TVアニメ『ドメスティックな彼女』八代拓さんインタビュー|ヒューマンドラマとしても楽しんで頂けるはず
2019年1月11日(金)から放送がスタートするTVアニメ『ドメスティックな彼女』(『ドメカノ』)。原作は、流石景先生が「週刊少年マガジン」で連載中の人気作。
小説家を目指す高校2年生の少年・藤井夏生と、瑠衣&陽菜の橘姉妹による禁断の三角関係を中心に、時に過激な恋愛模様を描いています。
アニメイトタイムズの『ドメカノ』放送直前企画第2弾では、夏生を演じる八代拓さんにインタビュー。夏生についてのお話の他、夏生が惹かれる二人のヒロイン、橘瑠衣(CV:内田真礼)と橘陽菜(CV:日笠陽子)に対する印象なども伺ってきました。
声優としてのいろいろな夢がある中で、その一つが叶ったくらいの嬉しさ
──最初に、八代さんが演じている藤井夏生というキャラクターの紹介をお願いします。
八代拓さん(以下、八代):夏生は中学までは冴えない男の子で。見た目もメガネに天然パーマだったり、性格的にも自分を前に出していくというよりは、内に秘めるようなタイプだったんです。
でも、高校生になってから友人(栗本文哉)の助けもあって、もう少し明るく積極的になろうと思うようになって。その結果、(橘)瑠衣と衝撃的な出会いを果たすところから物語が始まるんです。
その後も、夏生の人生は目まぐるしく変化していくので、そういう状況的には、正直、親近感はあまり湧かないかなと思います(笑)。
そのくらい衝撃的な展開も多いので。でも、夏生の性格や心の中に秘めている思いなどについては、作品を観てもらえたらきっと親近感を持ってもらえるはず。特に男性からは、そう感じてもらえる気がします。
──本当に夏生の立場になったら大変なのは分かるのですが、興味本位で、ちょっとなってみたい気もします(笑)。
八代:そうなんですよ。しんどいかもしれないけれど、「もし、自分が夏生の立場になったらどうなるんだろう……」という興味を駆り立てられるキャラクターです。
──原作コミックを最初に読んだには、オーディションの時ですか?
八代:はい。そうですね。
──では、まずは原作の感想や魅力を教えて下さい。
八代:流石先生が(第1巻の)あとがきにも書かれているのですが、「禁断」が一つのテーマになっていて。「先生と生徒」とか。「兄妹」とか。いろいろな段階を飛ばした関係とか。いろいろな「禁断」の要素が組み込まれているんです。
やっぱり「禁断」のお話って、シンプルにドキドキ、ハラハラするし。そのハードルがあればあるほど、思いが実った時や破れた時に感情が大きく動くものなんですよね。この作品では、そのことをいろんなシーンで感じることができるんです。
▼原作コミック
──オーディションの時、特に意識したことを教えて下さい。
八代:オーディションの時、僕の中にあった夏生像は、普段はあまり自分の意見をはっきりとは言わないけれど、いざ、言うときにはしっかり言う。表には出ないだけで、頭の中ではいろいろと考えているキャラクターというイメージだったんです。
でも、オーディションのセリフの中にですね……。この『ドメスティックな彼女』って、すごくセクシーなシーンがあるじゃないですか。
──いきなり、夏生と瑠衣のベッドシーンがあったりしますね。
八代:まさに、そのシーンのセリフがあったんです! オーディションで、いわゆるベッドシーンの吐息混じりなセリフがある作品は初めてで。そういう意味でも、非常に印象的なオーディションでした(笑)。『ドメスティックな彼女』らしいオーディションと言えば、そうなのかもしれませんね。
──オーディションを経て、夏生役に決まった際の感想を教えて下さい。
八代:今まで、恋愛がテーマになっているテレビシリーズの作品で、物語の中心にいる役をやったことがなかったので、決まった時には非常に嬉しかったですね。
元々、少年マンガのラブコメなども大好きだったので。声優としてのいろいろな夢がある中で、その中の一つが叶ったくらいの嬉しさがありました。
──初めてのラブコメ作品が非常に攻めた作品になりましたね(笑)。
八代:たしかに、そうなんですよね(笑)。夏生は非常に難しい役だと思いますし。期待と不安……と言うと言葉が安く聞こえるかもしれないのですが、まさにそういった感覚で。
夏生を演じられることが楽しみという気持ちと、三角関係の中で揺れる夏生の感情をしっかりと表現しなくてはという不安にも似た高揚感を感じました。
最初に、瑠衣と陽菜の声を聴いた時には、いちファンのような感覚で感動
──すでにアフレコはスタートしているそうですね。演じる中で、夏生のイメージやお芝居は変化しているのでしょうか?
八代:実は1話のアフレコよりも前に、僕と真礼さんと日笠さんの3人だけはテスト収録のような機会があったんです。まずは、そこで丁寧にディレクションをして頂きました。
先ほどもお話ししましたが、夏生って揺らぐ時には本当に揺らぐし、決められない時には全然決められないんですけれど、原作を読み進めていくと、「言わなきゃ!」って時に言えたり、行動すべき時に行動できたりという思い切りの良さを感じる場面も意外とあるんですね。
だから、テスト収録に臨む際、最初は感情の起伏を少しだけ大きめにしたお芝居を作って行ったんです。あまりにも内向的過ぎると、後々、思い切りの良い行動をする場面が来た時、説得力がなくなってしまうかなと思ったので。
でも、その時にスタッフさんから「もっと起伏は少なくて良いですよ」というディレクションを頂いたんですね。心の中で感情が動いていても、それを言葉にして伝えることに慣れてないキャラクターだから、というお話だったんです。
そのお話を聞いて、瑠衣や陽菜とそういう関係になってから、夏生がどんどん変化していくという方向にしていけば良いのかなと思いました。実際、僕の中では1話と2話の間でも若干の変化があって。スタッフさんと一緒に、夏生というキャラクターを作っていってる感覚です。
──1話のアフレコよりも前にテスト収録をしたという話は、劇場アニメ以外では、あまり聞かないのですが。
八代:僕も初めての経験だったのですが、すごく嬉しかったです。しかも、テスト収録だけでなく、1話でもすごく丁寧にディレクションして頂けたんですよ。
これから一つの作品を一緒に作りあげていく皆さんの気合いを感じて、自分も絶対に良い芝居をしたいと思いました。今も相乗効果を感じられて、すごく良い現場です。
──原作では、第1話でいきなり夏生と瑠衣のベッドシーンがあるのですが、アニメの放送&配信版では直接的な描写は無く。そのシーンはBlu-ray&DVDに特典として収録されるそうですね。アニメでは、あまり演じる機会は多くないシーンだと思うのですが……。
八代:たしかに、なかなか演じる機会の無いシーンですし、僕も初めてでしたね(笑)。どういうお芝居が良いのかなと考える中、一番意識したのは、やっぱり夏生にとっては初めての経験であるということでした。
──内田さんの演じる瑠衣や、日笠さんの演じる陽菜の印象も教えて下さい。
八代:『ドメスティックな彼女』の原作を読んでいたので、アフレコが始まる前から僕も作品が大好きになっていて。最初に、瑠衣と陽菜の声を聴いた時には、いちファンのような感覚で感動しました。
最初、瑠衣は感情があるのかどうかも分からないくらいで、本当にフラットなそんなお芝居を内田さんもされているんですね。
それがこの先、どう変化していくのかな、ということもすごく楽しみですし、日笠さんのお芝居にも「陽菜先生、そのセリフはずるいよ。それは夏生君、好きになっちゃうよ~」と思ってしまいます(笑)。
原作を読んでいる時って、多くの方が「夏生、はっきり決めろよ。いつまで迷ってるんだよ」という気持ちになっていると思うんですけど。実際のところ夏生にガッと入って演じていると、「これは困ったな。選べない」という気持ちになります(笑)。
1話の段階の夏生は、陽菜先生のことが大好きで、その気持ちは揺るぎないんですけど、僕個人としては、二人とも本当に魅力的で。
しかも、ここから先、さらに魅力的なヒロインが増えていきますからね……これは大変だなって(笑)。夏生として演じている時には思わないのですが、ちょっと役から離れた瞬間には、正直そんなことも思います。
──ちなみに、夏生としてではなく、八代さん本人としては、瑠衣と陽菜のどちらが好みのタイプですか?
八代:えー! それは言えないですよ~!(笑)
──言えないですか(笑)。
八代:あ、でも最初にちょっとだけ思った事なんですけれど。作品が始まった時から、夏生は陽菜のことを好きじゃないですか。でも、瑠衣については、作品で描かれている物語を通して(夏生は)どんどん好きになっていくんですよ。
──読者や視聴者も、夏生と一緒に瑠衣を好きになっていけるわけですね。
八代:そうなんです。だから、二人の間で揺れ動く時も、少しだけ瑠衣の方に揺れることが大きいかなと。でも、陽菜の破壊力はすごくて……。って、ごめんなさい。どちらが好きって、答えられた方が良いと思うんですけど……。
──いえいえ、その揺れ動いてる気持ちがうかがえたので。
八代:なんか、僕も夏生みたいになってますね(笑)。結局、揺れ動いてる。
──そういう点でも、完璧なキャスティングですね(笑)。その他にも、夏生に共感できるところや、できないところなどはありますか?
八代:これを言うと嘘だろって言われるかもしれないんですけれど、共感できるところばっかりなんですよ。中学まで、天パ(天然パーマ)でメガネだったというのも一緒ですし。
小学校の時まではけっこうオープンな性格だったのですが、中学生になってから……いわゆる思春期の時期に、あまりオープンな感じだと、周りの人と上手く生きていけないんじゃないかと思うようになって。
今も、どちらかと言えば、あまりオープンなタイプではないと思うんです。どちらか決めなきゃいけない時に決められない心の弱さも「分かる、分かる」と思っています。
逆に共感できないところというか似てない点としては、夏生は自分で小説を書いているくらい本が好きですが、僕自身はあまり小説を読むタイプでは無くて。そこは真逆かもしれないですね。
実際に起こりえないことではない「禁断」を描いている
──メインの3人以外に、特にお気に入りのキャラクターや気になるキャラクターはいますか?
八代:(柏原)ももと、葦原(美雨)さんも強烈なキャラクター性をもっているヒロインなので。特に、ももは瑠衣と陽菜とはまったく違うキャラクター性の持ち主として、夏生と関係性を持っていく子なので。そういう意味では、ももや葦原さんが登場することで、また物語が大きく動くと思います。
その中で、不動の存在として、飛田(展男)さんの演じるお父さん(藤井昭人)と、日野(由利加)さんの演じるお母さん(橘都樹子)は、1話や2話の段階で、すでにに癒しの存在となっています。
江口(拓也)さんが演じる夏生の友達の(栗本)文哉もそうですね。これから物語や夏生の心を動かしていく人たちと、常に動かずそこにいて夏生の味方で居てくれる人たち。その兼ね合いも面白いと思います。
──すでにPV(取材時は第1弾のみ)も公開されていますが、感想を教えて下さい。
八代:自分が出ている作品のPVを観る瞬間って、すごく心が昂ぶるものなんです。『ドメスティックな彼女』のPVは、めちゃくちゃ格好良くて。ムーディーな音楽の後、あの衝撃的なシーンが始まって。
素晴らしいPVだなと思いました。どこかを少し触ったら壊れちゃいそうな張り詰めた空気感があって。「これぞ『ドメカノ』のPVだ!」と思うような映像になっていて、すごいなと思いました。
──そんな緊迫感のある作品のようですが、アフレコの合間などは、どのような雰囲気なのですか?
八代:すごく有りがちな言葉で言ってしまうと、和気藹々という感じなんです。でも本当に「こんなことある?」ってくらい、心の温かい方ばっかりなんです。真礼さん、日笠さんたちと「自分だったら、どうする?」とか『ドメカノ』の話もしますし、「辛いもの好き?」みたいな全然関係無い話もしたりして。
そんなバカ話もしている僕らを、お父さんとお母さんが見守って下さっている、みたいな構図になっています(笑)。いざ収録が始まる一気にシリアスになるのですが、そのギャップがもの凄いですね。
ずっと張り詰めているだけでなく、リラックスもできるので、僕としては最高の状態でお芝居ができる、ありがたい現場です。
──では最後に改めて、1月11日(金)から始まる『ドメスティックな彼女』の見どころを教え下さい。
八代:原作の読者さんや、この作品に興味を持って下さっている方は、やはり男性の方が多いと思いますので、まずは瑠衣と陽菜をはじめとするヒロイン勢を観て、ドキドキしてもらえればと思います。そういったヒロインの魅力があった上で、流石先生が描かれている「禁断」というテーマも魅力的です。
一見、ファンタジーのようでいて、実際に起こりえないことではない「禁断」を描いているので、その中には、罪悪感であったり、高揚感であったり、いろいろな気持ちが混ざり合っていて。ヒューマンドラマとしても楽しんで頂けるはず。
あと、スタッフの皆さんがこのアニメを作る上のテーマとして掲げているのが「そのまま実写になっても、おかしくないものを作ろう」ということなんです。
もちろん、アニメっぽいギャグもあるのですが、リアルなところはすごくリアルに作って下さっているので、僕も感情の動きなどをよりリアルに演じていきたいです。スタッフ、キャスト一丸となって作っていきますので、ぜひ応援よろしくお願いします。
[取材・文/丸本大輔]
TVアニメ『ドメスティックな彼女』作品情報
2019年1月よりMBS、TBS、BS-TBS“アニメイズム”枠にて放送
イントロダクション
高校生の藤井夏生は、教師・橘陽菜へ密かに想いを寄せいていた。ふと誘われた合コンに参加した夏生は、そこで出会った橘瑠衣と、初対面で初体験をしてしまう。そんなとき、父が再婚することとなり、再婚相手が連れてきた子供が、なんと陽菜と瑠衣だった……ひとつ屋根の下で暮らすことになった3人の、ピュアで禁断過激な三角関係がスタートする。
スタッフ
原作:流石 景 (講談社「週刊少年マガジン」連載)
監督:井畑翔太
シリーズ構成:髙橋龍也
キャラクターデザイン:井出直美
美術監督:魏 斯曼
美術設定:高橋麻穂
色彩設計:林 由稀
撮影監督:伊藤康行
編集:小島俊彦
音響監督:立石弥生
音響制作:ビットプロモーション
音楽制作:フライングドッグ
音楽:甲田雅人
アニメーション制作:ディオメディア
キャスト
橘瑠衣:内田真礼
橘陽菜:日笠陽子
藤井夏生:八代 拓
柏原もも:佳村はるか
葦原美雨:小原好美
藤井昭人:飛田展男
橘都樹子:日野由利加
栗本文哉:江口拓也
柾岡悠弥:益山武明
木根和志:梶原岳人