『賭ケグルイ××』早見沙織×沢城みゆきインタビュー|蛇喰夢子と桃喰綺羅莉の本質的な違いとは?
1月より放送開始となるTVアニメ『賭ケグルイ××』。舞台は、良家の子女が集う名門、私立百花王学園。ギャンブルで支配されたこの学園の頂点に君臨するのは、弱者の人生を支配し政財界にすら影響力を持つ生徒会でした。
『賭ケグルイ××』では、生徒会長の桃喰綺羅莉(ももばみ・きらり)が生徒会の解散・総選挙を宣言。ギャンブルでやり取りされる対象が金から票になり、誰しもが平等に生徒会長の座を目指せる生徒会長選挙編がスタートします。本作の主人公、蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)とその仲間は、この選挙においてどんな勝負に臨んでいくのか。前シリーズ以上に熱い勝負が繰り広げられます。
アニメイトタイムズでは『賭ケグルイ××』の放送開始を記念し、蛇喰夢子役の早見沙織さんと、桃喰綺羅莉役の沢城みゆきさんにインタビューを実施。それぞれが演じる夢子と綺羅莉をどのように考察しているのか、そして第2期の注目ポイントについて詳しくお伺いしました。
“高校生”…なんですよ…(笑)。
ーー夢子も綺羅莉も“底の見えない”キャラクターという印象ですが、これまで演じてこられて見えてきたものや印象の変化はありますか?
早見:第2期も現在中盤までアフレコしていますが、夢子の“底”まではまだ全然辿り着いていない感じがします。
沢城:そういう意味で綺羅莉は夢子とは対照的に「これ以上でも以下でもない」というか。変な言い方ですが、“底が見えない”という裏表のない状態で君臨しているんですよね。
「この人は不可侵」という印象は変わらないし、おそらく彼女は「私をドキドキさせて」という一貫した自己中心的な想いによって動いているだけで。割とわかりやすい人物だと思います。
夢子の方が「一体この子は何者なんだろう?」というものが小出しになっていて、第2期では「百喰一族に名を連ねる…?」ということがわかってきて気になるキャラクターですよね。
ーー確かにそうですね。早見さんは夢子を演じるうえで心掛けられていることはありますか?
早見:原作にもあるシーンなのですが、今日収録する回で夢子が“良心の呵責を覚えないことに呵責を覚える”んです。
それに反応してきたある人に対しても「あなたの心の中には残酷で非情なものに対する想いがあるのですか?」と尋ねていて。
第1期の夢子は「賭け事が楽しい!」という感情でずっときていたのですが、第2期ではそこから一層剥がれた面が見えてきて。
「もしかして夢子にもこういう一面があるの?」という部分をどれくらい滲み出していいのかを考えています。
沢城:その話を聞くと、意外と夢子もシンプルというか。冷酷で狡猾な本心があるのを「そうじゃないんです〜」と演じているのか、「賭け事が大好き!」というだけで何もないのか。どちらなんだろうね?
早見:それが全然わからないんですけど、私の中で第2期の夢子は「昔のお風呂を追い炊きをしてくれる人」みたいなイメージで。
第1期では油を自分に掛けて発火していたんですけど、第2期では周りに火種がたくさんあって、それを「いいぞ!」と後押ししていて。その感じ方は人それぞれなので、ぜひ本編を見て頂きたいですね。
ーー対して綺羅莉は“ラスボス感”の印象が強いですよね。
沢城:“高校生”…なんですよ…(笑)。
早見:アフレコ現場でよく出るキーワード、“高校生”(笑)。
沢城:同い年組のキャストと一緒に「高校生、高校生…」とお互いに言い聞かせていて(笑)。役柄はラスボス感があるんですけど、高校生という部分を忘れないようにしながら、“ラスボスではない感”を大事にしています。
綺羅莉はラスボスとして君臨しているというより、「私をドキドキさせてくれる人いないかな?」と、単純にそういう友達のような存在を探しているだけで。
その根本のシンプルさを大切にやっているつもりだったんですけど、「それを真っ直ぐに表現してしまうと綺羅莉ではなくなってしまうから、そこはかとなく匂うドヤッとしたラスボス感を出して欲しい」という演出が入って。
外側から撮ったカメラに映っている彼女はラスボスだけど、私が演じている時は“ただ友達を探している子”というイメージでやっていて。
ブレンドの塩梅を間違えると、ただの奔放な子か、ただのラスボスになってしまうので、そのバランスが難しいんです。
夢子と綺羅莉の本質的な違い
ーー夢子も綺羅莉も“純粋なギャンブル狂”という点では類似しているように見えますが、お二人から見て両者に違いを感じることはありますか?
沢城:夢子は一人でも楽しめるタイプなんですよ。でも綺羅莉は、誰かが居ないと人生が楽しめないタイプで。そこが強烈に違う部分だなと思います。
夢子は賭け事が好きなんだけど、相手がいるようでいないというか。「スリルを味わえればいい」というタイプで。対して綺羅莉は自分一人で人生を楽しむことができないタイプなのかなと。
まだ検証していないので何とも言えないんですけど、学園の制度を作っているという時点で、たくさんの人がいないと存在が成立しない感じがあって。
早見:面白い!確かに夢子と綺羅莉の目には見えないスピリットを色で表したときに、似ているようで全然違う発色になる可能性はあるのかなと思います。
沢城:全然違う人種だけど、同レベル感みたいなものがお互いをワクワクさせているというか。
早見:「楽しい」と感じるところは近いのかもしれないですね。
沢城:強いもの同士の「あいつは私を楽しませてくれる」という想いが共通認識としてあるけれど、本質では随分と違っているのかなと。
私、すごく綺羅莉が脆かったらどうしよう…と思って。はたと何かに気がついて「私が作り上げた学園は蜃気楼だったわ」とか言い出しそうで。
早見:言うかもしれないですね。その可能性がある人なんですよね。
沢城:もしくはそれに既に気づいた上で、もう現世でやることがないから人生の暇つぶしとしてやっているだけなのか。脆かった場合、自分のことを立て直せるのかと思ってしまって。
早見:「実は脆い人なのかも」と想像させる余地がある人なんですよね。キャラクタービジュアルでも、夢子は赤色なのに対して、綺羅莉は青色に塗られていて。氷のような薄さというか。
沢城:青色の中にある冷酷さだけではない、脆さにつながる何かがあって。
早見:「明日この学校を閉鎖します」とか簡単に言いそうですよね(笑)。
ーー(笑)。そんな夢子や綺羅莉と関係の深い「百喰一族」のキャラクターが第2期では多数登場しますが、特に気になる人物はいますか?
沢城:みんな名前が面白いけど、骨喰(ほねばみ)ミラスラーヴァが特に気になっています(笑)。
早見:でも人柄的にはミラスラーヴァさんとは仲良くなれそうな感じがしませんか?
沢城:どうかな…。そんなわけ、ないんじゃないかな…(笑)。
早見:(笑)。あとは石田彰さんと細谷佳正さんが演じている尾喰(おばみ)家も強そう。
沢城:キャスト的にも濃いよね。
早見:尾喰凜さんは綺羅莉さんをビックリさせていましたよね。
沢城:そうそう!もしかしたら綺羅莉以上に策士なのか…。だって石田彰さんだもの(笑)。石田さんの演じるザコキャラなんて見たことがないし。
早見:強くないわけがない(笑)。楽しみなところですよね。あとはアニメオリジナルキャラクターの×喰零(ばつばみ・れい)さんも夢子の過去の出来事に関わっていそうで気になっています。
沢城:そこが拗れると楽しいよね。
ーー百喰一族のキャラクターはキャスト陣も本当に豪華ですよね。アフレコ現場はどんな雰囲気ですか?
早見:人が増えて、空気が変わりましたね。
沢城:第1期では一人ずつ増えていったんですけど、今では違う作品くらいに印象が変わりましたね。
キャストも若手でという感じだったのが、第2期では力のある人たちが静かにやってきて、静かに激しく戦い、やりきって去っていくという(笑)。
早見:静かな出入りが行われている感じで(笑)。
沢城:百喰一族って一般層ではないから、戦いの質が違うというか。
早見:想像する戦いではないですからね。「これでいいのだろうか…」と思うときもあります。
沢城:第1期のキャラクターたちはみんな可愛かったんですけど、百喰一族はそうじゃないんですよね。
早見:まるで千手観音像のように、仏の顔をした人たちがあらゆる手を駆使してくる感じで。
沢城:“仏の静けさ”みたいなものはどこかにあるよね。
早見:“高校生”なのにすごい…(笑)。
ーー(笑)。最後に放送を楽しみにされている『賭ケグルイ』ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
早見:第1期からさらにパワーアップした第2期が皆さまのお目元に届くと思います。新しいキャラクターもたくさん登場して、どんな戦いが繰り広げられるのか。
その中で前期から登場しているキャラクターたちがどんな行動を取るのかにも注目して頂ければと思います。ぜひ楽しんでください!
沢城:パワーアップしたとしか言いようがないものが始まります。第1期では華々しく、異常な快楽の世界が描かれましたが、第2期ではどこか静かに、けれどより業深く知力を尽くす戦いに突入しているように感じます。
クレイジーに加速していく、賭ケグルイ!ぜひ最後までご併走頂ければと思います。
ーー素敵なお話をありがとうございました!
インタビュー・文:吉野庫之介
TVアニメ「賭ケグルイ××」概要
■ON AIR
2019年1月より放送開始!
【MBS】1月8日より毎週火曜26:30~
【TOKYO MX】1月13日より毎週日曜23:30~
【テレビ愛知】1月9日より毎週水曜27:05~
【RKB毎日放送】1月13日より毎週日曜26:25~
【BS日テレ】1月13日より毎週日曜23:30~
【NETFLIX】1月10日より毎週木曜配信開始
※ 放送日時は変更になる可能性がございます。
■STAFF
原作:河本ほむら・尚村 透
(掲載 月刊「ガンガンJOKER」 スクウェア・エニックス刊)
監督:林 祐一郎/松田 清
シリーズ構成:小林靖子
キャラクターデザイン:秋田 学
美術監督:松田春香
色彩設計:末永絢子
CGディレクター:奥納 基
撮影監督:柳田貴志
編集:武宮むつみ
音響監督:藤田亜紀子
音響制作:HALF H・P STUDIO
音楽:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
制作:MAPPA
■キャスト情報
蛇喰夢子:早見沙織
早乙女芽亜里:田中美海
鈴井涼太:徳武竜也
皇 伊月:若井友希
西洞院百合子:奈波果林
生志摩 妄:伊瀬茉莉也
夢見弖ユメミ:芹澤 優
豆生田 楓:杉田智和
黄泉月るな:鵜殿麻由
五十嵐清華:福原綾香
桃喰綺羅莉・桃喰リリカ:沢城みゆき
等々喰定楽乃:潘 めぐみ
等々喰ユミ:井上遥乃
蟲喰恵利美:竹達彩奈
陰喰三欲:内山夕実
陽喰三理:大久保瑠美
和楽喰淑光:高垣彩陽
狛喰 希:北原沙弥香
骨喰ミラスラーヴァ:斎賀みつき
尾喰 茨:細谷佳正
尾喰 凜:石田 彰
×喰 零:朴 璐美