の続編で、これをきっかけに100年代以降の宇宙世紀をドンドン盛り上げていこうという作品です。
今までとは少しテイストが違っていて、3人の主人公達の結びつきが重要になる、ドラマ性の高いストーリー展開が繰り広げられます。
――濱口さんとしては、注目のポイントはありますか?
濱口優さん(以下、濱口):僕の中では、ニュータイプの話は(『機動戦士ガンダムUC』で)完結したと思っていたのですが、その続きが見られるということでワクワクしかないですね。
ニュータイプや人類がこれからどうなっていくのが、想像するだけで楽しみです。
――濱口さんがガンダムにハマったのはいつ頃だったのでしょうか?
濱口:小学生の頃、再放送がクラスの中で話題になってハマったタイプです。ガンプラが発売されて大ブームになっていたんですが、僕自身はガンプラがうまく作れなかったんですね。
失敗してうまく作れなかったものを分解して友達に作り直してもらったり、弟が作ったものを僕が作り直したりしていた思い出があります。あとは、友達と“ガンダムごっこ”をする時はシャアの役の取り合いになったり(笑)。
――プラモ作りに関しての思い出はありますか?
濱口:昔のプラモはパーツが一色だったので、色塗りが大変でしたね。あとはパーツの接着に、透明のボンドがあることを知らず、木工用の黄色いボンドを使って色がはみ出ている人もいたり。最近はあまり作っていないのですが……。
小形:プラモ作りはボケ防止に良いらしいですよ(笑)。
濱口:そうなんですか!? それなら今からやります(笑)。最近のプラモデルは接着剤もいらないらしいので作ってみたいですね。
――濱口さんが考える、『ガンダム』の魅力とは何でしょうか?
濱口:やっぱり、(シリーズを通して)続いていくストーリーが魅力ですよね。一つの作品からいろいろなところに派生していって、一つの時代だけではなく、隙間まで描いてくれるというのが楽しいです。
作中には難しい単語が出てくることもあり、子供の頃は聞いても意味がわからなかったのですが、それがカッコよく聞こえたんです。大人になっても分からない部分もたくさんあるのですが、それも含めてシリーズの魅力になっていると思います。
――40周年も見えてきたガンダムシリーズですが、これほど長い間ファンから愛される理由は何だとお考えですか?
小形:こうした長い歴史をもつ作品というのは、一人の原作者が中心となっていることが多いですよね。
ガンダムシリーズでも、富野由悠季監督が手がけられる作品はたくさんありますが、それ以外にも様々な新しい血が次々と入ってきているというのが、長く続いてきた要因だと考えています。
――『機動戦士ガンダムNT』のボリュームはどのくらいになる予定でしょうか?
小形:約90分前後の上映時間を予定しており、エピソード方式ではなく一作で完結します。
――本日はありがとうございました!
[取材・文・写真/米澤崇史]
作品概要
『機動戦士ガンダムNT』は『機動戦士ガンダムUC』のストーリーを担当した福井晴敏が自ら脚本を手がける宇宙世紀サーガ最新作。サンライズ第1スタジオが制作を担当し、『機動戦士ガンダムUC』のその先を描きます。
あらすじ
U.C.0097――。
『ラプラスの箱』が開かれて一年。
ニュータイプの存在とその権利に言及した『宇宙世紀憲章』の存在が明かされても、世界の枠組みが大きく変化することはなかった。
のちに『ラプラス事変』と呼ばれる争乱は、ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の瓦解で終結したかに見えた。その最後の戦闘で、2機のフル・サイコフレーム仕様のモビルスーツが、人知を超えた力を示す。白き一角獣と黒き獅子、2機の脅威は、封印されることで人々の意識から遠ざけられ、忘れ去られるはずだった……。
しかし、2年前に消息不明となっていたRX-0 ユニコーンガンダム3号機が、地球圏に再びその姿を見せ始めた。金色の“不死鳥”……その名は、フェネクス――。
PV&場面カット
登場キャラクター
ヨナ・バシュタ
25歳。地球連邦宇宙軍所属。階級は少尉。
『不死鳥狩り』作戦の増援として送り込まれたナラティブガンダムのパイロット。ミシェルとリタの幼なじみ。少年期にオーストラリアで被災した過去を持つ。
ミシェル・ルオ
25歳。ルオ商会特別顧問。略筮法での占いに長け、政財界から絶大な信頼を得る。『不死鳥狩り』作戦を展開するクラップ級宇宙巡洋艦ダマスカスに、増援のナラティブガンダムを伴って乗り込んでくる。
リタ・ベルナル
25歳。地球連邦宇宙軍所属。階級は少尉。
消息不明となったユニコーンガンダム3号機 フェネクスのパイロット。少女期にオーストラリアで被災し、奇蹟の子供達と呼ばれた過去を持つ。
登場モビルスーツ
ナラティブガンダム
主人公ヨナ・バシュタが搭乗するアナハイム・エレクトロニクス社製MS。RX-93 νガンダムの試験機として開発され、各部の形状がνガンダムと同様のパーツ構成となっている。
試験機としてデータ取得が主な目的だった為、機体各所に装甲が装着されておらず、フレーム構造がむき出しになっている。素体自体に、武装は頭部バルカンのみで、『不死鳥狩り』作戦にはルオ商会の力を借り、複数の武装を換装して運用する。
シナンジュ・スタイン
『UC計画』においてサイコフレームの強度・追従性のテスト機として開発された試作MS。開発コードはスタイン01。U.C.0094、地球連邦宇宙軍所属のクラップ級巡洋艦ウンカイで輸送中に強奪されたとされている。
ユニコーンガンダム3号機フェネクス
試験用に先行納入されたフル・サイコフレームの素体をもとに、白い1号機と黒い2号機の建造データを反映して組み上げた金色のユニコーンガンダム3号機。U.C.0095、暴走事故を起こし、行方不明となっている。
UC NexT 0100とは
アムロとシャアの戦いから始まり『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『機動戦士ガンダムUC』へと連なる宇宙世紀サーガ。そこからさらに新たな宇宙世紀100年の歴史を描く新作タイトルをシリーズ展開して行きます。
“宇宙世紀”をアニメからだけではなく、ゲームやコミック・小説などのマルチメディアプラットフォームなどからも発信し、新領域まで開拓・拡大するプロジェクトです。本作品はその先駆けとして展開します。