ハプニングにサプライズ、波乱があっても全力で楽しませる!「サクラ大戦歌謡ショウより~『続々・花咲く男たち』」レポート
2018年9月4日(火)から9月9日(日)まで、東京・浅草花やしき内「花やしき座」にて「サクラ大戦歌謡ショウより~『続々・花咲く男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場」が全8公演開催されました。
「サクラ大戦歌謡ショウ」のオリジナルキャラクターであるダンディ団(ダンディ・団耕助役/園岡新太郎さん、西村ヤン太郎役/西村陽一さん、ベロムーチョ武田役/Velo武田さん)を中心に、『サクラ大戦』シリーズや歌謡ショウに登場した男性キャストが集結。そこに日替わりで帝都花組や巴里花組、紐育星組から華やかなゲストが駆けつけ、魅力的な舞台を作り上げています。
“かつてのサクラ大戦歌謡ショウの夢のつづき”を追うような意図から始まった舞台は、回を重ねるごとに『花咲く男たち』としての独自の魅力を獲得。昔ながらの浅草の大衆演劇的な気軽さを加えた“新たな歌謡ショウ”として、一歩一歩、着実に成長していくのを感じます。
出演者も芸達者ばかりのため、アドリブ満載のやりとりにサプライズゲストなど、毎回何が起こるかわからない内容が観客を惹きつけ、常に花やしき座を満員に埋めてきました。
9月8日(土)の夜公演では、西村ヤン太郎役の西村陽一さんが体調不良で急遽出演できなくなるハプニングがありましたが、これも全員のチームワークでカバー。見事に舞台を務め上げ、サクラキャストの底力を改めて感じさせました。
全8公演の中から、9月8日の夜公演(カンナゲスト回)、9月9日の夜公演(さくらゲスト回)の模様をお届けします。
本番直前に出演者が倒れるハプニング! それに即対応するサクラキャストの底力!
9月8日(土)の昼公演(ジェミニゲスト回)終演後の熱気がまだ充満する花やしき座で、夜公演のリハーサルが行われる中、激しいダンスを終えたところで西村さんが突如ダウン。開演まであと1時間半、本番直前のハプニングに緊張が走るものの、すぐに全員が今、自分がやるべきことを始めます。
リハーサルが粛々と進められる横で、西村さんの回復を待ちますが、症状が思わしくないと見るや夜公演の欠場を即断。西村さんのパートを誰がどうカバーするか、構成の変更に向けて一斉に動き出します。
そして、さすがは芸達者揃いの役者陣。公演の遅延も開場で10分押し、開演で5分押しという最小限に留め、幕が開きました。
おなじみ前説の掃除人・広井(演/広井王子氏)が開口一番、西村さんが体調不良で出演できなくなったことを観客に説明します。
ショッキングな出来事に観客ももちろん驚いたものの、いつも以上にみんなで舞台を盛り上げようと、すぐに心を切り替えます。しぶとく生き残ってきたサクラファンには、多少のトラブルなど物ともしない余裕があるのがさすがです。
メインのダンディ団3人のうち、1人が欠けた状態でオープニングの新曲「ダンディブギ」を披露。しかし、ダンディ・ボスとベロの熱いパフォーマンスは物足りなさを感じさせません。
そこへ、ギャング姿の高村椿(演/氷上恭子さん)が乱入! 堂に入ったダンスと愛らしい笑顔でステージを盛り上げます。
西村のアニキの穴を埋め、しれっとダンディ団の一員のような顔をする椿。ベロが文句を言うものの、ボスを味方につけた椿はダンディ団の名乗りポーズを決めた上で「ダンディレディ」を名乗ります。
どうやらダンディ団に、強力な新メンバーとなる紅一点が加わった模様です。
物語は『花咲く男たち』『続・花咲く男たち』と同じく、今回も大帝国劇場座付作家の金田金四郎先生(演/螢雪次朗さん)のもとへ、ダンディ団が行う歌謡ショウの台本をお願いに行く場面から始まります。
金田先生が客席の間を歩きながら、東京の文化や風流について語るうちに、観客は太正帝都の世界へ引き込まれていく。大掛かりな舞台セットなどなくても、語りと効果音だけで観客は脳裏に広がる景色を感じることができる。人の想像力を活用する演出には、観客をより舞台にのめり込ませる効果があるのかもしれません。
例によって、椿のお願いには弱い金田先生は、今回も安い原稿料で働かされる羽目に。
『サクラ大戦』はゲームが原作ですが、ダンディ団は歌謡ショウオリジナルキャラクターで、ゲームには登場しません。そこで今回、物語にゲームのようなルート分岐が作られました。
2択のどちらに進むかを、観客の拍手の大きさで決めるというもので、この回の選択は「ボスがビールを飲む」と「ベロが激辛カレーを食べる」。
結果は案の定、ベロの激辛カレーに決まります。
大神隊長(演/陶山章央さん)が「地獄のカレー」という、名前からしてヤバそうなカレーを持って登場。覚悟を決めたベロがひと口食べるや悶絶します。
しかし、味というのは観ている人にはなかなか伝わらないもの。大袈裟に辛そうにしてるだけと思われないよう、客席に降りたベロが最前列の男性客にもひと口。そのリアクションをもって、辛さがガチであることを証明します。その上で一気に平らげるベロの姿に、観客も拍手喝采を贈りました。
完食後はなかなか喋れず、「舌が回らないんだよ!」とキレるベロですが、客席で観ている広井氏から「いつもじゃん!」とヤジられ、「それは俺もわかってます!」と返すアドリブに笑いが巻き起こっていました。
食べ物ネタはまだ続きます。台本作業を進める金田先生のもとへ、お土産を持って陣中見舞いに来た大神隊長ですが、次から次へと寿司を食べさせられ、最後は巨大おにぎりまで。これを頬張って、もごもごとセリフを喋る大神隊長の、何を言ってるのかわからないポンコツぶりが笑いを誘います。
そしてここから金田先生のつぶやきが次々と具現化する、おなじみの妄想コーナーへ!
「サクラ大戦歌謡ショウ」では、20世紀初頭の日本および世界各地の文化を、登場人物の生い立ちを介して紹介するという手法がしばしば取られてきました。
今回それを担当したのが、フラメンコ太郎。幼少のころスペインに移住した彼は、内戦とリベラ将軍の軍事独裁政権下で、フラメンコが上演される飲食店カフェ・カンタンテが次々と破壊されるのを目の当たりにし、戦争を憎悪。その心の内を、フラメンコに乗せて表現します。
しかし、あまりにも重くなり過ぎた話にベロが介入。空気をガラリと換え、明るく楽しいフラメンココーナーへ。
あえて何も言わず、観客に手拍子だけリクエストするフラメンコ太郎。それに対し、『続・花咲く男たち』でフラメンコ太郎からフラメンコ独特の12拍子のリズム「トーマッサイ、トーマッサイ、トーマイ、トーマイ、ト!」をレクチャーされていた観客は、その手拍子を送ってフラメンコ太郎を大感激させます。
フラメンコ太郎「ほんとにすごい! スペインでは観客とこれ、できないですからね!」
カンナ登場! ケタ違いのエンターテイナーぶり!
この回のゲストは桐島カンナ(演/田中真弓さん)。ベロとの掛け合いでは、ダンディ商会の懐事情を気にしたカンナがベロに「ほんのちょっとだよ」と言いつつ金一封を渡すという、正真正銘のサプライズが! ベロも「これ、ほんとに!?」と心底驚き、ひれ伏してカンナに感謝します。
前回のゲスト出演時に「あたいが出資しようか?」と冗談紛れに話していましたが、有言実行とは、さすがカンナです。
その後も台本なき掛け合いが続きますが、客席を廻ってなかなかステージに上がろうとしないカンナに、ベロが「そろそろ行っても……」と水を向けるものの、「あそこ上がったら1曲歌って帰るんだろ!? 上がんないよ!」と断固拒否。さらに客席の奥のほうまで廻って観客いじりを始めたため、観客も大喜びです。
第1部終了後の休憩ショウタイム名物、ジャグリング。掛け声と共に大神隊長、カンナと入場してきますが、その後ろからアイリスも付いてきたため客席は大パニック! 完全なサプライズゲストです。
大神隊長曰く、これからの歌謡ショウでは大道芸を強化していくとのことで、ジャグリングの技を披露! 高難度の技が続出しました。
一流の技を持つ舞台人たちによる極上のショウタイム!
第2部は歌とダンスの歌謡ショウ。ノンストップで最後まで駆け抜けます。
1曲目の「イッツ・ショウタイム」は、新たな試みとして曲中にショウタイムを入れました。サニー、ダンディ・ボス、ベロの3人が華麗にタップダンスを、フラメンコ太郎が激しいステップを踏んで観客を沸かせます。
一流の舞台人たちが技を競うショウタイムは、本物のスキルがあれば劇場の規模も豪華な美術も関係なく、極上のステージが出来上がることを証明しています。
千秋楽はさくら登場で浅草に花が咲く!
前日体調を崩した西村のアニキも復活! 千秋楽は無礼講というのがサクラ大戦歌謡ショウの伝統であるため、突然のアドリブや、誰がどこにネタを仕込んでくるかわからないスリルも見どころです。
台本執筆中の金田先生のもとを訪れ、次々と寿司を勧められる大神隊長は、ほとんどロシアンルーレット状態。案の定、ワサビがきついものがあったようで、激辛カレーに続いてリアクションで笑わせます。
浅草の商売繁盛の神様「待乳山聖天(まつちやましょうでん)」を話題にしながら、西村のアニキと真宮寺さくら(演/横山智佐さん)が登場。
客席を巡っていると、ベロが現れ「あれ、こんなところにマイクが」。間髪入れず「歌います」とマイクを受け取ったさくらのテンポの良さに、笑いが起こります。前日の逃げ回ったカンナといい、マイクを受け取るだけでもキャラクターの個性が見え、笑いが生まれる。これが20年積み上げた舞台の力なのでしょう。
[取材・文/帝劇スタ夫]
公演情報
ダンディ商会プロデュース公演
サクラ大戦歌謡ショウより~『夢見る男たち』
日時:2019年4月27日~29日
場所:赤坂・草月ホール
OSK日本歌劇団
レビュー in Kyoto SUMMER SPECIAL第一部 にて
『歌劇 海神別荘』
原作:泉鏡花 作・構成:広井王子 楽曲協力:サクラ大戦より
あの“サクラ大戦歌謡ショウ”で上演された「海神別荘」が、広井王子氏の作・構成により「歌劇」として京都・南座の舞台で今再び花開きます!
松竹歌劇団の姉妹劇団「OSK日本歌劇団」の2019年7月公演にて、「サクラ大戦歌謡ショウ5周年記念公演」で上演された泉鏡花原作の『海神別荘』を広井氏の手により再構築し、「歌劇」として上演することが決定しました。
本公演は、2018年11月に新開場となる京都四條・南座限定で上演される作品です。美しく生まれ変わった大劇場で、かつてファンを魅了した数々の名曲がOSKの歌とダンスによって繰り広げられる華やかな歌劇の舞台を、ぜひお見逃しなく!
【公演概要】
2019年7月
「OSK日本歌劇団 レビュー in Kyoto SUMMER SPECIAL」
第一部『歌劇・海神別荘』 原作:泉鏡花 作・構成:広井王子 楽曲協力:サクラ大戦より
第二部<演目選定中> 歌とダンスで魅せる本格レビューを上演します!
主催・製作:松竹株式会社
場所:京都四條 南座 京都市東山区四条大橋東詰
【南座ホームページ】
【本公演公式サイト】
【公式Twitter】
【広井王子氏 コメント】
昨年末に松竹様ならびに南座様よりOSKレビュー新演目を作って欲しいとのご依頼がありました。それからお打ち合わせを重ね、このたび『歌劇・海神別荘』に決定させて頂きました。
思い返せば、泉鏡花先生の台本をレビュー仕立てにアレンジしたのが2001年<サクラ大戦・歌謡ショウ5周年記念「海神別荘」>でございました。あれから17年、新たにOSKの歌劇として仕立て直しまして、2019年夏『歌劇・海神別荘』としてお披露目致します。
子供のころに見たレビューの華やかさがいまでも目に焼き付いています。いまこうして、関係者のみなさまからご推薦を頂き、OSKのみなさんに台本を書けること、とても嬉しく思っています。
――最初から「『サクラ大戦歌謡ショウ』の演目で」という話だったのでしょうか?
僕と組む以上は『サクラ』がいいんじゃないかという話になって、「『海神別荘』はいかがですか?」という話をしました。
――「楽曲協力:サクラ大戦より」とありますが、『サクラ』の曲を使うわけですか?
はい。ただ、公平先生の曲だけじゃ足りないので、新曲を用意することになります。美しいレビュウにしようと思います。
ダンディ商会団員研究生募集要項
ついにダンディ商会が、明日のショウを担う団員研究生の募集を始めます! 優秀な団員は、2019年から舞台に出演!
【募集要項】
年齢16歳以上。経歴不問。男女問わず、新しいショウを目指す方。
【レッスン】
毎週土曜日2レッスンずつ(基本8レッスン/月)
(レッスン回数、内容は月により変動あり)
芝居、ダンス、歌、現代殺陣、時代殺陣、マット、現場研修、ほか特別レッスン
【講師】
園岡新太郎・西村陽一・Velo武田・螢雪次朗・Kagari ほか特別講師多数
【月謝】
月20,000円(半年分ごとの支払い)
【期間】
2018年11月~2019年10月
レッスン期間中、また期間終了後も、個々の可能性に添い、舞台出演やその他希望により、随時面接等を行いながら、夢を現実的に考えていきます。
ダンディ商会、講師、スタッフ共に総力をあげて、個々の将来と親身に向き合い、しっかりと育成します。
優秀者は2019年4月「夢見る男たち」(草月ホール)から、運営助手、演出サポート、舞台出演に抜擢します。
【第1次審査】
履歴書またはプロフィールに志望動機を明記の上、写真2枚(全身、バストアップ)を同封して下記まで郵送。
〒105-0013
東京都港区浜松町1-1-10 立川ビル203
ダンディ商会 団員研究生 係
締切
2018年10月5日(必着)
【スケジュール】
2018年10月21日 第2次審査予定(面談) ※審査料3,000円。ほか詳細は第1次審査通過者に通知。
2018年11月10日 入所式、レッスン開始。
【問い合わせ】
cs@dandy-shokai.com
>>サクラ大戦ドットコム
>>ダンディ商会(公式)Twitter (@dandyshokai)