TVアニメ『悪偶 -天才人形-』声優インタビュー第7弾 町役・松井恵理子さん! 主人公のライバルである町は、意外にも情に厚いキャラクターだった
中国で10億ビューを超える人気コミック『悪偶 -天才人形-』(一淳さん作)がアニメ化し、2018年7月9日より放送中!
本作は『霊剣山』シリーズのテンセントとスタジオディーンによる日中合同の第2弾アニメプロジェクトで、“悪偶”と呼ばれるアイテムで偽りの天才となったものと、暗躍する“裁縫師”、彼らを追いかける“救済者”による壮大なミステリー&アクション作品です。
当サイトでは出演する声優陣へのリレーインタビュー企画をお送りしています。第7回目となる今回ご登場いただくのは、町を演じる松井恵理子さんです。作品の印象と町についての紹介、見どころなどについて語っていただきました。
松井さんにとって、町は相性抜群のキャラクターだった
――まずは本作を読んだ感想についてお願いします。
松井恵理子さん(以下、松井):スポーツやファンタジーなど色んなジャンルの作品がある中で、突出した才能を持つキャラクターというのはどんな作品にも登場すると思うんです。本作はその“才能”に真っ向から切り込み、天才=まやかしであるというアプローチをしているのが、すごく面白い作品だと感じました。
――町を演じた感想を教えてください。
松井:町はクールビューティな外見で、主人公である愛に対してもかなり雑な感じというか、塩対応をしてしまうキャラクターです。でも、彼女について知れば知るほど実は人間味があって、親しみやすいキャラクターだと感じました。
――町のどういった部分に人間らしさを感じたのでしょうか?
松井:話数が進んでいくごとに町は愛と敵対していくようになるんですけど、それは愛のことが本当は好きだからこそ生まれる憎しみのようなものを感じていて。好きと嫌いは紙一重というか、愛を恨むようになる町の感情の流れというのがよく分かるんですね。本作は中国原作なんですけど、こういった恨み・辛みは万国共通なのかと(笑)。
もちろん愛自体も人間臭さみたいなものを感じるんですけど、人間的にちょっと綺麗すぎる感じがあるので(笑)。愛と比べると断然町の方が共感しやすいし、演じやすいキャラクターだと思っています。
――町を演じるうえで、気をつけた点を教えてください。
松井:町って親しい人には強くあたる性格というか、「これぐらいのことを言っても、この子は許してくれるだろう」という、親友だからこその冷たさみたいなのがあって。お互いのパーソナルスペースを熟知しているがゆえの雑さ加減を意識しています。
町のミステリアスな雰囲気だけじゃなく、「普段からこういう子なんだよ」というのを演技に込められたらいいなと。キャラクターに親近感を持ってもらい、より魅力的に感じてもらえるよう演じさせていただきました。
松井さんと芝崎さんは以心伝心の関係!?
――松井さんの演じる町は主人公・愛と関係が深いキャラクターということで、芝崎典子さんと何か打ち合わせ等ありましたか?
松井:町と愛を“作られた関係”にしたくなかったので、典ちゃん(芝崎典子さん)とは逆に何も打ち合わせをしてないですね。お互いがお互いの空気を感じ取っているような、リアルな関係を作れないかなと。
――なるほど。あくまで自然体で演技をするために、打ち合わせをしなかったということですね。
松井:町は愛の良いところを褒めたりなんてしないでしょうけど、愛がひたむきに努力を続けるところを、町はきっと認めているんだろうなというところとかもあって。例えば町が愛に言ったセリフの中で、「頑張りすぎて体調崩したら意味ないんだから」というのがあるんですけど、「町は昔練習しすぎて倒れたことあるんだろうなあ」みたいなことを感じてしまったり(笑)。
――町は自分の経験を元に、愛にアドバイスを送っていると。
松井:「頑張りすぎると倒れちゃうんだからさ」という、不器用なりの優しさみたいなのがあると思うんです。町は町なりに気遣っている所があるので、そこはやっぱり打ち合わせ無しでやりたいと。
お互いの空気感や、発するセリフの生感みたいなものを敏感に感じ取って行きたいというのが私の中であります。もしかしたら典ちゃんは打ち合わせしたかったのかもしれないですけど(笑)。
――(笑)
松井:演じていて違和感がなかったので、我々も愛と町を通してツーカーな感じになれたのではないかと(笑)。本作には日常シーンが少なかったので、二人の掛け合いのシーンがあまり演じられなかったというのは残念だったと思うポイントではあります。
ただ、とある回想シーンの中で、町と愛はずっと友達を続けてきたんだなというのが強く感じられました。恐らく、何も言わなくても私と典ちゃんの心はひとつだったのではないかと思います(笑)。
高木渉さんはアフレコ現場のムードメーカー
――様々なキャラクターが登場する中で、気になったキャラクターはいますか?
松井:羅正(らしょう)さんはとても不思議な人だと思っていて。過去にどんなエピソードがあったか気になりますし、底知れない包容力も感じてしまいます。ビジュアルと高木さん(高木渉さん)の演技も相まって、とても人間臭い感じのキャラクターに仕上がっていますよね。
愛に対する気遣いだったり羅布(らふ)に叱咤するシーンがあるなど、縁の下の力持ちみたいな感じで頼りがいがあります。
――ダークなストーリーの中でも、横に羅正がいれば安心できるという。
松井:近くにいてくださると、どんな状況でも何とかなりそうな感じがありますね(笑)。やっぱりそういうキャラクターが作品の中にいると、すごく安心感があります。
――アフレコ現場の様子について教えてください。
松井:こんなにダークな作品なのにも関わらず、現場はめちゃめちゃ明るいです(笑)。中国原作のアニメということで、あまり先のストーリーの先読みができないんですよ。なので、「この先どうなっていくんだろう?」という新鮮さを大事にしながら演じさせていただいています。
――台本を読んで初めてストーリーを知るという感じなんですね。
松井:もちろん事前に情報はいただいているんですけど、詳しくは台本を読んでから知ることになります。現場では高木さんがとても良い雰囲気を作ってくださって、テスト中にボソッと呟いたことで皆笑ってしまったりとか(笑)。作品とは対照的に、現場はとても和気あいあいとしています。
――現場で演じていく中で、皆さんの感情もリアルタイムで動いていくということですね。
松井:いつも本当に新鮮な気持ちのまま演じさせていただいていますね。回を増すごとに、キャラクターの感覚についても分かっていくので。アニメを観てくださっている方と同じようなスピード感で、我々も作品を作り上げています。
天才になるための条件とは
――本作には"悪偶"を持っている人物は誰でも天才になれるという設定がありますが、もし悪偶を手に入れるとしたら、どのような才能が欲しいですか?
松井:そうですね~……、体がめっちゃ丈夫とか(笑)。
――(笑)
松井:あと、こういうお仕事させていただいているので、強運に恵まれる悪偶とかも欲しくなりますね(笑)。やはり自分の身の安全もそうですけど、強運さえあれば体も強くなりそうな気がするし、何だかんだで最強の才能だと思うので。
――運が欲しいということは、もしかすると普段あまり運がよろしくないとか……?
松井:日常が困らない程度には運は良いと思うんですよ。だけど、何気なく応募した懸賞が当たるとか、宝くじが当たるとか、そこまでの運はないので。運さえあればいろんな局面を乗り越えられそうな気がしますよね(笑)。
――(笑)。松井さんがこれまでの人生の中で、天才だと感じられる人に出会ったことがありますか?
松井:すごく才能に溢れる方だと思う人はたくさんいます。でも、それを天才の一言で片付けるのはよくないとも思っていて。自分の才能を開花させるためにしっかりと努力をした結果、天才と呼ばれる人になれるんだと思っています。
町自身も有名なバレエダンサーたちの悪偶を持ってはいるんですけど、彼女の見た目や雰囲気とかって、結局彼女自身が作ったものなので、町自身に元からあった才能なんじゃないかと。もしかすると町にはバレエじゃなくて、他の才能があったのかもしれなと考えると、また物語が面白く思えますよね。
――そう言われてみると、逆にバレエという才能だけに限定されてしまったという見方もできますね。
松井:自分自身をちゃんと認めていて、ちゃんと未来に向かって歩いている人は、恐らくそれだけで天才なんじゃないのかなと。時に立ち止まって自分と向き合ってる人も、それはそれですごいことだと思います。
突飛な才能がなくても、一生懸命生きている人は天才なんだろうなと思うんです。だから、みんなきっと天才足り得るところがあるだろうなと思います。そう信じて生きていたいですね(笑)。
松井さんが子供の頃から欠かさず続けてきたこと
――バレリーナである町は子供の頃からバレエを学んでいたのですが、松井さんも子供の頃からずっと続けてきた事ってありますか?
松井:小さい頃から変わらずアニメを観ています(笑)。悲しい時も辛い時もアニメを観ていたし……。学生の頃は部活が厳しくて毎日泣いているような感じだったんですけど、家に帰ったらアニメを観るというのを延々と繰り返していたので(笑)。
私の歴史の中にアニメとか漫画がなかった時期はないですね。今もこういうお仕事をさせていただいてますし、好きなものをずっと好きだと言えるところに才能めいたものを感じていますね。
――アニメ好きなのは今でも続いているんですね。
松井:そうですね。自分が演じさせていただいている作品を観ないということはないので。声優をやっていて一番好きな瞬間が、自分が出演した作品が放送されるときなんですよ。
もちろん、役者として演じている時もやりがいを感じるんですけど、そこに皆の声がどういう風に入ってくるのかは放送されるまで分からないんです。完成した作品を観る時の瞬間がすごく好きなので、演技者というよりも、ただのオタクかもしれません(笑)。
もちろん世にある全ての作品を網羅できるわけではないのですが、本当にアニメが好きだという気持ちみたいなものは、自信を持って言えるかなと思います。
――最後に、本作のファンに向けてメッセージお願いします。
松井:いろんなキャラクターが入り乱れての怒涛の展開がいっぱいあって、観れば観るほど味が増すというか、物語の世界に引き込まれていく作品だと思います。町を精一杯演じさせていただきますので、皆さんも最後までお見逃しなく!
――ありがとうございました。
[インタビュー・写真・文/島中一郎]
『悪偶 -天才人形-』作品概要
● 放送情報
TOKYO MX:毎週月曜 24:00~
サンテレビ:毎週月曜 24:00~
KBS京都:毎週月曜 24:00~
BS11:毎週月曜 24:00~
● 配信情報
GYAO!、ニコニコチャンネル、dアニメストア他にて配信決定!
GYAO!:7月2日(月)25時30分~
ニコニコ生放送:7月4日(水)24時30分~
ニコニコチャンネル:7月4日(水)25時~
dアニメストア:7月10日(火)12時
バンダイチャンネル:7月11日(水)12時~
Hulu:日時未定
U-NEXT:7月3日(火)12時~
アニメ放題:7月3日(火)12時~
J:COMオンデマンド:7月3日(火)24時~
KDDIビデオパス:7月3日(火)24時~
milplus:7月3日(火)24時~
acTVila:7月11日(水)12時~
ビデオマーケット:7月2日(月)25時30分~
DMM.com:7月2日(月)25時30分~
music.jp:7月2日(月)25時30分~
Rakuten TV:7月2日(月)25時30分~
● あらすじ
平凡な少女、愛はどこにでもいるダンサーである。親友である町とのダンサーとしての才能を見せつけられ落ち込む日々であったが、ある時彼女の才能の「秘密」を知ってしまう。それは、邪な術方により掌サイズまでされた天才たち「悪偶(あぐう)」の存在である。悪偶(あぐう)を持っているものは誰でも天才になれるのだ。悪偶を作る「裁縫師」となってしまった町を救うべく、愛は裁縫師と代々対立してきた「救済者」となる。
● キャスト
愛(あい):芝崎典子
町(まち):松井恵理子
羅正(らしょう):高木渉
羅布(らふ):柴崎哲志
エルバト:安元洋貴
李純貞(りじゅんてい):井上喜久子
李白綿(りはくめん):M・A・O
黄鶯鶯(おういんいん):水野理紗
カルリチ:内田彩
● スタッフ
原作:一淳(テンセントアニメ連載)
監督:ボブ白旗
キャラクターデザイン・総作画監督:河南正昭
シリーズ構成:加藤結子
プロップデザイン:あおきまほ
美術監督:三宅昌和
色彩設計:桂木今里
撮影監督:川口正幸
編集:内田恵
音響監督:郷田ほづみ
音楽:シバサキユウキ
OPテーマ:「prima dynamis」(プリマ デュナミス)
歌:電気式華憐音楽集団
EDテーマ:「ツギハギ」
歌:芝崎典子
総企画:邹正宇
企画:熊猫盖饭
総エグゼクティプロデューサー:李筱婷
エグゼクティプロデューサー:ASKASK、沉默的章鱼、水獭
プロデューサー:宮本逸雄
アニメーションプロデューサー:大野雅義
アニメーション制作:スタジオディーン
製作:腾讯动漫