台本なし! 客参加あり! こんなイベント見たことない! 木内秀信さんと津田健次郎さんの『朝ナニ』第11回公演をレポート
本業の声の仕事だけでなく、ラジオ、歌や踊り、イベント出演から舞台まで、多種多様な仕事をこなす声優さん。アニメ作品やPR的な活躍だけにとどまらず、個人の興味関心から独自の活動を行っている方たちもたくさんいらっしゃいます。
今回ご紹介する『朝ナニ』もそのひとつ。
『朝ナニ』は声優の木内秀信さんと津田健次郎さんが台本なしで2時間ぶっ続けでトークをするだけという、なんともストイックなイベントです。
「こんなイベントが成立するのか……?」
そんな疑問を持ちつつ、アニメイトタイムズは幸運にも2018年11月25日に開催された『朝ナニ』第11回公演(1日3公演、取材したのは3公演目)を取材することができました。
事前情報がほぼない状態で挑んだ取材でしたが、そこには現場に行かなければ感じられない奇妙で心地よい体験が待ち受けていたのでした……!
さらにイベント後の二人に行ったインタビューも掲載。今までの概念が覆される経験をどうぞご覧あれ。
いきなりそんなことしますか!?
会場が暗転すると軽快なBGMが鳴り響き、自然と観客席から手拍子が。それに後押しされるように木内さんと津田さんが登壇。自己紹介とともに早速トークがスタートしていきます。
木内さん「はいどうも。木内秀信です」
津田さん「津田健次郎です」
木内さん「これ一番前の席が空いとるってどういうことなんやろうね? 頑張ってチケット取ったんちゃうん?」
津田さん「いちご食べててお腹ゆるくなったんじゃないすか?」
木内さん「それ俺!(笑)」
観客「アハハハハ!」
……なんだこの入りは! ぬるっと始まった上に、初っ端から客いじり。こんなイベント見たことがありません。
しかし、お客さんはなれている様子。そんな二人を見て笑顔を見せています。
木内さん「今日ちょっと早いんですね。いつもに比べると」
津田さん「ごめんなさい。俺そういうの弱いんで」
木内さん「何が!?」
津田さん「(笑)。時間とかよくわからないんで(笑)」
木内さん「そうやねぇ。入り時間とかも確認してなかったもんね。今回は特に」
木内さん&津田さん「な〜んの確認もしてない!!!」
ファンのみなさんに怒られてもしょうがないのですが、素直に「大丈夫かこのイベント!」と思いました。が、二人の会話を聞いていると不思議と笑いがこみ上げてきます。
二人は旧知の仲ということで、『朝ナニ』は打ち合わせはしないとか。前回は記念の第10回ということで、ゲストに鈴村健一さん、江口拓也さん、細谷佳正さんを呼んだことから、かなり綿密に打ち合わせしたそうです。
しかし、今回はいつもどおりの『朝ナニ』。取材するにはいいタイミングだったのかもしれません。
木内さん「前回はめーーーっちゃ打ち合わせしたよな」
津田さん「うん! 2回くらいした!」
木内さん「え! 2回!? もっとしたよ! 2回くらいと思うてんの?」
津田さん「いや! 3回くらいかな!」
木内さん「もっとしたよ!」
津田さん「でもめちゃめちゃってどれくらいしました?」
木内さん「……」
津田さん「ほら。覚えてない」
観客「アハハハハ!」
木内さん「でも今回は本当に何もしてない!」
この時点でイベント開始3分。心配だなぁと思っていた僕も、カメラのシャッターを切るのを忘れて観客と一緒に笑っていたのでした。
数珠つなぎで繰り広げられる会話
木内さん「最近、帽子ようかぶってるよね?」
津田さん「それが最近そうでもないんですよ」
木内さん「そうですか」
津田さん「あれです。バイクに乗ってないんで」
木内さん&観客「……」
津田さん「あれ? つながらない?」
急に話題が変わったのでなんのことやらと思ったのですが、『朝ナニ』はこのスタイルが通常営業。先程の話はなんのそので話題が変わりまくります(なんともレポート泣かせ)。
その後も二人が思ったことをつらつらとトークしていきます。
しかし、帽子とバイク、どういうつながりがあるのでしょうか。
津田さん「バイク→ヘルメット→髪ぐちゃぐちゃ→帽子」
木内さん「それはわかるよ。でも今日、車で来たんやろ?」
津田さん「うん」
木内さん「車で帽子かぶってるんやろ?」
津田さん「なんとなく」
観客「アハハハハ!」
木内さん「まぁええけどね」
津田さん「魔法使いみたいでしょ?」
木内さん「魔法使いではないけどね。え、魔法使いのつもりなん?」
津田さん「魔法使いのつもりでは来ないですよ!」
観客「アハハハハ!」
まさか帽子の話題が魔法使いになるとは! 話はまだまだ続きます。
帽子のくだりからお互いに「キャップが似合わない」という話になり、「最近はキャップとスーツを一緒に着る人もいる」という話に飛んで、「スリーピースとかでね」という話題に。
津田さん「スリーピース? 今、チョッキ入りました?」
木内さん「チョッキというか、そういうやつやんけ。ベストみたいな」
津田さん「チョッキでしょ!」
木内さん「ベストでしょ!」
津田さん「チョッキ!」
木内さん「ベスト!」
津田さん「ベスト=チョッキ!?」
木内さん「違う違う! スーツのスリーピースがチョッキなわけないやん! そりゃあベストやん。チョッキって言ったら、襟がVの字になったニットのやつよ。前にボタンがついたやつはベストよ!」
津田さん「えー! あれベスト? 嘘やん!」
木内さん「スーツ脱いでチョッキの人とか見たことないやろ?」
津田さん「学校の先生とか!」
木内さん「それは暖をとってるだけ!!! 礼服のとき!」
津田さん「礼服!? そしたらまた話が違う!」
木内さん「うーん!!! 違う!!!」
この後、チョッキとベストの違いについて延々と議論しましたが話はつかず。そして横からやってくる「ジレ」問題。もう収集がつきません。
後のインタビューでもわかるのですが、『朝ナニ』では疑問に思ったことも、イベント後に特に調べないとか。お酒の場や友人と話すときって、そういうことありますよね。
ということで、今回のレポートでは、そのあたりモヤモヤしてしまう読者のみなさんのために二人の疑問の答えも書いていきましょう。
まず最初のベスト、チョッキ、ジレ問題ですが、なんと全部同じものだそうです。袖なしの短い胴着のことをこの呼び方をします。
じゃあ何が違うのかと言うと、「ベスト」は英語、「ジレ」はフランス語、「チョッキ」に至ってはオランダ語の「jak(ヤック)」が変化して使われるようになったとも言われている日本語なんだそうです。
そんな間にも話は続きます。帽子の話題に戻り、「キャップが似合わない」からの「ジャージも似合わない」問題へ。
木内さん「本当にジャージが似合わない」
津田さん「僕たちは仕事でよく着てますけどね」
木内さん「あれは仕事! 普通に着たら似合わない! 不思議なことに」
津田さん「それこそ三本線(アディダスのズボン)とか履いてそうですけどね」
観客「ああ〜(たしかに)」
津田さん「僕なんて、ラッパーみたいな格好したらえらいことなりますよ」
木内さん「ぶかぶかの?」
津田さん「そう。もう子供! って感じ。子供がお父さんの服着たみたいな!」
じゃあ、袖は絞られてて、袖と身幅が大きいやつを着ればいいのでは? という木内さんの提案に、そもそも身幅が何かわかっていない津田さん。
身幅を説明するために、顎と喉でマイクを挟んで必死に説明する木内さん。これには会場も大爆笑です。