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菅田将暉『ヒロアカ』主題歌「ロングホープ・フィリア」インタビュー

菅田将暉が語る映画『ヒロアカ』主題歌「ロングホープ・フィリア」に込められた想い

8月3日より上映開始となる劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』。アニメイトタイムズでは本作の主題歌「ロングホープ・フィリア」を担当する菅田将暉さんにインタビューを実施。

連載開始当初からのファンだという『ヒロアカ』にまつわるエピソードから楽曲に込められた想いまで詳しくお聴きしました。

菅田将暉プロフィール

1993年2月21日大阪府生まれ。第21回2009年『仮面ライダーW』でデビュー。

『共喰い』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞、『あゝ、荒野』で第41回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞。同作により2017年度の映画賞を総なめし、若手実力派俳優として多方面で活動中。また、同年の活躍が評価され第68回 芸術選奨映画部門 文部科学大臣新人賞を受賞した。

2017年から音楽活動を開始。Sg「見たこともない景色」「さよならエレジー」は配信チャートで軒並み1位を獲得。2018年3月リリースのデビューアルバム『PLAY』はオリコン初登場2位にランクイン。音楽アーティストとしても大きな注目を集めている。

菅田将暉と『ヒロアカ』の出会い

ーー『ヒロアカ』の主題歌オファーが届いた際どう思われましたか?

菅田将暉:すごくビックリしましたね。僕も毎週ジャンプを買って読んでいますけど、『ヒロアカ』は連載開始当初から読んでいて、もちろん人気があることを知っていますし、こんな光栄なことはないと思いつつも、緊張感はありましたね。

ーー初めて『ヒロアカ』を読んだときはどんな印象でしたか?

菅田:久々に「友情・努力・勝利」のジャンプの王道マンガが爆誕したなと。最近はダークファンタジーみたいな作品が増えていますけど、その中で『ヒロアカ』が成長物語やサクセスストーリーを真っ直ぐにを描いていて。

ーー確かにそうですね。堀越耕平さんの描く漫画もジャンプ作品の中では独特な気がします。

菅田:『ヒロアカ』は堀越さんの描く丸みのある漫画の世界観が可愛いんですよね。

分かりやすいタッチって難しいじゃないですか。ポップ過ぎると緊張感がなくなってしまうというか。『ヒロアカ』はアメコミとまではしていないけど、そのバランスが絶妙だなと思うんです。

ーー丸みのあるキャラクターでいうと、ヒロインの麗日お茶子ちゃんとか可愛いですよね。

菅田:可愛いですよね。お茶子ちゃんみたいな女性キャラの変に現実的過ぎず、かといってマンガ過ぎないちょうどいい丸みの感じもすごく好きですね。

ただの夢物語だけではないところが『ヒロアカ』の魅力

ーー原作の中で特に印象に残っているシーンはありますか?

菅田:次期オールマイトの継承者と言われていた通形ミリオがすごく好きなんです。扱い難いと言われていた透過能力を、半端ではない努力を経て使いこなして、雄英高校のナンバーワンになって。

でも戦いの中でその能力を失うじゃないですか。そのシーンが印象深いです。

ーーあのシーンは衝撃的でしたね…。

菅田:それでも彼はすごく笑顔でいて、結果的には壊理(えり)ちゃんを助けて。現実の非情さはあるものの、それでも正義というか、護るべきものを護ったという。あのシーンはすごく好きですね。

読んでいてわかるじゃないですか。このままいくと相手に能力を奪われるのかなとか。そういうただの夢物語だけではないところが『ヒロアカ』の魅力だと思いますね。

ーーその他に好きなエピソードはありますか?

菅田:林間合宿のエピソードで、最初ヒーローが嫌いで、デクに捻くれた態度をとっていた洸汰が、ヴィランに襲われているところをデクに助けられてからすごく慕うようになったんですよね。

ーーあのときのデクは本当にカッコよかったですね。

菅田:今や彼にとってのヒーローはデクなんですよね。それを見て「やったじゃん!」と思いましたし、真っ直ぐな気持ちで振り向かせたことが、すごく正しいヒーロー像だなと思いましたね。

ーーテレビアニメでも放送されましたが、「オールマイトVSオール・フォー・ワン」の対決も人気の高いエピソードですよね。

菅田:あのエピソードで僕がいいなと思ったのは、対決シーンもそうなんですけど、あそこで生徒たちが勝手に行動して怒られて「動くな」と言われているなか、みんなで集まって考えて。それでも最終的に行動するじゃないですか。

あの子供が一生懸命考えて、自分たちなりに「これで退学になってもいい」と、衝動的にではなく答えを出して爆豪の奪還に成功するという。あのシーンは、未来の明るさみたいなものを感じましたね。

キャラクターに共感することは?

ーー『ヒロアカ』のなかでお気に入りのキャラクターは誰ですか?

菅田:もぎもぎ個性の峰田くんとか好きですね。出てくると安心するんです。彼が活躍する回は平和なんですよ。文化祭のバンドの回とかも好きでした。

ーー確かに峰田くんが登場するときは平和な回が多いですね。笑 女性キャラクターの中では誰が一番好きですか?

菅田:サポート科の発目明が推しメンですね。本人にそんな気がないのはわかるんですけど、あざとい可愛さがあって。僕がもしもこの世界にいたら好きになっていると思います。

ーー今作の映画のポスタービジュアルにもなっているメイン5人(緑谷出久、爆豪勝己、麗日お茶子、飯田天哉、轟焦凍)は特に人気が高いですよね。

菅田:この5人は能力や性格の振り分け方が絶妙でバランスとしてすごくいいですよね。

轟はすごく天才的な力を持っているけれども、親のこともあって心を閉ざしていたり。爆豪は常にナンバーワンだったはずが、格下だったデクを脅威に感じて焦っていったり。そして劣等生から這い上がっていくデクがいて。

ーー主人公のデクにはどんな印象を持っていますか?

菅田:最初デクを見たときに、『ホイッスル!』に出てくる風祭将を思い出したんですよ。僕も当時サッカーをやっていて、身長も低くて毎日牛乳を飲んでいて。

自分の名前の「将」と同じ字が使われていたこともあって、小学生のときに風祭と自分を重ねながら読んでいたんですよ。

ーー『ホイッスル!』も主人公が劣等生という状況から始まるストーリーですよね。

菅田:武蔵森学園という名門の3軍にいた風祭がだんだんと這い上がっていくという状況もデクと似ていて。少年マンガを読むと、そこに感情移入しますね。

ーー風祭やデクのようなキャラクターに感情移入しやすいのはなぜでしょう?

菅田:きっと客観的に菅田将暉を見ている方たちの中には、僕がなんでもできると思っている人が多い気がするんですけど、特殊なものを持っている訳でも、なんでもできる訳でもなくて。

ベースは非常にノーマルな人間なので、風祭やデクのようなキャラクターに共感するんだと思います。

菅田将暉のヒーロー像の変化

ーー『ヒロアカ』には様々な“個性”が登場しますが、菅田さんの個性はなんだと思いますか?

菅田:“無個性”なんじゃないかなと思います。よく「菅田くんの洋服って奇抜だよね」とか言われるんですけど、僕からすると着飾らないと不安というか、そういうところもあってファッションが好きになったので、そこにベースはないのかなと思いますし。

役者としての振る舞いも、色んなキャラクターに合わせてやっている感じがあるので、無個性なんじゃないですかね。

ーーなるほど。それではこれから身に付けたい個性はありますか?

菅田:それでいうと、得られるものは全部得たいですね。そういう欲はありますね。自分が好きだなと思えるものは全部。

ーーベースが無個性だからこそ、そのあたりはデクと思考性が似ているのかもしれませんね。

菅田:ですかね。あとはデクのイメージカラーと同じく好きな色が緑色なので。ラッキーカラーなんですよ。仮面ライダーのときも緑色でしたし。

ーー仮面ライダーを演じていた頃と現在を比較して、ご自身のヒーロー像に変化はありましたか?

菅田:多少違うかもしれないですね。当時は16歳でヒーローをやっていて、表面的な部分が強かったというか。

今まで何かをしてきた訳でもない普通の高校生が急にヒーローというのは、簡単に受け入れられるものではないし、受け入れてもらえるものでもないという葛藤が個人的にはあって。

「明日から君は仮面ライダーです」と言われてもなかなか自信が持てず。それでも一生懸命やっていましたけど、そのときは「“目に見えない自信”みたいなものをちゃんと持たなければ」というところがヒーロー像としてのテーマでした。

今は「“目に見える自信”も“結果”も出して、そのうえで二本の足で立つ」というヒーロー像に変わりましたね。

「まだ何か必要なものがあるんじゃないか」と考える

ーー現在は俳優としてもミュージシャンとしても活躍されていますが、最終的な目的地のようなものはありますか?

菅田:ありがたいことに、僕らは“色んな前例が出し尽くされた後の世代”という感じがしていて。

俳優業でいうと、銀幕スターやテレビをつくった人たちのような、自分たちの世界をつくり上げた人たちを見て育って。イケメンブームがあったり、サブカルと言われていたものがカルチャーになってというところに僕らが生まれているので、何周も回っているんですよね。選択肢も多いし、音楽もそうだと思うんですけど、結果として共通している部分もあって。

俳優業も音楽業も含め、ちゃんと汗水流した人間がいるからこそ、できることがあるなとすごく思うんです。そういう人たちの作った場所が最終的に行き着きたい地点です。

ーー『ヒロアカ』もオールマイトの世代があって、その延長線上にデクたち次世代がいて。そういった繋がりにも共感できる部分があるのかもしれないですね。

菅田:そうですね。とりあえず情報はたくさんあり、そして何かを成した人もいる。そこでデクたちみたいに「次は僕たちが!」と思える人たちがいて。

「なんとなく平和だから何にもしなくても…」となるのも分かるけど、それに対して「まだ何か必要なものがあるんじゃないか」と考える人たちが僕は好きなので、自分もそういうふうにやっていけたらなと思いますね。

「ロングホープ・フィリア」は少年マンガの醍醐味が詰まった楽曲に

ーー「ロングホープ・フィリア」にはどんな想いが込められていますか?

菅田:作詞作曲を担当した秋田ひろむさん(amazarashi)の「友愛」や「大切な友に末長い希望を」というメッセージがそのまま歌詞に込められています。秋田さんはふとした日常の言葉にしにくい気持ちみたいなものを綴るのが上手だなあと毎回思うんです。

特に今回なんて、ライブでやろうと思ったらすごく大変な言葉数なんですけど、それぞれがすごく大事な言葉で。僕はただそれをはっきりと伝えようと歌に込めました。

ーー「ロングホープ・フィリア」を聴いていて、この曲がすごく『ヒロアカ』の主題歌だなという感じがしました。

菅田:この『ヒロアカ』もそうですが、最初は決して優位な立場ではなかったり、むしろ劣等生で泣いてばかりの男の子が、いつの日か泣いている女の子を助けているという。

そこがすごく夢があるし、それこそ希望がある。そこが少年マンガの醍醐味だと思うんですけど、まさにそういう歌というか。歌っていても気持ちよかったです。

ーー菅田さんにとって「ロングホープ・フィリア」はどんな一曲になりましたか?

菅田:先日大阪で震災があって、それが僕の地元だったんです。そんな中ラジオでこの曲が解禁されたんですけど、そのタイミングでこの曲を聴いたとき、「希望」や「前向きな一歩」というのは常に大事なんだと改めて気づかされました。

この曲は一回聴いただけでは全部分からないんです。それが狙いであり、いい部分でもあって。きっと聴けば聴くほど自分のなかで「希望」が積み重なって育っていく曲だと思うんですよね。 

それであり忘れてしまいそうなことを体現している曲でもあるので、いま一度「希望」を信じるという気持ちを、感覚を大事にしませんか?ということを提示する一曲になりました。

ーー素敵なお話ありがとうございました!

インタビュー・文:吉野庫之介

菅田将暉「ロングホープ・フィリア」詳細

■ダウンロード先行配信日

2018年7月14日(土)

■CD発売日

2018年8月1日(水)

■初回生産限定盤(CD+DVD) 1,900円+税

1.ロングホープ・フィリア
作詞・作曲:秋田ひろむ(amazarashi)

2.ソフトビニールフィギア
作詞:菅田将暉 作曲:菅田将暉、KNEEKIDS

3.ロングホープ・フィリア(Instrumental)

特典DVD:『菅田将暉 Premium 1st TOUR 2018』02.23 渋谷WWW X /Song Selection

■通常盤(CD) 1,000円+税 

1.ロングホープ・フィリア
2.ソフトビニールフィギア
3.ロングホープ・フィリア(Instrumental)

■期間生産限定盤(CD+書き下ろしアニメジャケットデジパック仕様) 1,300円+税 

1.ロングホープ・フィリア
2.ソフトビニールフィギア
3.ロングホープ・フィリア(TV Limited)
4.ロングホープ・フィリア(Instrumental)

僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~

2018年8月3日(金)公開!
配給:東宝

<STAFF>
原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:長崎健司
シリーズ構成:黒田洋介(スタジオオルフェ)
キャラクターデザイン:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ
配給:東宝

<CAST>
緑谷出久:山下大輝
オールマイト:三宅健太
爆豪勝己:岡本信彦
麗日お茶子:佐倉綾音
飯田天哉:石川界人
轟焦凍:梶裕貴

劇場版公式サイト
劇場版公式twitter

アニメ『僕のヒーローアカデミア』公式サイト
アニメ『僕のヒーローアカデミア』公式ツイッター(@heroaca_anime)
アニメ『僕のヒーローアカデミア』公式Instagram
アニメ『僕のヒーローアカデミア』番組公式ホームページ

(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE製作委員会
(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
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