三森すずこさん 5thAnniversary LIVE 「five tones」レポート|デビュー5周年を感じさせるアニバーサリーなライブに
三森すずこさんのアーティストデビュー5周年となる記念すべき年に開催された『MIMORI SUZUKO 5thAnniversary LIVE 「five tones」』。
2018年8月4日にグランキューブ大阪、12日にパシフィコ横浜国立大ホールと全2公演でしたが、本稿では大盛況だった横浜でのライブの模様を振り返っていきます。
デビュー5周年を感じさせるアニバーサリーなライブの始まり
三森さんのライブはミュージカルのようで、日常からどこか違うところに連れて行ってくれるような印象がある。直近の3つの大きなライブを考えると、『Fun! Fun! Fantasic Funfair!』(15年)ではステージが遊園地になり、『Mimori Suzuko Live Tour 2016 “Grand Revue”』(16年)のファイナルでは日本武道館をおもちゃの世界にしてしまった。
そして昨年の『Live 2017「Tropical Paradise」』では、三森さんが人魚姫になるという世界観で楽しませてくれた。ライブとは言っても歌だけでなく世界観やストーリーも楽しめるというのが、彼女のライブだった。だが今回は、5つのトーンを見せるという、最新アルバム『tone.』を中心とした、デビュー5周年を感じさせるアニバーサリーなライブとなった。
ステージに用意された5つのドア。中央のドアから三森さんが登場すると、会場から大きな歓声が起こる。オープニング曲「ミライスタート」の盛り上がりに合わせて、ステージ全体を覆っていた紗幕が落ち、ステージと彼女自身がはっきりと姿を現すと、さらに大きなどよめきが起こる。
続く「Happy Lucky Life!!」でもダンサーと息の合ったパフォーマンスを見せる。ライブの楽しさやドキドキワクワク感は、スタート時にこそ一番大きく表れると思っているが、まさにみんなの期待を裏切らないスタートダッシュで、会場を魅了していた。
さらに「Colorful Girl」では傘を使った演出でカラフルさを表現。途中でペンライトの色を歌詞通りに変えていく演出は気持ちいいくらい揃う一体感。そして、三森さんの曲の中でも破壊力抜群な曲といえば「ドキドキトキドキトキメキス」!
これは客席を駆け抜けてトロッコ上で披露。みんなの近くに行くのが大好きな彼女らしいサプライズに、1階席のファンは大興奮だったのではないだろうか。だが3階席まで埋まった観客のこともちゃんと考えているのが三森さん。カメラに向かってのウィンクや投げキッスに、メロメロになったファンも多かっただろう。
トロッコでのパフォーマンスをしている間に、ステージではバンドの準備が完了。ここからは生音でのステージとなる。このあたりの、ライブの流れや空気を途絶えさせない演出が良い! このあとも何度も衣装チェンジがあり、常に見る人がどう楽しめるのかを考えている、アーティストであり舞台役者である三森さんらしいなと思った。
ミュージカルのようなダンスの「純情 Da DanDan」から、「恋はイリュージョン」では、靴を履き替えてタップダンスを披露。こういうチャレンジ精神も彼女は常に持ち合わせている。曲間で衣装を変えるというのも、まさにイリュージョン。
「海と空のヒミツ」を力強く歌うと「サキワフハナ」で幻想的な世界へ。そして5周年を歩みを振り返るムービーを流し、その最後に「キミを連れて駆け出すよ 誰も追いつけない場所へ」という手書きのメッセージが映し出される。
みんなの期待に応えるだけではなくて、見たこともない世界へ連れて行ってあげたいんだという彼女の気持ちが伝わるメッセージ。実は次の曲「エガオノキミヘ」の冒頭の歌詞なのだが、アニメ『結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-』のタイアップ曲でありながら、今の彼女にピッタリの歌詞になっていてドキッとした。そして「My First Lesson」は椅子に座っての歌唱。少し感極まった感じのボーカルにグッとくる。
最新アルバムの中で異彩を放っていた「アレコレ」。どこか夢の中にいるようなふわふわした語り調のポップスなのだが、ミラーボール2つによるキラキラとした小さい光の粒に包まれるという、幻想的な雰囲気だった。
ライブ後半はカッコいい三森さんが躍動!
そして、ライブは後半に突入。ここからは一気にカッコいい三森さんが躍動する。真っ赤なドレスを纏い、ニューアルバム『tone.』から「革命のマスカレード」「比翼の鳥」を熱唱すると、そこからは動きやすい赤いパンツスタイルの衣装に早替えして「Light for Knight」と「Xenotopia」を歌う。ダンサーとの息の合ったダンスと飛び交うレーザー光線。この4曲で観客のボルテージも上がりまくっていた。
さらにメンバー紹介の際に特別ゲストとして太田雅友(SCREEN mode)が登場。彼女のデビュー曲「会いたいよ...会いたいよ!」を作曲し、『tone.』では「SAKURA dreamers」を作曲。ここでは、これまでとそしてこれからがつむがれた畑亜貴さんの歌詞が心に響くこの曲を力強く歌った。
〈まだ遠くへ行けそうだって 一緒なら信じられる〉〈私たちは旅の途中 向かいながらも楽しんで〉というメッセージを届けて「WONDER FLIGHT」へ。畑亜貴さんの作詞曲を並んだが、この曲は新しい空に飛び立っていくという歌詞なので、そのつながりも良かった。
ちなみにこの2曲アルバムとは逆の曲順というのも面白い。みんなで掛け声を入れられながら楽しめる曲だし、トランポリンを使ったダンサーのパフォーマンスも楽しげだった。
そしてまた『tone.』からの「スマイリウム」で気持ちが最高潮になり、「最後にみんなにこの曲を送りたいと思います!」と言って「ユニバーページ」を歌う。待ってました!というテンションでものすごい声を上げるファンのみんな。5年を噛み締めながら、そしてファンの喜びを感じながらの三森さんの歌声も、とても感動的だった。
みんなに三森すずこを応援してて良かった、俺三森すずこのファンなんだぜ!って自慢できるような人になりたい(三森さん)
アンコールは、客席のドアを開けて会場に入り「TINY TRAIN TOUR」から派手にスタート。続けて、切ない「夢飛行」をしっとりと歌う。
「〈未来はゆるやかなスロープの先で〉という『My First Lesson』の歌詞にある通り、スロープの先にある6個目の扉を開いて登場しました!」と、5周年だけどこの先の未来に行くんだよ、というメッセージを送ったあとに、2019年2月20日にミニアルバム『holiday mode』をリリースすることを発表。その喜びに満ちたまま「ちいさな手と観覧車」で盛り上がったあとの最後のMCでは、今度は自らの言葉で5周年を振り返っていく。
楽しいときはあっという間と言うが、苦しいときもあって、頑張らなくちゃってあがいていたときがたくさんあったから、「この5年間を長く感じた」と胸中を吐露する。そうやって辿り着いたのがこの場所だ―――
「パシフィコ横浜にはたくさん立ったことがあるんですけど、今日ふと思い出したのは『ゆるゆり』なんです。なぜかと言うと、この作品が今のみもりんチームに初めて出会った作品だったから。その時はソロ活動がある未来があるとは思わなかったけど、そこでがむしゃらに、何かになろうなろうと頑張ってる私を見つけてくれたんだと思って……。5周年を迎えて、私の大好きなみもりんチームのみんなに“ありがとう”と言いたいです」と続ける。
本当に「SAKURA dreamers」の歌詞にもあるが不器用だけど、真摯に活動している彼女の人となりがわかる言葉だった。そして、会場に来てくれたファンへの感謝も忘れない。
「みんなが三森すずこのエンジンでした。みんなが待ってる、みんなにもっと楽しんでほしい、私のことを好きになってほしい、その想いだけが私を盛り上げてくれて、ここまで走ってくることができました。今の私の夢は、みんなを見たことのない世界に連れて行ってあげたいということです。みんなに三森すずこを応援してて良かった、俺三森すずこのファンなんだぜ!って自慢できるような人になりたいなと思いました」と力強く言うと大きな拍手が起こる。
「まだ5年、もっともっとこれから歴史を重ねて、たくさんの思い出を作ってこれからも走っていきたいと思います。ホントにみんな、これからもよろしく!」と言って歌ったのは、5周年のライブを締めくくるのにふさわしい「会いたいよ…会いたいよ!」。太田雅友さんも加わり、楽しいライブは幕を閉じた。
冒頭で、日常ではないどこかに連れて行ってくれたと書いたが、別にそれはミュージカルっぽいからとか、そういうことは関係ないのだなと思った。彼女が中心にいるだけで、この空間はとても特別なものになるのだ。そんな圧倒的なライブだった。
[文/塚越淳一]
ライブ情報
2018年8月12日(日)
会場:パシフィコ横浜 国立大ホール
Performed by 三森すずこ
[mimorin BAND]
Guitar:沼能友樹
Bass/Band Master:黒須克彦
Keyboards:今井隼
Drums:北村望
Manipulator:平林昌義
セットリスト
M1.ミライスタート
M2.Happy Lucky Life!!
M3.Colorful Girl
M4.ドキドキトキドキトキメキス?
M5.純情 Da Dan Dan
M6.恋はイリュージョン
M7.海と空のヒミツ
M8.サキワフハナ
M9.エガオノキミヘ
M10.My First Lesson
M11.アレコレ
M12.革命のマスカレード
M13.比翼の鳥
M14.Light for Knight
M15.Xenotopia
M16.SAKURA dreamers
M17.WONDER FLIGHT
M18.スマイリウム
M19.ユニバーページ
(ENCORE)
EN1.TINY TRAIN TOUR
EN2.夢飛行
EN3.ちいさな手と観覧車
EN4.会いたいよ...会いたいよ!