「大人になった時にもう一度見て欲しい」映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』公開記念押田岳さん×大幡しえりさんインタビュー
平成仮面ライダー20作記念作品であり、平成を締めくくるヒーローとして誕生した『仮面ライダージオウ』が銀幕に登場する。2018年12月22日から全国の映画館で公開される映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』。
「時代は終わる。すべてがはじまる。」という印象的なキャッチコピーだけではなく、「仮面ライダーは虚構の存在だった」という衝撃のメッセージが予告動画で飛び出すなど、最新作映画に相応しい冬の刺激が目前に迫ってきた。
今回、同作の公開に先駆け『仮面ライダージオウ』で明光院 ゲイツ / 仮面ライダーゲイツを演じる押田岳さんとヒロイン・ツクヨミを演じる大幡しえりさんにインタビューを実施した。
50年後の未来から過去を変えるために一歩を踏み出したタイムトラベラーを演じる2人は『仮面ライダージオウ』を通じて、どのような変化があったのか。また、未来の世界から来た2人はどんな心境でゲイツとツクヨミを演じているのか。平成仮面ライダーを締めくくる本作に懸ける意気込みに迫る。
充実した現場で役者として成長した半年
――『仮面ライダージオウ』の撮影がスタートして約半年が過ぎました。ここまでゲイツ、ツクヨミを演じてみて、周りの環境やご自身が変化したことはありますか?
押田岳さん(以下、押田):僕ってすごく緊張しちゃうタイプなんですよ。ジオウがはじまった時は、いつも以上に緊張した状態でクランクインしました。ただ、流石に撮影がはじまって半年が経つと、いい意味で慣れてきたと思っています。自分のやりたいことができるようになってきたというか。今、すごく演技が楽しいんですよ。
大幡しえりさん(以下、大幡):いい変化だね!
押田:そうだね(笑)。ジオウがはじまってから自由時間が以前と比べれば凄く減ったんですけど、映画を見に行ったり筋トレをし始めたりと、逆に色々動くようになって。ジオウを通じて精神面と行動力が少しは成長したんじゃないかなって思いますね。
大幡:私も見習わなくちゃ(笑)。私はそんなに変わっていない気がしますね。ジオウみたいな大きな仕事が決まっても自分は自分というか。周りの環境についてもそんなに実感がないんです。現場に行ってお芝居をする毎日。お休みの日は1人で過ごすことが増えましたね。
今でも人と一緒に過ごすことは楽しいんですけど、自分1人の時間が必要なんだなって。ジオウがはじまってからなんですよ。1人で映画を見に行けるようになったの。
ご報告。
— 押田岳 (@gaku_oshida) 2018年8月7日
この度、9/2放送開始の新仮面ライダー、「仮面ライダージオウ」への出演が決定致しました。
仮面ライダーゲイツとして、世界の平和を守ります!#仮面ライダージオウ #ジオウ #仮面ライダーゲイツ #仮面ライダー #明光院ゲイツ #押田岳 #公式アカウントにあやかって #しめはやっぱり #ジオ pic.twitter.com/9LRsRKy8C0
――ツクヨミを演じる上で自分と向き合う時間の必要性を感じたということですか?
大幡:自分と向き合うっていうほど大それたものではないですよ(笑)。1人でいる時間を大切にしたいなという心境の変化ですね。
――『仮面ライダージオウ』がはじまったことで、お二人の内面も変化してきているということですね。では、実際に『仮面ライダージオウ』のお仕事、現場についてお二人はどのように感じていますか?
押田:僕は他の現場をあまり知らないので、今感じていることでお話しますね。すごくバランスの取れた現場だと僕は思っています。厳しい面と優しい面が上手く調和しているというか。ジオウに出ている僕たち4人(奥野壮さん、押田岳さん、大幡しえりさん、渡邊圭祐さん)って、芝居に関してはあまり経験がないメンバーなんですよ。
それを理解した上で監督やスタッフさんが、僕たちの演技をどう引き出していこうか?という考えを持ってくださっていて。僕たちが芝居に集中できる環境を整えてくださっている素敵な現場だなと。
その分、ゲイツをしっかり演じることで、返していかなきゃなと思えるというか。役者と制作陣の気持ちが一方通行ではなく、双方でシナジーを生んでいる現場だと僕は感じますね。
――平成最後の仮面ライダーということで、構えているな?みたいに感じたことはなかったですか?
押田:いや。そんなことはなかったと思いますよ。
大幡:仮面ライダーの撮影をご経験されている方が多いので、慣れている感じはしましたけど、平成最後ということで構えている印象はなかったと思いますね。
押田:いつものごとく、いいものを作ろう。そういった気持ちはヒシヒシと伝わってきます。
大幡:私、クランクインの前はとても厳しいイメージがあったんですよ。また、撮影期間も1年という長期間。こんなに長い期間撮影ができるお仕事って殆ど無いですよね?多少の入れ替えはあっても、ほぼ同じスタッフの方々とご一緒させていただく貴重な機会なので、気合は入っていました。
半年が過ぎて、今でも演技指導で指摘が入ったりするのですが、いいコミュニケーションが取れるようなってきた実感があります。今はすごく居心地がいいんですよ。ジオウの現場って。お芝居だけに集中することができる、いい現場だなって思います。
押田:ちゃんと怒ってくれるのが嬉しいよね?心配なく自分の演技をぶつけられるというか。実際は怒られるの嫌なんですけどね(笑)。
大幡:(笑)。そうそう。ちゃんと良いものは良い。悪いことは悪いと指摘してくれるよね。
押田:そうだよね。1カット、1カットに妥協がないんですよ。「まぁ、これでいいだろう」みたいな。それが役者として演技をしている中でも安心できますよね。自分は納得される演技ができているんだなって思いますね。
「時代が戻る可能性もあるな」って(押田さん)
――ゲイツとツクヨミは2068年から過去へとわたったタイムトラベラーのレジスタンスです。お二人はこの設定についてどこまで聞いているんですか?
押田:実はゲイツとツクヨミの関係について、一緒に戦っていたということしか知らないんですよ。細かい設定は知らなくて。なので、知識としては皆さんとほぼ一緒ですよ。
オーマジオウという存在が現れて、世界が危機的状況になっている。その世界を変えるために戦う中の最後の手段として、2018年の世界に来たということしか聞いていないんです。色々と僕の中で勝手に妄想は広げていますけど(笑)。
大幡:EP15「バック・トゥ・2068」で2068年の世界にソウゴ(奥野壮さん)と一緒に行ったんですよ。そこで見た荒廃した世界は食料が問題になっていたり。私は結構衝撃を受けたんですね。2018年と比較したら料理とは呼べないようなものを食べていたので。
ツクヨミとしても私としても胸が苦しくなったんです。オーマジオウの手によって、ここまで世界が変えられてしまったんだなって。
⌚⌚明日の9時ジオ~⌚⌚
— 仮面ライダージオウ (@toei_rider_ZIO) 2018年12月15日
EP15「バック・トゥ・2068」は明日の午前9時放送予定!
2068…オーマジオウ編が始まるジオ〜。
「私こそ、最強最善の魔王」…こわいジオ…。https://t.co/FmnjKldfZ6#仮面ライダージオウ #オーマジオウ #ジオジオ #ディケイド #おのれディケイド pic.twitter.com/yyJhJqnazx
――『仮面ライダージオウ』を見ていて気づいたのですが、未来から来ている人物って皆髪が黒いんですよね。現代人のソウゴは茶髪なんですけど。
大幡:確かに!
押田:娯楽がないんだと思います。オーマジオウとの戦時中なので。髪の毛染めている場合じゃないんですよ。
――ちょっと個人的に聞いてみたかったのですが、現代は資本主義が軸になって世界が回っていますよね?ただ2068年の世界を変えたオーマジオウという独裁者は、共産主義の世界を作ろうとしているのかなと。押田さんの目線から見て、これからの50年どのような変化があると思いますか?
大幡:私はパス(笑)!
押田:難しいですね(笑)。僕の想像とプロデューサーの白倉さん(仮面ライダージオウプロデューサー 白倉伸一郎さん)が仰って下さったことをお話しますね。
僕をオーディションで初めて見た時に、白倉さんは昭和のイメージが浮かんだとお聞きしました。ゲイツは未来から過去に遡ってくるキャラクターなので、最初は「違う」と感じられたみたいで。
ただ、そこで思いつきがあったそうなんです。「逆に時代が戻る可能性もあるな」って。それで、キャスティングしてくださったそうなんです。
大幡:そうなんだ!
押田:これは、ゲイツを演じるに当たって大切にしていることでもあるのですが、2068年の世界でオーマジオウのような存在と戦っていると考えると、昭和っぽい人間がいてもいいのではないかって思うんです。
飄々(ひょうひょう)として、キラキラしているイケメン男子。何でも分かってるよ?未来人だから。ではなく、質実剛健に過酷な未来を生き抜いている青年。そんな気持ちでゲイツを演じています。
今ってネット社会なので文字や動画を通じて、すぐに情報が広がっていくじゃないですか?でも僕はもっと深いところというか、人間の気持ちのところでやり取りできるような時代に戻っていく気がしていますね。
大幡:すごいね(笑)。
――50年後は逆に人と人とのつながりが色濃くなる時代になる、と。勉強になります。ちなみに大幡さんのキャスティング背景についてもお聞きしてよろしいですか?
大幡:え!何にも聞いてないんですよ(笑)あははは!ただ、オーディションはとても印象に残っていますよ。演技プランとして考えていたツクヨミ像が、実際すごくハマっていたんですよね。オーディションでも自然に演じることができたというか。
その後、実際に台本を読んでみても私が考えいたツクヨミにすごく近くて。それで合格できたのかもしれませんね。キャスティング理由については、ちゃんと聞いたことないんですよ、本当に。私も聞いてみようかな(笑)。
普段と違うツクヨミに注目
――それでは今回の映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』についても聞かせて下さい。TVシリーズと並行しての撮影で苦労した点などあればお聞かせ下さい。
大幡:映画のツクヨミは記憶を失っているシーンがあるんですよ。そこで結構いつもとキャラが違うんですね?そこは少し苦労しました。TVシリーズのツクヨミが中々抜けなくて。
押田:メチャメチャ楽しそうに見えたよ(笑)。
大幡:そうかな?最後はもうオーバーにやりすぎちゃって。TVと映画でスタッフさんが違うんですよ。なので、カットが掛かった瞬間に「ツクヨミはこんなキャラじゃないですから!」って言っちゃいました。「ツクヨミのこと嫌いにならないで下さい!」って(笑)。
――そんなに激しく違うんですね(笑)。
大幡:そうなんです。ここは楽しみに見ていただきたいですね。
――『東映特撮ファンクラブ』で配信されている『仮面ライダージオウ 補完計画』でも少しキャラの違うツクヨミは登場していますよね?
大幡:補完計画はまだキャラを保っているので(笑)。映画はもっと凄いことになっていますよ?(押田さんを見ながら)補完計画はね?
押田:撮影してて楽しいよね(笑)。
大幡:そうだよね(笑)。
――個人的にTVのジオウを見た後に、補完計画を見るというのがセットになるくらいハマってます(笑)。
押田:ありがとうございます。補完計画は裏ネタが好きな人からしたらたまらないですよね。
大幡:コメディに見えて意外と大切な話も出てくるから色々と面白いよね。自分で見ても笑っちゃいます(笑)。
――すいません。話が逸れましたね。今作は平成仮面ライダーシリーズを締めくくるという意味合いも含まれています。押田さんと大幡さんが今作の台本を読んだ率直な感想をお聞かせ下さい。
押田:僕はTVシリーズだとゲイツが主人公のつもりで演じているんですよ。役として主役ではないことは理解しているんですよ。ただ、それくらいの気概で演じないとゲイツの芯の強さが表現できないんじゃないかな?と思っていて。
映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』に関しては、ソウゴと桐生戦兎(犬飼貴丈さん)、他の主役ライダーが中心にある映画なんじゃないかなって、台本を読んだ時に感じました。
なので、映画に関してはある意味サポート役に徹する気持ちで演じました。赤楚さん(万丈龍我役・赤楚衛二さん)と以前対談した際にお聞きしたんですが、「主役を引き立てる、支えるのが僕たちの役割」だと。
そういった先輩の役に対する考え方を受けて、僕も映画に関してはサポートに回るよう心がけましたね。
大幡:ツクヨミはTVシリーズだとソウゴたちに困惑させられるシーンが多いですよね?実はツクヨミって視聴者目線で物語を捉えているキャラクターなんですよ。
今回は記憶を無くしたりして、周囲を困惑させる側になっていたりするんです。視聴者と同じ目線ではなく、視聴者を困惑させる側に回ったなって思いました。
――取材にあたり台本を拝見させていただいたのですが、かなりミステリー色が強いストーリーになっていました。
大幡:すっごい難しいですよね。台本何度も読み直しましたもん(笑)。
押田:僕はテーマがとても素晴らしいと思っていて。平成最後の仮面ライダーの映画に「ヒーローのあり方」を問うという。後世に残る作品になると思いますね。
また、演出も凄いんですよ。映画の中に出てくるキャラクターが視聴者の目線でしゃべってるんじゃないかな?とか。
――これは劇場公開が楽しみです。今作では歴代の平成ライダーが総出演しますが、お二人がお好きな平成仮面ライダーについて聞かせて下さい。
押田:よく答えているのは『仮面ライダー剣』の仮面ライダーカリスと答えているんです。主役ライダーだと……仮面ライダーカブトですね。
やっぱりカッコいいですよね、カブト。僕、敵に繰り出すハイキックのライダーキックが大好きなんですよ(笑)。
大幡:私は仮面ライダー電王かな。仮面ライダーエグゼイドの大変身も好きです!
あなたのヒーローが再び活躍する瞬間
――ありがとうございます。では、最後に映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』を楽しみにしているこどもたちとこれまで平成仮面ライダーを応援してきた大人のファンに向けてメッセージをお願いします。
押田:子どもたちには、大人になった時にもう一度見て欲しいですね。たくさんの仮面ライダーが出る作品を等身大の目線で素直に楽しんでほしいんです。その子が大人に成長していく過程で「僕のヒーローは彼らだったな」って思い出してもらえればなと。そんな作品になっていると思います。
大人の方はそれぞれの「推しライダー」がいると思うんですよね。ご自身のヒーローが再び活躍するシーンを目に焼き付けていただきたいです。
大幡:子どもたちには、ジオウとビルドだけじゃなくて歴代の平成仮面ライダーも登場するので、「ジオウが好きで映画を見に行った結果、他にも好きなライダーができた」って思ってもらえると嬉しいです。
大人の方はですね。大好きだった仮面ライダーが登場するので、子どもの頃を思い出しつつ、とことん楽しんで下さいね。ストーリーもすごく面白いので、何度も映画館に見に来ていただけると嬉しいです!
――ありがとうございました!
[取材・文・撮影 川野優希]
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作品情報
『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』
12月22日(土) ROADSHOW出演者
奥野 壮 犬飼貴丈押田 岳 大幡しえり 渡邊圭祐/赤楚衛二 高田夏帆 武田航平 水上剣星
福崎那由他 斎藤汰鷹/大東駿介
声の出演
滝藤賢一 関 俊彦 遊佐浩二 てらそままさき 鈴村健一石丸謙二郎/生瀬勝久
平成仮面ライダー 劇場版18作品のディレクターズカット版 配信中
2001年公開の「仮面ライダーアギト PROJECT G4」から2012年公開の「仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦 アルティメイタム」まで18作品の“ディレクターズカット版”は、公開時に惜しくもカットされた未公開シーンやアクションシーンを追加・再編集した貴重な作品。今回は、初配信の10作品を含む18作品がラインアップ。劇場では観られないライダー達の勇姿を振り返り、劇場版をより楽しんでいただけます。期間:2019年6月10日(月)まで配信中
対象:ビデオパス見放題会員
「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」公式サイト
平成仮面ライダー20作品記念公式ツイッター(@HKR20_official)
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「仮面ライダービルド」公式ツイッター(@toei_riderBUILD)
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