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『カウボーイビバップ』トークイベント“画ビバップ”レポート

『カウボーイビバップ』トークイベント“画ビバップ”レポート|南雅彦さん&川元利浩さんが登壇! 当時のアレコレで会場に笑いが起きた……!!

今年で放送から20周年を迎えたアニメ『カウボーイビバップ』。同作と言えば、先日亡くなられた石塚運昇さんがジェット・ブラック役として出演されていた作品。その代表作のひとつと言える存在の“極上音響上映”イベントが、立川シネマシティで行われました。

このイベントは、アニメ第1クールと2クールを8月18日(土)と25日(土)の二週にわたって上映。その前に、“音”と“画”のふたつのテーマで制作スタッフによるトークショーを実施したもの。

本稿では8月25日の“画ビバップ”の模様をお届け!

イベントには本作でプロデューサーを務めた現・BONES社長の南雅彦さんと、キャラクターデザインを担当した川元利浩さんが登壇。アニメ評論家・フリーライターの藤津亮太さんを進行役に、本作の“画”周りの裏話が語られていくことに。

石塚さんはキャラクターを作り上げていく上で欠かせない

今回も第1夜に引き続き、先日亡くなられた石塚さんを回想。石塚さんはBONESの作品に多数参加されていたということで、まずは南さんに話を伺うことに。「アニメーションを作る上で、自分にとっては欠かせない役者さん」と話すと、初めて石塚さんとお仕事をした作品が『カウボーイビバップ』だったことを明かします。

「石塚さんじゃないとジェットじゃない」とも語っており、キャラクターを作り上げてくれる人だったと思い返していました。作品の中で動いているジェットは、石塚さんの声が入ってこそなのだと。

川元さんは音響の部分に顔を出すことはあまりなかったそうですが、作品に関するイベントで何度か顔を合わせていたそう。そのたびに「前に会ったよね!」と言われ、名前を一度も呼ばれずに終わってしまったとコメント。すると南さんが「それは、そういう人なんです!」と一言。

劇場映画『ストレンヂア 無皇刃譚』のアフレコの際に、石塚さんは「この間テレビでやっていた奴だよね!」と発言。監督も安藤真裕さんのところ渡辺信一郎さんだと思われていたそうで、『サムライチャンプルー』と勘違いされていたのではと話していました。

川元さんもジェット役に石塚さんが起用されたのは決め打ちだと聞いていたそう。さらに『スペース☆ダンディ』の封入特典を描く際に、ジェットとゲル博士を比べてコメントをしているそうです。

また、宮野真守さんや三宅健太さんの出演されていた『WOLF'S RAIN』のクエント・ヤイデンについては、原作の信本敬子さんから「石塚運昇さんですよ、このキャラクターは」と言われていたとのこと。

そうして南さんから「運昇さんにやってもらいたキャラクターが、今後もたくさん出てくると思っている」「今後も一緒に作品を作って行けると思っていた」と話があったところで、会場のみなさんと石塚さんのご冥福をお祈りし、作品についての話へと移っていきます。

テレビ東京での放送には、数々の苦難が……!?

藤津さんから『カウボーイビバップ』がアニメのビジュアルのクオリティが上がり始めた最初の作品だと話が出ると、川元さんは「特にこの作品はスペシャルだという思いはなかった」と語ります。その時その時で全力を尽くすというスタイルなのだそう。また、川元さんにとって初めてのキャラクターデザインのお仕事が本作だったのだとか。

南さんはあの時代はテレビで放送して、その後にビデオを売っていく作品だったと話します。何度も見てもらえるようなクオリティの作品が求められ始めていたそうで、『天空のエスカフローネ』などを例に挙げていました。

渡辺監督や川元さんをはじめとして初めてテレビシリーズに参加するスタッフが数多くいたそうで、そんな方々が全力を尽くしたからこそ全体的に押し上げられた作品になったそう。

初めにWOWOWのプロデューサーのところに作品を持って行った際に、『機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督の『ブレンパワード』と競合してしまったこと。その縁で後々WOWOWでの放送が決まったことなど、貴重なエピソードが次々と飛び出します。

スタッフ陣の活躍が名作を形に

メカニック作画については後藤雅巳さんの仕事が作品のクオリティを大いに上げていたそうで、銃器のマズルフラッシュやメカの質感など、ほぼ全てに手を入れてくれたのだとか。

また、本作のアクション作画でその名を轟かせた中村豊さんの活躍にも触れられ、中村さんが一番手ごたえを感じているのが、「#24 ハード・ラック・ウーマン」でエドの父と格闘するシーンだという話も。

本作のスタッフが『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』からのメンバーだという話が出ると、川元さんがセガサターン版の『機動戦士ガンダム』のゲームがあったことや、そこで安彦良和さんのテイストを学んだと暴露。

このほかにも『0083』絡みのエピソードはいくつか飛び出し、エンディングで回っている地球をどうやって実現したのかが明らかに! なんと大きな地球儀を借りてきて、撮影台で撮っていたのだとか。

「#20 道化師の鎮魂歌」でデジタルの技術を導入した経緯などを話していくと、『天空のエスカフローネ』の竜のテクスチャと“ステルスマント”が話題に。サンライズから離れていた川元さんが当時の業界で話題になっていた処理だと話すと、南さんは「なんかやりたかった」とコメントしていました。

イベントも佳境へ入ったところで、南さんと川元さんに本作で手ごたえを感じたエピソードを聞いていきました。

南さんは「#1 アステロイド・ブルース」で、演出的に一秒たりとも無駄なカットがないと評しました。

そんな第1話で気になっているシーンがあると言う川元さん。それはスパイクがホットドックを食べるシーンだそうで、指示通り描いたものの、この作品に合わないのではという思いがあったそうです。

放送から20年を経てなお支持される名作『カウボーイビバップ』。これからも新しいファンを増やしつつ、語り継がれていくことかと思います。渡辺監督&BONESの新作2019年春放送予定の『キャロル&チューズデイ』も併せてお楽しみに!

[取材・文/胃の上心臓]

 

拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ガンダムシリーズをはじめとするロボットアニメやTYPE-MOONを主に追いかけている。そして、10代からゲームセンター通いを続ける「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」おじ勢。 ライトノベル原作や美少女ゲーム、格闘ゲームなども大好物。最近だと『ダイの大冒険』、『うたわれるもの』、劇場版『G-レコ』、劇場版『ピンドラ』がイチオシです。

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拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ロボットアニメ作品やTYPE-MOONの作品を主に追いかけている。

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