映画『スモールフット』ストーンキーパー役・立木文彦さんインタビュー|“どうしちゃったの!?”って思われるくらい振り切ったことをやりたい【連載第2回】
『ミニオンズ』『怪盗グルー』シリーズを手掛けたスタッフが贈る映画『スモールフット』の全国公開が、いよいよ2018年10月12日より始まります。
ミーゴ役を『ドラえもん』ジャイアン役でおなじみの木村昴さん、パーシー役を宮野真守さん、ヒロインのミーチー役を早見沙織さん、イエティたちの村の最長老・ストーンキーパー役を立木文彦さんが担当します。
アニメイトタイムズでは、吹替え版声優陣へ行った連続インタビューを掲載中です。
今回は、ストーンキーパー役、立木文彦さんのインタビューをお届け!
本作の魅力や見どころはもちろん、ラップに初挑戦したときの苦労や、ストーンキーパーの役どころについて語っていただきました!
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●映画『スモールフット』ミーゴ役・木村昴さんインタビュー【連載第1回】
ストーンキーパーは威厳とユニークさを兼ね備えたキャラクター
──まずは、ストーンキーパーというキャラクターの第一印象を教えてください。
立木文彦さん(以下、立木):あらかじめ主人公・ミーゴに関わる重要な人物だということが分かっていたので、真剣に演じないといけないと思っていました。台本と映像を同時期に目を通したのですが、自分が思っていた以上に完成度の高い作品だったのが印象的でしたね。
すごくエンターテインメント性の高いアニメ作品ですし、楽しいだけじゃなく、テーマもあります。脚本もセリフも素晴らしく、観ていて温かい気持ちになれました。それぞれのキャラクターにもきちんと見せ場があり、設定が余すところなく活かされている感じがしました。
──確かに、観客側にも考えさせてくれる部分があります。立木さんは台本を読んで、どのような演技をしようと考えましたか?
立木:ストーンキーパーは村の伝統を守りつつ、住人を統率していく長老の役割を持ちます。
長老というと、どうしてもヨボヨボなお爺さんのイメージが付いちゃうんですけど……(笑)。ストーンキーパーはとてもアグレッシブで、ユーモアを持って皆を統率していく役割があるので、“ヨボヨボ感”を出さないようにしましたね。
声のトーンをどうするかというよりも、作品内のストーンキーパーの動きを重視する役作りを心掛けました。
──村長としての威厳を保ちつつ、ユーモアも出さないといけないというバランスは難しかったのではないでしょうか?
立木:確かにそうですね。常にドッシリ構えているというわけではなく、ミーゴに対しては考えを表に出したりとか。
一方、村の人たちに対してはユーモア溢れる、愛されるキャラでいなければいけない。とても威圧的な部分と、ざっくばらんでフランクな部分が混在しているという、今まで出会ったことがない役でした。
──ストーリーの中で、特に印象的だったシーンを教えてください。
立木:一番はラップを通して昔の話や村の掟をミーゴに教えるシーンですね。あとは、娘のミーチーに対して父親らしい感じを出たりとか。
──お気に入りのキャラクターは誰でしょうか?
立木:やっぱり宮野くんがやっているパーシーは印象に残るし、軽さ加減がすごくいいキャラクターですよね(笑)。抜けているところもあって、みんなから愛されるキャラだと思います。
全体的に、登場キャラクター全てに魅力を感じる映画だったような気がしますね。
立木さんの汗と涙(!?)の結晶を見逃すな!
──ラップを歌うという話を聞いた時に、どのような印象を受けましたか?
立木:ラップをやるのは人生で初めてだったんです。最初は「セリフがラップなんだ」というくらいの印象だったんですね。やってみると、自分の中で思っていた10倍ぐらい大変で……。ゲームで言うと、レベルがゲージを振り切っているぐらいですよ(笑)。
ゆったりめのラップですが、そのぶん、言葉を込めないといけない。脚本から音楽から、言葉の意味を噛み砕いて伝えている感じがしましたね。
──ラップの練習というのは、どのようなものだったのでしょうか?
立木:練習はもちろん必要でしたが、本番で学んだことの方が多かったです。実際にラッパーの方にラップのエッセンスをいただきながら、聴いた後はすぐやるみたいな感じだったんですよ。
一番重要となるラップの部分がどういう風に伝わるか分からないですけど、自分自身はかなり力を入れて。汗と涙の結晶と言えるくらいラップをしたので、この夏の思い出になりました(笑)。
──吹き替えならではの難しさはありましたか?
立木:イエティは人と比べて体が何倍も大きなキャラクターなので、当然ながら口も大きいんですよ(笑)。なので、自分のラップが口の動きとちゃんと合ってないといけない。そういった作業はなかなかやらないですし、難しかったです。
ラップをやっていくうちに、途中から歌詞に魂が入ってくるんです。熱を込めて収録をしたので、あとはお客さんにどう捉えてもらえるかですね。「日本語版で良かった」と思ってもらえたら嬉しいです。
──立木さんがラップをやると決まった時の、周囲の反応はいかがでしたか?
立木:期待されましたね(笑)。言葉を表現する職業の自分が、ラップを通した時にどんな風になるか、楽しみにしてくれているのだと思います。自分自身でどこまでできたかどうか、ちょっと分かんないですけど、かなりの熱量を持ってやらせてもらいました。
ラップ教室に初めて通った第1期生みたいな気持ちです(笑)。
ラップ初心者なんだけど、映画の役割的にはストーンキーパーという村の長ですから。そこはもう、初心者っぽさなんか微塵も感じさせたくない。いろんな意味で、これが役を演じるという醍醐味だと思います。
立木さんの新たなる挑戦とは?
──本作の主人公・パーシーは様々なことに挑戦をして行きますが、立木さんはこれから挑戦していきたいことはありますか?
立木:意外と好奇心が旺盛で、何年かに1つ、挑戦したいことが自分の中で出てくるんですよ。例えば、語りながらダンスをするとか。
──えっ!?
立木:例えばですよ!(笑) この仕事をベースにして、何か違うアプローチをしたいんです。「え!? そんなことやるなんて、どうしちゃったの!?」って思われるぐらい、振り切ったことをやりたい。
例えばダンスとか今回のラップとか、そういうものに挑戦したいというのがあります。
──その原動力はどこからくるのでしょうか?
立木:いろんなことを仕事でやらせていただいているので、新しい部分はなかなか出てこないんですよ。だから、自分で新しいものをミックスしつつ、トライしていきたいと思いますね。
──今までにない分野を自分で作っていくということですか?
立木:オリジナリティを自分で作っていければいいなと思います。ある意味、声の仕事はプロとしてやっているんだけど、日々勉強という感じがあるんですよ。
それはそれで目一杯やっているので、それぐらいのことをやるとしたら、例えば三線をやったりとか、自分がこれまでやったことがないものをやりたいですね。
──なるほど。確かに、立木さんが三線をやっている姿は見てみたいです。
立木:こう見えて、意外と影響されやすいタイプなんですよ。何かの達人の映像を観た時に、「これやってみたい!」と思う方なんです。エンターテイメントに関するものだったら、何でもやってみたい感じ。
だから、一番いい例えで言うとダンスとかね。そういう新しいものを追求したいと、最近になって特に思いますね。
今回のラップもそうなんですけど、今までにやったことがないものをやらせてもらう機会があるので、それは真摯(しんし)に受け取って、自分が持っている100%以上のものを出していきたいと常に思っています。
──最後に、本作を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
立木:『スモールフット』は非常に楽しくてワクワクする映画でありながら、メッセージがたくさん込められた作品です。老若男女問わず、小さいお子様からお年寄りまで皆さんが観て楽しめる映画なので、末長くこの映画を愛してもらいたいなと思います。
そんなに長い作品ではないので、最初から最後までじっくりと、一瞬一瞬見逃さずに観ていただきたいと思います。音楽も演技も含め、とても素晴らしい作品です。観た感想をお友達なり親戚なりに、ぜひ伝えていただきたいと思います!
──ありがとうございました。
[取材・文・写真/島中一郎]
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●映画『スモールフット』ミーゴ役・木村昴さんインタビュー【連載第1回】
公開情報
<STORY>
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人里離れた雪深い山頂に住む、おっちょこちょいだけど心優しきイエティのミーゴ。ある日、偶然にも伝説のスモールフット(人間)と出会うが、この話を誰も信じてくれない。しかし同じ村に住むミーチーの「雲の下には不思議な世界が広がっている」という言葉を信じ伝説のスモールフットを探す冒険の旅に出る。そして、出会った人間のパーシー。この出会いがイエティと人間を巻き込む大騒動を巻き起こす―!
◆タイトル:『スモールフット』
公開:10月12日(金) 新宿ピカデリー他 ロードショー! ※US公開9月28日(金)
監督:キャリー・カークパトリック、製作:ボニー・ラドフォード、グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
製作総指揮:ニコラス・ストーラー、フィル・ロード、クリストファー・ミラー、ジャレッド・スターン、セルジオ・パブロス、キャリー・カークパトリック
キャスト:チャニング・テイタム、ジェームズ・コーデン、ゼンデイヤ、コモン、レブロン・ジェームズ ほか
吹き替えキャスト:木村昴(ミーゴ)、宮野真守(パーシー)、早見沙織(ミーチー)、立木文彦(ストーンキーパー) ほか
エンドソング:ナイル・ホーラン「Finally Free」
配給:ワーナー・ブラザース映画