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ポケモン映画「みんなの物語」松本梨香×中川翔子インタビュー

『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』松本梨香×中川翔子インタビュー|矢嶋哲生監督が描く“カッコいいサトシ”の魅力

7月13日より大ヒット上映中の『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』。アニメイトタイムズでは本作の公開を記念し、主人公・サトシ役の松本梨香さんと、ポケモン初心者の女子高生リサの弟・リク役の中川翔子さんにインタビューを実施。

ポケモン映画21作目となる本作の見どころや、それぞれが感じるサトシの魅力について語っていただきました。

初心に帰って向き合えた21作目

ーー松本さんは今作でポケモン映画21作目となりますね。収録にはどんな気持ちで挑まれましたか?

松本梨香:20作目を迎えた昨年の映画『キミにきめた!』は、ピカチュウとの出会いから始まって、これまでのテレビシリーズも凝縮した集大成で、自分の中で“やり遂げた感”というか、節目として取り組んだ感じがあったんですね。

今回21作目ということで、初心に帰って向き合えたと思いますね。サトシの作画も表情が可愛く爽やかに描かれていたので、その辺りも初心とリンクして収録に挑めました。

ーー中川さんも今年でポケモン映画12年連続出演になりますね。

中川翔子:干支が1周するくらいポケモンと一緒に歩ませていただいていることに幸せと、年を重ねる楽しさを感じています。

いつしか「憧れていたポケモン映画に出られた」というところから、「子どもたちに夢を届けたい」と夢の形も変わってきました。

特に今回は『みんなの物語』なので、10代の芦田愛菜ちゃんから、80代の野沢雅子さんまで出演していることもあり、幅広いすべての老若男女の世代、そして世界の皆さんが共感できるストーリーになっています。

そしてポケモンが大好きな人へのご褒美がたくさん込められているので、ウキウキしながら映画の完成を楽しみました。

『ルギア爆誕』の思い出

ーー『みんなの物語』の予告では1999年に公開された映画第2作目『幻のポケモン ルギア爆誕』の笛の音が流れていましたね。当時の思い出を教えてください。


松本:ポケモン用語から「爆誕」という言葉が生まれて、すごいなと思いました。笑

中川:確かに。あの映画から「爆誕」という単語が生まれたってすごいことですよね。

松本:でも「ルギア」と聞いたら「爆誕」しか出てこないくらい、まさに「爆誕」で。

私は歴代で活躍してきたポケモンたちともずっとつながりを持っていたいと思うので、今回『みんなの物語』にルギアが出てきたのは、嬉しかったですね。

中川:今回は「あの頃見ていた」という人にも『ポケモンGO』を始めた人にもわかるポケモンたちがたくさん登場していて、ちょっと鳥肌が立つような嬉しさがありますよね。

笛の音が予告で流れたから、もしかして『ルギア爆誕』のリメイクなのかな?と思った人もいたかもしれないけど、今回全然違うルギアの描かれ方がされているというのも驚きで。

強さだけではない優しさの象徴にもなっているというのがすごく時代を表しているというか。バトルだけではない繊細な部分がたくさん描かれていましたね。

松本:精神面というか、ただバトルしているだけではないという奥深さはありますよね。

ーールギアの描き方ひとつ取っても時代背景を表しているというのは面白いですね。中川さんは当時のことで印象に残っていることはありますか?

中川:『ルギア爆誕』の主題歌が安室奈美恵さんだったことがすごく印象深いですね。色んな意味で規模の大きさや当時の社会現象感とマッチしていて。

そして今年で安室さんが引退されてしまうことに時の流れを如実に感じて…。

松本:本当だね。

中川:当たり前なんてないし、梨香さんが21年間サトシを演じていることもどれだけ尊いことかと。

映画は時代がどうなってもそれが一生残るんですよね。そして作品を観た時に、あの頃が蘇って胸が切なくなりますよね。

松本:青春を思い出して胸が熱くなるというか。

『ルギア爆誕』の時は安室さんがステージで歌ってくれたのが良い思い出です。今回のポルノグラフィティさんの主題歌もいいですよね。

中川:今回の映画と歌詞がすごくリンクしていて驚きました!ポケモンの核心に迫る素晴らしさを彫刻ように掘り当てたような歌詞ですよね。

松本:いい曲だよね!感動しました。

キーワードは「ポケモンパワー」

ーー完成した『みんなの物語』をご覧になっていかがでしたか?

中川:すごくシンプルに立ち戻ってくれた『キミにきめた!』でも色んなことが話あえたんですけど、今回は観た人の境遇や年齢、子どもか大人かでもターニングポイントとなるハイライトが変わる気がしますね。

今回のような作画になった意味についても考えていたんですよ。ラッキーの口元だったり、バルキーの眉毛だったり、今までで一番柔らかいタッチでポケモンたちの表情を表しているシーンが多くて。

ーー前作『キミにきめた!』もそうでしたが、幅広い世代の方が楽しめる内容になっていますよね。

中川:『キミにきめた!』のサトシとピカチュウの絆ってすごく間口が広かったんですよね。初代のポケモンから好きだった人も、パパやママになった人も、新しくポケモンに出会った子どもたちも、色んな目線で楽しめて。

『みんなの物語』ではさらに間口が広がり、ピカチュウが何を言っているのかが伝わるくらいにサトシとピカチュウの相棒感を感じて。サトシの頼もしさと“惚れてまうやろポイント”も過去最高でした。

そしてシティホテルみたいなところに一人で泊まっているサトシに爆笑してしまいました。笑

松本:ちょっぴり大人のサトシがいたね。笑

中川:今作ではすごくポケモンという存在を色んなふうに見ることができて、命の尊さや煌めき、一瞬を生きて頑張ること。そして一人ではなく、みんなでということがどれだけ大きな力を呼ぶか。今の時代に生まれる意味がある映画だなと思いました。

大人はネガティブなことを考えたりもするけれど、子どもは素直だし、大人になってもポジティブな言葉や思いにしようとみんなが思うだけで何百倍のパワーになるんだということを、今回サトシの印象的なセリフで「ポケモンパワー」と言い表してくれて。

それが大人には必要だったんだと。自分次第で変われるんだと思わせてくれて。大人の人も本当に見やすい、とても深い映画だなと思いました。

ーー「ポケモンパワー」というサトシのセリフは印象的でしたね。

松本:そのセリフは私も印象に残っています。「ひとりではできないこともみんなと力を合わせれば!」というメッセージが込められているなと台本を読んでいても思いました。

矢嶋哲生監督が描く“カッコいいサトシ”

ーー松本さんは今作のサトシにどんな印象を持たれましたか?

松本:サトシはいつもそうなんですけど、人って何か新しいことをする時や、行動を起こそうとする時に「やれる・やれない」ということをすごく考えがちじゃないですか。

サトシにはそれがないので、自分が思ったらすぐ行動するし、「良い・悪い」というものが自分の中にあるんですけど、その中で「こうだ!」と思ったことに真っ直ぐに動けて。

「自分から行動しないと何も生まれない」ということを、サトシからいつも教わっているような気がします。

自分が悩んだり、辛かったり、苦しかったりした時に、「悩んでないで、とにかく自分で動いてみろよ!」と言われているような気がするんですよ。

今回も勇気があるサトシがいる。潔く生きている。とってもシンプルなことなんですけど、それをサトシはいつもやってくれるなと思っています。

中川:サトシファンとしては、リサが初めてポケモンを捕まえるシーンで「こうするんだ!」ということを教える兄貴的な感じがすごくカッコよくて。

いちファンとしてすごく気になるのが、今回の映画は湯山監督から矢嶋監督にバトンタッチされたじゃないですか。梨香さんから見て、矢嶋監督が描くサトシのイケメンさ、男らしさはどうでした?

松本:“憧れ”なのかな。矢嶋監督が「男はこうあるべきだ」というところを今作のサトシに導入している気がします。

矢嶋監督はTVアニメシリーズ『XY&Z』の時の監督なんですよ。それが私の中ではイコールになっていて、あの頃のカッコいいサトシが収録の時にいたんですよ。

私も『XY&Z』でゲッコウガとのやりとりとかを演じていて気持ちが良かったですし、男も憧れたり、惚れるあの感じが今回のサトシには描かれていたのかなと。

ーー今回はベテラントレーナーみたいな感じでしたね。笑

松本:そうそう!笑 あとは湯山監督が20年間やってきて、監督の色んな思いも考えてしまって、感慨深かったですね。ひとつの時代の節目としてバトンが渡された21年目だなと。

最初から関わってきた自分としてはちょっぴり寂しさもあり、「頑張ってつなげていかないとな」とフンドシを締め直す気持ちにもなりました。

中川:どのシーズンのサトシも、梨香さんの中にいるんですね。今回『XY&Z』の頃のようなサトシが出てきたり。

松本:サトシは一本筋は変わらなくて。その中で、人やポケモンと関わった時にちょっとずつ太くなってゆく。サトシの芯はずっと変わらない気がします。

各キャラクターの表情にも注目!

ーー今回魅力的なキャラクターが多数登場しますが、ご自身の役以外で演じてみたいと思ったキャラクターはいますか?

松本:私が演じてみたいと思ったのはカガチですね。何かに悩んで道を誤ったりもするけど、それを乗り越えて前に進もうとするキャラクターが好きなんですよ。人間くさいというか。

ーーカガチは良い役ですよね。

中川:こんなに弱さが描かれるキャラクターというのも新鮮でしたね。嘘ばかりついてると思いきや、ウソッキーを捕まえないで、そっぽを向いてちょっと照れ隠しするという表情も繊細に描かれていて。キュンとしちゃいました。

松本:だからずるいんだよね。最初から良い人で出てくるとそれが当たり前になるけど、悪いやつがちょっといいところを見せると、その人への見方が変わったりして。

中川:カガチはマイナスからのスタートで、そのギャップが良かったですよね。ポケモンのゲットの仕方も斬新で。

大人になってからでも変わることはできるけど、それには大きなエネルギーが必要で。「自分ってダメだな」とか「なんとなく生きてるな」とカガチを見ていると思い知らされるんですよね。

ーー中川さんのお気に入りのキャラクターは誰ですか?

中川:私はヒスイさんを見てこんな素敵な女性になりたいなという夢ができました。色んな傷があって、言葉では説明していないんですけど、野沢雅子さんの吐息と少しの声で、ポケモンとの切ないけど強い思い出を表現するシーンが泣けて大変でした。

ーー野沢雅子さんの息遣いが絶妙で、印象深いキャラクターになりましたね。

中川:野沢さんの息だからこそ、「近づくんじゃないよ!」とキツいことを言っているけど、本当は…という想いに泣けてしまう何かがあるんだろうなと。

エンドカットまで見逃せないのがヒスイさんだったんですけど、ポケモンたちは人の本質を見抜くことができるからこそ、ヒスイさんに寄ってきて。

なかなか不器用だったり、自分を曲げることができなくても、心で生きている人にはこうして素敵な出会いが集まってくるんだなと。こんな大人になっていきたいなと思いますね。

ーー最後に映画を楽しみに待っているポケモンファンの「みんな」へメッセージをお願いします。

松本:映画を観終わった後に、みんなの心に爽やかな風が吹いていることを願っています。

中川:『キミにきめた!』から始まった新しいポケモンの物語の中で、その人にしかわからない色んな弱さを乗り越えて、「大人になっても、きっかけさえあれば瞬間で変われるんだな」とそっと背中を押してくれるような映画です。

一度では見つけきれないポケモンの表情もあるので、大切な人と一緒に何度も観にきてください!

ーー素敵なお話をありがとうございました!

インタビュー・文:吉野庫之介  撮影:鳥谷部宏平

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「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」

<INTRODUCTION>
ポケモン映画が、新たな一歩を踏み出す――。
20周年記念作品「キミにきめた!」の大ヒットから1年――。監督を始めとする制作陣に若き才能が加わり、全く新しいポケモン映画「みんなの物語」が遂に誕生。この夏、みんなと一緒に、まだ誰も見たことのない冒険へ向かって、キミも一歩を踏み出そう!

<STORY>
人々が風と共に暮らす街・フウラシティでは、1年に1度だけ開催される“風祭り”が行われていた。祭りの最終日には伝説のポケモン・ルギアが現れて、人々はそこで恵みの風をもらう約束を、昔から交わしていたという。

ポケモン初心者の女子高生、リサ。嘘がやめられなくなってしまったホラ吹き男、カガチ。自分に自信が持てない気弱な研究家、トリト。ポケモンを毛嫌いする変わり者のお婆さん、ヒスイ。森の中で一人佇む謎の少女、ラルゴ。

偶然、風祭りに参加していたサトシとピカチュウは、5人の仲間たちと出会う。それぞれが悩みを抱え、パートナーのポケモンと一歩を踏み出せない中、みんなが出会うことで、運命の歯車が動き出す……。ルギアとの約束は守られるのか? そして幻のポケモン・ゼラオラの正体とは??

今、人とポケモン、みんなの絆が奇跡を起こす――。

■公開日
7月13日(金)ロードショー

■キャスト・スタッフ

声の出演
特別出演:芦田愛菜 川栄李奈 濱田岳 大倉孝二 野沢雅子・中川翔子 山寺宏一
サトシ:松本梨香
ピカチュウ:大谷育江
ムサシ:林原めぐみ
コジロウ:三木眞一郎
ニャース:犬山イヌコ
ナレーション:石塚運昇

原案:田尻 智
監督:矢嶋哲生
アニメーションスーパーバイザー:湯山邦彦
エグゼクティブプロデューサー:岡本順哉、片上秀長
プロデューサー:下平聡士、松山進、知久敦、大日向 俊
脚本:梅原英司、高羽 彩
アニメーションプロデューサー:加藤浩幸、和田丈嗣
キャラクターデザイン:金子志津枝
総作画監督:西谷泰史、丸藤広貴
音響監督:三間雅文
音楽:宮崎慎二
アニメーション制作:OLM / WIT STUDIO
製作:ピカチュウプロジェクト
配給:東宝

ポケモン映画公式サイト
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